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2011年11月29日 (火) | 編集 |
ダメ男だってやる時はやる!
「ウォレスとグルミット」シリーズなどのクレイアニメーション作品で知られる、イギリスのアードマン・アニメーションズによるCGアニメーションフィーチャーの第二弾。
サンタ一家のおちこぼれ次男坊、アーサーがたった一個のプレゼントを届けるために巻き起こす、イブの夜の大騒動を描く物語だ。
SFチックなハイテクを駆使した奇想天外なプレゼント配達作戦から、レトロなソリで世界を巡るドタバタ珍道中まで楽しい見せ場が満載で、正しくこの時期にピッタリのファミリー映画である。
監督は、テレビシリーズなどで実績を積み、これが長編第一作となるサラ・スミス。
アーサー(ジェームス・マガヴォイ)はサンタ一家の次男坊。
だが、サンタ・クロースとして世界中の子供たちに愛される父(ジム・ブロードベント)と一晩で20億個のプレゼント配達作戦を指揮する兄のスティーヴ(ヒュー・ローリー)とは対照的に、おっちょこちょいで何に対しても消極的なアーサーは一家の日陰者。
ところがクリスマスイブの夜、一つのプレゼントが置き忘れられている事が発覚。
一つぐらいのミスなら構わないと言う父や兄に納得がいかないアーサーは、引退したお爺ちゃんサンタ(ビル・ナイ)に古いソリを引っ張り出させて、プレゼントの配達に向かうのだが・・・
アードマン史上初のCGアニメとなった前作「マウス・タウン ロディとリタの大冒険」はキャラクターデザインも含めて、クレイアニメのイメージを引きずっていたが、ハリウッド進出以来組んでいたドリーム・ワークスと別れ、新たにソニーピクチャーズをパートナーにして作られた本作は、全く別の手法だと割り切ったのか、3DCGならではの大胆な画作りがなされている。
だが、趣向を凝らしたドタバタに、英国らしい適度にブラックなスパイスを利かせて大いに盛り上げながら、最後にはホロリとさせてテーマに落とし込むのはいかにもアードマン流だ。
今回の物語のフックは、もしもサンタが実在するなら、一体どうやって全世界の20億人もの子供たちに一晩でプレゼントを配れるのか?という誰もが一度は抱いた素朴な疑問。
映画は、冒頭からいきなり「スター・トレック」に出てきそうな巨大な宇宙船に乗ったサンタと妖精たちが登場し、北極にある巨大な基地と連携しながら、「ミッション・インポッシブル」ばりの配達作戦を遂行するシークエンスが描かれる。
コスチュームもどことなく軍隊風のサンタ率いる妖精部隊が、世界中の都市から都市へと秒単位で展開しながらプレゼントを配ってゆく様は、ディテールのギミックも満載で実に楽しい。
そんなサンタ一家にあって、クリスマスの華やかさとは無縁の男が一人。
本作の主人公であるアーサーは、消極的な性格で何をやっても失敗ばかり。
今はしがないメール係として、世界中からサンタに届く手紙を整理する仕事をしている。
次期サンタへの意欲満々な兄のスティーヴに対して、胸の内にはクリスマスへの情熱を秘めているが、自分にはサンタになる能力も意欲もないと思い込んでいるアーサーは言わば閑職に追いやられた精神的引きこもりだ。
だが、仕事としてのクリスマスとは距離を置いているからこそ、ハイテクシステムがたった一個のプレゼントを配達し忘れるというミスを犯した時、許容範囲内のミスと早々に諦めてしまう父と兄の態度を、アーサーは素直には納得できない。
落ちこぼれゆえに、事態を一歩引いた所から見ているアーサーの方が、問題の本質が見えているという構図は、昨年公開された「ヒックとドラゴン」の主人公に通じるものがあるが、アーサーは引退していたお爺ちゃんサンタに、旧式のソリとトナカイたちを引っ張り出させ、イギリスの片田舎で待つ少女のためにプレゼントを届けようとする。
物語の後半は、アーサーとお爺ちゃんサンタの、方向音痴ゆえの世界をめぐる大冒険。
アフリカに行ったり、メキシコに行ったり、ライオンに食べられそうになったり、宇宙人に間違えられて戦闘機に撃墜されたり、やや一本調子が気になるものの、手を変え品を変え見せ場を連続させて飽きさせない。
ちなみに軍がサンタを追跡するというのは、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が毎年“トラックス・サンタ(サンタ追跡)”というサービスを実際にやっていて、今年も間もなく公式サイトがオープンする。
何と日本語版もあったりするのが凄い。
やがてアーサーの奮闘は、基地で爆睡していた父や兄、100万人の妖精たちの知るところとなるのだが、この辺りの展開はある種のビジネス物のメタファーとして観てもなかなか面白い。
どんなビジネスでも、それが成長し巨大になればなるほど、経営者の中で最初の頃に持っていた意欲は薄れ、利己主義や官僚主義の齎す負のスパイラルに陥ってしまいがちである。
なぜサンタは存在するのか、なぜ世界中の子供がサンタを信じるのか。
この根源的な意義に関して、20億分の1など誤差の範囲だと、完全に経営者の論理を振りかざすサンタとその後継者候補よりも、現場の妖精たちがピュアな見解を持っている事は、なんだかスキャンダルに揺れるどこぞの会社を見るようだ。
父がプレゼントを届けるモチベーションは、サンタとして賞賛を受けたいが為、兄は偉大な父を超えて自分を認めさせたいが為、唯一子供の気持ちを考えてアーサーに協力した様に見えたお爺ちゃんサンタも、実は自分を蔑ろにする息子たちを見返したいと思っている。
でも、本来プレゼントを届けるのは、それがサンタの仕事だからでも、賞賛をうける為でもなく、サンタを信じる世界中の子供たち一人一人の心に応えるため。
だから蔑ろにして良いプレゼントなど一つも無いはず。
サンタの資格なしとみなされていたアーサーは、それ故にクリスマスへの純粋な憧れを保ち続け、内面でサンタにとって一番必要とされる心を育てていたのだ。
ジャスティン・ビーバーの歌う「サンタが街にやってくる」の流れるエンディングを迎える頃には、観客は大人も子供も優しい笑みを浮かべていることだろう。
大作が目白押しの冬休み映画の中にあって地味目な扱いだが、老若男女全てが幸せな気分になれる、ハートウォーミングなクリスマス映画の佳作である。
ちなみに、アードマンとソニーピクチャーズのコラボ第二段は、来年公開の「The Pirates! Band of Misfits」で、こちらは本来のクレイアニメーションとデジタル技術を融合した作品となる様で、非常に楽しみだ。
今回は、あったかい気分になれる映画に合わせて、北ヨーロッパの冬の風物詩であるホットワイン。
ドイツ製の「グリューワイン」の赤をチョイス。
マグカップに入れてレンジでチンしても良いし、直接ヤカンで暖めても良い。
ホワイトクリスマスにも体を心からポカポカ温めてくれるだろう。
赤ワイン一本に、蜂蜜大さじ2、砂糖大さじ2、レモン汁1個分、バニラ、シナモン、オレンジピール各適量を加えて煮込む事で自分でも簡単に作れるので、好みの味に仕上げるのも楽しい。
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「ウォレスとグルミット」シリーズなどのクレイアニメーション作品で知られる、イギリスのアードマン・アニメーションズによるCGアニメーションフィーチャーの第二弾。
サンタ一家のおちこぼれ次男坊、アーサーがたった一個のプレゼントを届けるために巻き起こす、イブの夜の大騒動を描く物語だ。
SFチックなハイテクを駆使した奇想天外なプレゼント配達作戦から、レトロなソリで世界を巡るドタバタ珍道中まで楽しい見せ場が満載で、正しくこの時期にピッタリのファミリー映画である。
監督は、テレビシリーズなどで実績を積み、これが長編第一作となるサラ・スミス。
アーサー(ジェームス・マガヴォイ)はサンタ一家の次男坊。
だが、サンタ・クロースとして世界中の子供たちに愛される父(ジム・ブロードベント)と一晩で20億個のプレゼント配達作戦を指揮する兄のスティーヴ(ヒュー・ローリー)とは対照的に、おっちょこちょいで何に対しても消極的なアーサーは一家の日陰者。
ところがクリスマスイブの夜、一つのプレゼントが置き忘れられている事が発覚。
一つぐらいのミスなら構わないと言う父や兄に納得がいかないアーサーは、引退したお爺ちゃんサンタ(ビル・ナイ)に古いソリを引っ張り出させて、プレゼントの配達に向かうのだが・・・
アードマン史上初のCGアニメとなった前作「マウス・タウン ロディとリタの大冒険」はキャラクターデザインも含めて、クレイアニメのイメージを引きずっていたが、ハリウッド進出以来組んでいたドリーム・ワークスと別れ、新たにソニーピクチャーズをパートナーにして作られた本作は、全く別の手法だと割り切ったのか、3DCGならではの大胆な画作りがなされている。
だが、趣向を凝らしたドタバタに、英国らしい適度にブラックなスパイスを利かせて大いに盛り上げながら、最後にはホロリとさせてテーマに落とし込むのはいかにもアードマン流だ。
今回の物語のフックは、もしもサンタが実在するなら、一体どうやって全世界の20億人もの子供たちに一晩でプレゼントを配れるのか?という誰もが一度は抱いた素朴な疑問。
映画は、冒頭からいきなり「スター・トレック」に出てきそうな巨大な宇宙船に乗ったサンタと妖精たちが登場し、北極にある巨大な基地と連携しながら、「ミッション・インポッシブル」ばりの配達作戦を遂行するシークエンスが描かれる。
コスチュームもどことなく軍隊風のサンタ率いる妖精部隊が、世界中の都市から都市へと秒単位で展開しながらプレゼントを配ってゆく様は、ディテールのギミックも満載で実に楽しい。
そんなサンタ一家にあって、クリスマスの華やかさとは無縁の男が一人。
本作の主人公であるアーサーは、消極的な性格で何をやっても失敗ばかり。
今はしがないメール係として、世界中からサンタに届く手紙を整理する仕事をしている。
次期サンタへの意欲満々な兄のスティーヴに対して、胸の内にはクリスマスへの情熱を秘めているが、自分にはサンタになる能力も意欲もないと思い込んでいるアーサーは言わば閑職に追いやられた精神的引きこもりだ。
だが、仕事としてのクリスマスとは距離を置いているからこそ、ハイテクシステムがたった一個のプレゼントを配達し忘れるというミスを犯した時、許容範囲内のミスと早々に諦めてしまう父と兄の態度を、アーサーは素直には納得できない。
落ちこぼれゆえに、事態を一歩引いた所から見ているアーサーの方が、問題の本質が見えているという構図は、昨年公開された「ヒックとドラゴン」の主人公に通じるものがあるが、アーサーは引退していたお爺ちゃんサンタに、旧式のソリとトナカイたちを引っ張り出させ、イギリスの片田舎で待つ少女のためにプレゼントを届けようとする。
物語の後半は、アーサーとお爺ちゃんサンタの、方向音痴ゆえの世界をめぐる大冒険。
アフリカに行ったり、メキシコに行ったり、ライオンに食べられそうになったり、宇宙人に間違えられて戦闘機に撃墜されたり、やや一本調子が気になるものの、手を変え品を変え見せ場を連続させて飽きさせない。
ちなみに軍がサンタを追跡するというのは、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が毎年“トラックス・サンタ(サンタ追跡)”というサービスを実際にやっていて、今年も間もなく公式サイトがオープンする。
何と日本語版もあったりするのが凄い。
やがてアーサーの奮闘は、基地で爆睡していた父や兄、100万人の妖精たちの知るところとなるのだが、この辺りの展開はある種のビジネス物のメタファーとして観てもなかなか面白い。
どんなビジネスでも、それが成長し巨大になればなるほど、経営者の中で最初の頃に持っていた意欲は薄れ、利己主義や官僚主義の齎す負のスパイラルに陥ってしまいがちである。
なぜサンタは存在するのか、なぜ世界中の子供がサンタを信じるのか。
この根源的な意義に関して、20億分の1など誤差の範囲だと、完全に経営者の論理を振りかざすサンタとその後継者候補よりも、現場の妖精たちがピュアな見解を持っている事は、なんだかスキャンダルに揺れるどこぞの会社を見るようだ。
父がプレゼントを届けるモチベーションは、サンタとして賞賛を受けたいが為、兄は偉大な父を超えて自分を認めさせたいが為、唯一子供の気持ちを考えてアーサーに協力した様に見えたお爺ちゃんサンタも、実は自分を蔑ろにする息子たちを見返したいと思っている。
でも、本来プレゼントを届けるのは、それがサンタの仕事だからでも、賞賛をうける為でもなく、サンタを信じる世界中の子供たち一人一人の心に応えるため。
だから蔑ろにして良いプレゼントなど一つも無いはず。
サンタの資格なしとみなされていたアーサーは、それ故にクリスマスへの純粋な憧れを保ち続け、内面でサンタにとって一番必要とされる心を育てていたのだ。
ジャスティン・ビーバーの歌う「サンタが街にやってくる」の流れるエンディングを迎える頃には、観客は大人も子供も優しい笑みを浮かべていることだろう。
大作が目白押しの冬休み映画の中にあって地味目な扱いだが、老若男女全てが幸せな気分になれる、ハートウォーミングなクリスマス映画の佳作である。
ちなみに、アードマンとソニーピクチャーズのコラボ第二段は、来年公開の「The Pirates! Band of Misfits」で、こちらは本来のクレイアニメーションとデジタル技術を融合した作品となる様で、非常に楽しみだ。
今回は、あったかい気分になれる映画に合わせて、北ヨーロッパの冬の風物詩であるホットワイン。
ドイツ製の「グリューワイン」の赤をチョイス。
マグカップに入れてレンジでチンしても良いし、直接ヤカンで暖めても良い。
ホワイトクリスマスにも体を心からポカポカ温めてくれるだろう。
赤ワイン一本に、蜂蜜大さじ2、砂糖大さじ2、レモン汁1個分、バニラ、シナモン、オレンジピール各適量を加えて煮込む事で自分でも簡単に作れるので、好みの味に仕上げるのも楽しい。

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