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2012年08月30日 (木) | 編集 |
速い!見えぬぞ、抜刀斎!
明治初頭を舞台に、流浪の剣客・緋村剣心の活躍を描く和月伸宏の人気コミック、「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」の初の実写映画化。
監督は、元NHKで「龍馬伝」のチーフディレクターとして知られる大友啓史。
主演の佐藤健は、「龍馬伝」でも本作のキャラクターと被る“人斬り以蔵”を演じており、他にも香川照之や蒼井優ら共通するキャストが多い。
私は原作は未読だが、時代的にもちょうど明治維新直後の話なので、半分「龍馬伝」のスピンオフの様な感覚で楽しめた。
幕末の京都で、“人斬り抜刀斎”として恐れられた緋村剣心(佐藤健)は、明治の訪れとともに姿を消し、流浪人として各地を流れ歩く生活を送っている。
ある日、神谷道場師範代の神谷薫(武井咲)という少女を助けた事から、巷に抜刀斎を名乗る人斬りが現れた事を知る。
偽抜刀斎の正体は、アヘンの密売で莫大な財を成した武田観柳(香川照之) に雇われた用心棒、鵜堂刃衛(吉川晃司) だった。
医師の高荷恵(蒼井優)に、依存性の高い新型アヘンを作らせた観柳は、神谷道場一帯を埋め立てて港とし、全世界へアヘンを輸出する計画を立てており、住民を立ち退かせるために一体の井戸に毒を流すという暴挙に出る。
神谷道場の居候となっていた剣心は、苦しむ人々を見て、観柳の陰謀を阻止すべく、街の喧嘩屋である相楽左之助(青木崇高)と共に、200人の兵が守る観柳の屋敷に乗り込むのだが・・・・
近世と近代が入り混じる、狭間の時世を舞台とした、新しいタイプの時代活劇だ。
主人公の緋村剣心は、倒幕派と佐幕派が殺し合う幕末の動乱期に、倒幕派の暗殺者として活動し、その非情なる剣により“人斬り抜刀斎”として恐れられた人物。
彼は新しい時代を作り出すために、自ら鬼神となる覚悟で戦い、平和な明治の世になってからは過去を悔い、二度と人を斬らない「不殺(ころさず)の誓い」を立て、当て所のない贖罪の旅を続けている。
血塗られた手の戒めとするために、分身である刀も刃と峰が逆になった“逆刃刀”にしているほどだ。
つまり、普通に剣を振るっても、峰打ちの状態になるので人を斬ることは無いのである。
だが、新時代に平和な社会の希望を託す剣心とは逆に、いつの世にもひたすら利己主義を貫く者たちも存在する。
アヘンの密売で世界を牛耳ろうとする武田観柳は、古き秩序が力を失う中で、私利私欲を追求しようとする者であり、事実上のラスボスとなる偽抜刀斎こと鵜堂刃衛は、力こそが正義と信じ、社会を血と暴力が支配した過去に留め置こうとする者だ。
と、ここまで書けば、この作品のキャラクターの役割がクリストファー・ノーラン版の「バットマン」三部作によく似ている事がわかる。
自らを恐怖のシンボルとする事で、新時代の捨て駒となろうとする剣心はブルース・ウェインで、剣心の合わせ鏡であり、内面のダークサイドを抽出した様な刃衛は、ジョーカーやベインの様な存在と言えるだろう。
香港で経験を積んだ谷垣健治の手がけたアクションは、殺陣とワイヤーワークなどを巧みに組み合わせ、チャンバラというよりはスウォードアクションと呼んだ方がしっくりくる。
一見すると優男で強そうには見えない佐藤健が、アクションシーンになると文字通り目にもとまらぬ速さで縦横無尽に躍動するのだ。
おそらく、元々の身体能力も相当に高いのだろう。
単純に刀の斬り合いなら、例えば往年の近衛十四郎や嵐寛寿郎の殺陣のスピードと迫力にはさすがに及ばないかもしれないが、刀を使わない体術からしなやかなバネのある動きで魅せる。
そして敵のラスボスが、佐藤健とは肉体的には対照的なマッチョさを持つ吉川晃司だ。
アスリートとして鍛えられた逆三角系の体躯は、先ずは見た目で剣心を圧倒するが、この肉体の迫力があって初めて、剣心の中に埋もれた人斬り抜刀斎を呼び覚ます説得力が生まれる。
冒頭の鳥羽伏見の戦いから、数々のアクションシーンが散りばめられる本作の中にあっても、剣心と刃衛の一対一の死闘は、クライマックスとして見ごたえ十分。
この戦いのひとつ前に、元プロ格闘家の須藤元気演じる戌亥番神と左之助の中ボス対決を置き、ユーモラスな喧嘩屋のど付き合いとしてメリハリをつけているのも良い。
肉体と剣が一体となった総合的なアクション映画として、時代活劇に新しい風を吹き込んだと言えるだろう。
画作りの方向性は、全体に大河ドラマチック。
石坂拓郎のカメラは、柔らかく空気感を重視した繊細な物だが、ちょっと全体的に明るすぎないだろうか。
好みの問題かもしれないが、特に昼間の屋内シーンはやや光が回りすぎていて、セット感に繋がってしまっているように思う。
例えば、山田洋次監督の藤沢周平三部作などは、暗いところは本当に真っ暗で、得も言われぬリアリティをかもし出していた。
あそこまで徹底するかは別としても、もう少し明暗のコントラストを強くした方が、世界観として熟れた気がする。
あと少し気になったのは、若い俳優達の台詞回しや細かな所作だ。
剣心の「ござる」口調などは多分原作からのお約束だと思うが、やはり自分のものに消化しきれていない感覚が最後まで残る。
が、これは一朝一夕に会得できるような物ではないので、いっそシリーズ化してもらってその中でどんどんと進化してもらえば一番理想的だろう。
実際、「るろうに剣心」は、キャラクターといい、他に例のない世界観といい、これ一本で終わらせてしまっては勿体無い素材である事は間違いない。
聞くところによると、今回映画化されたのは原作のほんの一部に過ぎないという事なので、同じチームによる続編をぜひ観せて欲しい。
変革の時世を舞台に、葛藤する若き剣客の物語は、突き詰めればテーマ的にも今の時代に十分な重みを感じさせる事が出来るだろう。
「バットマン・ビギンズ」と「ダークナイト」の例を見るまでもなく、往々にしてコミック原作はキャラ紹介の終わった二本目の方が、物語に没頭できるので傑作になる確率は高いのである。
今回は、鳥羽伏見の戦いの舞台ともなった京都の酒処、伏見からキンシ正宗 の純米大吟醸「松屋久兵衛」をチョイス。
一言で言えば上品。
良い意味で非常にあっさりした、純度の高い水の様な独特の味わいのお酒である。
好みは分かれるだろうが、10~12℃位の温度が一番美味しく飲め、いつの間にか一本が空になって酔っ払ってしまっている、そんなお酒だ。
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明治初頭を舞台に、流浪の剣客・緋村剣心の活躍を描く和月伸宏の人気コミック、「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」の初の実写映画化。
監督は、元NHKで「龍馬伝」のチーフディレクターとして知られる大友啓史。
主演の佐藤健は、「龍馬伝」でも本作のキャラクターと被る“人斬り以蔵”を演じており、他にも香川照之や蒼井優ら共通するキャストが多い。
私は原作は未読だが、時代的にもちょうど明治維新直後の話なので、半分「龍馬伝」のスピンオフの様な感覚で楽しめた。
幕末の京都で、“人斬り抜刀斎”として恐れられた緋村剣心(佐藤健)は、明治の訪れとともに姿を消し、流浪人として各地を流れ歩く生活を送っている。
ある日、神谷道場師範代の神谷薫(武井咲)という少女を助けた事から、巷に抜刀斎を名乗る人斬りが現れた事を知る。
偽抜刀斎の正体は、アヘンの密売で莫大な財を成した武田観柳(香川照之) に雇われた用心棒、鵜堂刃衛(吉川晃司) だった。
医師の高荷恵(蒼井優)に、依存性の高い新型アヘンを作らせた観柳は、神谷道場一帯を埋め立てて港とし、全世界へアヘンを輸出する計画を立てており、住民を立ち退かせるために一体の井戸に毒を流すという暴挙に出る。
神谷道場の居候となっていた剣心は、苦しむ人々を見て、観柳の陰謀を阻止すべく、街の喧嘩屋である相楽左之助(青木崇高)と共に、200人の兵が守る観柳の屋敷に乗り込むのだが・・・・
近世と近代が入り混じる、狭間の時世を舞台とした、新しいタイプの時代活劇だ。
主人公の緋村剣心は、倒幕派と佐幕派が殺し合う幕末の動乱期に、倒幕派の暗殺者として活動し、その非情なる剣により“人斬り抜刀斎”として恐れられた人物。
彼は新しい時代を作り出すために、自ら鬼神となる覚悟で戦い、平和な明治の世になってからは過去を悔い、二度と人を斬らない「不殺(ころさず)の誓い」を立て、当て所のない贖罪の旅を続けている。
血塗られた手の戒めとするために、分身である刀も刃と峰が逆になった“逆刃刀”にしているほどだ。
つまり、普通に剣を振るっても、峰打ちの状態になるので人を斬ることは無いのである。
だが、新時代に平和な社会の希望を託す剣心とは逆に、いつの世にもひたすら利己主義を貫く者たちも存在する。
アヘンの密売で世界を牛耳ろうとする武田観柳は、古き秩序が力を失う中で、私利私欲を追求しようとする者であり、事実上のラスボスとなる偽抜刀斎こと鵜堂刃衛は、力こそが正義と信じ、社会を血と暴力が支配した過去に留め置こうとする者だ。
と、ここまで書けば、この作品のキャラクターの役割がクリストファー・ノーラン版の「バットマン」三部作によく似ている事がわかる。
自らを恐怖のシンボルとする事で、新時代の捨て駒となろうとする剣心はブルース・ウェインで、剣心の合わせ鏡であり、内面のダークサイドを抽出した様な刃衛は、ジョーカーやベインの様な存在と言えるだろう。
香港で経験を積んだ谷垣健治の手がけたアクションは、殺陣とワイヤーワークなどを巧みに組み合わせ、チャンバラというよりはスウォードアクションと呼んだ方がしっくりくる。
一見すると優男で強そうには見えない佐藤健が、アクションシーンになると文字通り目にもとまらぬ速さで縦横無尽に躍動するのだ。
おそらく、元々の身体能力も相当に高いのだろう。
単純に刀の斬り合いなら、例えば往年の近衛十四郎や嵐寛寿郎の殺陣のスピードと迫力にはさすがに及ばないかもしれないが、刀を使わない体術からしなやかなバネのある動きで魅せる。
そして敵のラスボスが、佐藤健とは肉体的には対照的なマッチョさを持つ吉川晃司だ。
アスリートとして鍛えられた逆三角系の体躯は、先ずは見た目で剣心を圧倒するが、この肉体の迫力があって初めて、剣心の中に埋もれた人斬り抜刀斎を呼び覚ます説得力が生まれる。
冒頭の鳥羽伏見の戦いから、数々のアクションシーンが散りばめられる本作の中にあっても、剣心と刃衛の一対一の死闘は、クライマックスとして見ごたえ十分。
この戦いのひとつ前に、元プロ格闘家の須藤元気演じる戌亥番神と左之助の中ボス対決を置き、ユーモラスな喧嘩屋のど付き合いとしてメリハリをつけているのも良い。
肉体と剣が一体となった総合的なアクション映画として、時代活劇に新しい風を吹き込んだと言えるだろう。
画作りの方向性は、全体に大河ドラマチック。
石坂拓郎のカメラは、柔らかく空気感を重視した繊細な物だが、ちょっと全体的に明るすぎないだろうか。
好みの問題かもしれないが、特に昼間の屋内シーンはやや光が回りすぎていて、セット感に繋がってしまっているように思う。
例えば、山田洋次監督の藤沢周平三部作などは、暗いところは本当に真っ暗で、得も言われぬリアリティをかもし出していた。
あそこまで徹底するかは別としても、もう少し明暗のコントラストを強くした方が、世界観として熟れた気がする。
あと少し気になったのは、若い俳優達の台詞回しや細かな所作だ。
剣心の「ござる」口調などは多分原作からのお約束だと思うが、やはり自分のものに消化しきれていない感覚が最後まで残る。
が、これは一朝一夕に会得できるような物ではないので、いっそシリーズ化してもらってその中でどんどんと進化してもらえば一番理想的だろう。
実際、「るろうに剣心」は、キャラクターといい、他に例のない世界観といい、これ一本で終わらせてしまっては勿体無い素材である事は間違いない。
聞くところによると、今回映画化されたのは原作のほんの一部に過ぎないという事なので、同じチームによる続編をぜひ観せて欲しい。
変革の時世を舞台に、葛藤する若き剣客の物語は、突き詰めればテーマ的にも今の時代に十分な重みを感じさせる事が出来るだろう。
「バットマン・ビギンズ」と「ダークナイト」の例を見るまでもなく、往々にしてコミック原作はキャラ紹介の終わった二本目の方が、物語に没頭できるので傑作になる確率は高いのである。
今回は、鳥羽伏見の戦いの舞台ともなった京都の酒処、伏見からキンシ正宗 の純米大吟醸「松屋久兵衛」をチョイス。
一言で言えば上品。
良い意味で非常にあっさりした、純度の高い水の様な独特の味わいのお酒である。
好みは分かれるだろうが、10~12℃位の温度が一番美味しく飲め、いつの間にか一本が空になって酔っ払ってしまっている、そんなお酒だ。

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