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2010年04月22日 (木) | 編集 |
ティム・バートンとルイス・キャロルという、不思議な世界と異形の生物たちをこよなく愛する二人のファンタジー作家による、世紀を超えたコラボレーション。
「アリス・イン・ワンダーランド」というタイトルながら、これは「不思議の国のアリス」でも続編の「鏡の国のアリス」でもない。
少女時代の大冒険から13年後、大人の世界へ足を踏み入れようとしている19歳のアリスが、再び不思議の国を訪れるという後日談的なオリジナルストーリーとなっており、物語は「鏡の国のアリス」に出てくる、鏡文字で書かれた「ジャバウォックの詩」という本がベースとなっている。
アリス・キングスレー(ミア・ワシコウスカ)は、まもなく20歳の誕生日を迎える。
冴えない貴族の青年との気乗りしない結婚を迫られたアリスは、白ウサギを追ってウサギ穴に落ちてしまう。
そこは彼女が子供の頃から繰り返し見る夢に出てくる、奇妙奇天烈な世界。
アリスは双子のトゥィードルダムとトゥィードルディー、哲学的な芋虫のアブソレム、ドードー鳥などと出会う。
今、この世界は赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)による圧制が敷かれ、多くの住民は恐怖によって支配されている。
アリスの帰還を待ちわびていたというマッドハッター(ジョニー・デップ)は、彼女が嘗てこの世界を訪れた事があり、再びやって来て世界を救う事が予言されていると言うのだが・・・
オリジナルストーリーとは言っても、物語の構成要素の多くはキャロルの原作小説から移植されており、アリス以下の登場人物もほぼ原作と共通、世界観もそれほど離れては見えない。
更にキャラクターデザインが、有名なディズニーのアニメ版などよりは原作の挿絵の雰囲気に近い物になっているので、とりあえず原作ファンが観ても「アリス」の世界観を受け継ぐ一編として、それほど違和感無く受け取れるだろう。
また原作のストーリーをある程度内包する親切な作りとなっており、原作やアニメ版の物語を知らない人でも、何とかついてゆく事ができる。
映画の舞台となるのは“ワンダーランド”ならぬ“アンダーランド”。
昔ここを訪れた幼い頃のアリスは、マジカルな地底世界を“ワンダーランド”と思い込んでいたという設定だが、これはルイス・キャロルがアリスのモデルとなったアリス・リデルに送った最初の直筆本のタイトルが、「地下の国のアリス(Alice's Adventures Under Ground)」であったことに符合していると思われる。
原作の挿絵は色が無いが、バートンらしい毒々しい色彩と奇抜な造形で彩られた映画版の世界観は、なかなかに魅力的だ。
19歳で再び不思議の国に足を踏み入れたアリスだが、当然ながら無垢なる少女の頃とはその冒険の意味合いも異なる。
現実世界で、周囲に流されるように生きる事に疑問を感じている彼女の前に、今回用意されるのは幾つもの「選択」だ。
最初この世界を夢だと思い込んでいるアリスは、伝説の救世主アリスが自分自身だという事すら信じる事が出来ない。
映画の中で繰り返される「本当のアリス」「偽者のアリス」という問いかけは、そもそもアリスという人格が彼女の中で揺らいでいるからなのだ。
子供の頃のアリスは、不思議の国が夢であろうが現実であろうが、自分がアリスである事に疑問など持っていなかったのだろう。
ところが、地上の世界でいつの間にか自分の意思で生きることを躊躇する様になってしまった彼女は、不思議の国で否応なく選択を迫られ、この世界を現実と受け入れ、自分で進む道を決めてゆく事でアリスとしての自分を取り戻してゆく。
これは、夢だと思い込んでいたアンダーランドで、逆説的に本当の自分として目覚めるアリスの成長を描いた作品なのである。
もちろん、この物語の方向性には異論もあるだろう。
キャロルの原作は英国らしいナンセンスさ、翻訳者泣かせといわれる言葉遊びが溢れ、意味が有りそうで無く、無さそうで深読みすれば見えるという難解でシュールな味わいが魅力だった。
子供たちは不思議な世界観やキャラクターたちを楽しみ、大人たちはこの世界に散りばめられた知的な遊び心を楽しむという、読者の年齢によって異なる受け取り方ができるからこそ、百年以上も世代を超えて親しまれているのだと思う。
その意味では、世界観やキャラクターは共通するものの、原作に比べれば圧倒的にわかりやすい“ハリウッド映画”であるこの作品はやや趣が異なる。
「アリス・イン・ワンダーランド」は、19世紀に書かれたファンタジーの金字塔を、21世紀の技術と新解釈で蘇らせたティム・バートンらしい良く出来た娯楽作と言えるが、特に原作のディープなファンにとっては物足りなさを感じるかもしれない。
個人的にも、もうちょっとマッドにぶっ飛んでもらっても良かった様な気もするが、ディズニーブランドの作品としてはこれでも冒険しているほうかも・・・。
不思議の国が不思議の国たる登場人物たちは、冒険しながらもずーっと悩んでいるアリスよりも、やはり突き抜けたキャラクターであるマッドハッターや赤の女王のインパクトが強い。
ジョニー・デップ演じるマッドハッターは原作に比べても大きな役になっており、比較的原作のイメージに近い登場人物たちの中にあって、かなり映画オリジナルの色彩が強くなっているが、キャラ立ちという点では成功していると言って良いだろう。
無論多くのデップファンにとっても、このぐらいの出番が無いとデップ主演作とは名乗って欲しくないだろうし。
また何時ものことだが、敵役の赤の女王を演じるヘレナ・ボナム=カーターは色んな意味で強烈。
あのデザイン・・・バートン、自分の嫁(結婚してないけど)だと思って好き放題にいじり倒しているな(笑
まあ、ある意味作り手の異形愛を感じる、お茶目なキャラクターでもあるのだけど。
うちのネコも、赤の女王のブタと同じようにドMで踏まれるのが大好きなので、寒い冬にはいつも私に踏み踏みされながら足を暖めている。
痛む足にはブタよりも太ったネコを(笑
一方、善玉キャラである白の女王も、アリスを利用してしれっと姉を追い落とすと結構無慈悲な捌きを下したりする。
アン・ハサウェイが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパローみたいに両手でヘンなポーズを作り、いつも張りついた様な笑顔を絶やさない白の女王は、何気にかなり気持ち悪いキャラクターで、決して単なる良い人には見えないのも、もちろん狙いだろう。
他にも、原作そっくりなチェシャ猫や、禅問答の様な謎賭けをする芋虫のアブソレム、アリスの最後の敵となるジャバウォック(演じるのはクリストファー・リー!)など、不思議の国の住人たちは総じて魅力的だ。
ちなみに、過去に様々な手法で何度も映像化されてきた「アリス」だが、実写作品で私が一番気に入っているのが、ギャヴィン・ミラー監督が1985年に発表した「ドリームチャイルド」だ。
これは小説の直接の映像化ではなく、「不思議の国のアリス」誕生秘話とでも言うべき物語。
ルイス・キャロルがアリス・リデルに、小説の原型となる世にも奇妙な物語を語って聞かせた、1862年7月4日の伝説的な「黄金の午後」に纏わるファンタスティックで詩情溢れる佳作である。
名優イアン・ホルムがルイス・キャロル、本名チャールズ・ドジソン先生を味わい深く演じ、ジム・ヘンソンの手による不思議の国の住人たちが物語を彩る。
残念ながらDVDは絶版だが、復刻が待たれる作品である。
アリスとマッドハッターといえばお茶会という事で、今回は紅茶ベースのリキュール、ティフィンを使った「ティフィン レモンソーダ」をチョイス。
ティフィン30mlとソーダ90mlを氷を入れたタンブラーに注ぎ軽く混ぜて、レモンを絞る。
感覚的には殆どスパークリングのアイスティーという感じで、スッキリ爽やかな気分にさせてくれるお酒だ。
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「アリス・イン・ワンダーランド」というタイトルながら、これは「不思議の国のアリス」でも続編の「鏡の国のアリス」でもない。
少女時代の大冒険から13年後、大人の世界へ足を踏み入れようとしている19歳のアリスが、再び不思議の国を訪れるという後日談的なオリジナルストーリーとなっており、物語は「鏡の国のアリス」に出てくる、鏡文字で書かれた「ジャバウォックの詩」という本がベースとなっている。
アリス・キングスレー(ミア・ワシコウスカ)は、まもなく20歳の誕生日を迎える。
冴えない貴族の青年との気乗りしない結婚を迫られたアリスは、白ウサギを追ってウサギ穴に落ちてしまう。
そこは彼女が子供の頃から繰り返し見る夢に出てくる、奇妙奇天烈な世界。
アリスは双子のトゥィードルダムとトゥィードルディー、哲学的な芋虫のアブソレム、ドードー鳥などと出会う。
今、この世界は赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)による圧制が敷かれ、多くの住民は恐怖によって支配されている。
アリスの帰還を待ちわびていたというマッドハッター(ジョニー・デップ)は、彼女が嘗てこの世界を訪れた事があり、再びやって来て世界を救う事が予言されていると言うのだが・・・
オリジナルストーリーとは言っても、物語の構成要素の多くはキャロルの原作小説から移植されており、アリス以下の登場人物もほぼ原作と共通、世界観もそれほど離れては見えない。
更にキャラクターデザインが、有名なディズニーのアニメ版などよりは原作の挿絵の雰囲気に近い物になっているので、とりあえず原作ファンが観ても「アリス」の世界観を受け継ぐ一編として、それほど違和感無く受け取れるだろう。
また原作のストーリーをある程度内包する親切な作りとなっており、原作やアニメ版の物語を知らない人でも、何とかついてゆく事ができる。
映画の舞台となるのは“ワンダーランド”ならぬ“アンダーランド”。
昔ここを訪れた幼い頃のアリスは、マジカルな地底世界を“ワンダーランド”と思い込んでいたという設定だが、これはルイス・キャロルがアリスのモデルとなったアリス・リデルに送った最初の直筆本のタイトルが、「地下の国のアリス(Alice's Adventures Under Ground)」であったことに符合していると思われる。
原作の挿絵は色が無いが、バートンらしい毒々しい色彩と奇抜な造形で彩られた映画版の世界観は、なかなかに魅力的だ。
19歳で再び不思議の国に足を踏み入れたアリスだが、当然ながら無垢なる少女の頃とはその冒険の意味合いも異なる。
現実世界で、周囲に流されるように生きる事に疑問を感じている彼女の前に、今回用意されるのは幾つもの「選択」だ。
最初この世界を夢だと思い込んでいるアリスは、伝説の救世主アリスが自分自身だという事すら信じる事が出来ない。
映画の中で繰り返される「本当のアリス」「偽者のアリス」という問いかけは、そもそもアリスという人格が彼女の中で揺らいでいるからなのだ。
子供の頃のアリスは、不思議の国が夢であろうが現実であろうが、自分がアリスである事に疑問など持っていなかったのだろう。
ところが、地上の世界でいつの間にか自分の意思で生きることを躊躇する様になってしまった彼女は、不思議の国で否応なく選択を迫られ、この世界を現実と受け入れ、自分で進む道を決めてゆく事でアリスとしての自分を取り戻してゆく。
これは、夢だと思い込んでいたアンダーランドで、逆説的に本当の自分として目覚めるアリスの成長を描いた作品なのである。
もちろん、この物語の方向性には異論もあるだろう。
キャロルの原作は英国らしいナンセンスさ、翻訳者泣かせといわれる言葉遊びが溢れ、意味が有りそうで無く、無さそうで深読みすれば見えるという難解でシュールな味わいが魅力だった。
子供たちは不思議な世界観やキャラクターたちを楽しみ、大人たちはこの世界に散りばめられた知的な遊び心を楽しむという、読者の年齢によって異なる受け取り方ができるからこそ、百年以上も世代を超えて親しまれているのだと思う。
その意味では、世界観やキャラクターは共通するものの、原作に比べれば圧倒的にわかりやすい“ハリウッド映画”であるこの作品はやや趣が異なる。
「アリス・イン・ワンダーランド」は、19世紀に書かれたファンタジーの金字塔を、21世紀の技術と新解釈で蘇らせたティム・バートンらしい良く出来た娯楽作と言えるが、特に原作のディープなファンにとっては物足りなさを感じるかもしれない。
個人的にも、もうちょっとマッドにぶっ飛んでもらっても良かった様な気もするが、ディズニーブランドの作品としてはこれでも冒険しているほうかも・・・。
不思議の国が不思議の国たる登場人物たちは、冒険しながらもずーっと悩んでいるアリスよりも、やはり突き抜けたキャラクターであるマッドハッターや赤の女王のインパクトが強い。
ジョニー・デップ演じるマッドハッターは原作に比べても大きな役になっており、比較的原作のイメージに近い登場人物たちの中にあって、かなり映画オリジナルの色彩が強くなっているが、キャラ立ちという点では成功していると言って良いだろう。
無論多くのデップファンにとっても、このぐらいの出番が無いとデップ主演作とは名乗って欲しくないだろうし。
また何時ものことだが、敵役の赤の女王を演じるヘレナ・ボナム=カーターは色んな意味で強烈。
あのデザイン・・・バートン、自分の嫁(結婚してないけど)だと思って好き放題にいじり倒しているな(笑
まあ、ある意味作り手の異形愛を感じる、お茶目なキャラクターでもあるのだけど。
うちのネコも、赤の女王のブタと同じようにドMで踏まれるのが大好きなので、寒い冬にはいつも私に踏み踏みされながら足を暖めている。
痛む足にはブタよりも太ったネコを(笑
一方、善玉キャラである白の女王も、アリスを利用してしれっと姉を追い落とすと結構無慈悲な捌きを下したりする。
アン・ハサウェイが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック・スパローみたいに両手でヘンなポーズを作り、いつも張りついた様な笑顔を絶やさない白の女王は、何気にかなり気持ち悪いキャラクターで、決して単なる良い人には見えないのも、もちろん狙いだろう。
他にも、原作そっくりなチェシャ猫や、禅問答の様な謎賭けをする芋虫のアブソレム、アリスの最後の敵となるジャバウォック(演じるのはクリストファー・リー!)など、不思議の国の住人たちは総じて魅力的だ。
ちなみに、過去に様々な手法で何度も映像化されてきた「アリス」だが、実写作品で私が一番気に入っているのが、ギャヴィン・ミラー監督が1985年に発表した「ドリームチャイルド」だ。
これは小説の直接の映像化ではなく、「不思議の国のアリス」誕生秘話とでも言うべき物語。
ルイス・キャロルがアリス・リデルに、小説の原型となる世にも奇妙な物語を語って聞かせた、1862年7月4日の伝説的な「黄金の午後」に纏わるファンタスティックで詩情溢れる佳作である。
名優イアン・ホルムがルイス・キャロル、本名チャールズ・ドジソン先生を味わい深く演じ、ジム・ヘンソンの手による不思議の国の住人たちが物語を彩る。
残念ながらDVDは絶版だが、復刻が待たれる作品である。
アリスとマッドハッターといえばお茶会という事で、今回は紅茶ベースのリキュール、ティフィンを使った「ティフィン レモンソーダ」をチョイス。
ティフィン30mlとソーダ90mlを氷を入れたタンブラーに注ぎ軽く混ぜて、レモンを絞る。
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