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プリンセスと魔法のキス・・・・・評価額1550円
2010年03月17日 (水) | 編集 |
ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオの49本目の長編作品「プリンセスと魔法のキス」は、同社にとっては久々の2D手描き作品だ。
物語は、グリム童話の「かえるの王様」を元にしたE.Dベイカーの児童小説、「かえるになったお姫様」を大幅に脚色した物で、監督は「リトルマーメイド」や「アラジン」で知られるベテランコンビ、ジョン・マスカーとロン・クレメンツ
ミュージカルアニメで重要な音楽は、御馴染みのアラン・メンケンではなく、ピクサー色の強いランディ・ニューマンがディズニー本体の作品をはじめて担当している。

ニューオーリンズに住むティアナ(アニカ・ノニ・ローズ)は、亡き父から受け継いだ夢であるレストラン経営を目指して、昼も夜も働きづめ。
ある日、金持ちの幼馴染のシャーロット(ジェニファー・コーディ)のパーティで、ティアナは人語を喋るカエルと出会う。
カエルは、自分は魔法をかけられてしまったナヴィーン王子(ブルーノ・カンポス)だと名乗り、人間に戻るためにキスしてくれる様にとティアナに頼む。
ティアナは躊躇するが、金持ちの王子ならレストラン開店資金を出資してくれると信じて、キスをする。
だが、王子は人間に戻らず、逆にティアナまでがカエルに変身してしまう・・・・


2003年に、世界のアニメ界のメインストリームが3DCGに移った事を理由に、80年の歴史を誇るディズニーの手描きアニメ部門は閉鎖された。
だが2006年、ディズニーがピクサーを買収した事で、ピクサーのジョン・ラセターとエド・キャットマルがディズニーのアニメ部門のトップに就任すると、意外な事に最初に公約に掲げたのが手描きアニメ部門の復活だった。
いわば自らを滅ぼした3DCG屋によって、手描き部門が息を吹き返す事になったのだから皮肉な物だが、要するにヒットしないのは、手描きだCGだという手法の問題ではなく、企画力や魅力的なキャラクター、そして何よりも物語の問題であり、世界中にファンを持つ手描きアニメには潜在的な需要がまだまだあるというのがラセターらの考えだった。
とは言え、一度止めてしてしまった物を再開するのは、大変な労力と資金が必要となる。
解雇されて散り散りになっていたベテランスタッフを呼び戻し、既にCG用に作り変えられた設備の一部を元に戻し、更に新たな世代に経験が物を言う手描きアニメの技法を習得させるのは一朝一夕には出来ない。
一昨年の「魔法にかけられて」のアニメシークエンスなどを経て、いよいよ満を持しての復活作となった。

ディズニーアニメの最大の顧客といえば、やはりプリンセスにあこがれる女の子たちという事で、本作も伝統のプリンセス物の枠組みを継承しているが、内容的には二十一世紀に相応しい様々な新機軸が満載で、相当に気合が入っている。
舞台となっているのは、南部の街ニューオーリンズで、時代は特定されていないが、街の様子や車などから推察するに、1930年代頃をイメージしている様だ。
当時の南部は、相当に人種差別の激しい土地柄だったはずだが、そういうリアルな部分はかなり薄められており、全体に白人は金持ちで有色人種は貧乏という程度の色分けに留まっている。

そして主人公となるのは、ディズニーの歴代プリンセスの中で初のアフリカ系となるティアナ
彼女が何よりもユニークなのは、今までのディズニーアニメの女性たちと違って、完全に自立した女性で、レストラン経営と言う夢を叶えるために、四六時中仕事をしてお金を貯めているワーカホリックというところだろう。
彼女は、御伽噺の様な王子様との結婚など全く夢見ていないのだ。
逆に相手役のナヴィーン王子は、放蕩三昧で家来にまで裏切られるダメ人間として設定されており、完全に女性主導型のカップルになっている。
このあたりは、やり過ぎるとライバルのドリームワークスの「シュレック」シリーズの様に、過去のディズニー作品のパロディになってしまうが、さすがディズニー生え抜きのクリエイターの作品だけあって、正統派の枠内にギリギリのところで踏みとどまっている。

ちなみにナヴィーン王子の出身は架空の国になっているが、彼もおそらくはアフリカ系の有色人種に設定されており、作品全体に南部の黒人文化か散りばめられているのも特徴だ。
ティアナの作ろうとしているレストランも、フランスの影響の強いこの地のお袋の味である、ガンボスープやベニエといったケイジャン料理を出す店だし、王子をカエルにしたドクター・ファリシエの魔法もどうやらブードゥー教の黒魔術で、ティアナとナヴィーンが助けを求めに行くのもブードゥーの尼僧。
更にニューオーリンズと言えばジャズという事で、ランディ・ニューマンのスコアは全体にジャジーなテイストで、過去のディズニーアニメのミュージカルスコアとははっきりと一線を画す。
またミシシッピ川の河口に位置し、郊外に広大な湿地帯を抱える事で知られる街だけに、カエルになったティアナたちの旅の仲間となるのも、地域性の強い水辺の生き物のキャラクターたち。
ジャズが大好きで、人間のバンドに加わりたいと思っているワニのルイス、そして星に恋する蛍のレイが冒険の旅を導く。
丸太の様に大きなワニから指先ほどの蛍まで、普通メインキャラクターにこれだけ大きさの違いがあると、視点の置き所など演出的にはかなり難しい物だが、そんな不自然さを微塵も感じさせないマスカーとクレメンツはベテランらしい見事な仕事を見せてくれる。

主人公であるティアナのキャラクターは、極めて現代的と言えるかもしれないが、映画は必ずしも彼女の生き方を肯定しない。
なぜなら、彼女は一つの夢に邁進するために、人生で大切な物を忘れてしまっているからだ。
彼女はレストランを開店するという夢は持っているが、逆に言えばそれ以外の生きる目的を持っていない。
同様に、ナヴィーン王子も王家に生まれた幸運に胡坐をかき、面白可笑しく暮らす事以外特に夢もやりたい事も無い。
仕事人間のティアナと遊び人のナヴィーン王子という、生まれも生き方も対照的な二人だが、それぞれから仕事と遊びを取っ払ってしまえば、むしろ心に空洞を抱えた似たもの同士
これは、ひょんな事からカエルになってしまった二人が、それぞれの人生を見つめなおし、お互いに成長する物語なのである。
勿論、新機軸満載と言っても、ディズニープリンセス物であるからには、ハッピーエンドのラストだけはお約束を守らなければならない。
現代的なビジネスウーマンであるティアナの生き方を、果たしてどのようにして王子様との愛に生きるディズニープリンセスの伝統とマッチさせるのかというあたりは、ややズルイ気もするが、まあなるほどと思える物であった。

「プリンセスと魔法のキス」は、ディズニーの手描きアニメーションの新しい時代を切り開いてゆこうとする意欲作だ。
ただ、良くも悪くもかなりエキセントリックなキャラクターに、やや感情移入し難かったのも事実で、伝統的なお約束の部分と新しいチャレンジの部分の統一感という点でも若干の違和感は残る。
このあたりは次回作以降の課題だろうが、心配なのは、既に2012年分まで発表されているディズニー/ピクサーのラインナップに、2D手描きアニメ作品が見当たらない事だ。
全盛期に比べればかなり縮小された制作体制で、次を作るのにも時間がかかるのは確かだろうけど、これが最初で最後の復活にならなければ良いのだが。
とりあえず3DCG作品ながら、手描きアニメ時代からのスタッフが多く参加し、正統派ディズニープリンセス物となりそうな「ラプンツェル(Rapunzel)」に期待しよう。

今回は舞台にちなんで、「ニューオーリンズ・ラム・フィズ」をチョイス。
ホワイトラム45ml、レモンジュース20ml、生クリーム20ml、シロップ2tsp、オレンジフラワーウォーター4dashに卵白一個と氷を加えてシェイクする。
氷を入れたゴブレットに注ぎ、更にお好みの量のソーダを加えて完成・・・とレシピはこんな物だが、これはなかなか上手く作るのが難しいカクテルで、お店で頼んだ方が簡単かつベター。
本当に美味しい物を作るのは、手描きアニメに通じる職人技が必要なのだ。

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