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(500)日のサマー・・・・・評価額1650円
2010年01月15日 (金) | 編集 |
低予算作品ながら、昨年の夏に全米でロングヒットを記録したラブコメディ。
「(500)日のサマー」とは変わったタイトルだが、これは映画のヒロインの名前と季節の「夏」を上手く引っ掛けた物で、なかなかに洒落が効いている。
誰にでも経験があるであろうリアルな恋愛模様を、軽妙でコミカルなテンポで綴った語り口も心地よく、あっという間の500日、いや96分である。
ただし、リアルすぎてちょっとだけハートが痛くなるかもしれない。

一月のある日、グリーティングカード会社に勤めているライターのトム(ジョセフ・ゴードン=レヴィッド)は、社長のアシスタントとして入社してきたサマー(ズーイー・ディシャネル)に一目惚れ。
だが、奥手なトムはなかなか彼女に話しかける切欠をつかめない。
半ば諦めかけた頃、偶然トムとエレベーターに乗り合わせたサマーが、トムのヘッドホンから漏れ聞こえる曲を聞き、「私もザ・スミスが好きよ」と語りかけてくる。
それから急速に親しくなり、デートを重ねる二人だったが、同時に二人の間にある恋愛観の大きなギャップも明らかになる。
何しろサマーは、真実の愛なんて物を全く信じていなかったのだ・・・


主人公であり、語り部でもあるトムは、今風に言えば草食系男子というのだろうか?
恋に奥手で、好きな相手にも今ひとつ踏ん切りがつかない。
対するサマーは良くも悪くも率直で、トムの事が良いと思えば自分から落としてしまうくらいの勢いがある。
愛と運命を切々と説くトムに対して、真実の愛なんて物は信じないよと言うサマー。
よく恋愛に関して男はロマンチスト女はリアリストというが、この二人は正にそんな感じだ。

そもそも、まるっきり価値観の違う二人じゃ最初からあう訳無いじゃん!と思うのだけど、そんな事わかっていてもトムが惹かれてしまうサマーを演じるズーイー・ディシャネルが良いなあ。
凄く美人とか、スタイルが良いという訳ではなく、逆にどこの職場や学校に一人くらいはいそうな等身大で身近なキャラクターなのだけど、何ともキュートでセクシーなのだ。
価値観が違うからこその、どこか理解不能でつかみ所の無いミステリアスさも魅力的で、こんな娘が同僚だったらそりゃ誰でも惚れちまうだろう。
四歳違いのお姉ちゃんは、テレビの人気シリーズ「BONES」で、タイトルロールのボーンズを演じているエミリー・ディシャネル
二人並ぶとよく似ているけど、髪の色がお姉ちゃんは栗色なのに対して、ズーイーは東洋人の様な長い黒髪というのも神秘性を高めている。
ちなみに「BONES」のシーズン5には、ズーイーがゲスト出演しているエピソードがあるようだ。

サマーはいわば夏の太陽だが、その輝きがまぶしいのは、対象となる影があるから。
主人公であり語り部である、日影の男トムを演じる子役出身の若きベテラン、ジョセフ・ゴードン=レヴィッドは、太陽を手に入れたいのに、熱くて触れない様な、男なら誰でも覚えのあるだろう悶々とした葛藤を繊細かつ巧みに演じ、見事に観客をスクリーンに一体化させる。
下手をするとひたすら可哀想な主人公になってしまいそうだが、彼の飄々とした演技が上手い具合にキャラクターの悲壮感を和らげて、ちょっぴりの切ないが笑えるキャラクターに作り上げている。

何でもこの長い長い一夏の恋物語は、脚本のスコット・ノイスタッターマイケル・H・ウェバーの実体験に基づいているという。
なるほど終始トム目線で語られる物語は、ライトなテイストで漫画チックですらあるが、個々のエピソードは極めてリアル
男性客は「そうそう、そうなんだよぉ!」とトムに共感し、女性客は今時の草食男子の恋愛観を観察するような面白さがあるかもしれない。
ノイスタッターは映画「卒業」の熱烈なファンだそうだが、「卒業」を観賞するシーンはこの映画の中でも印象的に使われている。
たぶん、あれも実体験なんだろうな・・・とか思うと色々な意味で泣けてくる。

彼らの作劇は、エモーショナルであるだけでなく、テクニカルな面でも秀逸だ。
()で挟まれた500日間のカレンダーを巧妙に使ったロジックが、本作を一味違うラブコメディとして成立させている。
各シークエンスの冒頭で、今が500日の中の何日目なのかを表示する事で、時系列をシャッフルし、そこから笑いを生んでゆくあたりは実に上手い。
例えば××日目の落ち込んだトムを描写して、次にナゼそうなったのかを時間を遡って見せてゆくとゆう手法によって、観客にキャラクターとある程度の客観的な距離を感じさせるようにしている。
この距離感が絶妙で、観客はトム、あるいはサマーに感情移入しつつも、恋愛に翻弄される彼らを笑い飛ばす余裕をもてるのである。
ノイスタッターとウェバーの用意した見事なレシピと、旬なキャストという素材を料理したのはこれが長編デビュー作となるマーク・ウェブ
PVやCMで充実したキャリアを持つ人物だが、PV出身者ならではの巧みな編集テクニックで物語をテンポよく紡ぎ、全く飽きさせない。
「卒業」からディズニーまで、古今東西の恋愛映画の記憶を詰め込んだディテールも楽しく、トムの恋愛の現実と希望がスプリットスクリーンで表現されるあたりは大笑いした。

「(500)日のサマー」は、たぶん男女の間で、あるいは年齢によって、観賞する目線の置き方の異なる映画だろう。
だがどんな立場から観ても、過去の自分の経験、あるいは現在進行形の自分と少し重ね合わせる事で、素直にスクリーンと一体化して、主人公たちの情熱的な夏を楽しむことが出来るだろう。
そして、これは単に彼らの恋の顛末のドタバタを楽しんで終わりという底の浅い映画ではない。
恋愛を人生の歳月を巡る季節の様な物と思えば、これはサマーと出会い様々な葛藤に満ちた500日間を経験する事でトムが大きく成長する物語だ。
映画の冒頭では生き方も曖昧で、いかにも頼りなげな若者だったトムが、ラストシーンでは芯のあるオトナの男となり、過ぎ行く時への感慨と共に、人生で一番長い夏にサヨナラを言う事も出来るのである。
これは映画を観てのお楽しみだが、タイトルに引っ掛けた粋なオチもまた秀逸であった。
ラブコメというと女性向けと思われがちだが、「(500)日のサマー」は男女を問わず、いやむしろ男性にこそ観てもらいたい作品だ。

今回はサマーと飲みたい真夏のカクテル、「サマー・ディライト」をチョイス。
ライムのジュース30mlとグレナデンシロップ15ml、シュガーシロップ10mlをシェイク。
氷を入れたグラスで、キンキンに冷したソーダでお好みの比率で割ってステアする。
グレナデンの赤によって全体がオレンジに染まり、真夏の太陽の様な鮮やかさがある。
スライスしたライムを添えると、清涼感が出てより夏っぽい雰囲気が味わえる。

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