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パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉・・・・・評価額1500円
2011年05月22日 (日) | 編集 |
2003年から続く大ヒットシリーズの第四弾。
前作の「ワールド・エンド」で、ウィルとエリザベスの物語が一応の完結をみたので、今回は一旦仕切り直し。
本来脇のキャラクターであったジャック・スパローを主役とした、ある種のスピン・オフとしての新シリーズのスタートとなっている。
オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイと共に、前三部作を手がけたゴア・ヴァーヴィンスキー監督も降板し、新たに「シカゴ」「NINE」など、どちらかと言うとミュージカル物を得意とするロブ・マーシャルが後を引き継いだ。

“ジャック・スパローが、ロンドンで乗組員を集めている”そんな噂を耳にしたジャック(ジョニー・デップ)は、自分の偽者と対決するためにロンドンへ。
しかし、そこにいたのは嘗て自分が愛し捨てた、女海賊のアンジェリカ(ペネロペ・クルス)だった。
アンジェリカに嵌められ、誰もが恐れる最強の海賊、黒ひげ(イアン・マクシェーン)の船に囚われたジャックは、永遠の生命をもたらすという、“生命の泉”への水先案内を命じられる。
一方、黒ひげにブラック・パール号を沈められたバルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)も、英国王に取り入って船を手に入れると、復讐のために黒ひげを追っていた・・・・


今回は、ちょっと取り留めなく変な事を書く。
私は、このシリーズが大好きで、偏愛していると言っても良い。
だから体制一新後の本作には、期待と不安の両方を胸に観に行ったのだが、観終わった第一印象としては「面白い事は面白いけど、ちゃんとしすぎている・・・」であった。
ぶっちゃけると、ゴア・ヴァーヴィンスキーがメガホンを取った前三部作は、回を重ねるごとに物語がどんどんと支離滅裂なカオスの渦に落ち込んで行き、最後の「ワールド・エンド」に至っては、もはや誰と誰が敵で、何のために争っているのかすら良くわからない代物になってしまっていた。
もしもシリーズを、映画のロジカルな完成度で評価するなら、一作目が評価額1600円くらい、二作目が1300円、三作目は精々800円程度だろう。
だが、当ブログの評価基準は、あくまでも私的満足度
私は二作目の「デッドマンズ・チェスト」に1500円、「ワールド・エンド」には1700円を付けている。
つまり、映画としてダメダメになっているのに、私の中での偏愛は加速しているのである。

ジャック・スパローを完全な主人公にして、新たにスタートした「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」を観て、私は以前の様なワクワク感を余り感じられなかった。
いや、物語は少なくとも前作よりはよほど良く出来ている。
新登場の黒ひげとアンジェリカ父娘、彼らに囚われたジャック・スパロー、黒ひげへの復讐に燃えるバルボッサの、生命の泉を巡る争奪戦を中心軸に置き、サブストーリー的に宣教師のフィリップと人魚のシレーナの恋物語を絡ませる。
まあ十分登場人物は多いものの、前作よりずっとスッキリして、印象としては第一作「呪われた海賊たち」に近い。
シリーズ全作品で脚本を担当しているテッド・エリオットとテリー・ロッシオは、新しい要素を取り入れながらも、「パイレーツ・オブ・カリビアン」な世界観とキャラクターの個性をしっかりと維持しているので、監督が代わっても違和感は全く無い。

しかしながら、物語の整合性が高まるのに反比例する様に、私の中でのワクワク度数は減ってしまったのである。
思うに、普通に出来の良い娯楽映画であった第一作「呪われた海賊たち」でスタートした前三部作は、次第に物語を時間軸という線ではなく、世界観と言う面で広げた様な作品になっていった。
元々がディズニーランドのアトラクションに話を付けて映画化したのだから、ある意味映画を再びアトラクション化したと言えるかも知れない。
とにかく海賊が宝を集める様に、面白そうな要素を後先考えずに貪欲に取り込んでいった結果、前三部作の最終作である「ワールド・エンド」に至っては、ディズニーとブラッカイマーというハリウッドの保守本流でありながら、もはやハリウッド映画の法則すら完全無視した、超アナーキーな狂気の大バカ超大作になってしまった。
だが、今にして思うと、大ヒットが約束された作品だから出来る、作り手の壮絶な悪ノリと余りにも自由な表現こそ、映画が描こうとする海賊の世界そのものであって、私はそんな混沌を愛していたのかもしれない。
故に、「生命の泉」は、普通の娯楽映画としてはそこそこ良く出来ているとは思うが、ヴァーヴィンスキー版にあった様な何者も恐れない破天荒さをあまり感じられないのである。

もっとも、別にロブ・マーシャル版が駄目と言う訳ではない。
演技指導に関しては定評のある人だけに、キャラクターの立たせ方はなかなかお見事で、俳優の動かし方、特に動き出しの演技の切り取り方はさすがミュージカルの名手である。
ジャック・スパローのキャラが何気にオネエっぽい事を上手く使ったり、彼が主役になった事で漸く登場した本当の意味でのスパローの相手役、ペネロペ・クルスを最高に魅力的に撮ってるあたりは、マーシャルならではの本作の個性と言えるかもしれない。
ただ、前作までのウィルとエリザベスを脇に回した様なポジションにいるのが、宣教師フィリップのサム・クラフリンと人魚のシレーナを演じるアストリッド・ベルジェ=フリスベなのだが、この二人のロマンスはいささかとって付けたような印象でかなり薄味。
特にフィリップの行動原理は信仰に生きる男という設定が生かされておらず、どうせなら彼をもう少し本筋と絡めた方が盛りあがった様な気がする。
ちなみに新星アストリッド・ベルジェ=フリスベは、ペネロペ同様スペイン出身で、ちょうど一回り違う25歳。
大先輩の様にハリウッドでも輝く事が出来るだろうか。

「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」は、普通に良く出来た娯楽映画である。
ジャック・スパローという不世出のキャラクターは、相変わらず容易く観客の心を掴んで支配するし、仲良く殺しあう個性的な海賊たちの世界も楽しい。
ただ、前作までの混沌と狂気に魅了されてしまった私には、それなりのレベルできちんと纏まった物語が、どうしてもビンのフタの様に大爆発を抑えている様に思えてしまう。
シリーズとしての世界観は相変わらず魅力的だし、新旧のキャラクターも立っている、ロブ・マーシャル監督の演出も、さり気無く個性を発揮して決して悪くない。
豪華なコース料理としては十分楽しめるのだが、私はこれにハバネロを大量にぶっかけたくなってしまうのである(笑
まあ、このシリーズに関しては、世評と私の中での評価は見事に反比例している様なので、「呪われた海賊たち」が好きで、「ワールド・エンド」にがっかりした人は、本作を素直に楽しむ事が出来るのではないだろうか、たぶん。

今回も例によってカリブのラム。
米領プエルトリコから、二作目にも付け合せた“豊穣のラム”の意味を持つロンリコを。
この銘柄は数種類あるが75.5°という度数を誇る「151プルーフ」をチョイス。
しっかりとしたコクとボディの強烈なインパクトを味わうのには、少しライムを搾ったオン・ザ・ロックがお勧め。
パワフルな酒で海賊気分を盛り上げよう。

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