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アベンジャーズ・・・・・評価額1750円
2012年08月18日 (土) | 編集 |
ヒーローたち、それぞれの動機。

ロンドン五輪は盛況のうちに幕を閉じたが、今度はスーパーヒーローたちの祭りが始まった。
老舗マーベルコミックの誇るキャプテン・アメリカ、アイアンマン、超人ハルク、マイティ・ソー、ホークアイ、ブラック・ウィドウら6人のヒーロー、プラス司令官ニック・フューリーが結集する超大作、「アベンジャーズ」が遂に公開である。
過去数年かけて各ヒーローの単独主演映画を次々に公開し、その中に本作に繋がる予告編的要素を組み込み、徐々に期待を盛り上げてゆくという仕掛けは、おそらく映画史的にも他に例のない冒険的プロジェクトと言えよう。
アメリカでは「ダークナイト」を超えて、アメコミ映画の歴代No.1の興行成績を叩き出し、日頃難解な言葉を駆使して映画論をぶっている評論家たちをも一気に童心に返らせ、高評価を引き出す事に成功した。
ヒーロー大集合という難しい題材を纏め上げたのは、「トイ・ストーリー」や「エイリアン4」の脚本家であり、監督としても2005年のSF映画「セレニティー」で注目を集めたジョス・ウェドン
※ほぼネタバレしてます。

アスガルドを追放されたロキ(トム・ヒドルストン)は、放浪の果てに強大な種族チタウリと手を組み、兄のソー(クリス・ヘムズワース)に復讐するため、地球侵略を決意する。
S.H.I.E.L.D.の研究所にあったコズミック・キューブを利用し地球に降り立ったロキは、コズミック・スピアの威力でホークアイ(ジェレミー・レナー)を惑わせると、キューブを奪って逃亡する。
キューブを使って侵略者を迎え入れる計画を察知したニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)は、アイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)とキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)を招集し、ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)に命じてキューブ追跡のためにブルース・バナー博士(マーク・ラファロ)を連れ戻す。
彼ら“アベンジャーズ”はドイツに現れたロキを急襲して捕虜にする事に成功するが、雷に乗って突如降臨したソーは全てを諦めてアスガルドに戻る様にロキを説得する。
しかし、全てはロキの計画だった。
破壊工作によってアベンジャーズの基地である空飛ぶ空母は大破し、ロキは逃亡。
ヒーローたちが散り散りとなった時を狙い、NYの空に開いた時空の扉を通って、チタウリが地球侵攻を開始する・・・


ぶっちゃけ、突っ込もうと思えば最初から最後まで突っ込みどころ満載である。
お話はありとあらゆるご都合主義を組み合わせた様な物だし、科学設定も恐ろしくアバウトだ。
だが、この手のお祭り映画では大味さも味わいのうち。
繊細かつ捻りのある脚本のロジックとか、物理学者を唸らせるような鉄壁のSF設定を求める人は、最初から観ない方が良いだろう。
パワード・スーツや突然変異する怪物程度ならまだ良いが、何しろ敵にも味方にも“神”がいる時点でもはや何でもアリ。
これは誰もが憧れるスーパーヒーローたちが、最初いがみ合いながらも、やがて葛藤を乗り越えて信頼と友情で結ばれ、遂には強大な敵に力を合わせて立ち向かうという、正しく全世界の少年少女と大人気ない大人たちが夢に描いた素晴らしき“漫画映画”なのだ。
ノーランの「ダークナイト・ライジング」の面白さが、野球に例えればワールドシリーズの決勝戦の様な緊迫した空気に満ちたものだとしたら、「アベンジャーズ」は正にオールスターゲームの大らかな楽しさに溢れているのである。

ジョス・ウェドンが本作で一番心を配っているのは、ヒーローたちのキャラクターを損なわず、それぞれのファンが納得する形で見せ場を作り、ドラマの中でしっかりと活躍の機会を与えるという事であり、それは十分に達成されていると言っていいだろう。
誰もが認める“良い人”キャプテン・アメリカをリーダーとして中心軸に置き、ソーとアイアンマンというエゴイスティックな傲慢系キャラ、ハルクという二面性のあるキャラをお互いの対立軸を明確にしつつキャプテンから同心円状に配す。
70年という長い眠りから覚めたものの未だ現代の世界に馴染めないキャプテン、ロキの義兄弟として複雑な想いを秘めるソー、中身は無力な人間故に逆に自己顕示欲の塊のようなアイアンマン、そして圧倒的な力を持ちながら、制御できなくなる恐怖から自らの中のハルクを否定したいバナー。
四者四様の葛藤がぶつかり合う中、ブラック・ウィドウとホークアイという本作の中では限りなく普通の人間に近いキャラにも過去の因縁を絡めながら、物語を前に進める役割を付与する。
主役級の共演というのは、野球で言えば四番バッターだけでラインナップを構成する様な物であり、一人を立てれば他方が立たず、かと言って全員目立たせようとすると、往々にして詰め込みすぎでグダグダになってしまう物で、成功例は非常に少ない。
本作では6人ものヒーローを集めているにもかかわらず、全員のキャラをキッチリ立て、バランスを損なわずに活躍させているのだから、ウェドンのセンスは大した物だ。

アクション面でもアイアンマン、ソー、ハルクといったハイテク・超人系に空中戦を、キャプテン、ホークアイ、ブラック・ウィドウらローテク・人間系には地上戦をとうまく割り振り、敵味方全員が一堂に会するニューヨークの決戦は大いに盛り上がる。
アベンジャーズのみならず、未知の敵の突然の攻撃に浮き足立つ警官たちを統率し、市民を救い出すキャプテンのリーダーシップ。
飛行能力を持たない事を逆手にとったブラック・ウィドウの思わぬ戦法と、ホークアイの文字通り鷹の目の射撃術。
ソーの一人反則な神様パワーに、縦横無尽に飛び周り、最後に愛する者の為に戦うことの意味を見出すアイアンマンの自己犠牲、そして人間性を取り戻したハルクの友情。
アイアンマンのマークⅦの新機能で、まさかハリウッド版の板野サーカスが見られるとは思わなかったが、後処理による3D変換ながら立体映像もなかなかの迫力である。

豪華すぎるアンサンブルの中では、ブルース・バナーを演じるマーク・ラファロが特に印象深い。
バナー役は「インクレディブル・ハルク」のエドワード・ノートンの降板を受けてラファロに引き継がれる形となり、「アベンジャーズ」作品の中では唯一キャストが交代したキャラクターなのだが、結果的にラファロで良かったと思う。
俺が、俺が、というアクの強いキャラクターたちの中にあって、バナーのちょっと控えめな大人しい個性は異彩を放ち、バランスをとる役割を果たしている。
また彼はハルクに変身してしまうと完全に別キャラになってしまうので、なおさら人間の時の演技が重要な訳で、その点でもラファロの奥行のある演技は光る。
一番華のあるキャラクターであるアイアンマンことトニー・スタークとの、真逆の個性を持つ天才同士のオタクな意地の張り合いは、物語のクライマックスともうまく繋がっていて面白かった。

物語の設定的には、敵がロキという事もあって、「マイティ・ソー」との繋がりが濃い印象だ。
まあ全ての作品が少しづつオーバラップはしているので、全部観ておくに越したことはないが、例えばロキに心を操られキューブで時空の扉を開いてしまうセルヴィグ博士や、エージェント・コールソンとソーとの関わりなども「マイティ・ソー」を観ておいた方がわかり易いだろう。
特にコールソンは、筋肉とメカとエゴをぶつけ合う、バラバラだったヒーローたちの心を一つにするための意外なキーパーソンとなる役柄なので、うろ覚えの人は要チェックだ。

ちなみに、マーベルユニバースの映画としては、本作を持って今までの流れが一応の大団円を見るのだが、これで終わりというワケではなさそうで、「アイアンマン3」「マイティ・ソー2」「キャプテン・アメリカ2」などが既に決定しており、さらにウェドンの続投を前提に「アベンジャーズ2」もアナウンスされた。
故に、本作でも例によってエンドクレジット途中と最後に二段オチのおまけがあるので、急いで席を立たないように。
途中のシーンには、おそらく次回のヴィランとなるであろう、あるキャラクターが登場している。
またクレジット後の最後のオチは、何でもワールドプレミア後に急遽追加撮影されたカットで、日米版以外には付いていないという貴重なモノらしい(笑
本作の爆発的な人気を横目に観て、ソニーピクチャーズが権利を持つ「スパイダーマン」やFOXの「X-メン」の合流のウワサなども熱を帯びてきたが、果たして実現なるか。
まあ、今回のメンバーはなかなかにバランスが良かったので、このままでも良い気はするのだが、早ければ2015年にも公開される「アベンジャーズ2」をワクワクしながら待ちたい。

今回は、昔色々あったらしい、ブラック・ウィドウとホークアイの名前を半分づつ持つカクテル「ブラックホーク」をチョイス。
バーボン30mlとスロー・ジン30mlをステアしてグラスに注ぎ、マラスキーノ・チェリーを沈める。
スロー・ジンはスローベリーの甘いリキュールで、バーボンと組み合わされる事で、甘味が適度に抑えられ、深いコクをもつ大人の味わいを持つカクテルとなる。
赤紫の中にマラスキーノ・チェリーが沈む色合いも涼しげだ。
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