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ミケランジェロの暗号・・・・・評価額1600円
2011年09月20日 (火) | 編集 |
隠されたミケランジェロの絵画を巡る、オーストリア発の戦争サスペンス。
ドイツがイタリアとの同盟を強化すべく、ムッソリーニへの手土産にしたミケランジェロは、実は贋作。
本来の持ち主であるユダヤ人画商と、必死に絵を探すドイツ軍との騙し合いは、裏切りと駆け引きの連続で先を読ませない。
果たして本物の絵はどこにあるのか、主人公たちは無事スイスへの脱出を果たせるのか、緊張感と適度なユーモアの緩急も巧みで、作り手との知的なゲームを楽しめる濃厚な1時間46分だ。
※一部ネタバレあり。

風雲急を告げる1938年のウィーン。
ユダヤ人画商のカウフマン家は、数百年前にイタリアから盗まれたミケランジェロの絵を家宝として所有していた。
一家の息子ヴィクトル(モーリッツ・ブライブトロイ)は、ある時幼馴染のルディ(ゲオルク・フリードリヒ)に絵の隠し場所を教えてしまう。
だが、実はルディは密かにナチスに入党していて、オーストリアを併合したドイツ軍によって絵は奪われ、一家は収容所に送られてしまう。
時は流れ1943年、イタリアとの同盟強化を望むドイツは、ミケランジェロの寄贈を条件にムッソリーニの訪独を画策するが、カウフマン家から奪った絵は、贋作であることが判明する。
命令を受けたルディは、収容所からヴィクトルを連れ出し、本物の絵の在り処を聞き出そうとするのだが・・・・


「ミケランジェロの暗号」というから、「ダ・ヴィンチ・コード」の様に、絵そのものに暗号が隠されているのかと思ったら、実はそうではなくてカウフマン一族の長であるヤーコプが、息子のヴィクトルに伝えた本物の絵の在り処を示す暗号の事だった。
原題は「MEIN BESTER FEIND」で「私の最高の敵」という意味だそうである。
ここで言う“私”とは主人公のヴィクトル、“最高の敵”とは彼の幼馴染にしてナチス将校となったルディの事だろう。
ヴィクトルは裕福なユダヤ人画商の跡取り息子、ルディはカウフマン家の使用人の息子だが、兄弟の様に育ったことで、ヴィクトルはルディに心を許しているのだが、一方のルディはヴィクトルに劣等感を抱いている。
二人ともレナという同じ女性に恋し、彼女がヴィクトルを選んだ事も、ルディに裏切りを決意させた要因だろう。
原作・脚本のパウル・ヘンゲは、この数奇な運命によって結び付けられた、対照的な二人の男の対立と葛藤を軸に、様々な要素を彼らに絡める形で物語を展開する。
ナチスのスパイとなったルディは、絵の隠し場所を聞き出すと、ドイツ軍のオーストリア侵入と共に、ナチスSSの制服でヴィクトルの前に姿を現す。
一夜にして立場が入れ替わり、今度はルディが時代の勝ち組となり、哀れカウフマン一族は絶滅収容所送りになるのである。

ところが、カウフマン家から奪ったミケランジェロが贋作と判定された事から、事態は大きく動き出す。
ナチスの台頭を予感した当主のヤーコプが、いつの間にか本物とすり替えていたのだが、収容所に送られてから既に5年が経過し、本人はとっくに死亡している。
唯一の秘密の継承者と目されたヴィクトルと、彼から本物の在り処を聞き出す事を命じられたルディの運命が再び交錯し、物語は一瞬たりとも気を抜けないサスペンスフルな展開に突入するのである。
ぶっちゃけ、本物のミケランジェロに関しては、ヤーコプからヴィクトルに届けられた暗号と、ウィーンでのレナとルディの会話から、簡単に隠し場所の予測が付いてしまうので、作劇上はマクガフィンの様な物。
お話の興味は、絶体絶命の状況から、如何にしてヴィクトルがサバイバルするのかと、最終的に絵が誰の手に入るのかに絞られる。

移送されるヴィクトルとルディを乗せた輸送機がレジスタンスに撃墜され、上手い具合に二人だけが生き残ると、ヴィクトルはレジスタンスに捕まる事を恐れるルディに、自分の囚人服を着せる。
ところが、現れたのはレジスタンスではなくドイツ軍
とっさに隠そうとしていたルディの制服を着込んだヴィクトルは、自分こそがSS大尉のルディだと欺いてドイツ軍に侵入するという大胆な行動に出る。
本物のルディがいくら真実を言っても、ネットで顔を確認する事も出来ない時代、SSの制服を着こなしたヴィクトルを疑う者はいない。
ミケランジェロの贋作を掴まされたルディが、今度は自分の贋作によって追い詰められるのだから、なんともシニカルな設定である。
彼ら二人のやり取りは、極めてスリリングではあるが、演じる役者のどこか三枚目的なキャラクターもあって、適度なユーモアが物語のスパイスとして効いている。
そういえば、ユダヤ人がドイツ軍から逃れるために、逆にドイツ軍人に成りすまし、ユダヤ人の特徴である割礼の痕をひた隠すあたりは、大戦下を生き抜くユダヤ人少年を描いたヘンゲの代表作「僕を愛したふたつの国/ヨーロッパヨーロッパ」でも見られたモチーフだ。

言わば獅子身中の虫となったヴィクトルは、ドイツ軍を騙して収容所の母を釈放させ、スイスへと脱出する事を試みるのだが、そのカギを握るのは、今はルディの婚約者となったレナである。
はたしてカウフマン家から託された財産を守るため、打算的にルディと婚約していたレナは、あっさりとヴィクトルとよりを戻す。
ここまでくると、信じていた相手も含め周りの全てが虚飾という事になるルディが少し可哀想になってくる(笑
スイスへの脱出作戦の進行と共に、ベルリンとウィーンのドイツ軍がいつ本当の事に気づくのかというサスペンスが、物語を一気に盛り上げるかと思われた時、なんとミケランジェロを巡る攻防戦は、ムッソリーニの失脚とイタリアの敗戦によって腰砕けとなってしまうのである。

だがここから、本作は更に二捻りほどしてくるのだ。
戦後収容所から出所したヴィクトルは、戦時中に撮られたSSの制服の写真からルディと間違われて戦犯として逮捕されてしまい、本物のルディはちゃっかり画廊のオーナーに納まり、悠々自適の戦後を送ろうとしている。
自分自身の仕掛けた罠に嵌ったヴィクトルは、何とか誤解を解いて釈放されると、ルディ相手の最後の勝負に挑むのである。
正直戦後のシークエンスはもう少し時間をかけて描いて欲しかった気もするが、映画全体とのバランスもあり、難しいところだ。
ミケランジェロの絵に翻弄された二人の男の、おそらくは人生最後の邂逅のシーンは、彼らの複雑な心中を想像させ、痛快だが少しだけビターな余韻を残す味わい深いものであった。
「ヒットラーの贋札」「ゴーストライター」が好きな人にお勧めの一本だ。

今回は、毎年クリスマスに発売される事で知られるオーストリアはキャッスル社の長期熟成ビール「サミクラウス」をチョイス。
「サミクラウス」とはスイスドイツ語でサンタクロースという意味。
独特のモルト香とブランデー香が混ざった様な濃厚な香りと、アルコール14度以上のパワフルなボディをもつ独創のビール。
長期熟成が前提なので、大体5、6年位からが飲み頃と言われる。
ミケランジェロの絵ほどではないが、味わうには時の流れと我慢が必要な一本だ。

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