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探偵はBARにいる・・・・・評価額1650円
2011年09月13日 (火) | 編集 |
昭和テイストの和製ハードボイルド。
北の大地の歓楽街、札幌はススキノを舞台とした東直己の小説、「バーにかかってきた電話」を原作に、あの「相棒」を大ヒットさせたチームが新たに作り上げた「探偵はBARにいる」は、いかにも東映らしい懐かしくも痛快なプログラムピクチャだ。
レトロなバーを事務所代わりにする探偵“俺”と、農大生にして空手の達人という相棒“高田”が一本の電話を切っ掛けに、ススキノを揺るがす大事件の謎に挑んで行く。
主演コンビを演じる大泉洋松田龍平のコミカルな掛け合いも楽しく、これは是非シリーズ化を期待したい快作である。
※ネタバレ注意

ススキノのバー“ケラーオオハタ”を根城とする探偵“俺”(大泉洋)の元に、ある夜“コンドウキョウコ”と名乗る女から奇妙な依頼の電話がかかってくる。
キケンな香りを感じつつも、高額のギャラに釣られて仕事を請けた“俺”は、いきなりヤクザに捕まってもう少しで生き埋めにされる羽目に。
予想外の事態に怒りの収まらぬ“俺”に、再び“コンドウキョウコ”からの電話が入る。
“俺”は相棒の高田(松田龍平)と共に、彼女の依頼の裏側を探るうちに、いつの間にか一年前に起こったある殺人事件の真相に近づいてしまう・・・・。


作り手の、豊富な映画的記憶に裏打ちされた作品だが、観ながら特に二本のタイトルを強く連想した。
一本目は、今年5月に公開された「まほろ駅前多田便利軒」である。
共にバディムービーで、その片割れを演じているのがどちらも松田龍平という時点でかなり印象が被るのだが、作品世界全体が「傷だらけの天使」や「探偵物語」と言った70年代作品のテイストに、強くインスパイアされているあたりも共通する。
違いは、日常に根ざした人間ドラマを目指した「まほろ駅前~」に対して、こちらはグッとハードボイルドの色彩が強い事だろうか。

主人公の探偵を演じた大泉洋が抜群に良い。
この人はシリアスからコメディまで、何でも出来る才人だが、今回は彼の持つ特質が全て出た当り役と言える。
重すぎず、軽すぎず、浅すぎず、深すぎず、とにかくキャラが立っていてバランスが良いのだ。
実際にやっていることは相当に嘘くさいにも関わらず、この人が演じるとそこに生身の人間としての説得力が生まれるのである。
探偵とバディを組む高田役の松田龍平も、ますます父上の面影が強くなっているが、相方に負けず劣らぬインパクト。
北大で学ぶエリートでありながら、空手の達人にして探偵の運転手としてオンボロ車を乗り回す。
このあたりの設定は、ちょっと「グリーン・ホーネット」のブルース・リーを思わせるが、松田龍平の飄々としたキャラクターが、少年漫画的熱血漢の探偵と良いコントラストになっている。

彼らだけでなく、俳優達は皆楽しそうに自分の役を演じている。
「ノーカントリー」のハビエル・バルデムの様な、妙な髪形をしたヤクザの殺し屋は、高島政伸が新境地を見せ、彼とは対照的な仁義に生きる古典的ヤクザを松重豊、バイセクシャルの新聞記者に田口トモロヲ、事件の鍵となる霧島社長役に西田敏行ら、脇を固める豪華な名優たちの味わい深い演技も見所だ。
何しろ今が旬の吉高由里子を、観客をミスリードさせる意図もあるのだろうが、驚く様な小さな使い方をしているのだから贅沢だ。
そして探偵たちを事件に巻き込む、ミステリアスなファムファタールが、小雪演じる高級クラブのオーナー、沙織だ。
コンドウキョウコの電話を受けた探偵は、事件を追ううちに彼女が一年前の放火殺人で既に亡くなっている人物である事を突き止める。
そして別の殺人事件で夫を失った未亡人の沙織が、実はコンドウキョウコなのではないかと推測するのである。
果たして電話の女の正体は誰なのか、一見無関係の二件の殺人の裏には、どんな秘密が隠されているのか、探偵と高田は電話の声に導かれる様にして、徐々に核心に迫ってゆく。

脚本の須藤泰司と古沢良太は相当な映画マニアと見える。
「傷天」から「グリーン・ホーネット」まで、古き良きプログラムピクチャを強く意識させる本作だが、物語の終盤に銃声と共に明らかにされる事件の全貌は、フランソワ・トリュフォーの異色作「黒衣の花嫁」が元ネタだろう。
そう、この物語は愛する人を奪われた悲しき女の復讐譚であり、探偵は知らず知らずのうちに彼女の計画の地ならしの役割を演じているのである。
「依頼人は絶対に守る」はずが、実は自ら地獄を選択した女の後押しという、正反対の事をしてしまっている皮肉。
それまで殆ど出ずっぱりの主役である探偵が、全く蚊帳の外になってしまう凄惨な復讐のシークエンスは、ある種のアンチクライマックスであり、明るい、笑える、泣けるなどのわかりやすいキーワードが幅を利かせる邦画界への、テレビと言う枠内で立派な“映画”を作って来たチームからの痛烈なアンチテーゼに思える。
橋本一監督の安定感抜群の演出もテンポ良く、ほろ苦い切なさと共に哀愁のある余韻を残す、なかなかに高度な大人のエンターテイメントである。

さて、この映画を観ながら連想したもう一本のタイトルとは実は「ルパン三世」だ。
アーノルド・シュワルツェネッガーが、ターミネーター役を演じるために生まれてきた様に、私は大泉洋はルパン三世を演じる事が運命付けられているのではないかと思う。
クールで軽妙、それでいながら心に熱血の血潮を燃やす本作の探偵像は、まんまダイレクトにルパンなれそうだ。
飄々としたポーカーフェイスながら、やるときはやるアクション派の松田龍平も、五右衛門のキャラクターにピッタリ。
この二人に、本作と似たテイストを持つ「まほろ駅前多田便利軒」から、瑛太に次元大介役で参戦してもらえばもう理想のルパン・キャストの完成だ。
銭形警部役には、本作でバルデム風ヤクザを演じた高島政伸でも面白いのではないか。
予想を上回るクリーンヒットとなった本作、多分シリーズ化は確実だろう。
実写ルパンは別企画も進んでいる様だが、是非このチームでも作ってもらいたいものである。

さて、本作でファムファタールを演じている小雪といえば、やっぱりハイボールのCMが印象的だが、ここはちょっと捻って劇中で高田が何時も飲んでいる「バーボンソーダ」をチョイス。
ん?一緒じゃないのと思う人もいるだろうが、基本的にバーボンソーダはバーボンウィスキー限定のソーダ割り。
ハイボールは一般的にスコッチウィスキーを使う事が殆どなので、この二つの差は大麦ベースのスコッチとトウモロコシベースのバーボンの違いという事になる。
舞台がだだっ広い北海道という事もあり、何となく本作のイメージしてる“ハードボイルド”は、ヨーロピアンよりもアメリカンな気がするので、観賞後は渋いバーでバーボンソーダをオーダーして、探偵気分に浸りたい。

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