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マイティ・ソー・・・・・評価額1550円
2011年07月07日 (木) | 編集 |
あまりにも傲慢過ぎて、神々の国から追放されたマッチョな雷神の活躍を描くアクション大作。
1962年の登場以来、半世紀に渡って愛されている、マーベルコミックの人気シリーズ「マイティ・ソー」の初の実写映画化である。
北欧神話をモチーフにした魅力的なキャラクターたちと、VFX満載のスケールの大きなビジュアル、おバカなギャグの数々が、いかにもアメコミ映画らしい適度に緩い物語を彩り、夏休み映画らしくスカッと楽しめる一本だ。
※一部ネタバレ注意

オーディン王(アンソニー・ホプキンス)の総べる神々の国アスガルド。
王の息子で、あらゆる物を破壊できる武器ムジョルニアを持つソー(クリス・ヘムズワース)は、最強の戦士として将来を期待されていた。
しかし、増長したソーは、対立する氷の巨人の国ヨトゥンヘイムへと勝手に攻め込み、アスガルドに戦乱の危機をもたらしてしまう。
激怒したオーディンは、ソーから神の力とムジョルニアを奪い、人間たちの世界ミッドガルド(地球)へと追放する。
ワームホール理論を研究する天文学者のジェーン(ナタリー・ポートマン)は、地球に落ちて来たソーに偶然遭遇し、成り行き上面倒を見る事に。
慣れない地上での人間としての生活の中、ソーはジェーンたちとの交流を通して、少しづつ謙虚さを学んで行く。
だが、その頃アスガルドでは、ソーの弟ロキ(トム・ヒデルストン)による裏切りと陰謀が密かに進行していた・・・・


監督はなんとケネス・ブラナー
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身で、映画監督としても「ヘンリー5世」や「ハムレット」などのシェイクスピア物や、名作オペラの脚色版「魔笛」など重厚な作品を手がけてきた人だけに、何でまたアメコミ物を撮ったのか不思議な気がしたが、映画を観て納得。
本作は、元のコミックにキャラクター造形はある程度忠実だが、物語はほぼオリジナル。
アスガルドと地球でのエピソードが交互に描かれるが、どちらかと言うと神々のお家騒動がメインで、地上の人間たちとの物語はそれを補完するという構造になっており、王位継承をめぐるオーディンと二人の息子、ソーとロキの葛藤は、まるでシェイクスピア史劇の様なのだ。
まあ、シェイクスピア自身がギリシャ神話から大きくインスピレーションを受けているのだから、別系統ではあるものの同じく神話をモチーフに400年後に描かれたコミックと共通点があってもおかしくはないのだけど。

とは言っても堅苦しさは微塵も無く、むしろ北欧の英雄神話を上手く現代のアメコミテイストと融合させた、軽妙な娯楽作という印象である。
映画は、いきなり地球に落ちて来たソーが、ジェーンたちに拾われるシーンから幕を開け、間髪入れずに時系列を遡ると、何故ソーが地球へと追放されたのかという、物語のバックグラウンドを描き出す。
ここから一気に30分を費やして語られる、神々の世界のエピソードは大作感十分
ほぼCGで作られたアスガルドのビジュアルは、3D効果もよく考えられており、壮大で美しく、敵対する氷の巨人たちとの大バトルも見応えがある。
巨人に飼われている、まるで“キングシーサー”みたいな巨大怪獣は迫力満点で、ソーの持つムジョルニアの破壊力もスペクタクルに描写される。

が、地球に落ちてきてからの描写は、殆どがニューメキシコの田舎町とその周辺のみで展開する事もあって、一連のマーベル物の中でもかなり地味・・・というか、アスガルドの戦闘マシン、デストロイヤーがソー暗殺を狙って地球に襲来する終盤までは、アクションよりも小ネタのギャグの方が目立つ。
ソーがジェーンの車に何度も轢かれたり、彼を探しに来た友達の神様たちが完全にコスプレの変な人たちだったり、神の力を取り戻したソーが、ムジョルニアを手にして変身するシーンで、ナタリー・ポートマンに「Oh my god!」と駄洒落を言わせてみたり、前半とは一転して緩いアメリカンギャグのオンパレードで、たぶん日本の観客への受けは今一つだろうが、アスガルドのパートとのコントラストになっており、世界観のバランスという点では悪くない。

一方の神々の物語は、王座を狙うロキによる奸計の話になってゆくが、この辺りの展開は、本来の神話の設定を上手く組み込み、なかなかに面白い。
元々北欧神話は、神々と巨人との激烈な戦いを描く戦争神話の色彩が濃く、世界の他の神話と比べてもかなり独特だ。
知識を得るためなら片目を差し出し、自ら首を吊るほどにエキセントリックな主神オーディンと、筋肉バカの雷神トール(ソー)、千里眼を持つヘイムダル、原初の巨人ユミル、奔放な愛の女神フレイヤ、そして巨人の血を引く狡猾なトリックスター、ロキ。
ゲームキャラに使われたりした事で、日本でもかなり知られる様になってきた、神々と巨人、魔物の壮大な戦いは、最終戦争ラグナログにおいて、神々も巨人も世界と共に滅びる「神々の黄昏」という豪快なオチでも有名である。

映画では、アスガルド、地球、巨人の住むヨトゥンヘイムは、それぞれこの宇宙の中の、別の時空に存在する世界という設定になっている。
神々と巨人は嘗て地球を巡って戦った過去があり、今はお互いに不可侵条約を結んで危うい平和が続いているが、根深い疑心暗鬼を拭い去るには至っていない。
オーディンには、力に恵まれたソーと、口の上手いロキという二人の息子がいるが、実はロキは戦いの時に拾われた巨人の子供で、その事をオーディンはずっと隠して育てている。
だが、真相を知ったロキは、兄と父を追い落とし、自分が全てを支配しようとするのである。
神話のロキはオーディンとは義兄弟なのだが、身の上を知らずにソーと共に兄弟として育てられたという脚色は、アメコミの世界に古典悲劇の要素を融合させ、ブラナーとの意外なマッチングの良さをもたらしている。

もっとも、この映画の物語は、我々日本人にはより身近に感じるのではないか。
荒ぶる神ソーのアスガルド追放は、北欧神話よりもむしろ日本神話におけるスサノオを思わせる。
もちろん神の追放というモチーフは他の神話にもしばしば見られるが、豪放磊落でマッチョな神様が、その乱暴さを諌められ、力を奪われて人間界に追放されるという辺りは、ほぼ同じと言って良いし、スサノオはソーと同じく雷神、農耕神としての属性もあるので、両者の類似性はかなり色濃いのである。
もしかしたら半世紀前にこの話を作る時に、日本神話も参考にされたのだろうか。

ところでソーといえば、マーベルコミックのヒーローチーム、“アベンジャーズ”の中核メンバーの一人。
チームメイトのアイアンマン、ハルクに続いてソーの登場で、残るピンのメンバーはもうすぐ映画が公開のキャプテン・アメリカのみとなった。
映画版「The Avengers」も、いよいよ来年5月4日の全米公開が決まった事もあり、本作はその前章という色彩も強い。
故に「アイアンマン2」にも出てきたシールドのコールソン捜査官が、ロキの送り込んだデストロイヤーを見て、トニー・スターク(アイアンマン)の作ったロボットと勘違いするなど、作品間のつながりを強調する描写が多いのも特徴だ。
本作では、ジェレミー・レナー扮するもう一人のヒーロー、ホークアイがチラリと姿を見せているあたりもファンとしては嬉しいが、今回はコスチュームを着てない事もあって、知らない人には単なるスナイパーにしか見えないかも。
だが、このアベンジャーズ括りが物語から自由度を奪っている事も間違いなく、本作単体ではあまり意味を持たないシールド関連の描写にかなり尺を使ってしまった結果、地球パートの人間ドラマが希薄化してしまっている。
地球に落ちて来た神様のカルチャーギャップや、ソーとジェーンの心の交流の部分は、少々あっさりし過ぎており、故にソーの改心とジェーンとの恋愛モードもやや唐突に感じる。
ブラナーには神々の間の愛憎劇に注ぎ込んだ位の情熱を、出来れば人間と神との間にも見せて欲しかった。
因みに、お馴染みのエンドクレジット後のオマケも含めて、アベンジャーズの存在を知らないとサッパリ訳がわからない描写も多い。
まあその辺りはスルーしても特に問題はないのだけど、本作を観賞する前には「アイアンマン1&2」を、出来れば「インクレディブル・ハルク」も観ておく事をお勧めする。

今回は、劇中でソーが飲んでいたマッチョな酒「ボイラー・メイカー」をチョイス。
ジョッキにビールを注ぎ、そこにショットグラスに入れたバーボンを沈めるだけ。
一説にはボイラー建設の作業員が発案したとも言われるが、世界中にバリエーションのあるビール+蒸留酒の、所謂“爆弾酒”で、悪酔い必至。
弱い人なら一杯持たずに酔いつぶれる。
ソーの故郷の北欧では、バーボンの変わりにウォッカを入れたりもするのだそうな。

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