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ラビット・ホール・・・・・評価額1600円
2011年11月08日 (火) | 編集 |
ウサギ穴の先にあるのは、不思議の国?それとも・・・

幼い息子を事故で亡くした夫婦の、喪失と再生の道程を描くヒューマンドラマ。
原作は、ピューリッツア賞に輝いたデヴィッド・リンゼイ=アベアーによる2005年の戯曲で、この作品に感銘を受けた二コール・キッドマンが自らプロデュース・主演を兼ねて映画化に動き、原作者自身によって脚色されている。
監督は「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」で脚光を浴びたジョン・キャメロン・ミッチェル

ニューヨークの郊外に暮すベッカ・コーヴェット(二コール・キッドマン)と夫のハウイー(アーロン・エッカート)は、8ヶ月前に一人息子のダニーを不慮の事故で亡くした。
ダニーの思い出を大切にしながら、少しでも前に進もうとするハウイーと、息子の面影から目をそむけ、家の中からダニーに関するものを消し去ろうとするベッカとの仲は、段々とギクシャクしたものになってしまう。
妹のイジー(タミー・ブランチャード)の妊娠を効かされても、ベッカの心はかき乱されて素直には喜べない。
そんな時、ベッカはダニーを轢いた車を運転していた、高校生のジェイソン(マイルズ・テイラー)と、偶然の再会をする・・・


繊細な心理劇である。
「不思議の国のアリス」で、アリスは白ウサギを追いかけて、ウサギ穴に落ちてしまい、その先に広がるファンタジーワールドで冒険を繰り広げるが、本作では犬を追いかけて車道に飛び出した息子、ダニーが交通事故で帰らぬ人となってしまう。
心にぽっかりと穴が開いてしまった夫婦は、同じ悲しみを抱いていても、弔いの仕方は違う。
ハウイーは、ダニーの思い出を抱いたまま、少しずつでも人生の時計を前に進めようとする。
だが事故を防げなかった自責の念に囚われた専業主婦のベッカは、日がな一日息子の面影に満ちた家にいて、息の詰まりそうな日常を送っている。
思い出と共に生きたいハウイーと、思い出のもたらす痛みから逃れたいベッカ。
映画はこの二人の葛藤を縦軸に、ベッカの実家の家族と、ダニーを轢いたジェイソンとの絡みを横軸として絡ませる。

ダニーの記憶そのものを封印し、悲しみに蓋をしようとするベッカは、思い出の品をしまい込み、大量の子供服を持って実家を訪れる。
見るからに裕福そうなベッカの家に対して、実家は典型的な低所得者用住宅で、決して経済的に恵まれてはいない。
妊娠中の妹は素行の悪い問題児で、実家に転がり込んだ彼氏は生活の不安定なミュージシャン。
ベッカの兄は、30歳でドラッグの過剰摂取で亡くなっている。
彼女はそんな生活から抜け出して、富と幸せを掴んだ“勝ち組”のはずなのである。
だが、「子供服は高いからあげるわ」と、妹に上から目線で服を差し出すベッカの傷だらけの心は、家族にはすっかり見透かされて、その事に気づいた彼女はますます自分を嫌になる。
母親が、ドラッグで死んだ兄と交通事故で死んだダニーを同一視して、自分の悲しみを語るのも、そこに成りたくない自分を見る様で余計に心を乱されてしまうのだ。
あくまでも普通にベッカを家族として思いやる母や妹に対して、彼女は悲しみを素直に見せて甘える事が出来ないのである。
おそらく、それは彼女の中で自分がダメな母親だと認める事に等しいからだろう。

閉塞感に苛まれ、夫婦仲も壊れそうになるベッカを救うのは、意外にもダニーを轢いた高校生のジェイソンだ。
偶然、通学中のジェイソンの姿を見かけたベッカは、彼が図書館で返却したパラレルワールドに関する本を借り、ジェイソンに対する興味を募らせる。
彼を責めたいのではない。
事故の原因はダニーが犬を追って車道に飛び出した事で、ジェイソンに過失が無いことはベッカも理解している。
ある日、ジェイソンに声をかけられたベッカは、やがて彼と公園で静かに語らうことが日課となり、その何気ない会話の中にに不思議な安らぎを見出して行くのである。
そんなジェイソンが描いているのが「ラビット・ホール」というタイトルのオリジナル・コミックだ。
亡くなった科学者の父の姿を追って、いくつものパラレルワールドを旅する少年の物語。
「パラレルワールドの中には、皆がハッピーに暮しているバージョンもある」と言うジェイソン。
そう、彼もまたダニーの死によって、心に一生消えない大きな傷を負った一人なのである。

ウサギ穴から繋がる無数のパラレルワールドに、一つとして同じ世界が無い様に、心に開いた穴を埋める方法も人それぞれ違って当たり前。
ジェイソンの様に物語として昇華する人もいれば、ハウイーの様に心に思い出を留めて生きてゆく人もいる。
ベッカが素直になれない実家の母や妹にとっても、ダニーは大切な孫であり甥っ子であり、それぞれに決して小さくない喪失感を抱えているはずなのである。
皆、一つの死がもたらす悲しみや痛みを共有している。
自分は決して、孤立しているのではない。
ようやく、ベッカがその事に気づいた時、彼女とハウイーが見つめる未来は、沢山のウサギ穴から繋がるハッピーエンドの一つだろうか。
パラレルワールドは無数に存在し、それはまだ仮想の未来に過ぎないが、きっと彼らは一番良い道を選ぶだろう。
それまでの悲しみの仮面を脱ぎ捨て、優しい海風を感じながらハウイーと未来を語る、ベッカの穏やかな表情からは、そんな微かな希望が伝わってくる。

本作で、アカデミー賞とゴールデングローブ賞にダブルノミネートされたニコール・キッドマンが、「めぐりあう時間たち」以来の輝きで魅せる。
ここしばらくは作品に恵まれていなかったが、今回は彼女の美しさも、深い演技力も存分に堪能できる嵌り役だ。
夫役のアーロン・エッカートも、「世界侵略:ロサンゼルス決戦」で珍しくマッチョな役柄を演じていたが、やはりこういう家庭的なキャラクターの方がしっくり馴染む。
脇では、二度のオスカーに輝く名バイブレイヤー、ダイアン・ウィーストが、同じ経験をしているからこそ娘と衝突するベッカの母親役を、これが初の大役となる24歳のマイルズ・テイラーが、ベッカと心の交流を深めるジェイソン役を好演している。
テイラーは、「ハング・オーバー!」シリーズのトッド・フィリップス監督の新作「Project X」への出演と、同シリーズの脚本家、ジョン・ルーカスとスコット・ムーアが監督・脚本を務める「21 and over」で初の主役を務める事が決まっており、これからが楽しみな逸材だ。

今回は、美しく歳を重ねているにコール・キッドマンのイメージで、透明感のある白いカクテル「バラライカ」をチョイス。
ウォッカ30mlとホワイト・キュラソー15ml、レモンジュース15mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
アルコール度数は高いが、非常にスッキリとした軽やかなカクテルで、全く腹にもたれない。
このカクテルは、ベースをジンに換えると「ホワイト・レディ」となり、ラムに換えると「XYZ」になり、ブランデーを使えば「サイド・カー」になるという万能レシピだが、多分これがバリエーションの中で一番飲みやすいと思う。
いつの間にか沢山飲みすぎてしまって、パラレルワールドの自分を夢で見られるかも。

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