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ランゴ・・・・・評価額1600円
2011年10月21日 (金) | 編集 |
西部劇魂!

三部作で全世界累計27億ドルを稼ぎ出した、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの生みの親、ゴア・ヴァービンスキー監督ジョニー・デップの黄金コンビが復活。
今度の冒険の舞台は、大海原から一転、不毛の荒野と奇岩が連なるワイルド・ウェストだ。
とは言っても、これは何と3DCGアニメーション。
人間に飼われていたお調子者のカメレオンが、冒険を通してニセモノの勇者からホンモノへと成長してゆくという、「サボテン・ブラザーズ」や「ギャラクシー・クエスト」の系譜に連なる作品である。
「ランゴ」というタイトルをはじめ、ウェスタンへのオマージュとパロディたっぷりの映像も楽しい。

灼熱の大地が広がるアメリカ西部、モハベ砂漠。
事故で車から投げ出されたカメレオン(ジョニー・デップ)は、何とか動物たちの暮らす小さな街へと辿り着き、自分を西部の英雄“ランゴ”と名乗る。
偶然、一発の銃弾で街の天敵であるレッドテールホークを倒した事から、ランゴは亀の町長(ネッド・ベーティ)から保安官に任命される。
だが就任早々大事件が勃発。
砂漠の街で一番貴重な水が出なくなり、銀行に保管されていた残り僅かな水までもが強盗団に盗まれてしまったのだ。
ランゴは、父の農場を守る男勝りのビーンズ(アイラ・フィッシャー)や街の男たちと共に、水を取り返す為の追撃隊を組織するのだが、実は事件の影には恐るべき陰謀が隠されていた・・・


人は誰でも、自分自身の物語から逃げ出す事はできない。
水槽の中で虚構の生を送ってきた、名も無きカメレオンが歩むべき物語とは?
「グラディエーター」や「ラスト・サムライ」といった漢の映画で知られる脚本のジョン・ローガンは、西部劇の設定に外の世界を知らないカメレオンの成長物語を組み合わせ、なかなか観応えのあるエンターテイメントとして成立させている。
カメレオン故に物真似は得意。
最初は他のガンマンの歩き方まで真似ようとしていたランゴが、ひょんな事から本物の保安官となり、次第に借り物ではなく、自らの物語を歩み出すプロットは、王道とは言え良く出来ている。

主人公のカメレオン、ランゴを演じるのは、もちろんジョニー・デップ
ヒロインで、父の残した農場を一人守っている砂漠イグアナのビーンズに、「お買い物中毒な私!」の名コメディエンヌ、アイラ・フィッシャー
他にアルフレッド・モリナーアビゲイル・ブレスリンといった芸達者が脇を固め、敵のボスキャラ、ガラガラ蛇のジェイクには「パイレーツ」繋がりの名優ビル・ナイ
いかにも胡散臭そうな亀の町長役に、「トイ・ストーリー3」で主人公たちを危機に陥れるピンクの熊ロッツオを演じた、ネッド・ビーティを当てている辺りは配役も芸が細かい(笑

それぞれ動物にカリカチュアされているものの、どこか本人のムードを留めるキャラクターで、美しいCGアニメーションを作り上げたのは、ルーカス・フィルム傘下の世界最高峰のVFXスタジオであるILMだ。
ILMは、2000年にも実験的な短編キャラクターアニメーション、「Work in progress」を制作したりして、着実にノウハウを蓄積していたが、ピクサーの分離独立後四半世紀を経て、ようやくというか、遂にというか、本格的にアニメーションフィーチャーフィルムへの参入を果たした。
写実的でありながらアニメーション的でもある独特の世界観は、ILMのクルーが参加した「WALL・E ウォーリー」の前半部分に近いが、その映像的なクオリティはさすがの一言。
まるでモハベ砂漠の一角に、進化した動物たちの暮らす街が、本当に存在しているかの様に錯覚してしまいそうだ。

この独特の世界観に展開するのは、数々の名作映画のパロディとそれに絡めた大冒険。
俎上に上がる映画はセルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタンを筆頭に多くの西部劇、そしてコッポラ、ルーカス、ポランスキーにギリアム、果てはコーエン兄弟まで。
タイトルロールである主人公のネーミングも、嘗てフランコ・ネロが演じたキャラクター“ジャンゴ”へのオマージュと思わせつつ、実は67年にABCが放送していた間抜けなテキサスレンジャー、“ランゴ”が活躍する同名のC級テレビドラマが元ネタであろう。
因みに、亀の町長からランゴがもらうバッジは通常の星型ではなく、輪の中に星を配したテキサスレンジャーと同タイプである。
ランゴの見るシュールな夢の描写などは、ちょっと「パイレーツ3」のスパロー船長の白日夢の様で、このあたりはヴァビンスキーのセルフ・パロディか。
マカロニを飛び出し、西部版「地獄の黙示録」&「スターウォーズ」となる追撃戦シークエンスのスピード感と迫力は、正にILMの真骨頂だ。

しかし、ヴァビンスキーの映画的記憶のハイライトは、やはりランゴがホンモノの勇者となる為に、その名も“Spirit of the West”に出会うシーンだろう。
何しろそれは、ゴルフカートに乗った“あの人”なのである。
声を担当しているのはティモシー・オリファントだが、低くくぐもった声色まで似せているので、本人かと思ったほど。
保安官という肩書きを与えられ、ちょっとした大物気分で調子にのっていたランゴは、水の支配を目論む亀の町長の遠大な陰謀と、冷酷な殺し屋ジェイクの圧倒的な力の前に、ただの無力なカメレオンである事を思い知らされる。
街の人々の失望と共に、自らバッジを外して街を出たランゴは、死を求めて荒野をさ迷うのだが、これは虚構の生しか知らないランゴにとってはネイティブ・アメリカンの若者の成人の儀式“ビジョン・クエスト”の様な物。
ランゴはビジョンの代わりに“Spirit of the West”に出会う事によって、本物の西部男の生き様とは何かを考え、いよいよ自分自身の物語を歩みはじめるのである。

“be a hero”
Spiritの言葉を受け止めて、ランゴが知恵を巡らせ巨悪に立ち向かうクライマックスは痛快だ。
一発の弾丸で七人を殺した伝説の男でなくても、生きるために水を求める皆の気持ちは纏められる。
一見不毛な荒野だが、その地下深くには豊かな水が流れているワイルド・ウェストは、言わば人生のステージのメタファーだ。
はたして自ら水を探し当てて、本物の勇者となれるのか、それとも肩書きに錯覚したまま、誰かの掌の上で干からびて死ぬのか。
ユーモラスな物語の端々には、結構本質的な問いが投げかけられている。
老若男女が楽しめる良質の娯楽映画だが、物語の核心部分は大人にこそ突き刺さってくるだろう。

今回は、やはりテキーラストレート。
ロバート・デ・ニーロが愛飲している事でも知られる、本場メキシコの高級品「ポルフィディオ アホネ 39度」をチョイス。
花をつけたサボテンのボトルは、正に本作で描かれた砂漠の中の豊潤を思わせるが、中身の方も芳醇な香りと濃厚な味わいのバランスが抜群。
雑味は全く感じられず、ストレートで飲むのが一番美味しいテキーラである。
これを飲み続ければ、いつか“Spirit of the West”に会えるかも知れない?

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