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ゾンビランド・・・・・評価額1550円
2010年07月29日 (木) | 編集 |
全然予備知識を持たずに観たのだが、こりゃあ珍品だ。
生ける死体、ゾンビをモチーフとした映画と言えば、今やホラー物の一大ジャンル。
ジョージ・A・ロメロの「リビング・デッド」シリーズで認知されて以来、SFなど他のカテゴリとも結びついて無数の作品が世に送り出されてきた。
だが、これが長編デビュー作となるルーベン・フライシャー監督による、その名も「ゾンビランド」は、過去に作られたどんなゾンビ映画とも異なるユニークな作品となった。

新型ウイルスによって、人間の殆どがゾンビ化し、「ゾンビランド」と化したアメリカ。
気弱な大学生のコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)は、テキサス州ガーランドから故郷のオハイオ州コロンバスへと向かう途中、マッチョなゾンビハンターのタラハシー(ウッディ・ハレルソン)と出会い、彼の車に同乗させてもらうことに。
ところが、あるスーパーでタラハシーが大好物の菓子トゥインキーを捜している時に、ウィチタ(エマ・ストーン)とリトルロック(アビゲイル・ブレスリン)と名乗る姉妹に騙されて、銃と車を奪われてしまう・・・


何でも、北米では「ゾンビ映画史上最大のヒット作」となったらしいが、実際に観るとその理由は良くわかる。
ロメロ作品に代表されるこの種の映画の売りは、何と言ってもドロドログチャグチャのスプラッター描写
だが本作の場合、血糊の量はかなり控えめで、特に中盤はゾンビとの攻防すら殆ど描かれない。
代わってメインとなるのは、世界の終わりに不思議な縁で結びついた四人のはぐれ者の、ニューシネマ的お笑い旅行記だ。
そう、これはハリウッド伝統のロードムービーを、ゾンビムービーの世界観に放り込み、奇妙に融合させた物語であり、今までのゾンビ映画に比べるとホラー嫌いにもとっつきやすいのである。

皮肉の効いたキャラクターが可笑しい。
登場人物は、全員出身地のニックネームで呼ばれるのだが、出てくるのはオハイオ州コロンバス出身のゲームオタクのチェリーボーイ、フロリダ出身タラハシー出身のスウィーツ好きのマッチョオヤジ、カンザス州ウィチタリトルロック出身の詐欺師姉妹。
オタクのコロンバスは、幼少期のトラウマでピエロが怖いという徹底的なヘタレ。
だが引きこもり特有の臆病な性格と、ネットゲームでのサバイバル経験を生かし、自ら定めた“32のルール”を厳守することで「ゾンビランド」を生き延びている。
マッチョのタラハシーは、世界の終わりなどそっちのけで、ひたすら大好物のトゥインキーを捜し求め、邪魔なゾンビを排除する。
さらに世界がゾンビランド化する以前から、詐欺師を生業に他人を信じない事で生きてきたウィチタとリトルロックに至っては、この終末の世界でも幾度と無くコロンバスとタラハシーを罠にかける。
映画は、この誰が見ても社会不適格者のダメ人間たちが、仲良くいがみ合いながらも、LA郊外にあるというゾンビのいない遊園地「パシフィック・プレイランド」を目指す旅を、ナンセンスなギャグとアクションをスパイスにして描いてゆく。

本作の特徴としては、アメリカの大衆文化に根ざした細かな設定が散りばめられており、それ故にアメリカ人以外にはなかなか面白さが理解しがたい部分があり、ある程度予習しておいたほうが楽しめると思う。
特に、劇中で象徴的に使われているアイテムで、ある意味ゾンビよりも目立っているモチーフが、タラハシーの追い求めるトゥインキーである。
トゥインキーとは、黄色のスポンジにたっぷりのクリームが入ったお菓子で、アメリカ人なら誰でも知っているポピュラーなジャンクフード。
映画やテレビドラマにもよく出てくるので、食べた事は無くても見覚えのある人は多いだろう。
この菓子には、なぜか賞味期限を過ぎても痛まないという噂が昔から囁かれており(都市伝説の類だろうが)、「WALL・E / ウォーリー」にも登場した700年後のトゥインキーは、噂をネタにしたギャグであり、今回タラハシーが「トゥインキーにだって賞味期限が・・・云々」というのも、これに引っ掛けた台詞なのである。
またこのお菓子は、あのハーヴェイ・ミルクを射殺した犯人が大量に食していて、事件の裁判で弁護側が「被告人はトゥインキーを過食するほど精神的に追い詰められていた」と情状酌量の根拠として提示した事でも知られ、過食の象徴ともされている。
“我慢のならない食欲に突き動かされてる”ゾンビに対して、彼らを狩るタラハシーがミルク射殺犯と同じ“トゥインキー・ジャンキー”なのはかなりシニカルな設定なのだ。
おそらく本作は映画史上もっともトゥインキーがフィーチャーされた作品だが、観ていると無性にあの黄色いフワフワが食べたくなるのは、北米の多くの映画館でトゥインキーが売られている事と無関係ではあるまい(笑
劇中の看板にもあったが、最近では更にハイカロリーのフライド・トゥインキーを出す店が多く、これがまたダメなのはわかっていてもクセになる味である。

また映画の中盤、コロンバスたちの珍道中がLAにまで至ると、門にデカデカと“BM”のエンブレムが輝く屋敷で、ある大物俳優がまさかの本人役で登場する。
このシークエンスはまさに爆笑ものなのだが、ここもかの地でのBMの凄さと現在の微妙なポジションを知っているとより笑えるだろう。
若いリトルロックがBMを知らず、コロンバスが彼の代表作である大ヒット映画を見せるのは可笑しいが、そう言えばあの映画ではお化けのパワーの大きさを、トゥインキーを使って説明していたっけ(笑
たぶん日本の若者も、もはやBMを知らない人の方が多いと思うので、このあたりは30代以上の人の方が楽しめるかもしれない。
他にも、はっきりと台詞で出てくるものに限らず、細かな描写やBGMなど映画ネタ、音楽ネタのギャグも多く、米国サブカル系が好きな人ほど余計に笑えるのは間違いないだろう。

お笑い旅行の終点は、太平洋岸に立つ遊園地「パシフィック・プレイランド」だ。
噂によればゾンビがいないはずだったこの舞台に来て、ようやく映画はゾンビVS人間の大バトルへとなだれ込む。
とは言っても、ビジュアル的にはそれほど凄いものではなく、血の量も相変わらず少なめだ。
だが、それまでの旅路の間に四人の人間性がたっぷりと描かれているので、観客は十分に彼らに感情移入する事ができる。
それまでイカレキャラのオヤジに過ぎなかったタラハシーの、ランボーばりのゾンビキラーぶりも頼もしく、チェリーボーイのコロンバスとウィチタの恋も絡んで、映画はドラマチックに盛り上がる。
そして孤独を抱えながらも、それぞれのサバイバルスキルによって世界の終わりを生き抜いた人類最後の四人(?)は、ゾンビの大群との大バトルの末に、ささやかな家族の様な絆を手に入れるのである。

本作の予想を上回る大ヒットを受けて、既にスタッフ・キャストの続投を前提に続編にGOサインが出ているという。
続編は立体になるらしいが、本作でも「あれ?これって元々立体映画?」という演出が多々あったので、予算も潤沢になるはずの次回は、心置きなく飛び出すびっくり箱に仕上げてくれるだろう。
爆笑物のオープニングのタイトルバックなんて、是非立体で観てみたい。
奇妙な運命で結ばれた、四人の次なる冒険に期待したい。

今回は劇中のBM邸でコロンバスとウィチタが飲んでいた一本を。
ラベルがチラッと見えたので間違いないと思うが、カリフォルニアのヴォーリュー・ヴィンヤードの「カベルネ・ソーヴィニヨン ジョルジュ・ド・ラトゥール」をチョイス。
映画に出てきたのはこれの97年物。
日本ではあまり見かけないが、パワフルなボディを持つカリフォルニアを代表する高級赤ワイン
なるほどBMの屋敷ならこのあたりの酒が沢山ありそうだ。

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