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FLOWERS ‐フラワーズ‐・・・・・評価額1250円
2010年06月25日 (金) | 編集 |
資生堂の化粧品“TSUBAKI”のCMから生まれた、スピンオフ企画の劇場用映画。
製作委員会にも資生堂とCMの代理店、ADKが含まれている。
小泉徳宏監督は、蒼井優、竹内結子、田中麗奈、仲間由紀恵、鈴木京香、広末涼子という、一人でも十分主役を張れる六人もの綺麗どころを、昭和11年から現代までの70年以上にも渡る時間軸の中に配し、三世代一つの家族の物語とした。
それぞれの時代の物語を、当時の映画の映像テイストで描くなど、遊び心もあってなかなかに楽しいが、如何せん六通りの人生を描くのに2時間に満たない上映時間は短すぎる。
家族の継承というコンセプト以外に、明確な物語のコアを持たない事もあり、やや漠然とした印象の作品となってしまった。
本作の「FLOWERS ‐フラワーズ‐」は、満開とはならず半開という感じだ。

昭和11年春。
結婚式を控えた凛(蒼井優)は、親の決めた結婚に従うべきかどうか悩んでいた。
相手は父が将来を見込んだ男性だが、凛の心は煮え切らない。
時はめぐり平成21年、ピアニストの夢に敗れた奏(鈴木京香)は、妊娠を告げられないまま長年付き合った恋人とも別れ、人生の進路に迷っていた。
そんな時、祖母が亡くなったという知らせで帰省した奏は、幸せな家庭を築いている妹の佳(広末涼子)と再会し、亡き母である慧(仲間由紀恵)の思い出に浸る。
昭和30年代末、慧、薫(竹内結子)、翠(田中麗奈)の三姉妹は、それぞれの青春を謳歌していた・・・・


CMなら兎も角、これだけの数の人気者を集めるのは大変だっただろう。
スケジュールはもちろん、所属事務所間の関係や、“格”に関わる序列の問題、また六人が平等の扱いであったCMとの関連性からも特定の誰かを主役にする訳にもいかず、相当に話作りに苦労したであろうことは、冒頭のあいうえお順のクレジットからも窺い知れる。
日本の一つの家族に生まれた三世代の女性達の、世代を超えた成長と葛藤の物語と言うのも、本当の意味で六名共演が不可能なための妥協の産物なのだろうが、それでもまあ課せられた条件下で、企画の方向性としては間違ってはいなかったと思う。

物語は昭和11年、明日結婚式を迎える蒼井優のエピソードで幕が開く。
厳格な父の言いなりとなり、特に好きでもない相手と結婚する事への葛藤、今で言うところのマレッジブルーに陥った花嫁の物語である。
舞台となる時代ごとに、過去の日本映画調の画作りがされているのも本作の特徴。
この話はモノクロで描かれ、カメラもフィックス中心で、昭和の日本映画、特に小津作品へのオマージュであることが伺い知れる。
しかし、いくらなんでもキャラクター造形などはステロタイプにはまり過ぎており、なんだかコスプレショーを観ている様に感じてしまうのはいかがなものか。
それに時代ごとの日本映画の映像的再現なら、ここはビスタじゃなくてスタンダードサイズでしょう。
このエピソードでイマイチ画が決まらないのは、ビジュアルの中途半端さも原因だと思う。
ソフト化の時の面倒を嫌ったのかもしれないが、昭和の日本映画の再現が本作の売りである以上、ここは妥協するべきではなかった。

この後、映画は突然平成の現在へと飛んで、描かれるのは鈴木京香広末涼子の対照的な人生を歩む姉妹の物語。
二人は、92歳で大往生した祖母の葬儀のために、帰省した実家で久々に再会するのだが、ここで祖母は凛であり、これが世代を超えた同じ一族の女たちの物語である事が明かされる。
鈴木京香演じる奏は、ピアニストの仕事を失い、お腹に新しい命を抱えたまま恋人とも別れ、言わば人生のどん底にいる。
対して妹の佳は、既に結婚し夫と息子と共に幸せな家庭を築いている。
この姉妹には、自らの命と引き換えに佳を出産した慧という母がいたのだが、ここから映画は昭和30年代末から40年代の、慧の二人の姉である薫と翠の物語へと飛ぶ。

テクニカラー調のビジュアルで描かれる、この二人のエピソードの対比は面白い。
竹内結子演じる薫と夫を巡る切ないエピソードは、日活青春映画の様なハードなテイストで描かれ、逆に田中麗奈演じる翠の、ややコメディタッチのエピソードは森繁久弥か植木等あたりが出てきそうで、イメージしているのは東宝の社長シリーズあたりだろうか。
ちなみに薫と夫の温泉旅行の部分で使われている作劇ロジックが、つい先日公開されたある映画とそっくり。
偶然だろうが、シチュエーションまで同じなのには少々驚いた。
細かい点だが、ここでも例えば車のシーンはバレバレのリアプロジェクションで撮るくらいの技術的な拘りが欲しかったな。

やがて時代は昭和50年代の、仲間由紀恵演じる慧の家族を巡る物語へと移ってゆく。
体の弱い慧は、二人目の子供である佳を生んだ時に亡くなってしまうのだが、この事が母の思い出を知る奏と、自らの誕生と母の命を引き換えにしたという負目を感じている佳の現在の生き方に強い影響を与えている事がわかる。
実はこの映画、一つの家族の世代を超えた物語とは言っても、実際に二つの世代の継承が描写されているのはこの慧と娘達のエピソードだけなのである。
その分演出的にもかなり力が入っていて、慧の手紙が時間を越えて二人の娘に届くあたりはちょっとウルッと来たが、本作でドラマチックに感情が高ぶるのは、ぶっちゃけた話ここだけだ。

「何だか長い予告編みたい」とは一緒に映画を観た女性の感想だが、やはり一人当たり15分程度では決定的に時間が足りず、物語が断片化してしまっている。
女性達は命を継承し、喜びも悲しみも引き継いで行く・・・というテーマは理解できるし、それは確かに大切な事だろうが、逆にそれしか描いていないので、女性の幸せを子供を作るという一点のみに矮小化してしまった感は否めない。
この事は物語の幹が凛、慧、奏と佳というラインに引かれ、その血統のその後が示されない薫と翠のエピソードがサブストーリーに留まっているので余計に強調されてしまうのだ。
また凛に関しては、結婚後の人生が全く描かれず、娘達世代のエピソードで僅かに暮らしぶりに言及されるだけなので、実際に彼女が幸せな人生を送ったのかは観客には不明なままである。

「FLOWERS ‐フラワーズ‐」は、CMから生まれた企画物ではあるが、なかなか面白いコンセプトだっただけに、やや中途半端な作品になってしまったのがちょっと残念だ。
どうせなら、CMと同じように映画も白TSUBAKIと赤TSUBAKIに分けて二部作として、例えば二つの三世代を描いても良かったのではないか。
ついでにそのうちの誰かが国際結婚して、滝川クリステルも登場したりして(笑

今回はロケーションが行われた能登の地酒、数馬酒造の「竹葉 純米吟醸」をチョイス。
吟醸酒らしい仄かな吟醸香りと、ふんわりまろやかな味わいが特徴。
この蔵も江戸時代の醤油・味噌醸造所をルーツに持ち、明治2年に酒造りを始めて以来、世代を超えて日本の酒造りを守り続けている。
日本にはこうした老舗の酒蔵が1700以上もあるのだが、その数は年々減り続けている。
世代の継承も、なかなか大変である。

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