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最強のふたり・・・・・評価額1750円
2012年09月04日 (火) | 編集 |
悪ガキ二人、突っ走る。

事故で首から下が麻痺し、車椅子生活を送る大富豪と、ひょんな事から彼の介護人として雇われたスラム出身の青年。
一見すると水と油、境遇も性格も人種も異なる二人は、何時しかお互いの人生を支え合い、強い絆で結ばれた「最強のふたり」となってゆく。
昨年の東京国際映画祭で、グランプリと主演男優賞W受賞の3冠に輝いた実話ベースのヒューマンドラマだ。
文字通りの“良い話”を彩るのは、対照的な二人の文化の衝突が生む、フレンチエスプリたっぷりのブラックなジョークの数々。
大富豪フィリップをフランソワ・クリュゼ、介護人となるドリスをオマール・シーが演じ、監督・脚本はオリヴィエ・ナカシュとエリック・トレダノ
特に驚きのある映画ではないが、ドン!と力強く背中を押される様な、気持の良い一本だ。

パリの屋敷に住む富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、パラグライダーの事故による頸髄損傷で首から下が麻痺し、一人では体を動かす事も出来ない。
ある日、新しい介護人の面接で、フィリップはスラム出身の粗野な若者、ドリス(オマール・シー)に出会うが、他の応募者が真剣に面接しているのに、彼は失業手当の給付を引き延ばすために、就職活動をしたという証明が欲しいだけだと言い放つ。
ドリスのユニークな個性に興味を持ったフリップは、周囲の反対を押し切って彼を採用する。
最初は衝突する事も多い二人だったが、フィリップは自分を特別扱いしないドリスに次第に信頼を寄せてゆく・・・


対照的な二人の主人公が出会い、やがて友情と信頼で結ばれる。
この物語の構造は王道と言って良いもので、実際にお話自体はほぼ予定調和のまま、最初から最後まで想像通りに進んでゆく。
二人の主人公のうちフィリップは、冒険精神旺盛な大富豪
事故で体の自由が効かなくなっても、常に紳士として振る舞い、深い教養と自信に満ちた態度を崩さない。
一方のドリスは、アフリカ系移民の多いスラム街出身の、複雑な背景を持つ大家族で育った若者だ。
自身も刑務所に入ったことがあり、決して品行方正な人物とは言えない。
おそらく普通に暮らしていたら、一生フィリップの様な人物とは関わりになる事はないだろう。
同じ国に暮らしながら、異なる世界に生きていた二人の人生が、ちょっとした運命のいたずらで交錯し、不思議な化学反応を起こす。

ドリスは悪く言えば粗野だが、良く言えば幼い子供の様に天真爛漫で、全く遠慮も同情も無くフィリップに接する。
首から下の感覚がないと聞いて、試しに熱いお茶を足にかけてみたり、セックスの疑問をストレートに聞いてみたり、タブーを知らない彼の遠慮のない行動は、腫れ物に触るような周囲の人々の言動に辟易していたフィリップの心を解きほぐす。
バッハやヴィヴァルディしか知らない人生に、突然投げ込まれるアース・ウィンド&ファイアーの“Boogie Wonderland” のインパクト。
自動車はダサい介護用のバンではなく、埃をかぶっていたマセラティ・クアトロポルテを引っ張り出し、二人で怪しげな風俗に繰り出したと思ったら、パラグライダーにも再び挑戦し、仲良く一本のマリワナをシェアする。
はじめは胡散臭そうにドリスを見ていた屋敷の人たちも、何時しか表裏のない彼の人柄を認め、遂には反抗期のフィリップの娘の“お仕置きのし方”まで指南する様に(笑

だが、幸福なバカ騒ぎは永遠には続かない。
まだ若いドリスの将来を思いやった年長のフィリップは、友の背を押す事で別離を選択するのだが、本作が真に映画的なエモーションを感じさせるのはここからだ。
実はフリップも、自分の体に関しては複雑な葛藤を抱えている。
密かに想いを寄せている文通相手の女性には、今の自分の写真を送る事が出来ず、実際に会う事になっても直前で逃げ出してしまう。
フィリップに出会う前のドリスが、人生をなかなか前に進められないでいたように、フィリップもまたプライドとコンプレックスの呪縛から逃れられないでいるのだ。
もちろん、彼の人生の時計を再び動かすのは、たった一枚の写真に込められた親友の気持ちを汲み取ったドリス。
深夜のパトカーとのカーチェイスは、フィリップを新しいスタートラインに立たせるための、ドリス流のウォーミングアップだ。
例え一日中一緒にいる関係が終わったとしても、一度築かれた二人の絆は永遠に途切れる事はない。
彼らは既に、お互いの人生にとって決して欠くことの出来ない魂の友となっているのである。

邦題の「最強のふたり」とは、なるほど上手く付けたもので、主人公の二人が強烈にキャラ立ちしている。
貴族の家柄に生まれ、品格ある紳士として日々を送りながらも、心の中でもがくフィリップのキャラクターを、繊細かつ人間味たっぷりに演じたフランソワ・クリュゼ
そして、クリクリした目が、そのまま知らない世界に対する純粋な探究心を感じさせるオマール・シー
この二人をキャスティングした段階で、本作の成功は半分保証されたような物だろう。
彼らの丁々発止の掛け合いは、安易に作ればお涙頂戴に陥りがちなこの種の物語を、爽やかな笑いで満たし、非常にポジティブな人間讃歌へと昇華している。
栄養ドリンクの様にスクリーンから明日を歩むための元気をもらえる、正に“最強の一本”だ。

ところで、劇中にフィリップの電動車椅子をドリスが改造して、セグウェイをブチ抜くシーンがあるが、アメリカで学生時代にボランティアをしていた時、レース用電動車椅子の存在を知って乗せてもらったのを思い出した。
確か時速20キロ以上出るのもあって、着座位置が低いので体感的にはスクーター並みのスピード感。
車椅子同士でシグナルGPとかやってたけど、あれは日本だと違法なんだろうなあ、アメリカでも違法だったかも知れないけど(笑

今回は、この映画に相応しい大人のカクテル、その名も「フレンチ・スター」をチョイス。
ディタ・スターリー30 ml、ライム・ジュース10 mlをシェイクし、氷を入れたタンブラーに注ぎ、ペルノ2 tsp、トニック・ウォーターで満たし、軽くステア。
最後にお好みでミントの葉を一枚載せて完成。
複雑な風味を持ちながら、サッパリとした爽やかなカクテルだ。
カットすると断面が星型になるスターフルーツを原料とするスターリーを使っているので、この名が付いたと聞いたけど、本当かな。
残念ながら、このディタ・スターリーは現在入手困難で、見かけたら即買だ。
姉妹品のディタ・ライチを代用しても、味わいは異なるが美味しいカクテルになる。
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