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ザ・ウォーカー・・・・・評価額1400円
2010年06月19日 (土) | 編集 |
最終戦争で人類文明が滅亡した後の世界を舞台に、この世に残されたたった一冊の貴重な本を、ひたすら西へと運ぶ男を描いた、デンゼル・ワシントン主演の近未来アクション映画。
一見すると「マッドマックス」や「北斗の拳」を彷彿とさせる世界観で、所謂ポスト・アポカリプト物のバリエーションと言えるが、物語全体が極めて宗教的な寓話となっている異色作だ。
邦題は「ザ・ウォーカー」というB級テイスト溢れる物だが、原題は「The Book of Eli」で、直訳すれば「イーライの本」となる。

最終戦争から30年。
イーライ(デンゼル・ワシントン)は、内なる声に導かれ、西へ向けて無限の荒野を歩み続けている。
一冊の本を、そのあるべき場所に運ぶために。
ある日、生き残った人間達の町に立ち寄ったイーライは、絡んだチンピラたちをあっという間に斬り伏せる。
町の支配者のカーネギー(ゲイリー・オールドマン)は、何年も捜し求めている本を、イーライが持っている事を知り、強引に奪い取ろうとするのだが・・・・


一言で言って、かなり変な映画、珍品と言って良いだろう。
戦争から30年経った世界で、文明社会を知る“年寄り”たちはごく小数となり、戦後生まれの若者達は、弱肉強食の世界で生き残るのに精一杯で、読み書きも出来ない文盲である。
主人公のイーライと、対立するカーネギーは文字を知る世代で、だからこそ本の持つ価値を知り、その力で人類の精神文明を復活させようとしている。
違いはイーライがある種の宗教的使命感で行動しているのに対して、カーネギーは私利私欲のためであるという点のみだ。
世界を変えるほどの精神的なパワーを持つ本、と言う時点でもう大体わかってしまうのだが、彼らが奪い合っているのは“聖書”である。

日本の様な非キリスト教圏において、いや世界最大のキリスト教国であるアメリカでも、宗教的な関心の薄い人には、この設定はあまりピンとこないだろう。
だが、“聖書”というワードを“信仰”に置き換えれば、なんとなく言わんとすることは理解できるのではないか。
なぜ世界一発行部数の多い本である聖書が、この世にたった一冊になってしまったのか、という設定が面白い。
どうやら戦争が起こったとき、聖書がその原因となったという噂が広まり、焚書されてしまったらしいのだ。
戦争を起こすほど人々の心を支配でき、尚且つ文明を保つために不可欠な要素、つまり“信仰”を象徴するのが本作における聖書なのである。
信仰の持つ二重性は、その力を自らの権力のために使おうとするカーネギーの言葉がわかりやすい。
「絶望した者に聖書の言葉を与えれば、言いなりになる」というのは、宗教戦争やカルト問題などを見てもそれなりに説得力のある理論ではある。
イーライとカーネギーが見ているのは、信仰の持つベクトルの異なる二つの力なのだ。

カーネギーが聖書を欲しがる理由が、言わば人間的な欲望であるとすれば、対するイーライの理由は正に神命と言える。
イーライは、ある時に自らの心の内に神の声を聞き、以来30年間も聖書のあるべき場所を探して、声の導く通りに東から西へ旅をしている。
アメリカ大陸を徒歩で横断しても、30年どころか3年もかからないだろう・・・という突っ込みは兎も角、このイーライという人物が何者であるのか、何故人間離れした戦闘能力を持つのか、映画は殆ど明かさないままクライマックスまで突っ走る。
欧米人の名前の多くが聖書にその源を持つ様に、Eli(イーライ)という名前もまた聖書由来の物だ。
旧約聖書のEli(エリ)は、イスラエルの祭司で預言者サムエルの師である。
彼の息子たちが神に対して不敬を働き罪を犯したために、神はエリに対して一族の者は壮年で死に、年寄りがいなくなると告げる。
そして二人の息子はぺリシテとの戦いで殺され、ユダヤの民にとって何よりも神聖な契約の箱まで奪われてしまい、知らせを聞いたエリは、椅子から落ちて首を折って死ぬのだ。
この話を映画に反映してみると、なかなか興味深い比喩になっていることがわかるだろう。
欧米の文学や映画には、人間は全て神から託された果すべき使命を持っていて、その事に気付き、目的を遂げる事こそが人間の生きる道である、という考え方に基づくものが多い。
本作のイーライは正にそれをストレートに具現化した存在であり、彼と旅の仲間となるヒロインのソラーラもまた、イーライにインスパイアされて自らの役割に目覚めるのである。

2001年の「フロム・ヘル」以来、久々の監督作品となるアルバートとアレンのヒューズ兄弟は、セピア調に色を落とした独特の映像で、神の消えた世界を描写する。
この二人はどうやら相当な映画ヲタクらしい。
宗教色の強い寓話でありながら、様々な映画へのマニアックなオマージュ、あるいはパロディを散りばめており、映画ファンなら元ネタ探しも楽しいだろう。
何よりも一番強烈なのは、ラストで明かされる、“神の御加護”に関する驚愕の事実。
何と、イーライのキャラクターは、あの日本映画へのオマージュであったのだ!
確かにトンネルの中でシルエットで描かれる電光石火の殺陣は、あの映画以外の何物でもないし、流れ者の剣客が土地のヤクザと揉めるのも定番の設定だった。
もっとも、このオチによってイーライの謎の多くが解消されたのは事実だが、なぜ運び手が彼なのかという最も大きな謎はそのまま。
もしかしたら、話のどこかにヒントが隠されているのか?

おそらく、多くの観客にとって、宗教色をどう受け止められるかが本作の評価の分かれ目になるだろう。
一冊の聖書が世界を変えるという、相当に無茶な設定を、これはある種の漫画と受け流す事が出来るか、あるいはキリスト教世界そのもののカリカチュアと面白がる事が出来れば、本作を遊び心のあるB級カルトSFとして楽しむ事が出来るのではないだろうか。
まあB級と言うには結構なお金が掛かっているんだけど・・・・。

今回は、カクテルの「ゴー・トゥー・ヘヴン」をチョイス。
スピリタスとラッテ・リ・ソッチラという超高アルコー度の酒を30mlずつミックスした、正しく昇天させてくれる一杯だ。
作り方は二種類の酒をソフトにシェイクして、カクテルグラスに注ぐだけ。
これを飲めば誰でも神の声を直接聞けるだろう。
ちなみにこの酒はガンガンに燃えるので、本当に昇天しちゃわないように火気には十分注意。

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