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ナイト&デイ・・・・・評価額1500円
2010年10月16日 (土) | 編集 |
ごく平凡な女性が、ある日偶然出会った奇妙な男が実はスパイだった事から、世界の未来を巡る戦いに巻き込まれる、コミカルなサスペンス・アクション。
主演は「バニラスカイ」以来の共演となるトム・クルーズキャメロン・ディアスで、共にスパイ映画を代表作に持つ彼らの、セルフパロディ的な味わいのある軽妙な娯楽作だ。
一部には、スターのオーラに陰りが見え始めた二人の、ハイテンションなはしゃぎっぷりがイタイという意見もあるようだが、私はこの無理のある痛々しさこそが本作のキモであり、深みになりえているのではと思う。
タイトルの「ナイト&デイ」は、英語表記だと“Knight&Day”で、夜(Night)と劇中のキーアイテムでもある騎士(Knight)を引っ掛けてあり、なかなか洒落ている。

人生を変えてくれる出会いを待ち望むジューン(キャメロン・ディアス)は、偶然空港でミステリアスな男、ロイ(トム・クルーズ)と出会う。
ところが、彼が訳ありのスパイだった事から、ジューンは巨大な陰謀に巻き込まれて、訳もわからず追われる身に。
強引にロイに連れ出されたジューンは、世界を変える可能性を持つ天才科学者の行方を追って、アメリカ東海岸からアゾレス諸島、ヨーロッパ大陸へと冒険の旅に出るのだが・・・


前作「三時十分、決断の時」で、燻銀のオヤジの世界をハードに描いたジェームス・マンゴールド監督、今回は打って変わってピュアなエンターテイメント作品だが、軽いながらもしっかり中身はある。
この作品は、ある意味でミドルエイジ・クライシスを描いた作品と言えるだろう。
トム・クルーズは1962年生まれの48歳、キャメロン・ディアスは72年生まれの38歳。
二人とも実年齢より若々しくはあるものの、嘗て得意としたアクションやラブコメは結構キツイ年齢になりつつある。
ピチピチした若い肉体と容姿を武器にした、派手なビジュアルオンリーの作品は、既に彼らでは成立し難くなっているのだ。
そこで、本作は彼らの年齢的な厳しさを逆手にとって、キャラクター造形に深みを与え、それをストーリーに反映させるという手法をとった。

CIAの優秀なエージェントであるロイ・ミラーは、家族との絆を断ち切ってまで、国家に尽くす道を選んで20年近く。
権謀術策は日常となり、閉塞感に苛まれているが、もはやスパイ以外の自分の人生はささやかな空想の中にしか存在し得ない。
古き良きアメリカンマッスルカーを愛するジューンもまた、結婚を控え幸せそうな妹との心の距離を感じ、時代に取り残されていく様な寂しさを感じているキャラクターだ。
彼ら二人の抱えている、人生の哀愁と蓄積された重みの様な物は、若いキャラクターではなかなか出せないだろう。
本作は、「ミッション・インポッシブル」「チャーリーズ・エンジェル」の両シリーズを代表作に持つ二人のスターに、単にスパイ物のセルフ・パロディをやらせているというだけではなく、中年に差し掛かった彼らだからこそ説得力を持つ、人生の再出発というテーマを与えているのである。

物語は終始ジューンの視点で進み、特に前半部分は典型的な巻き込まれ型のサスペンスだ。
米国で物議をかもした俳優の顔が見えないシルエットのポスターも、(それほど似ているとは思えないが)このジャンルの偉大なマイルストーンである「北北西に進路を取れ」のポスターにインスパイアされたものだという。
劇中で争奪戦となる“ゼファー(西風)”と呼ばれる夢のエネルギー源は、「M.i.III」のマクガフィン、ラビットフットを連想させるが、元々「M.i.III」自体がヒッチコック作品の影響を感じさせる内容であり、今更ながらハリウッドのサスペンスジャンルにおける、ヒッチコックという存在の偉大さを実感する。

それはさておき、ロイと裏切り者のフィッツというスパイ同士の戦いに、欧州の武器商人まで参戦し、世界を股に駆ける争奪戦に巻き込まれたジューンは、最初の頃は完全に受身のキャラクターである。
それが、冒険を通して次第にロイを信頼するようになって変化してゆき、後半には彼女自身がロイを救い、引っ張る存在に立場が逆転するのである。
つまり、ロイが非日常の世界へとジューンを連れて行った事によって、ジューンが変わり、今度は彼女がロイとっては逆説的に非日常である日常の世界へと彼を帰還させるのだ。
前半、ジューンがロイの足手まといになって薬で眠らされ、彼女の朦朧とした意識の中で物語が展開して行く描写が、後半でそっくりそのままキャラクターを入れ替えて再現されているのは象徴的である。
まあ、このあたりは相当にご都合主義な本作の中でも、特に展開がいい加減な部分を誤魔化す役割もしているのだが(笑

地味目のヒロインが、胡散臭いヒーローと出会い、冒険を通して自分を解放してゆく本作、どこかで同じような映画を観た既視感を感じていたが、ふと思い出した。
この映画の雰囲気は、マイケル・ダグラスとキャスリン・ターナー主演、ロバート・ゼメキス監督で1984年にヒットした「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」に良く似ている。
こちらはゼメキスの出世作だが、当時大ヒットしていた「インディ・ジョーンズ」シリーズのパロディという性格を持ちながら、ハーレクインロマンス的な恋愛要素を含めて、ぐっと大人向けの映画になっていた。
本作も、本格的なスパイ・アクション映画として観ると、物語のアバウトさなど色々と物足りない気はするが、人生の曲がり角に差し掛かった男女の再出発を描いた、ウィットの効いたロマンチック・コメディと思えば、これはこれでそれなりに深い物語。
イーストウッドの「グラン・トリノ」を思わせるポンティアックGTOの使い方も粋で、十分に楽しめる作品であった。

今回は、アゾレス諸島の北に位置するマデイラ諸島の特産品マデイラ・ワイン「マルヴァジア」の10年もの。
基本的な製法はポート・ワインと同じだが、ブランデーを加えた後で50度以上の高温状態に数ヶ月置く事で、他の酒とは全く異なる独特の風味を持つ。
昔、夏に船で運ぶ間に、自然に高温熟成されていたのが起源とされている。
そのテイストはコク深く、かなり濃厚。
これもまた、大人の味である。

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