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ヤング≒アダルト・・・・・評価額1550円
2012年02月29日 (水) | 編集 |
青春の終わりはいつ?

ジェイソン・ライトマンディアブロ・コディという、2007年のヒット作「JUNO/ジュノ」の監督・脚本家コンビによる、青春の思い出から逃れられない中年女性の、二十年目の“卒業”を描いた、ほろ苦い味わいの佳作。
憧れの大都市に住み、作家(ゴーストライターだけど)として成功しながら、とっくの昔に捨てたはずの故郷からの一通のメールに心動かされ、十代の精神状態に戻ってしまうイタタな主人公、メイビスをシャーリーズ・セロンが好演。
なるほど、原題の「Young Adult」を「ヤング≒アダルト」にして「≒」を付けた邦題のセンスが光る。
*ラストシーンに触れてます~!

ミネアポリス在住のメイビス(シャーリーズ・セロン)は、37歳でバツイチ、子供なし、アルコール依存症気味で、唯一の家族はポメラニアンのドルチェ。
ヤングアダルト小説のゴーストライターをしているが、ティーンに絶大な人気を誇ったシリーズも打ち切りが決定し、最終巻を執筆中。
そんな時、故郷の田舎町マーキュリーに暮らす元カレのバディ(パトリック・ウィルソン)から、赤ちゃんの命名パーティへの招待状が届く。
これを元カレからの復縁のアプローチと思ったメイビスは、思い出の曲「ザ・コンセプト」をBGMに、一路故郷へと愛車のミニを飛ばすのだが・・・


シャーリーズ・セロンが良いのである。
キティちゃんTシャツをだらしなく着るくたびれた中年の顔から、タカピーな都会のイイ女を演じるイタタな顔、愛を拒絶され打ちひしがれて少女の様に困惑する顔。
基本軽妙な役作りながら、それぞれのシーンの感情を全身で表現し、複雑な乙女心を抱えるアラフォー女性の説得力十分だ。
彼女が演じるメイビスは、傍から見ると37年の人生でそれなりの成功をおさめている。
田舎町の故郷を出て、大都会のミネアポリスに住み、結婚もし、物書きとしてベストセラーを書き、高級コンドミニアムに小型犬と優雅に暮らす。
だが一方で、結婚は失敗に終わり、犬が唯一の心の友、物書きとしては裏表紙にしか名前載らないゴーストライター止りで、おまけに人気低迷から打ち切りが決まっている。
本人的には行き詰まり、「アタシこのままでいいの?なにかか違う」という閉塞感に苛まれているのである。

そんな時に届いた、元カレからのメール。
男は何の思惑もなく元カノにこんなメールを送らない、と大いなる勘違いをしたメイビスは、一気に十代の頃に戻って失われた“運命の恋”を取り戻そうとする。
ここからの彼女は相当にイタイ。
元カレのバディはきっとつまらない結婚をして不幸なんだ、彼と結ばれるべき運命だったのは自分なんだ、と妄想を炸裂させるメイビスは、美貌を武器にモテまくった嘗ての鼻持ちならないプロム・クィーンのままだ。
バディの実際の妻のベスが、いかにも垢抜けないキャラクターなのもメイビスの勘違いを後押しし、暴走はもはやアンストッパブル。
高校時代には相手にもしていなかったダサ男のマットを何時の間にか飲み友達にして、酔っぱらってくだを巻き、彼の忠告にも耳を貸さない。
しかし、物語が進むにつれて、観客はこの嫌われキャラのメイビスにだんだんと感情移入してしまうのだから面白い。
それはバディやベス、マットらメイビスの同級生たちが、青春時代の憧れや夢と引き換えに、地に足を付けた“日常の幸せ”を手に入れているのに対して、メイビスは田舎町の良識などどこ吹く風とばかりに、自分の才覚で夢を(半分くらい)実現して頑張っている人だからだろう。

人は誰でも、希望と自信に満ち、どんな存在にも成れると信じている時代がある。
だが成長し、挫折を経験し、背負うものが増えるにつれて、そんな考えは幻想だったんだ、身の程を知らねばと考えて普通のオトナに成ってゆく。
そんな道程を経てきたマーキュリーの住人たちは、言わば大多数の観客と同じ視点を共有している訳だが、彼らにはメイビスの行動が痛々しいのと同時に、自分たちが諦めてしまった“ifの人生”を歩む彼女が眩しいのである。
青春時代のままに生き、空気を読めない行動を繰り返すメイビスは、果たして“コドモ”なのか?
生れ故郷の街で平凡な日常を過ごす同級生たちは“オトナ”なのか?
映画は、この二つの世代の合間にある“ヤングアダルト”という曖昧な定義を使って、人はいつ大人になるのか、大人になるとはどういう事なのかを問いかける。

ディアブロ・コディの脚本は、メイビスが妄想を抱く切っ掛けが弱過ぎる上に唐突とか、男性キャラがいかにも女性目線で類型的とかの欠点はあるが、このイタ過ぎるのに、いつしか愛おしくなるという主人公のキャラクター造形に非凡なキレを見せる。
ぶっちゃけ、物語の終りになっても、メイビスはメイビスままである。
今までの自分を悔い改めたり、オトナになってしまった同級生たちとの仲を修復しようとはしない。
奇妙な関係になってしまったマットとの事も、ミネアポリスに行きたいという彼の妹の願いもスッパリと振り切る。
高校時代の愛車を駐車場に置き去りにして、今の自分を象徴する様に、ぶつけてボロボロになったミニで颯爽と(?)ミネアポリスへの帰路につくラストは、「アタシはアタシの道を行く」という彼女の決意表明だ。
奇しくもメイビスの執筆しているヤングアダルト小説は、ちょうど終わりを迎えようとしているが、彼女の自身の「ヤング≒アダルト」は、どうやらまだまだ続きそうである。

今回は、シャーリーズ・セロンの故郷、南アフリカ共和国から、ディステルの「ネダバーグ・シャルドネ」をチョイス。
アフリカ大陸最南端の南アフリカは、温暖な地中海性気候に恵まれた世界有数のワインどころであり、アパルトヘイト時代の経済制裁が解除された後は品質管理も向上し、ワインの新興輸出国としても近年注目されている。
ネダバーグ・シャルドネは、辛口で飲み応えのあるしっかりとしたボディを持ち、柑橘類とアプリコットの繊細な香りが、心地よく映画の余韻を引き出してくれるだろう。
コストパフォーマンスが高いのも、飲兵衛には嬉しい。

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