FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ザ・タウン・・・・・評価額1650円
2011年02月09日 (水) | 編集 |
ベン・アフレック監督・主演によるクライム・サスペンス。
全米一の犯罪多発地帯、強盗こそが住人の“ビジネス”となっている街、それが「ザ・タウン」だ。
生まれ育った街の呪縛から逃れ、新しい人生を歩みだそうとする凄腕の強盗ダグをアフレック自身が演じ、彼を街に引きとめようとする親友ジェムを「ハート・ロッカー」ジェレミー・レナーが好演。
初監督作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」に続いて、アフレックは少年時代を過ごしたボストンの一角を舞台に、魂を刺激するハードなアウトロー・ムービーを作り上げた。

チャールズタウンで生まれ育ったダグ(ベン・アフレック)は強盗団のリーダー。
親友のジェム(ジェレミー・レナー)ら四人でチームを組み、鮮やかな手口で銀行や現金輸送車を襲撃、誰も傷つけず、証拠は一切残さない。
ところがある日、押し入った銀行で通報ブザーを押されてしまい、やむなく支店長のクレア(レベッカ・ホール)を人質にとる事に。
無事逃走に成功し、解放したものの、運転免許証から彼女がすぐ近所に住んでいる事を知ったダグは、彼女が自分達の事をFBIに漏らさないよう監視する事にする。
ダグが自分を人質にした強盗だと気づかないクレアは、次第に彼と親しくなり、遂には恋に落ちるのだが・・・


ボストンと言えば、先ごろ公開された「ソーシャル・ネットワーク」の舞台でもある、ハーバード大学のある学問の街。
だが、その北東部に広がるチャールズタウンは、アメリカ合衆国で最も多くの銀行強盗と現金輸送車の襲撃が発生する犯罪の街でもある。
この街では、強盗は言わば代々受け継がれるファミリービジネス
幼い頃から親が犯罪を重ねる様を見て育った子供たちは、やがて自然に銃を手にし、ボーイスカウトに入るかの様にギャングのメンバーに名を連ねる。
彼らにとっては、この街こそ世界であり、強盗以外の生き方を知らない。
本作の主人公のダグも、チャールズタウンに生まれ育ち、服役中の父を持つ典型的なギャングファミリーの一員だ。

アメリカの闇社会を支配する犯罪組織の多くが、所謂民族系である。
良く知られているのはイタリア系のマフィアだが、本作に描かれるのはイタリア系と同じくらいの長い歴史を持つアイルランド系のギャングだ。
民族系ギャングは、基本的に特定の街に根を張り、何世代にも渡って組織が受け継がれて行くので、本作の主人公のダグの様に親兄弟親戚が皆ギャングというケースも珍しくなく、足を洗うのは容易ではない。
私がアメリカのカレッジの学生だった時に、クラスメートにヒスパニック系ギャングの元メンバーがいた。
彼もまた街中がギャングだらけという環境に育ったが、父親の服役を機に元々街の人間でなかった母親が離婚を決意、子供達を連れて遠くに越した事で、漸くカタギになる事が出来た。
だがいつか、父親が自分達を連れ戻しに来るのでは、という恐れからは逃れる事が出来ないと言う。

そんな負のスパイラルに生きる男達のドラマは、色々な意味で熱く、見応え十分だ。
この街の人間関係は正に“血は水よりも濃い”という言葉の通り。
アイルランドという共通の祖先の土地と血脈は、好むと好まざるとに関わらず、彼らを柵で雁字搦めにして街に縛り付ける。
ダグは、終身刑で服役中の父への好悪入り混じる想いと、幼い頃に失踪した母親の思い出との間で葛藤を抱え、いつかこの街を出たいと考え続けている。
ギャングという正体を明かす事の出来ない恋人、クレアとの出会いは、その切っ掛けとなるのである。

だが何世代もの間、人々の愛憎を糧に存在してきた街は、まるでそれ自体が一つの生命であるかのように、ダグの人生を支配しようとする。
物語の中で、ダグは自らの知らなかった過去を、二人の人物から告げられる。
ジェレミー・レナーが演じるジェムは、血の気が多いトラブルメーカーで、人を殺して長年刑務所で過ごした過去を持つが、ダグにとっては親友であり、元恋人の兄でもあるかけがえの無い人物だ。
ジェムは、街を出て行こうとするダグに対して、人を殺したのは敵対するギャングからダグを守るためだったと告白する。
街を出るという事は、自分のために殺人まで犯し、まともな人生を諦めた親友を捨てる事を意味する。

更に追い討ちをかけるのは、ギャングたちの黒幕でもある、花屋のファーギーだ。
彼は、足を洗うと宣言したダグに対して、彼の両親に関するある秘密を打ち明け、もしも抜けるならクレアに危害を加えると脅しをかける。
先日亡くなった名優ピート・ポスルスウェイトが、凄みのある演技で魅せるこのキャラクターは、出番は少ないながらも、影の主人公である“街”そのものの象徴として、強い印象を残す。
複雑な人間関係は実によく考えられており、まるで互いに絡み合った蜘蛛の巣の様に、本作の骨太のプロットを支えている。

クレアを守り、新しい人生を歩むために、ダグは最後の仕事を受けるのだが、狙いは銀行ではなくメジャーリーグのボストン・レッドソックスの本拠地、フェンウェイ・パークだ。
だが、そこにはクレアを手の内に引き込んだFBIが待ち構えている。
もうここからは、アクションとサスペンスがつるべ打ちの怒涛の展開だ。
クライマックスを含め、都合三回ある襲撃シーンは緊張感たっぷりで、古都ボストンの狭い路地を効果的に使ったカーチェイスも迫力満点。
アクション映画としても、水準以上の仕上がりだ。

サスペンス、アクション、ロマンスと、見所満載の「ザ・タウン」はハリウッド伝統のアウトロー・ムービーの秀作である。
やはり ボストンを舞台とした「グッドウィル・ハンティング」で、幼馴染のマット・ディモンと共に若干25歳の若さでアカデミー脚本賞を受けたベン・アフレックは、やはり並の才能では無い。
なぜか日本ではDVDスルーになってしまったが、鋭い切れ味を持つ前作、「ゴーン・ベイビー・ゴーン」に続いて、哀しき男たちのドラマは情感に溢れ、深い余韻を感じさせる。
元々演技力という点では若干疑問の残る俳優だけに、イーストウッドの様に、裏方の方でより輝きを放つ人なのかもしれない。

とは言え、映画史に残る傑作となるには、何かが足りない気がするのも事実。
たぶんその原因は、ヒロインであるクレアの行動原理が不可解である事だろう。
ダグやその仲間達のドラマの濃密さと対照的に、クレアの背景は結構アバウトで、彼女がどんな人物なのか今一つわからない。
突然強盗の人質となり、震え上がるほど恐ろしい想いをしたのに、強盗の街の住人であるダグに対してあまりにも無防備に接近を許す。
FBIに目撃した犯人の刺青の事を話さなかったのは、自分が監視されている事を知っているからだという事で納得はいくが、何故ダグは例外なのか。
それに、いくらダグを愛したといっても、彼の残した汚れた金を使ってしまうのもピンとこない。
大体、あんな大金を寄贈したとしたら、絶対にFBIが嗅ぎ付けるはずだ。
レベッカ・ホールのナチュラルな存在感は悪くないのだが、この物語におけるクレアの立ち位置は曖昧で、それが映画全体の画竜点睛を欠く印象に繋がってしまっている。
もしも、彼女もまたこの街に囚われた者であるなら、もう少し突っ込んでキャラクターを描くべきだろうし、心情でダグを愛しても、行動では許せないという風に持っていったほうが、物語としてもピリリと締まった様に思うのだが。

今回は、ボストンを代表する地ビール、「サミュエル・アダムス ボストン・ラガー」をチョイス。
サミュエル・アダムスはボストン出身の政治家で、第二代合衆国大統領のジョン・アダムスの兄としても知られる。
彼の父は醸造所を経営しており、サミュエルも政治家になる前に職人として働いていた時期がある。
今では地ビールと言うにはあまりにも有名な銘柄となったが、映画と同じく適度な濃厚さとコクが魅力の味わい深いアメリカンビールだ。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね

こちらもお願い





スポンサーサイト