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2009 unforgettable movies
2009年12月29日 (火) | 編集 |
日本も世界も、色々な意味で大きな変動期を迎えた2009年もそろそろ終わり。
昔から経済危機の時代には、映画が豊作になるといわれるが、そのジンクス通り2009年は昨年以上に優れた作品が多かった様に思う。
変わり行く世界と歩調を合わせるように、新しいチャレンジを試みる映画作家が目立ったのも今年の特徴で、ある者は作風を大きく変え、ある者は原点回帰し、またある者は新しい技術で映画の可能性を広げた。
ジャンル的に特に目立ったのは夢を具現化するアニメーション映画だろう。
ファンタジーからドキュメンタリーまで、様々なスタイルの優れたアニメーション映画が世界各国で作られた。
それでは、公開順に今年の「忘れられない映画」を振り返ってみたい。

「チェ 28歳の革命」 「チェ 39歳 別れの手紙」二部作は、スティーブン・ソダバーグ監督による骨太なチェ・ゲバラ論。
前後編4時間半の大作だが、二部作とした事でより人間ゲバラの内面が浮かび上がる構造となっている。
嘗て世界革命を目指した英雄は、2009年の激動の世界を果たしてどう見るのだろうか。

「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」は、前作の「ゾディアック」からガラリと作風を変えたデビッド・フィンチャー監督による異色のファンタジー。
80歳で生まれ、時と共に若返ってゆく主人公の人生は、切なく美しい一瞬の邂逅の連続だ。
一人の男の人生を、ファンタジーの手法で寓話的に描き出したのは、名手エリック・ロス。
物語のロジックが光る秀作であった。

「ウォッチメン」は、80年代末に生まれた伝説的なコミックス初の映像化。
パラレルワールドの冷戦時代という舞台装置、それぞれにメタファーとしての役割を持つキャラクターたちが織り成す物語は、リアルな現在へと続くユニークな歴史的視点を獲得している。
ザック・スナイダー監督のビジュアル演出が光る、重厚なSF大作だ。

「レッド・クリフ」二部作は、アクションテンコ盛り、お腹一杯のジョン・ウー版「三国志」だ。
ハリウッドへ活動拠点を移して以来、やや低迷している感のあったウーだが、今回は勝手知ったる中国大陸を舞台に、水を得た魚の様に躍動する。
意外にも物語の作り込みも細やかで、前後編5時間を飽きさせない。
今年は米国に並び立つ超大国として中国をクローズアップするG2論が盛んに語られたが、映画の世界でG2の出現を実感させる堂々たる大作だった。

「スラムドッグ$ミリオネア」は、ハリウッドとボリウッドの幸福なマリアージュ。
ムンバイのスラムを舞台とした社会派映画かと思いきや、これは愛と冒険、笑いと涙の正統派大娯楽映画。
ダニー・ボイル監督は、主人公ジャマールの疾走感溢れる人生に観客を感情移入させ、スクリーンと客席の一体化に成功している。
観客は、この御伽噺の様なサクセスストーリーに、世知辛い現実へのアンチテーゼとして喝采を送るのである。

「グラン・トリノ」は、クリント・イーストウッドからの大いなる遺言。
多くのチェンジを経験しつつある2009年のアメリカへの、オールドアメリカからの慈愛に溢れ示唆に富む寓話であった。
70代にして驚異的なペースで制作活動を続けるイーストウッドは、「チェンジリング」という優れた作品も残した。
願わくば、100歳まででも作品を作り続けて欲しい。

「チェイサー」は、新星ナ・ホンジン監督による超ヘビー級のクライム・スリラー。
風俗の女性ばかりを狙う猟奇殺人鬼vsワケアリな元刑事の緊迫した追撃戦は、我々を社会の底辺の人々が蠢く、巨大都市ソウルのダークサイドに誘う。
映画史上に残る、新人監督の鮮烈なデビュー作である。

「サマーウォーズ」は、夏休みに相応しい大家族ヴァーチャル・アドベンチャー。
日本の田舎の武家屋敷で、世界を救う戦いが密かに進行するというアイディアが秀逸。
安易なデジタル批判に持ってゆかず、デジタルだろうがアナログだろうが、結局最後に頼れるのは人間同士の絆というあたりも爽やかだ。
細田守監督の持ち味である細やかな日常描写が光る。

「3時10分、決断のとき」は、久々に登場した西部劇の秀作。
西部に名を轟かせる強盗団のボスと、コンプレックスを抱える平凡な農夫という二人の主人公の、男の誇りをかけた魂のドラマは、西部劇ならではの数々の見せ場とともに、観客の心に深い余韻を残す。
この作品の制作を長年切望していたジェームス・マンゴールド監督は、見事に西部劇ファンの期待に答えた。

「空気人形」は、色々な意味で痛みを伴う映画だ。
ダッチワイフののぞみから見た世界は、希薄な愛と虚無感を抱えた人間たちが風船の様に漂う。
切なく美しい、幻想の月島に凝縮されたのは、寓話的に捉えられた現在の縮図とも見える。
タイトルロールを演じるペ・ドゥナが素晴らしく、是枝裕和監督にとっても新境地と言える作品だろう。

「母なる証明」も、相当に痛く、容赦の無い映画だ。
デビュー作以来、毎回全く異なるジャンルに挑んで来たポン・ジュノ監督が今回選んだのは、ある種の心理サスペンスであり、人間を突き動かす最も強い感情である「愛」という概念に対する大胆な考察でもある。
意表を突く冒頭から、見事にその対となるラストカットに至るまで、観客は圧倒的な演出力でグイグイ引っ張られ、打ちのめされるのである。

「スペル」は、サム・ライミ久々の大バカホラーコメディ。
嘗ての「死霊のはらわた」シリーズにJホラーのエッセンスを取り混ぜ、やや上品にしたという感じの作品で、ホラーマニアを喜ばせる要素が詰まっている。
近年の「スパイダーマン」シリーズも、あれはあれで面白いけど、本作のノリノリの演出を見ると、やはりライミの映画作家としての原点はここなのだろうなと思わされる。
ホラー映画では、ハリウッド版たまみちゃんこと「エスター」もなかなかの仕上がりであった。

「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」は、時代の象徴となった偉大なアーティストの置き土産。
幻となったロンドン公演を、演出を勤めていたトニー・オルテガ監督が、可能な限り本番のイメージで構成したメイキングである。
スキャンダルでしかマイケル・ジャクソンを知らない世代を増えている中、この作品の予想外のヒットによって、アーティストとしての彼の一面が再評価されるとしたら嬉しい事だ。
何よりもスゴイのは、ジャクソン・ファイブ時代から数十年間に渡るヒット曲が奏でられるが、知らない曲が一つも無い!

「イングロリアス・バスターズ」は、タランティーノの映画愛が一杯詰まった新境地。
これまで、薀蓄の羅列になりがちで、やや鼻に付き始めていた彼の映画的な記憶が、今回は巧みに物語の中に融合されている。
勧善懲悪の講談的物語だが、タランティーノならではのテクニックも冴え、オチの付け方を含めてさすが映画バカならでは展開は楽しい。

「戦場でワルツを」は、イスラエルからやって来た異色のドキュメンタリー・アニメーション。
アリ・フォルマン監督が、自らの失った記憶を辿る、心理的なロードムービーであり、深層意識下の世界をアニメーションという手法で描いたのは秀逸だ。
悪夢的なアニメーションが、リアルに変わる瞬間は、ある程度予測していても強いインパクトを感じる。

「カールじいさんの空飛ぶ家」は、ピクサーアニメーションスタジオの記念すべき長編第10作目。
妻を亡くした老人の死への旅立ちが、突然現れた少年の乱入によって、新しい人生への冒険旅行へと大きく転換してゆくという構成は、いかにもピート・ドクターらしい。
二人の旅路を見守る作者の、優しい眼差しが印象的な作品だ。
ピクサー作品としては初めて立体版が用意されたが、同じディズニー配給のCGアニメーションの立体映像でも、ロバート・ゼメキスの「Disney'sクリスマス・キャロル」とは、考え方が180度違うのも面白かった。

「アバター」は、2009年の大トリを飾るに相応しい超大作。
ジェームス・キャメロン監督が創造した衛星パンドラの驚愕の世界は、我々に映画の新しい地平を垣間見せてくれた。
まるで自分が宇宙旅行をしているかの様な臨場感は、過去に経験した事の無い物で、シンプルなストーリーと判りやすいテーマを、徹底的に作りこまれた世界での“体験”によって伝えるというのは、映画の新しい表現手法として大いなる可能性を秘めている。
宇宙SFではJ・J・エイブラムスによって再生された「スター・トレック」も、センス・オブ・ワンダーを感じさせる快作だった。

ハリウッド映画は、出来の良し悪しはともかくとして、メジャー大作に続編物が目立ったのに対して、ある一家の心の風景を描いた「レイチェルの結婚」や、主演のミッキー・ロークのバックグラウンドをドキュメンタリー的に演出に取り込んだ「レスラー」など、個性派監督の小品に光る作品が多かった。
社会の変革期にあって、歴史や社会問題に目を向けた作品では、ケイト・ウィンスレットが素晴らしかった「愛を読むひと」や、ハリソン・フォードが珍しく社会派な役を演じた「正義のゆくえ I・C・E特別捜査官」などが印象に残る。
絶好調のケイト・ウィンスレットは、レオナルド・ディカプリオとの「タイタニック」コンビの「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」も良かったが、ロマンチックなラブストーリーを期待して来て、映画のあまりに容赦の無い内容に、地獄に突き落とされたようなカップル観客の表情の方が印象的だった。
容赦無しと言えば、やはり観客に媚びない韓国映画の鮮烈な輝きが記憶に残る年だったが、上記した二本以外にもキム・ジウンが思い入れたっぷりに作ったキムチ・ウェスタン「グッド・バッド・ウィアード」や、ホ・ジノのラブストーリー「きみに微笑む雨」など中堅若手が満遍なく良い仕事をしていた。
日本映画はヒット作に宣伝先行の空虚な作品が多かったが、紀里谷和明が物語に目覚めた「GOEMON」や、三池崇史のワルノリ映画「ヤッターマン」など、娯楽大作にも作家性の強い作品もあったのが救い。
全体にハリウッドや韓国映画と比べると、突出した作品が少なく、こちらは経済状態と比例して映画まで低調な年であったと言えるだろう。
さて、2010年はどんな映画と出会えるのだろう。

それでは皆さん、良いお年を。

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