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少年は残酷な弓を射る・・・・・評価額1450円
2012年07月06日 (金) | 編集 |
なぜ少年は狂気の弓を射たのか?

赤ん坊の頃から実の母親に懐かず、成長するに従って異様な悪意を無慈悲にぶつける様になる奇妙な少年と、息子への愛と憎悪の間で葛藤する母親。
やがて息子が引き起こした凄惨な事件が、彼女を破滅へと追い込んでゆく。
ライオネル・シュライバーのベストセラー小説を、リン・ラムジー監督が映画化した異色の心理スリラーだ。
息子がなぜ自分を苦しめるのか理解できず苦悩する母親役に、エグゼクティブ・プロデューサーを兼務するティルダ・スウィントン、謎めいたキャラクターの息子役をエズラ・ミラーが演じる。

旅行作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)は、夫のフランクリン(ジョン・C・ライリー)との間に新しい命を授かる。
ケヴィン(エズラ・ミラー)と名付けられた息子は、何故かエヴァに懐かず、彼女の嫌がる言動ばかりを繰り返す様になる。
やがてエヴァは第二子となる娘を出産するが、ある時彼女が大怪我をする事件が起こり、エヴァはケヴィンがわざとやったのではないかと疑念を募らせる。
そして、エヴァとフランクリン夫婦の間にも隙間風が吹く様になった頃、アーチェリーに熱中していたケヴィンが、恐ろしい事件を起こしてしまう・・・


観応えは十分だが、どこかピンとこない。
映画は、疲れ切った表情でうらぶれた生活を送るエヴァの描写から始まる。
小さな家に住み必死に仕事を探す姿は、どう見ても人生順風満帆とは言い難い不幸オーラに充ち満ちている。
それどころか、何者かによって家や車に血のような真っ赤なペンキをぶちまけられ、街を歩けば見知らぬ女性にいきなり殴られるという悲惨さ。
それもこれも、どうやら彼女の息子が起こした事件が関わっている様なのだ。
リン・ラムジー監督は、現在のエヴァの日常を基軸として、そこからごく短いスパンで時系列を交錯させる形で、彼女の過去に何が起こったのかを徐々に明かしてゆく。

世界を巡って奔放な作家生活を送っていたエヴァは、ケヴィンを妊娠した事で家庭に入る。ところが、赤ん坊のケヴィンは夫のフランクリンに抱かれるとご機嫌なのに、エヴァと二人だけになると火がついた様に泣き出してしまう。
言葉やトイレを覚えるのも遅く、エヴァがコミュニケーションをとろうとしても反応を示さない。
成長するに従って、一見すると普通の少年の様になってくるが、母親への態度はますます悪意に満ちた物となり、エヴァは自分だけにケヴィンが攻撃的な態度をとる理由が理解できない。
そして、成長したケヴィンは、母親とは違って愛していたはずの父親と幼い妹を弓で射殺し、更に学校に立て籠もり大量殺人を実行する事で、遂にエヴァの人生の全てを奪い去るのである。

原題の「We Need to Talk About Kevin(私たちはケヴィンについて話す必要がある)」が示唆する様に、これは息子の事件によって奈落へと突き落とされた一人の母親が、なぜこんな事になってしまったのかと、そこに至るまでの過去との対話を試みる映画だ。
共同脚色も兼ねるリン・ラムジー監督は、この世の地獄を生きる現在のエヴァと、ケヴィンが生まれてからの十数年間の出来事を交互に描き、少しづつケヴィンが齎す“破滅”へといざなう。
一体何が間違っていたのか?ケヴィンとは何者だったのか?
ストーリーテリングの手法としては、特に目新しくはないものの、エヴァ目線でケヴィンの不気味さを感じさせながら、観客の不安を掻き立てる手腕は力強く、達者な語り口はなかなかのものだ。

しかしながら、物語が進むに連れて、私の中ではどんどん違和感が強くなってきたのである。
本作の中では、息子を理解できなかった母親の葛藤を描く人間ドラマと、悪魔の様な息子を描く不条理ホラーという違ったベクトルの二つの話が喧嘩をしている様に感じる。
ケヴィンを妊娠する前の自由な生活とのギャップで、エヴァがややマタニティーブルーになったり産後鬱的な描写も多少あったが、基本的に彼女は普通に息子に愛情を注ごうとしていたはず。
ではケヴィンの理不尽に見える母への悪意の源は何なのか。
映画は徹底的にエヴァを軸とし、彼女の目線、彼女の心に寄り添っている為に、ケヴィン側の心理描写が全く無い。
その為に、現状ではケヴィンの様々な行動は、エヴァから見た単なる現象に過ぎず、彼の内面で何が起こっていたのかは伝わってこないのだ。
また成長の過程で段々と母親への態度が変わってゆくのではなく、生まれたばかりの赤ん坊の頃からの不気味さ故に、彼がまるっきりダミアンの様な生まれながら悪魔にしか見えず、一個の人間というよりも良くも悪くも“キャラクター”になってしまっているである。
だから、ラストのエヴァの問いに対するケヴィンの答えも、おそらくエヴァにとってはここからが親子としての新しい始まりというイメージなのだろうが、結局これが答え無き対話なのだという確信をますます強固にする。
それでも、始まりのラインに立てたことをもってして、親子としての大いなる一歩と考える事も出来るだろうが・・・。

いや、もちろん不条理劇、或いはある種の寓話としてはこれはこれでアリだろう。
しかし、「ケヴィンについて語らなければ」と言いながら、はじめから答えの出ない、出し様のない物語構造としているのは、やはり肩透かしをくらった感が否めない。
物語の構造を変える必要があるが、この話はもう少しケヴィンのキャラクターを人間的にして、彼の視点とエヴァの視点をクロスさせて二人の見ている世界の違いを描いた方が面白くなるし、成長と共に母親との関係性で変化を見せないと「We Need to Talk About Kevin」にならないと思う。
娯楽映画としてはなかなかにスリリングな意欲作で、面白い映画である事は確かだが、物語のテーマ性と構造の間に、どうにも埋め難い矛盾を抱え込んでしまっている印象だ。

今回は、ややピリッとしない後味を、舌が痺れる位に刺激的にする「スピリタス」をチョイス。
ポーランド原産のウォッカでアルコール度数は実に96°で、世界最強の酒と言われる。
もちろんここまでいくと酒というよりは純アルコールである。
そのまま飲んでも味など殆ど感じられないので、柑橘系のフルーツ果汁にスパークリングウォーターなどで割るベースにするのがお勧め。
母国のポーランドでは、万が一のための消毒用アルコール代わりに常備されているらしい。
アルコールランプの燃料にも使える?
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