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ソーシャル・ネットワーク・・・・・評価額1750円
2011年01月17日 (月) | 編集 |
全世界に5億人の会員を持つ、世界最大のソーシャルネットワークサービス“フェイスブック(FACEBOOK)”の誕生を描くノンフィクション。
鬼才デヴィッド・フィンチャーは、ハーバードの学生だったマーク・ザッカーバーグが、如何にしてこの巨大な“ともだち製造ネットワーク”を作り上げ、その成功の過程に何を得て、何を失ってきたのか、天才ゆえの葛藤と孤独を浮き彫りにする。
昨年秋に本国で公開されて以来、ゴールデングローブ賞、全米映画批評家協会賞を初め、賞レースでトップをひた走っているが、なるほどその出来栄えは期待に違わぬもの見事なものだ。

2003年晩秋。
ハーバード大に通うマーク・ザッカーバーク(ジェシー・アイゼンバーグ)は、交際していたエリカ(ルーニー・マーラー)に振られる。
マークはその腹いせに、学校中の寮のサイトにハッキングし、女子学生の写真を公開し、ランク付けする“フェイスマッシュ”と言うサイトを立ち上げる。
この一件でマークは懲罰を受けるが、僅かな時間に脅威のアクセス数を集めたマークの名前は、ハーバード中に知れ渡る。
ちょうど学生用のSNSを立ち上げようとしていたウィンクルボス兄弟(アーミー・ハマー)は、マークにプログラマーとして参加を呼びかけるが、彼らの話からヒント得たマークは、親友のエドゥアルド・サベリン(アンドリュー・ガーフィールド)らを誘って、さっさと新しいSNS“ザ・フェイススブック”を立ち上げてしまう。
会員は右肩上がりに増加し続け、新たなビジネスチャンスを探していたマークの前に、“ナップスター”の創業者ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)が現れる。
壮大な野望を語るショーンにすっかり感化されたマークは、会社をシリコンバレーに移転させるのだが、それは巨大な成功の始まりであると共に、大切な友情の終わりでもあった・・・・


いやはや、これが天才達の世界というものか、我々凡才とは最初から見ている世界のスケールが違うのである。
起業するからには、数100万ドルなんて問題にならない。目指すは数10億ドル、いや100億ドル。
大学内の小さなコミュニティーからスタートして、僅か数年で世界市場を支配する。
多分、あらゆる産業の中でも、こんな事が可能なのはネットの世界だけで、だからこそ天才達はこのヴァーチャルな空間に引き寄せられて行くのだろう。
本作の主人公、マーク・ザッカーバーグも、そんな現在の錬金術を成功させた一人。
フェイスブックの創業から僅か6年にして、会員数は世界207カ国に5億人、会社の時価総額は250億ドルで、個人資産だけでも60億ドルというのだから驚きだ。

何よりもこの男、個性的過ぎるキャラクターがインパクト抜群。
映画は、マークがガール・フレンドのエリカに振られるシーンから始まるが、彼はとにかく頭は良いものの思考が超ロジカルで、相手の人間的な感情を考える事が出来ない。
彼の繰り出す言葉は的確ではあるが、一言一言が鋭いナイフの様に相手の心を傷つけてしまう。
ちょっとアスペルガー症候群を感じさせる性格だが、彼女とのデートでディベートみたいに相手を論破しちゃダメだという事が、どうも彼には理解できない様なのだ。
また、天才を自認しているが、同時に自分がひ弱なオタクである事も十分に理解しているマークは、マッチョな肉体を持つ同性に対する劣等感も併せ持ち、その事がボート部の選手でもあるウィンクルボス兄弟に対する曖昧な態度にも見て取れる。
まあ、はたから見てるには面白いキャラクターだが、振られた後の行動を見ても、多くの観客にとっては、少なくとも積極的に友達になりたいタイプではないだろう。

それにしても、世界を巻き込む巨大なムーブメントが、女の子に振られた腹いせから始まったというのが、何とも面白い。
物語はフェイスブックが大成功を遂げた後に起こされた二軒の訴訟の顛末と、ハーバードの学生寮で起業してから、どの様に成功して行ったのかという物語が、時系列を行きつ戻りつしながら並行して語られてゆく。
一件目の訴訟では、マークに自分達のサイトのプログラムを依頼したウィンクルボス兄弟から、アイディア盗用で訴えらおり、二件目では共同創業者であったはずのエドゥアルドから、何故か6億ドルという巨額の訴えを起こされている。
脚本のアーロン・ソーキンは、訴訟の進行を見せる事で、一体何故この様な事になってしまったのだろうという興味を観客に抱かせ、その答えを過去の物語として見せる事で物語を紡いで行く。

ウィンクルボス兄弟との訴訟は、そもそも発明は誰の物かが争点。
映画が事実なら、確かにマークは兄弟のアイディアからヒントを得ているのだから、アイディア盗用は否定できないところだろう。
だが、アイディアがあるという事と、それを発展させ実現できるという事は別の話。
フェイスブックは自分達のアイディアだと主張する兄弟に、マークは「なら作ってみろ!」と言い放つ。
まあ著作権を巡るこの手の訴訟は、ネット関係に限らず数多く、中にはとりあえず訴えてみる的な物もあるから、裁判の議論自体はありふれたものだ。
ただ、アイディアは貴重だが出発点に過ぎず、結果的に何を成し遂げたのかこそが一番評価されるべきだと言うマークの考えは、多分に独善的ではあるが、ものづくりに携わる全ての人間に対して重要な示唆に富む。

一方で、エドゥアルドとの訴訟は、いわば友情と創造の葛藤とも言うべきもの。
フェイスブックが成功するにつれて、広告ビジネスを展開させ利益を生むべきだと主張するエドゥアルドと、クールさにこだわり広告を拒否するマークとの間で亀裂が広がって行く。
エドゥアルドとしては、自腹を切ってフェイスブックの運営資金を出しているのだから切実だ。
ここで登場するのが、ナップスターの創業者、ショーン・パーカー
かなり胡散臭い人物として描かれているが、実際にネット世界に一時代を築き、CDの小売から配信へと音楽業界のスタイルを激変させた男の言葉に、マークはすっかり感化されてしまう。
類は友を呼ぶというのか、この二人の出会いとフェイスブックの急成長はやはり、時代の必然だったのだろう。
前記した言葉で言えば、エドゥアルドは数100万ドルの成功を夢見ていたが、ショーンは同じ天才であるマークに、100億ドルの夢をリアルに感じさせたのだ。
だが、亀裂が決定的になるのは、西海岸に拠点を移したマークと、東海岸に住むエドゥアルドの距離がもたらしたすれ違いの結果、激高したエドゥアルドが資金を凍結したから。
いつでも、どこでも繋がれる事が売りのネット企業の内紛が、現実の距離に左右されるというのは、何とも皮肉だ。
結果的にマークは、5億人のともだちとヴァーチャルに繋るシステムと引き換えに、一番身近なリアルな友情を失ってしまうのである。

主演のジェシー・アイゼンバーグ、「ゾンビランド」の好演が記憶に新しいが、オタクっぽいヘタレ男を演じさせたら今や世界一だ。
本作では、天才の内面に隠された、孤独の深淵を感じさせて秀逸。
自らが作り上げたフェイスブックのサイトを見つめる、ラストの様々な感情を秘めた何ともいえない表情は、深い余韻を感じさせる。
彼の親友であり、フェイスブックの成功と共に袂を別つ事になるエドゥアルドは、次期スパイダーマンの アンドリュー・ガーフィールドが演じる。
エドゥアルドは、凡才と天才の境界上にあって、あちらの世界に行き切れなかった男であり、おそらくは観客にとって一番感情移入しやすいキャラクターだろう。
観客は、彼を基点に物語を眺めることで、やや引いた視点からマークというエキセントリックなキャラクターを理解し、間接的に感情移入する事が出来るのである。
逆に、完全に行っちゃってるのが、ジャスティン・ティンバーレイクが好演を見せるショーン・パーカーだ。
天才だが、経験の浅いマークにとって、ネットの荒波で百戦錬磨の彼は、天使であり悪魔でもある。
100万ドルより100億ドルをという彼のエネルギッシュな野望に感化されなければ、多分フェイスブックの大ブレイクも無かったのだろう。
そして、フェイスブック誕生の切っ掛けでもあるエリカを演じるのは、「エルム街の悪夢」でナンシーを演じたルーニー・マーラー
出演シーンは僅かだが、マークの心の奥に秘められた“本当に欲しかったともだち”の象徴として描かれ、強い印象を残す。

「ソーシャル・ネットワーク」は、デヴィッド・フィンチャーが、マーク・ザッカーバーグという時代のアイコンを使って、ネット社会の孤独と葛藤を描いた秀作だ。
巧みな脚本構成とテンポの良い演出・編集の技もあって、120分は「もう?」と思うくらいにあっという間。
だが、この映画の真の味わいは、映画を観ている間よりも、むしろラストの余韻がジワジワと観客の心に染み渡り、色々な事を考えさせる観賞後にあると思う。
実際、私は観終わって数日たってもう一回観たくてたまらなくなった。
ほぼ全世界を網羅する“ともだち製造ネットワーク”を作り上げた一人の天才。
しかし、その成功と引き換えに、彼の心には一体何が残ったのか。
ヴァーチャルな接点を提供するSNSという存在を通して、今の時代を切り取りながら、逆説的に個の内面に迫ったロジックは見事。
ただし、それ故にこの映画には、ネット社会というモチーフに対するマクロ的な視点は希薄だ。
実在の人物の現在進行形の物語の前章という、正に情報がリアルタイムで伝わる今風の捕らえ方ながら、作品の作りは極めて古典的で正攻法の人間ドラマである。
だからこそ、誰にとってもとても観やすい作品になっているのだけど。

本作の中盤、ハーバードを訪れたビル・ゲイツの講義を、マークたちが聴講しているシーンがある。
盛者必衰のIT業界、これは時代の潮目を象徴的に描いた秀逸なシーンだが、今この映画を観ながら100億ドルの夢を描いてる次世代の天才も世界のどこかにいるのだろう。
主演のアイゼンバーグによると、マーク本人は本作を映画館を借り切って社員と共に観賞したと言う。
はたして時代の寵児は、スクリーンに描かれた自分自身をどう観たのだろうか。

今回は、映画に描かれたサクセスストーリーにはだいぶ桁が足りないものの、「ミリオネアー」をチョイス。
ラム15ml 、スロー・ジン15ml、 アプリコット・ブランデー15ml、 ライム・ジュース15mlまたは1個 、グレナデン・シロップ1dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
ギラギラした名前の割にはフルーティでさっぱりしたカクテルで、適度な甘みライムの酸味が心地良い。
まあ、ビリオネアは無理にしてもミリオネアくらいには成りたいものだ。

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