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2011 unforgettable movies
2011年12月30日 (金) | 編集 |
様々な意味で、激動の年となった2011年
年明けから始まった中東の革命、東日本大震災と原発事故、欧州の金融危機、北の将軍サマの突然の死と、正に波乱万丈な一年だった。
変化を求める人々の願いは行動となり世界を揺るがし、独裁者が次々と倒れ、欧米やロシア、そして勿論日本においても、古き価値観と秩序は力を失いつつある。
今年の漢字に選ばれたのは「絆」だそうだが、私の実感としては「変」である。
そして世に中が波乱の時は、映画が良くなるという昔からのジンクス通り、今年は時代にリンクした秀作が非常に多く、結果「忘れられない映画」も大幅増量である(笑
それでは観賞順に振り返ってみよう。

「ソーシャル・ネットワーク」は、正に時代とシンクロした一本かもしれない。中東革命の火付け役ともなったSNS、フェースブックの誕生に題材をとった物語。世界を作り変える天才達の創造の熱狂と、その裏にある一人の人間としての孤独と冷静。小さな波紋が主人公の心に広がるラストはまことに秀逸だ。

「英国王のスピーチ」は、吃音障害に苦しむ王が、その克服を通してノーブレス・オブリージュ(高貴なる義務)に目覚めてゆく。「ソーシャル・ネットワーク」とのアカデミー賞決戦は、結果的に古きが新しきを破った様な印象になったが、実は題材へのアプローチとしては此方の方が冒険的だったりする。

「塔の上のラプンツェル」は、ディズニープリンセス初のフルCG作品だ。宮崎アニメの影響を色濃く受けた本作は、現代の作品に相応しく行動的なプリンセスによる冒険映画の楽しさに満ちている。無数のランタンが三次元の空間を埋め尽くす幻想的なシーンには誰もが目を奪われるだろう。

「トゥルー・グリット」は、コーエン兄弟による西部劇の古典「勇気ある追跡」のリメイク。物語の構成要素は殆どオリジナルそのままに、演出的な解釈を変えることで、彼らは見事な21世紀の西部劇を作り上げた。圧巻のクライマックスは正にスクリーンでしか体験出来ない奇跡の映画的時間である。

「イリュージョニスト」は、ジャック・タチとシルヴァン・ショメという二人の偉大なクリエイターによる時空を超えたコラボレーション。時に忘れられつつある老奇術師と、彼を魔法使いと信じる少女の奇妙な共同生活。彼女を見つめる奇術師の切ない想いの秘密が明かされる時、映画の魔術もまた解ける。

「メアリー&マックス」は、制作に5年を費やした、アダム・エリオット渾身の力作。監督自身の体験に基づく、中年男マックスと少女メアリーの20年間に及ぶ文通は、そのままに二人の人生の軌跡となり、年齢も性別も国籍をも超えた、絆の物語として結実する。終盤に訪れるあるシーンでは、誰もが涙腺決壊を免れないだろう。

「ビー・デビル」は、韓国の新鋭チャン・チョルス監督による壮絶な復讐劇。絶海の孤島に生まれ育った孤独な女性は、何故凄惨な殺人事件を起すに至ってしまったのか。彼女がビー・デビル=悪魔となる過程には、綿密な伏線が張り巡らされ、彼女の心の叫びは鋭いナイフの様に観客の心に突き刺さる。またまた恐るべき新人監督の出現である。

「孫文の義士団」は、辛亥革命前夜を舞台にした、正に中国映画にしか作り得ない熱血アクション大作。比較的コンパクトな上映時間にも関わらず、多くの登場人物をキッチリと立てる作劇も見事。当時の上海を再現した迷路の様な巨大セットは圧巻だ。今年は辛亥革命100周年という事もあり、関連作品が幾つか封切られたが「新少林寺/SHAOLIN」も観応えのある大作だった。

「八日目の蝉」は、今年最も感銘を受けた日本映画だ。不倫相手の娘を誘拐し、自分の子として育てた女の物語と、成長した娘の物語が時系列をシャッフルして描かれる。原作を非常に映画的に解釈し、再構成した奥寺佐渡子の脚本が見事で、ラストのカタルシスは正に映画でしか味わえない物だ。

「ブラック・スワン」は、鬼才ダーレン・アロノフスキー版「パーフェクト・ブルー」という趣の異色のバレエ映画。ここにあるのは華やかな舞台の魅力では無く、創造のプレッシャーによって追い込まれ、壊れてゆく人間の心の闇だ。ナタリー・ポートマンのダークサイドが一気に開花するクライマックスは、正に戦慄のスペクタクルホラーだ。

「奇跡」は、まるで時代に呼ばれたかの様な作品だ。九州新幹線の一番列車がすれ違う時、奇跡を願うと実現する。そんな都市伝説に導かれた子供たちのロードムービーは、主人公の少年の「家族より、セカイをとってしまった」という台詞によって、3.11以降の世界に向けて大いなる問を投げかけるのである。

「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」は、冷戦たけなわの60年代に起こったキューバ危機をモチーフに、X-MENの誕生を描く見事なビギニング。マシュー・ヴォーン監督は、「007」へのオマージュたっぷりに、ある種のスパイ映画として新たなX-MENの物語を構築している。人気シリーズのビギニングはすっかりジャンルとして定着したが、伝説的なSF映画に挑んだ「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」も素晴らしい仕上がりだった。

「127時間」は、ダニー・ボイルの才気迸る“イタイ”快作だ。不遜無謀な冒険野郎が、無人の荒野で岩に手を挟まれ身動きがとれなくなり、図らずも初めて自分自身と向き合う事となる。基本的に一人芝居、舞台も一ヶ所という全く映画的で無いシチュエーションにも関わらず、映画は驚くべき疾走感で極上のエンターテイメントとして昇華される。

「ハリー・ポッターと死の秘宝」は、昨年末から続くシリーズ完結編にしてベスト。11年続いた「ハリー・ポッター」は、当初の児童文学から次第に壮大な“サガ”へと変貌し、遂にダークファンタジーの傑作として幕を閉じた。作品毎に出来不出来はあるものの、色々な意味で映画史に記憶されるシリーズであることは間違いない。

「コクリコ坂から」は、1960年代の横浜を舞台に、海に消えた父に向けて信号旗を揚げ続ける少女と、学園闘争を指揮する少年との恋を描いた青春ラブストーリー。監督の宮崎吾朗は、父・宮崎駿からの脚本を受け、失われつつある記憶の継承という本作のテーマを極めて象徴的に描き切った。新世代ジブリを感じさせるフレッシュな佳作である。

「モールス」は、スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」のハリウッドリメイク。構成要素はそれ程変わらないが、オリジナルの欠点を洗い出してブラッシュアップし、米国でリメイクする意義をキッチリと物語の背景に盛り込んでいるのは見事だ。若き演技派クロエ・グレース・モレッツとコディ・スミット=マクフィーの好演が光る。

「大鹿村騒動記」は、希代の名優、原田芳雄のセルフプロデュース的遺作。長野県の山間にある大鹿村に伝わる村歌舞伎をモチーフに、男と女の巻き起こす大騒動をコミカルに描く。クライマックスの歌舞伎の舞台からエンドクレジットのカーテンコールは、何というか映画の神が用意したというか、追悼作品としては余りにも出来過ぎな位のパーフェクトさだ。

「未来を生きる君たちへ」は、平和なデンマークとアフリカの紛争地帯という対照的な二つの舞台で展開する、負の連鎖を描いた社会派の人間ドラマ。単に理想論を振りかざすのではなく、非暴力を貫く事の難しさをリアルな実例をもって提示する作劇は真摯である。観客は負の連鎖を止める事の、綺麗事でない難しさに直面する。

「アジョシ」は、ウォンビンによるウォンビンのための、怒涛のスター映画。史上最強の“おじさん”は、孤独な少女を守るため、単身極悪犯罪組織に戦いを挑む。ひたすらウォンビンが恰好良く、まるで東映任侠映画の様なクライマックスの殴り込みは、ハリウッド映画も真っ青の迫力だ。韓流ファンの女性たちに独占させるには勿体無い、漢の映画である。

「スリーデイズ」は、ポール・ハギス先生によるリメイクのお手本。ドラマツルギーの中核は人間の感情にあるという、ハリウッド流脚本術の完璧な証明である。平凡な一般人である夫が、無実の罪で服役する妻を救い出すためのスリリングな脱獄劇、そして深い余韻を残すラストまで、お見事としか言いようがない。

「マネーボール」は、メジャーリーグの貧乏球団、オークランド・アスレチックスの再建劇を通して、“世界を変える”想像的破壊のプロセスを描いた燻銀の人間ドラマ。「ソーシャル・ネットワーク」に続くアーロン・ソーキンの脚本は、熱狂と冷静の切り替えが絶妙で、特に物語の閉め方が上手い。もしもラストシーン・オブ・ザ・イヤーがあれば彼の物だろう。

「ウィンターズ・ボーン」は、貧しく閉ざされたアメリカの山の民、ヒルビリー社会の暗部を描くハードな人間ドラマ。どんな妨害にあっても、臆せずに自分とその家族を守ろうとする若き肝っ玉姉ちゃんをジェニファー・ローレンスが好演。凍てつく永遠の冬のような世界で、世代を紡ぐ素朴な音楽の音色が切なく響く。

「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」は、初めての立体映画にしてCGアニメーションを、巨匠スピルバーグが遊び倒したデジタル冒険大活劇。「SUPER8/スーパー・エイト」「宇宙人ポール」など、自分をリスペクトする後輩たちに刺激されたのか、本作のスピルバーグは何だか80年代へ原点回帰。驚くほど若々しく元気だ。

「灼熱の魂」は、1970年代のレバノン内戦をモチーフにした、ミステリアスな歴史ドラマ。亡き母の遺した謎めいた遺言を辿る旅は、ギリシャ神話もかくやという驚くべき大悲劇へと展開し、人間の持つ業の深さを実感させる。第二次大戦中にフランスで起こったヴェルディヴ事件が背景となる「サラの鍵」と少し似た構造を持つが、両作に共通するのは罪を犯すのも人間、癒すのもまた人間であるという事実である。

「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」は、ザ・正月映画という印象の華やかなハリウッド超大作。アニメーション出身のブラッド・バード監督は、ギミック満載の凝ったアクションで観客を魅了する。モスクワ、ドバイ、ムンバイと新興国を股に掛ける物語もテンポ良く、四作目にしてシリーズベストの仕上がりだ。

「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」は、70年前の山本五十六という人物を鏡として、実は2011年を描写した問題作。1940年代が正に現代の相似形である皮肉は東日本大震災を経てより痛烈に感じられる。「八日目の蝉」に続いて素晴らしい仕事をした成島出監督は、間違いなく今年の邦画界のMVPだ。また、今年は邦画の戦争物の当たり年で、サイパンの戦いを日米双方の視点で描いた「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」、99歳の新藤兼人監督による「一枚のハガキ」も気を吐いた。

ずいぶん多くなってしまったが、今年の私的「忘れられない映画」は以上である。
2010-2011年は、欧州大戦、太平洋戦争勃発70周年、辛亥革命100周年、9.11同時多発テロ10周年など、歴史的転換点の節目が重なった年でもあり、関連した作品も多かった。
昨年が15周年の阪神大震災の記憶を描いた「その街の子供」は、元々テレビドラマという事で上のリストからは外したが、非常に優れた作品だ。
また洋画アニメーション映画が大豊作で、上記の作品以外にも「ファンタスティックMr.FOX」「ランゴ」「カーズ2」「カンフー・パンダ2」などバラエティ豊かな秀作が目白押しだったのだが、ディズニー・ピクサー以外は総じて興行的に低調。
日本人は“アニメ”は知っていても“アニメーション”は知らないという事実と、日本の映画マーケットの特殊性を改めて印象付ける事になった。

そして、今年後半の幾つかの作品にも既にその影は見えていたが、たぶん来年になると3.11後の世界を正面から捉えた日本映画が続々と出てくるだろう。
9.11が確実にアメリカ映画を変えたように、何れ日本映画の歴史は3.11以前と以降に分けられる様になるのではないだろうか。
どうやら、その最初の一本は園子温監督の「ヒミズ」になりそうである。

それでは、皆さん良いお年を。

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