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2011年02月21日 (月) | 編集 |
男たちの熱い絆が、四半世紀を経て蘇る。
1986年に公開された香港ノワールの代表作「男たちの挽歌」が、韓国でリメイクされた。
オリジナルの監督であるジョン・ウーがエグゼクティブ・プロデューサーを勤め、監督は「力道山」や「私たちの幸せな時間」で知られるソン・へソンが担当。
基本プロットはそれほど変わらないが、舞台を韓国に移し主人公たちを脱北者に設定するなど独自の脚色を加え、それがテーマに密接に関係してくる。
北朝鮮から脱出を試みた兄弟がいた。
兄のヒョク(チュ・ジンモ)は成功したものの、弟のチョル(キム・ガンウ)は捕らえられ、生き別れに成ってしまう。
数年後の釜山、ヒョクは同じ脱北者のヨンチュン(ソン・スンホ)と共に、銃器密売を日々の糧にしている。
ずっと弟の消息を探し続けていたヒョクの元に、チョルが脱北に成功して韓国にたどり着いたという連絡が入る。
だが、自分を見捨てて逃げた兄の事を、チョルは決して許そうとしない。
そんな時、ヒョクは部下のテミン(チョ・ハンソン)の裏切りで、タイ警察に逮捕されてしまい、ヨンチュンもタイの組織との戦いで足を撃たれてしまう。
長い歳月が過ぎ、出所して韓国に戻ったヒョクが見たのは、裏社会のボスとして君臨するテミンと、不自由な足を引き摺り、すっかり落ちぶれたヨンチュン、そして兄への反発から組織犯罪を担当する刑事になったチョルの姿だった・・・
オリジナルの登場は衝撃だった。
香港映画と言えばブルース・リー以来のクンフー物かコメディが定番だった時代である。
ブラックのコートとサングラス、スタイリッシュな“悪”の香りを感じさせる男たちによる、過去に作られたどんな映画とも異なる、スローモーションを多用した超接近戦のガンファイトには誰もが息を飲み、世界各国のアクション映画に絶大な影響を与えた。
リメイク版ではソン・スンホが演じるヨンチュンに当たる、マーク役のチョウ・ユンファは大ブレイクし、“亜州影帝”のニックネームで呼ばれる様になり、後に監督のジョン・ウーと共にハリウッドにも進出する事になる。
あれから25年。
オリジナルの主人公ホーは、ヒョクと名を変えチュ・ジンモが演じているが、彼を脱北者に設定したのが本作の最大のポイントだろう。
彼は国境を越える時に、弟のチョルを見捨てた事を悔いており、闇社会の大物となってからは、アジア中のブローカーを通じて弟の消息を追っている。
物語そのものは、オリジナルを踏襲する物だが、兄弟の間にある傷を深く大きな物にした事で、対照的な生き方をする二人の葛藤と絆がより強調される事になった。
同時に、単に裏社会の男たちの友情、裏切りを描いた物語に、韓国という“異文化”の中で暮らす脱北者の苦難という社会派の視点も加わった。
キャラクターの背景を丹念に描き、ヒューマニズムに溢れる作品を作ってきた、ソン・ヘソンらしい脚色である。
兄弟関係を重視した分、ややヨンチュンの印象が薄くなった気もするが、これはまあやむを得ないだろう。
そして「男たちの挽歌」と言えば、やはりガンファイト。
主な見せ場は、ヒョクを嵌めたタイの組織を、ヨンチュンが襲撃して皆殺しにするシーンと、クライマックスとなる埠頭での絶対不利の戦いの二箇所だ。
単身で敵のアジトに乗り込む、ヨンチュン役のソン・スンホは二挺拳銃の銃捌きも鮮やかで、オリジナルのチョウ・ユンファにも負けてない。
また最大の見せ場である埠頭で銃撃戦は、基本的にはオリジナルと流れは同じで、さすがに新鮮さは無いものの、圧倒的多数の敵に囲まれながら、三人の絆が深まってゆくところはわかっていても熱くなる。
激しい戦いの末に、迎えるラストは・・・・。
主人公達が脱北者である以外は、比較的オリジナルに忠実な作りだった本作だが、なるほどここへ来て、リメイク版の真のテーマが明らかになる。
自由を求めて命がけで韓国に渡ったのに、そこでは北の人間として差別され、結局夢見た未来“A BETTER TOMORROW”はどこにも無かった。
その事を心の底から思い知らされてしまった時、彼らが帰るべき場所とは、一体どこなのか。
韓国社会の抱える闇に、何時しか飲み込まれてしまった脱北者の悲哀が胸を打つ。
ソン・ヘソンは、香港ノワールの代表作を換骨奪胎して、韓国ならではの物語を作り上げているが、残念なのは中盤の脚本の処理が雑な事。
兄弟の再会から、ヒョクがタイで服役するまでは物語のリズムも良く、サクサクと進むのだが、彼が出所して韓国に戻って以降は中ダレが激しい。
特に問題なのは、悪役であるテミンの行動が矛盾している事だろう。
彼はロシアと巨額の取引を控えているのだが、警察に目をつけられていて身動きが取れない。
そこで嘗ての兄貴分であったヒョクとヨンチュンを巻き込もうとするのだが、具体的にどうしたかったのかが描写されないので、結局何がやりたい人なのかわからなくなっており、自分から事態の悪化を招いている様にしか見えないのである。
彼の意図が不明なままなので、ヨンチュンやチョルを襲撃する事も、物語上の意味が不鮮明で、停滞した印象になってしまっている。
ここはテミンの行動原理を、もうちょっと明確に作るべきだった。
「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」はオリジナルのテイストを色濃く残しつつも、韓国映画らしく良くも悪くもセンチメンタル。
もちろん、オリジナルほどのインパクトは無いが、これはこれで楽しめる。
しかし、80年代の香港を代表する作品が、四半世紀を経て韓国でリメイクされるのは、アジア映画の歴史の変遷を感じさせる。
97年の中国返還以来、香港映画界は人材の海外流失などで輝きを失い、逆に87年の民主化後、質量共に急速にレベルを上げてきた韓国映画は、21世紀に入り韓流ブームでアジアを席巻した。
おそらく、本作の様な国境を跨いだリメイク企画というのは、アジアでも今後は増えて行くだろうが、本作の様にお国柄を盛り込んで脚色するのは面白い方向性だと思う。
今回は、釜山の屋台で飲みたい酒。
ご当地焼酎「C1のキュウリ割り」をチョイス。
冷やしたストレートのC1に千切りにしたキュウリをざっくり入れるだけ。
焼酎の仄かな甘みがキュウリに移って、心なしかメロンみたいな風味になる。
不思議とこの飲み方は日本の焼酎だとイマイチ合わないのだ。
強い酒が苦手な人は、ソーダで割った物にキュウリを入れても爽やかで良い。
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1986年に公開された香港ノワールの代表作「男たちの挽歌」が、韓国でリメイクされた。
オリジナルの監督であるジョン・ウーがエグゼクティブ・プロデューサーを勤め、監督は「力道山」や「私たちの幸せな時間」で知られるソン・へソンが担当。
基本プロットはそれほど変わらないが、舞台を韓国に移し主人公たちを脱北者に設定するなど独自の脚色を加え、それがテーマに密接に関係してくる。
北朝鮮から脱出を試みた兄弟がいた。
兄のヒョク(チュ・ジンモ)は成功したものの、弟のチョル(キム・ガンウ)は捕らえられ、生き別れに成ってしまう。
数年後の釜山、ヒョクは同じ脱北者のヨンチュン(ソン・スンホ)と共に、銃器密売を日々の糧にしている。
ずっと弟の消息を探し続けていたヒョクの元に、チョルが脱北に成功して韓国にたどり着いたという連絡が入る。
だが、自分を見捨てて逃げた兄の事を、チョルは決して許そうとしない。
そんな時、ヒョクは部下のテミン(チョ・ハンソン)の裏切りで、タイ警察に逮捕されてしまい、ヨンチュンもタイの組織との戦いで足を撃たれてしまう。
長い歳月が過ぎ、出所して韓国に戻ったヒョクが見たのは、裏社会のボスとして君臨するテミンと、不自由な足を引き摺り、すっかり落ちぶれたヨンチュン、そして兄への反発から組織犯罪を担当する刑事になったチョルの姿だった・・・
オリジナルの登場は衝撃だった。
香港映画と言えばブルース・リー以来のクンフー物かコメディが定番だった時代である。
ブラックのコートとサングラス、スタイリッシュな“悪”の香りを感じさせる男たちによる、過去に作られたどんな映画とも異なる、スローモーションを多用した超接近戦のガンファイトには誰もが息を飲み、世界各国のアクション映画に絶大な影響を与えた。
リメイク版ではソン・スンホが演じるヨンチュンに当たる、マーク役のチョウ・ユンファは大ブレイクし、“亜州影帝”のニックネームで呼ばれる様になり、後に監督のジョン・ウーと共にハリウッドにも進出する事になる。
あれから25年。
オリジナルの主人公ホーは、ヒョクと名を変えチュ・ジンモが演じているが、彼を脱北者に設定したのが本作の最大のポイントだろう。
彼は国境を越える時に、弟のチョルを見捨てた事を悔いており、闇社会の大物となってからは、アジア中のブローカーを通じて弟の消息を追っている。
物語そのものは、オリジナルを踏襲する物だが、兄弟の間にある傷を深く大きな物にした事で、対照的な生き方をする二人の葛藤と絆がより強調される事になった。
同時に、単に裏社会の男たちの友情、裏切りを描いた物語に、韓国という“異文化”の中で暮らす脱北者の苦難という社会派の視点も加わった。
キャラクターの背景を丹念に描き、ヒューマニズムに溢れる作品を作ってきた、ソン・ヘソンらしい脚色である。
兄弟関係を重視した分、ややヨンチュンの印象が薄くなった気もするが、これはまあやむを得ないだろう。
そして「男たちの挽歌」と言えば、やはりガンファイト。
主な見せ場は、ヒョクを嵌めたタイの組織を、ヨンチュンが襲撃して皆殺しにするシーンと、クライマックスとなる埠頭での絶対不利の戦いの二箇所だ。
単身で敵のアジトに乗り込む、ヨンチュン役のソン・スンホは二挺拳銃の銃捌きも鮮やかで、オリジナルのチョウ・ユンファにも負けてない。
また最大の見せ場である埠頭で銃撃戦は、基本的にはオリジナルと流れは同じで、さすがに新鮮さは無いものの、圧倒的多数の敵に囲まれながら、三人の絆が深まってゆくところはわかっていても熱くなる。
激しい戦いの末に、迎えるラストは・・・・。
主人公達が脱北者である以外は、比較的オリジナルに忠実な作りだった本作だが、なるほどここへ来て、リメイク版の真のテーマが明らかになる。
自由を求めて命がけで韓国に渡ったのに、そこでは北の人間として差別され、結局夢見た未来“A BETTER TOMORROW”はどこにも無かった。
その事を心の底から思い知らされてしまった時、彼らが帰るべき場所とは、一体どこなのか。
韓国社会の抱える闇に、何時しか飲み込まれてしまった脱北者の悲哀が胸を打つ。
ソン・ヘソンは、香港ノワールの代表作を換骨奪胎して、韓国ならではの物語を作り上げているが、残念なのは中盤の脚本の処理が雑な事。
兄弟の再会から、ヒョクがタイで服役するまでは物語のリズムも良く、サクサクと進むのだが、彼が出所して韓国に戻って以降は中ダレが激しい。
特に問題なのは、悪役であるテミンの行動が矛盾している事だろう。
彼はロシアと巨額の取引を控えているのだが、警察に目をつけられていて身動きが取れない。
そこで嘗ての兄貴分であったヒョクとヨンチュンを巻き込もうとするのだが、具体的にどうしたかったのかが描写されないので、結局何がやりたい人なのかわからなくなっており、自分から事態の悪化を招いている様にしか見えないのである。
彼の意図が不明なままなので、ヨンチュンやチョルを襲撃する事も、物語上の意味が不鮮明で、停滞した印象になってしまっている。
ここはテミンの行動原理を、もうちょっと明確に作るべきだった。
「男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW」はオリジナルのテイストを色濃く残しつつも、韓国映画らしく良くも悪くもセンチメンタル。
もちろん、オリジナルほどのインパクトは無いが、これはこれで楽しめる。
しかし、80年代の香港を代表する作品が、四半世紀を経て韓国でリメイクされるのは、アジア映画の歴史の変遷を感じさせる。
97年の中国返還以来、香港映画界は人材の海外流失などで輝きを失い、逆に87年の民主化後、質量共に急速にレベルを上げてきた韓国映画は、21世紀に入り韓流ブームでアジアを席巻した。
おそらく、本作の様な国境を跨いだリメイク企画というのは、アジアでも今後は増えて行くだろうが、本作の様にお国柄を盛り込んで脚色するのは面白い方向性だと思う。
今回は、釜山の屋台で飲みたい酒。
ご当地焼酎「C1のキュウリ割り」をチョイス。
冷やしたストレートのC1に千切りにしたキュウリをざっくり入れるだけ。
焼酎の仄かな甘みがキュウリに移って、心なしかメロンみたいな風味になる。
不思議とこの飲み方は日本の焼酎だとイマイチ合わないのだ。
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