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エンジェル ウォーズ・・・・・評価額1500円
2011年04月16日 (土) | 編集 |
「不思議の国のアリス」+「カッコーの巣の上で」×「日本製美少女アニメ」=「エンジェル ウォーズ」
「300 スリーハンドレッド」 「ウォッチメン」で知られる映像派の俊英、ザック・スナイダー監督による、超異色の秋葉系アクションアドベンチャー大作
現実と妄想の入り混じったファンタジーワールドで、五人の美女たちの自由への戦いが描かれる。
今まで原作物ばかりを手がけてきたスナイダーにとっては、自身による初のオリジナル脚本作品だが、よくぞここまでと思うほどにヲタク的な趣味性炸裂の映像世界に、かなり好みは分かれそうだ。

継父によって、妹殺しの罪を着せられたベイビードール(エミリー・ブラウニング)は、精神病院に送られて、5日後にロボトミー手術を受けることになる。
ベイビードールは、同じ境遇の患者達と力を合わせ、病院を脱出するために、ファンタジーの世界に飛び込んで、必要な五つのアイテムを探す事になるのだが・・・


原題は“不意の一撃”という意味を持つ「Sucker Punch」だが、suckerにはマヌケとかおめでたい奴、或いは人を騙すという意味もあり、本作を観賞した後にニヤリとさせられる。
物語は劇中劇の中に更に劇中劇があるという三層構造になっており、あらすじを説明するのが難しい映画である。
オープニングでいきなりベイビードールの母親が死亡し、巨額の遺産を狙う継父によって、妹殺しの罪をでっち上げられて精神病院に送り込まれるまでが一気に描かれる。
継父は病院のスタッフのブルーという男に金を掴ませ、ベイビードールにロボトミー手術を受けさせようとするのだが、その手術の瞬間、突然世界が変わる。
実はそこは、監禁されたダンサーたちが売春婦として客を喜ばせる秘密クラブで、それまでの顛末はステージで演じられているパフォーマンスだったというのである。
そして、この店に売られてくるのが、天才的なダンスの才能の持ち主であるベイビードール。
彼女は五日後に店のパトロンである大富豪に処女を捧げる事になっているが、ベイビードールはスイートピー、ロケット、ブロンディ、アンバーという四人のダンサー仲間達と脱出計画を練り上げる。
計画は、ベイビードールのダンスを見ると、誰もが魅了されてその場から動けなくなってしまう事を利用して、彼女がダンスで人目を惹きつける間に、他の女達が脱出に必要なアイテムを一つ一つ盗み出すという物だが、そのシークエンスがベイビードールの踊りからイメージされる、ファンタスティックな妄想の世界として描かれるのである。
脱出に必要な五つのアイテムは“地図”“火”“ナイフ”“鍵”そしてもう一つは不明のまま。

妄想の冒険のステージとなるのは、半分頭のネジが飛んじゃった様な、混沌とした異世界だ。
巨大なロボット侍が待ち受ける戦国時代の日本の様な世界から始まって、ドイツ軍のゾンビ兵士が跋扈する戦場、ドラゴンが待ち受ける「LOTR」チックなファンタジーワールド、未来都市が輝く外宇宙の惑星など、夫々のアイテムを手に入れる戦いは、凝りに凝った世界観の中で展開し、シャープな映像感覚は正にスナイダー節が全開。
しかもこの世界に入ると、なぜかベイビードールはミニスカのセーラー服に変身し、武器は背中に背負った日本刀なのである(笑
これはもちろん実写映画にもなった日本のアニメーション、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」へのオマージュだろうし、背中に蒸気タンクを背負って赤い目が光るゾンビ兵士は押井守のケルベロス・サーガに登場する兵士のイメージにそっくりだ。
スナイダー本人によれば、この映画は「マシンガンを持った不思議の国のアリス」なのだそうだが、少なくともビジュアル的に一番偏愛が滲み出ているのは、キャロルと言うよりも日本製のコミックやアニメーションであろう。
彼のアメコミ愛の結晶が、「ウオッチメン」だとすると、こちらは日本のサブカルへの愛にターボがかかっており、あの漫画やこのアニメをオレ的センスで映像にしてみたいなあ・・・というスナイダー自身の超ヲタク的な妄想を全て詰め込んで、壮大なスケールで実現してしまった一本と言えるかもしれない。

まあ説明しにくいとは言っても、物語そのものは現実(と認識してる世界)でベイビードールが踊ると、妄想世界での冒険が始まるという単純なものなので、決して難解という訳ではなく、むしろ元ネタ的な押井守の映画などよりもずっとわかりやすい。
計画がばれるかもしれないという現実世界でのスリルが、妄想の冒険の内容ともリンクして相乗効果を生んでいるあたり、「マトリックス」的な構造の面白さもあり、また辛く厳しい現実世界からファンタジーの世界に飛んで戦うというのは、「パンズ・ラビリンス」を思わせる。
スナイダーの映画的、漫画的、アニメ的記憶をメルティングポットにぶち込んだ様なこの映画、ぶっちゃけ、物語の整合性や繊細さという点では、かなり豪快に破綻しているのだけど、何しろ元になる現実世界すら、精神病院と秘密クラブと、どちらが本物なのか惑わせるような作りになっているので、もはや破綻が破綻なのかも良くわからないのである(笑
閉鎖された空間からアイテムを集めて脱出するという基本コンセプは、殆どRPGみたいなものだから、物語をきっちり追おうとせずに、流れに身をゆだねておけば、勝手にラストまで連れて行ってくれる。

冒険の末に、尊い犠牲を出しながらも五つのアイテム中四つを集めたベイビードールとアンバーは、クラブ脱出を決行する。
だが、最後のアイテムは謎のままだ。
最後の最後で、窮地に陥ったベイビードールが導き出した、ラストアイテムの正体とは・・・・。
心の世界を描いた映画とは言っても、本作は決して「カッコーの巣の上で」の様な人間存在の深みには立ち入らない。
精神病院から始まり、いつしか現実と妄想が入り混じり、その境界が失われたファンタジーワールドは、あくまでもスナイダー自身の妄想を成立させるための装置に過ぎない。
したがって、物語の結末で描き出されるテーマは、「えええ~!結局そう言う事なの?」と驚く位にありきたりで教条的な物だ。
だがそれは、この映画の魅力をスポイルする事にはならないだろう。
これは映像から物語の構造に至るまで、ザック・スナイダーの仕掛けたギミックを楽しむ映画なのである。
異世界でのVFXバリバリのアクションシークエンスは、もちろん本作の最大の売り物だが、精神病院の世界と秘密クラブの世界の関係性など、ストーリーテリングの手法としてもユニークで、作家映画としてなかなかに興味深い一本である。

今回は、美女達が大活躍する目にも嬉しいファンタジー大作と言う事で、目でも舌でも楽しめる美しいカクテル、「エンジェルズ・デイライト」をチョイス。
グラスにグレナデン・シロップ、クレーム・ド・バイオレット(パルフェ・タムール)、ホワイト・キュラソー、生クリームの順番で、15mlづつ静かに重ねてゆく。
スプーンの背をグラスに沿わせて、そこから注ぐようにすれば崩れにくい。
虹を思わせる四色の階層が比重の違いで生まれ、美しい縞模様を先ず目で味わい、口の中で味が溶け合う感覚を楽しむ事ができる。
比重が異なれば、他の材料を組み合わせたり、色を増やしてもOKだ。

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