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TSUNAMI-ツナミ-・・・・・評価額1200円
2010年10月01日 (金) | 編集 |
「TSUNAMI-ツナミ-」は世界語である。
地震によって発生する大波を表す名詞を持つ言語は少なく、現在では日本語を語源とするこの単語が、ほぼ世界のどこでも使われている。
原題の「해운대(海雲台)」は、韓国第二の大都市、釜山の南東部に広がる臨海リゾート地区。
映画ファンには、東アジア最大の映画祭である釜山国際映画祭の舞台としても有名だろう。
この一大リゾートに、突如として発生したメガ津波が襲い掛かる、というのは典型的なディザスター映画のパターンだが、本作は何と“お笑い”の延長線上にこれを持って来た。
突っ込みどころ満載の設定も含めて、かなりの珍作である。

2004年に発生したスマトラ島沖地震で発生した大津波。
当時、遠洋漁船に乗っていて津波に遭遇したマンシク(ソル・ギョング)は、自らの判断ミスで、幼馴染のヨニ(ハ・ジウォン)の父を死なせてしまう。
歳月が経ち、釜山の海雲台に暮らすマンシクとヨニはお互いの事を想っているが、父の死の真相を未だに告白出来ないマンシクは、結婚の申し込みを出来ないでいる。
一方、マンシクの弟でレスキュー隊員のヒョンシク(イ・ミンギ)は、偶然海に落ちたソウルの女子大生ヒミ(カン・イエウォン)を助けたことで、彼女に一目ぼれされてしまう。
その頃、津波の発生メカニズムを研究しているキム博士(パク・ジュンフン)は、釜山沖の海底で地殻の異常を感知。
日本で巨大地震が発生し、韓国南部をメガ津波が襲うと予測するが、当局は妄想だと取り合わない。
だが、釜山で大規模な国際会議が開かれる当日、海峡を隔てて目と鼻の先にある対馬が巨大地震で沈没し、発生したメガ津波が釜山に迫る。
釜山市民100万人に、残された時間は僅かに10分・・・。


本来、韓国は津波とはあまり縁が無い国だ。
太平洋で発生する津波は、日本列島という防壁に阻まれて、韓国までは届かない。
そこで、この映画は、隣の地震大国日本に目をつけた。
何と、釜山から僅か50キロ程度の距離にある、対馬の西海岸が巨大地震で沈没、発生した高さ100メートル、時速800キロのメガ津波が海雲台を襲うのである。
ぶっちゃけ、設定は突っ込みどころ満載だ。
いや、いきなり隣国の一部を沈没させてしまうのもびっくりだが、対馬が沈むほどの巨大地震があったら、津波以前に釜山も地震の揺れでかなりの被害を受けるんじゃないだろうか。
それなのに、津波が到達するまで街は何事も無かったかのような平和な風景。
一人、メガ津波発生を予測しているキム博士だけが焦りまくっているが、どうやらたった50キロ先の巨大地震に、釜山の地震計はピクリとも反応しなかったようだ。
そう言えば、このキム博士の研究室のモニターに映っている日本列島の地図は、何だか半分くらい沈没した様な妙な形をしていたが、もしかしてこれは平成版「日本沈没」の続編なのか(笑

映画の前半一時間は、海底の不気味な胎動など露知らぬ、海雲台に暮らす人々の日常を描いてゆく。
嘗てスマトラ島沖地震の津波に遭遇した経験を持つマンシクと幼馴染のヨニ、レスキュー隊員のヒョンシクとソウルの女子大生ヒミのそれぞれの恋。
海雲台地区の開発計画を巡る住人達の葛藤に、キム博士と別れた妻子との家族の物語。
登場人物に血縁関係がやたら多いのが気になるが、大災害の前の人間ドラマという構成自体はディザスター映画の王道と言って良い。
だが、この映画の場合、人間ドラマは普通のシリアスなドラマではなく、まるで橋田壽賀子ドラマをもっとコテコテにした様な、お笑いに満ちているのである。
ディザスター映画とギャグのコラボ・・・これは新しい(笑
コミックリリーフとして大活躍するのが、ダメ人間のトンチュンを演じた名バイブレイヤーのキム・イングォン
ちょっと千原兄弟の兄に似てるが、ある意味主役のソル・ギョングよりも目立っていた。
母親とのエピソードでちょっと泣かせて、最期には人名救助で賞まで貰っていたし(笑
もったいないのは、前半の殆どを占める人間ドラマが、大災害の予兆と上手く絡んでこない事。
一度キム博士が海洋調査をする描写があるにはあるが、後は海底の亀裂を繰り返し見せる程度なので、市井の人々の生活に、予想だにしない運命が迫っている切迫感が無い。
前半と津波が襲来してからの後半が完全に分断され、有機的に結びつかないのである。

それでも、いざメガ津波が発生すると、「パーフェクトストーム」や「デイ・アフター・トゥモロー」など、水物を得意とするハンス・ウーリックの手がけたビジュアルはさすがに見応え十分。
圧倒的な水の壁によるダイナミックな都市破壊の他、切れた電線が水中の人々を感電死させるなど、スマトラ島沖地震の津波で、実際に起こった状況を取り入れた描写は説得力がある。
釜山には私も行ったことがあるので、知っている街が人知を越えた力でぶっ壊れて行く様というのはやはり面白いものである。
この一連のシークエンスは、実際の破壊描写が殆どなく、災害絵葉書みたいだった「日本沈没」や、本作と似たシチュエーションながら、予算の都合か描写が新橋地下限定だった「252 生存者あり」よりずっとスケールが大きくてスリリングだ。
また、ここに至ってもアクセントにお笑いを忘れないのも特徴で、トンチュンが橋の上で落下するコンテナから逃げ回る描写など、まるでワーナーのカートゥーンの様。

だが、映画を俯瞰すると、やはり細部の荒さが目に付く。
まあ設定に色々と疑問があるのは前記した通りだが、決定的だったのは、でっかいことは良いことだとばかりに、ダメ押しで更に巨大な第二派津波を出現させてしまった事。
これでギリギリ残っていたリアリティが消し飛んでしまった。
ありゃどう見ても100万人全員死亡だろう。
ビルの屋上にいた人々が死んでるのに、低地で電柱にしがみ付いて息も絶え絶えだったマンシクやヨニは一体どうやって生き残ったのか。
ユン・ジェギン監督は脚本に二年かけたらしいが、正直とても信じられない。
VFXによる都市破壊は迫力があるし、人間ドラマも部分的には良く出来たエピソードもあるだけに、もうちょと全体構成を吟味して、細部を洗練させるべきだった。
或いは、アクセントとしてではなく、災害描写を含めた全体をコメディとして作ったら、全く新しいタイプの映画になっていたかも知れないが。
個人的には、そっちの方向性にこそ、韓国製パニック・ディザスター映画の未知の領域があるような気がしてる(笑

今回は、映画の中でも飲まれていた釜山の焼酎「C1」をチョイス。
釜山市内に本拠を置くデソン酒造が1996年に発売した焼酎で、「C1」とは「Clean No.1」の略。
韓国は地域ごとに好まれる焼酎銘柄が決まっており、釜山の店に行くと大体このC1が出てくる。
製造段階で特殊な振動を加えて、酒を柔らかくするという独特の製法で知られており、確かにチャミスルなどと比べてもマイルドな印象。
海雲台の海鮮屋台で、タコ刺しなどを辛子醤油で食しながら、これを飲むと(゚Д゚)ウマー・・・

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