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2011年06月19日 (日) | 編集 |
マーベル・コミックの大ヒットシリーズ、「X-MEN」の誕生を描く、“ザ・ビギニング”。
若き日のプロフェッサーXとマグニートが如何にして出会い、何故宿命の敵となったのか、1960年代を舞台に描かれる若きミュータントたちの冒険は、映画的、コミック的オマージュに溢れ、小気味良いテンポで加速してゆく。
シリーズの生みの親であるブライアン・シンガーがプロデュースし、監督は昨年異色のアメコミ映画「キック・アス」で旋風を巻き起こしたマシュー・ヴォーン。
アメコミをこよなく愛する二人の敏腕クリエイターのコラボレーションは、見事シリーズ最高傑作として結実した。
冷戦が激化する1960年代。
テレパスのチャールズ(ジェームス・マカヴォイ)は、幼馴染で変身能力を持つレイヴン・ダークホルム(ジェニファー・ローレンス)と共に、CIAに協力する事になり、米ソの対立の裏側で元ナチスのミュータント、セバスチャン・ショウ(ケビン・ベーコン)が暗躍している事を知る。
ひょんな事から、ショウに復讐心を燃やす強力なミュータント、エリック・レーンシャー(ミヒャエル・ファスベンダー)と出会ったチャールズは、既に“ヘルファイア・クラブ”というミュータントの軍団を組織しているショウに対抗するために、世界中から隠れたミュータントをリクルートする事にする。
だが、テレパスのエマ・フロスト(ジャニュアリー・ジョーンズ)の能力を使って、ソ連軍部を操るショウは、遂に核ミサイルを積んだ貨物船をキューバに向けて出航させてしまう。
もしも貨物船がアメリカの海上封鎖を突破すれば、世界は核戦争に突入する。
チャールズたち急造ミュータントチームは、ショウの野望を阻止するために、キューバに向うのだが・・・
ブライアン・シンガー監督による「X-MEN1&2」、そして監督がブレッド・ラトナーに代わった「ファイナル・ディシジョン」の三部作の前日譚にあたる作品であり、20世紀FOXのアナウンスによれば第一世代のX-MENたちを描く新三部作の第一作である。
自らもゲイのユダヤ人というマイノリティであるシンガーは、元々原作のX-MENにあった反差別、反ナチズムのモチーフをストーリーの前面に出し、単なるアメコミアクションにとどまらない深みを与える事に成功していたが、今回も基本的なテーマは同じ。
エリック・レーンシャーこと少年時代のマグニートが、ナチス将校だったセバスチャン・ショウに出会うシークエンスから幕を開ける本作は、60年代という公民権運動の時代を背景に展開し、ミュータントという存在が浮かび上がらせる、人間の持つ不寛容とそれがもたらす悲劇をメインテーマに、社会派SFとして十二分に大人の観賞に耐えうる快作となっている。
ショウに母を殺されたショックで、エリックの能力が覚醒する冒頭から、物語が常に動き続ける。
大戦後、ミュータント軍団“ヘルファイア・クラブ”を組織したショウによる世界崩壊の陰謀、チャールズと復讐に燃えるエリックとの運命的な出会いから、世界を救う戦いを経て、袂を別った二人による“X-MEN”と“ブラザーフッド・オブ・エビル・ミュータンツ”の結成までが、僅か131分の間に一気に描かれてゆくのだから、中ダレする時間帯など一切無く、怒涛の勢いで我々のよく知るシリーズの世界観が構築されて行く。
しかも物語の背景になるのは、実際に世界が核戦争の瀬戸際まで追い込まれた、あのキューバ危機である。
歴史的事件の裏側に、実はスーパーヒーローがいたというのは、アメコミ設定の王道の一つだが、絵空事の物語を我々の世界にグイッと引き寄せる効果があることは間違いない。
この映画作家にとっては魅惑的な舞台装置を使って、マシュー・ヴォーンはショーン・コネリー時代の007映画へのオマージュたっぷりに、ある種のスパイ活劇として新たなX-MENの物語を構築している。
本作の設定と同じ62年に公開された、007シリーズ“第一作”「ドクター・ノオ」のオープニングをモチーフにしたエンドクレジットのグラフィカルなデザインなど、007ヲタクが観たら感涙物だろう。
初出動するX-MENのコスチュームが、シックで現代的なシンガー版と違い、コミック初期のド派手なデザインなのもアメコミファンにはたまらない。
もちろん、冷戦時代を舞台にした超人たちのチームによる世界を救う戦いと言えば、我々日本人にとっても石ノ森章太郎の「サイボーグ009」や小松左京の「エスパイ」といった名作があるわけで、意図された事ではないだろうが、日本の映画ファンにとっても懐かしいコミック的、映画的記憶を刺激される作品になっており、その意味では若者よりも中年以上のオールドファンの方が楽しめるのかもしれない。
そしてこのシリーズの魅力の一つが、ユニークな能力を持つミュータントたちのキャラクター。
今回は、大雑把に言えば、オリジナルシリーズにも登場する、プロフェッサーX、マグニート、ミステーク、そしてビーストの四人が主にドラマ部分を担当し、新登場のバンシーやアザゼルといったキャラクターはそれぞれの能力を生かしたアクション要員。
後にプロフェッサーXとマグニートとして敵対する事になる、チャールズとエリックの出会いと友情、対立と別れのドラマは、後にミスティークと呼ばれるレイヴンとビーストとなる科学者のハンクの、ミュータントの異形の容姿に関する切実な葛藤と上手く絡み合い、この物語の影に潜む人間の不寛容と差別の問題を浮かび上がらせる。
特にナチスによって迫害されたエリックが、今度は似たような恐れから来る選民思想に取り付かれ、大戦後イスラエルを建国したユダヤ人と、パレスチナ人の対立の歴史を連想させるのは、痛烈な皮肉だ。
もはや「ナルニア国物語」のタムナスさん役の・・・とは言われない、ジェームス・マカヴォイがチャールズを好演。
ハゲネタのギャグはあまりパトリック・スチュワートには似てなくて、ハゲそうもないからだろうか。
マカヴォイとは、傑作テレビシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」のキャスト繋がりでもある、ミヒャエル・ファスベンダーがエリックを演じる。
脇では“ヘルファイア・クラブ”のテレパス、エマ・フロストを演じるジャニュアリー・ジョーンズが、「アンノウン」に続いて見事なファムファタールっぷりを発揮し、正に60年代のボンドガールのムードそのもの。
ミステークを演じた若き演技派ジェニファー・ローレンスも、さすがにゴージャスな大人の女の魅力では適わない。
因みに、オリジナル・シリーズからは二人がカメオ出演・・・という割には目立ってるので、探すまでも無いけど。
毎回恒例だったスタン・リーの出演は、IMDBによると今回は何故か無かったようだ。
「X-MEN::ファースト・ジェネレーション」は、大人の観賞に耐えるテーマ性と物語の面白さを持ちながら、アメコミならではのキャラクターやド派手なアクションも満載、60年代のレトロテイストを隠し味にした豪華なアメリカンディナーだ。
まあ、覚醒したエリック少年はなぜ真っ先にショウを殺さないのか?とか突っ込みどころも多々あるものの、ミュータントたちの大冒険にワクワクしているうちに、そんな些細な事はどうでもよくなってしまうのである。
なんちゃってヒーローを描いた「キック・アス」で大ブレイクしたマシュー・ヴォーン監督は、今回本物のアメコミ・ヒーロー映画で、このカテゴリにおける第一人者のポジションを確立したのではないか。
次回作はヒット・ガールを主人公にした「キック・アス」の続編だそうだが、これだけのクオリティを観せつけられると、出来ればこっちの残り二本も続投してもらいたいものだ。
今回は、X-MENたちの最初の活躍の地となるキューバから、1878年創業と一世紀以上の歴史を誇る銘柄「ハバナ・クラブ 7年」をチョイス。
元々キューバ危機は、カストロやゲバラによる革命に端を発する訳だが、革命による外国資本の撤退はキューバの酒造メーカーにも大混乱を引き起こす。
革命政府は、乱立するメーカーの統廃合を進め、革命後長らく輸出用のラム酒は全てこの「ハバナ・クラブ」銘柄に統一されていた。
この7年物は適度に熟成が進んで、まろやかでコクがあり、甘みも程よく、バランスの良いお酒だ。
カクテルベースにするよりも、ストレートやロックでその物を味わいたい。
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若き日のプロフェッサーXとマグニートが如何にして出会い、何故宿命の敵となったのか、1960年代を舞台に描かれる若きミュータントたちの冒険は、映画的、コミック的オマージュに溢れ、小気味良いテンポで加速してゆく。
シリーズの生みの親であるブライアン・シンガーがプロデュースし、監督は昨年異色のアメコミ映画「キック・アス」で旋風を巻き起こしたマシュー・ヴォーン。
アメコミをこよなく愛する二人の敏腕クリエイターのコラボレーションは、見事シリーズ最高傑作として結実した。
冷戦が激化する1960年代。
テレパスのチャールズ(ジェームス・マカヴォイ)は、幼馴染で変身能力を持つレイヴン・ダークホルム(ジェニファー・ローレンス)と共に、CIAに協力する事になり、米ソの対立の裏側で元ナチスのミュータント、セバスチャン・ショウ(ケビン・ベーコン)が暗躍している事を知る。
ひょんな事から、ショウに復讐心を燃やす強力なミュータント、エリック・レーンシャー(ミヒャエル・ファスベンダー)と出会ったチャールズは、既に“ヘルファイア・クラブ”というミュータントの軍団を組織しているショウに対抗するために、世界中から隠れたミュータントをリクルートする事にする。
だが、テレパスのエマ・フロスト(ジャニュアリー・ジョーンズ)の能力を使って、ソ連軍部を操るショウは、遂に核ミサイルを積んだ貨物船をキューバに向けて出航させてしまう。
もしも貨物船がアメリカの海上封鎖を突破すれば、世界は核戦争に突入する。
チャールズたち急造ミュータントチームは、ショウの野望を阻止するために、キューバに向うのだが・・・
ブライアン・シンガー監督による「X-MEN1&2」、そして監督がブレッド・ラトナーに代わった「ファイナル・ディシジョン」の三部作の前日譚にあたる作品であり、20世紀FOXのアナウンスによれば第一世代のX-MENたちを描く新三部作の第一作である。
自らもゲイのユダヤ人というマイノリティであるシンガーは、元々原作のX-MENにあった反差別、反ナチズムのモチーフをストーリーの前面に出し、単なるアメコミアクションにとどまらない深みを与える事に成功していたが、今回も基本的なテーマは同じ。
エリック・レーンシャーこと少年時代のマグニートが、ナチス将校だったセバスチャン・ショウに出会うシークエンスから幕を開ける本作は、60年代という公民権運動の時代を背景に展開し、ミュータントという存在が浮かび上がらせる、人間の持つ不寛容とそれがもたらす悲劇をメインテーマに、社会派SFとして十二分に大人の観賞に耐えうる快作となっている。
ショウに母を殺されたショックで、エリックの能力が覚醒する冒頭から、物語が常に動き続ける。
大戦後、ミュータント軍団“ヘルファイア・クラブ”を組織したショウによる世界崩壊の陰謀、チャールズと復讐に燃えるエリックとの運命的な出会いから、世界を救う戦いを経て、袂を別った二人による“X-MEN”と“ブラザーフッド・オブ・エビル・ミュータンツ”の結成までが、僅か131分の間に一気に描かれてゆくのだから、中ダレする時間帯など一切無く、怒涛の勢いで我々のよく知るシリーズの世界観が構築されて行く。
しかも物語の背景になるのは、実際に世界が核戦争の瀬戸際まで追い込まれた、あのキューバ危機である。
歴史的事件の裏側に、実はスーパーヒーローがいたというのは、アメコミ設定の王道の一つだが、絵空事の物語を我々の世界にグイッと引き寄せる効果があることは間違いない。
この映画作家にとっては魅惑的な舞台装置を使って、マシュー・ヴォーンはショーン・コネリー時代の007映画へのオマージュたっぷりに、ある種のスパイ活劇として新たなX-MENの物語を構築している。
本作の設定と同じ62年に公開された、007シリーズ“第一作”「ドクター・ノオ」のオープニングをモチーフにしたエンドクレジットのグラフィカルなデザインなど、007ヲタクが観たら感涙物だろう。
初出動するX-MENのコスチュームが、シックで現代的なシンガー版と違い、コミック初期のド派手なデザインなのもアメコミファンにはたまらない。
もちろん、冷戦時代を舞台にした超人たちのチームによる世界を救う戦いと言えば、我々日本人にとっても石ノ森章太郎の「サイボーグ009」や小松左京の「エスパイ」といった名作があるわけで、意図された事ではないだろうが、日本の映画ファンにとっても懐かしいコミック的、映画的記憶を刺激される作品になっており、その意味では若者よりも中年以上のオールドファンの方が楽しめるのかもしれない。
そしてこのシリーズの魅力の一つが、ユニークな能力を持つミュータントたちのキャラクター。
今回は、大雑把に言えば、オリジナルシリーズにも登場する、プロフェッサーX、マグニート、ミステーク、そしてビーストの四人が主にドラマ部分を担当し、新登場のバンシーやアザゼルといったキャラクターはそれぞれの能力を生かしたアクション要員。
後にプロフェッサーXとマグニートとして敵対する事になる、チャールズとエリックの出会いと友情、対立と別れのドラマは、後にミスティークと呼ばれるレイヴンとビーストとなる科学者のハンクの、ミュータントの異形の容姿に関する切実な葛藤と上手く絡み合い、この物語の影に潜む人間の不寛容と差別の問題を浮かび上がらせる。
特にナチスによって迫害されたエリックが、今度は似たような恐れから来る選民思想に取り付かれ、大戦後イスラエルを建国したユダヤ人と、パレスチナ人の対立の歴史を連想させるのは、痛烈な皮肉だ。
もはや「ナルニア国物語」のタムナスさん役の・・・とは言われない、ジェームス・マカヴォイがチャールズを好演。
ハゲネタのギャグはあまりパトリック・スチュワートには似てなくて、ハゲそうもないからだろうか。
マカヴォイとは、傑作テレビシリーズ「バンド・オブ・ブラザース」のキャスト繋がりでもある、ミヒャエル・ファスベンダーがエリックを演じる。
脇では“ヘルファイア・クラブ”のテレパス、エマ・フロストを演じるジャニュアリー・ジョーンズが、「アンノウン」に続いて見事なファムファタールっぷりを発揮し、正に60年代のボンドガールのムードそのもの。
ミステークを演じた若き演技派ジェニファー・ローレンスも、さすがにゴージャスな大人の女の魅力では適わない。
因みに、オリジナル・シリーズからは二人がカメオ出演・・・という割には目立ってるので、探すまでも無いけど。
毎回恒例だったスタン・リーの出演は、IMDBによると今回は何故か無かったようだ。
「X-MEN::ファースト・ジェネレーション」は、大人の観賞に耐えるテーマ性と物語の面白さを持ちながら、アメコミならではのキャラクターやド派手なアクションも満載、60年代のレトロテイストを隠し味にした豪華なアメリカンディナーだ。
まあ、覚醒したエリック少年はなぜ真っ先にショウを殺さないのか?とか突っ込みどころも多々あるものの、ミュータントたちの大冒険にワクワクしているうちに、そんな些細な事はどうでもよくなってしまうのである。
なんちゃってヒーローを描いた「キック・アス」で大ブレイクしたマシュー・ヴォーン監督は、今回本物のアメコミ・ヒーロー映画で、このカテゴリにおける第一人者のポジションを確立したのではないか。
次回作はヒット・ガールを主人公にした「キック・アス」の続編だそうだが、これだけのクオリティを観せつけられると、出来ればこっちの残り二本も続投してもらいたいものだ。
今回は、X-MENたちの最初の活躍の地となるキューバから、1878年創業と一世紀以上の歴史を誇る銘柄「ハバナ・クラブ 7年」をチョイス。
元々キューバ危機は、カストロやゲバラによる革命に端を発する訳だが、革命による外国資本の撤退はキューバの酒造メーカーにも大混乱を引き起こす。
革命政府は、乱立するメーカーの統廃合を進め、革命後長らく輸出用のラム酒は全てこの「ハバナ・クラブ」銘柄に統一されていた。
この7年物は適度に熟成が進んで、まろやかでコクがあり、甘みも程よく、バランスの良いお酒だ。
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