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ハンガー・ゲーム・・・・・評価額1650円
2012年09月30日 (日) | 編集 |
生き残れるのは、たった一人。

今年の三月、全米で「アバター」以来となるボックスオフィス四週連続1位を記録し、既に全世界で7億ドル近くを稼ぎ出した大ヒット作。
アメリカ合衆国の崩壊後、北米大陸を支配する近未来の独裁国家を舞台に、「ハンガー・ゲーム」と呼ばれる殺人サバイバルゲームに送り込まれた若者たちを描くディストピアSFだ。
原作はスーザン・コリンズのベストセラー小説で、「シー・ビスケット」などで知られるゲイリー・ロス監督が、原作者と共同で脚色し映像化している。
主人公となる少女カットニスを、「ウィンターズ・ボーン」で脚光を浴びた若き演技派、ジェニファー・ローレンスが演じ、同郷の少年ピーターにジョシュ・ハッチャーソン。
ウッディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、ドナルド・サザーランド、スタンリー・トゥッチらのベテラン勢が脇を固める。
なお本作は2015年までに三部作、全四本のシリーズ(最終作が二部構成)が公開される予定で、「アイアム・レジェンド」のフランシス・ローレンス監督による第二作が既に撮影中である。

独裁国家パネム。
この国では、嘗て反乱を起こした12の地区から選出される計24名の少年少女に、最後の一人になるまで殺し合いをさせる“ハンガー・ゲーム”が、支配される国民の義務として、また支配階級である富裕層の娯楽として毎年開催されていた。
第12地区の少女カットニス(ジェニファー・ローレンス)は、くじ引きで選出された幼い妹の身代わりとして、男子代表のピーター(ジョシュ・ハッチャーソン)と共にハンガー・ゲームに参加する事になる。
富裕層が住む首都キャピトルに護送されたカットニスとピーターは、ショーアップされた準備期間の間に、教育係のヘイミッチ(ウッディ・ハレルソン)の指導の元、サバイバル術や戦闘術を学んでゆく。
そして、遂にやって来たハンガー・ゲーム開幕の日、24人のプレイヤーが送り込まれたのは、巨大ドームに作られた人口の森だった・・・


原作小説は、その設定から「バトル・ロワイヤル」からのパクリ疑惑が囁かれ、実際に本作の映画化によって、一時進められていた「バトロワ」のハリウッド版リメイク企画は頓挫してしまったらしい。
なるほど、架空の独裁国家が舞台で、無作為に選別された十代の少年少女に、最後の一人になるまで殺し合いをさせるゲームが開催されている事、そしてそれは国家統合のための国民の崇高な義務とされている事など、多くの共通要素があるのは事実だ。
しかし、実際に出来上がった映画で比べれば、これは「バトロワ」とは全くの別物である。

142分という長尺の上映時間のうち、前半部分がハンガー・ゲームが始まるまでのキャピトルでの準備編、後半が実際にゲームが始まってからのサバイバル編と、二部構成と言って良い作りになっている。
この構造は、「バトロワ」よりもむしろ「アメリカン・アイドル」や「Xファクター」といった、素人参加のオーディション番組の影響を強く感じさせる物だ。
本作では、ゲームに出場するプレイヤーは単にサバイバルすれば良いという訳ではなく、テレビの視聴者にそのキャラクターをアピールし、人気を獲得しなければならない。
人気が高ければスポンサーも付き、ゲーム中に危機に陥った時など、“差し入れ”として薬や食料などが送られるのである。
入場のパフォーマンスに凝り、トークショーで死のゲームに挑む心境を語り、自分への評価ポイントに一喜一憂する様は、オーディション番組でのサバイバルレースそのものであり、劇中に描かれる独裁国家パネムも、テレビと銃によって支配される劇場国家、現実のアメリカのカリカチュアされた姿だと言えるかも知れない。

また、24人の若者による殺し合いと言っても、本作は所謂群像劇の形はとらない。
センセーショナルな設定とは裏腹に、スプラッターな流血描写は極力避けられており、「バトロワ」的なケレン味たっぷりのアクション描写を期待すると肩透かしを食らう。
ティーン向けのベストセラー小説の映画化という事で、レイティングの問題が影響しているのは想像がつくが、結果的に刺激優先のビジュアル表現に走らなかったのは良かったと思う。
元々、直球の人間ドラマを得意とするゲイリー・ロス監督は、ジェニファー・ローレンスという高い演技力を持つ俳優を主役に得て、不屈の闘志で絶望的な逆境を乗り越える、風格ある物語を描き出した。
映画の視点は、あくまでも主人公のカットニスに固定され、物語は極限状態での彼女の心理に徹底的に寄り添うのである。

例えば、食べ物すら満足に無い貧しい地区で育ったカットニスが、恐ろしい運命が待ち受ける首都へ向かう列車の中で、豪華な調度品や豊かな食べ物といった“見た事のない世界”に戸惑い、圧倒されてしまう演出は実にリアル。
そして遂にゲームが始まり、最初は無我夢中に生き残る事しか考えていない彼女は、サバイバルの中で生と死に直面し、人を愛し、また愛する者を失う事で少しづつ変化してゆく。
やがて彼女の中の生への渇望は、人の命をゲームの駒として弄ぶ、強大な体制への疑念と反発を育てる事になるのである。
面白いのは、ドナルド・サザーランド演じる大統領が、ハンガー・ゲームを大衆のガス抜きだと語りながら、同時に盛り上がり過ぎてガスに火をつけてしまう事を恐れている事。
劇中のカットニスのある行動が、小さな火花となって暴動の切っ掛けになるあたりは、思わず最近某国で吹き荒れたデモと暴動を思い出してしまった。

「ハンガー・ゲーム」は、ブッ飛んだ設定を通して現在を風刺する、ユニークな視点を持つディストピアSFの秀作だ。
惜しむらくは、三部作の第一部という位置づけのため、本作単体では結論が出ずに次作に引き継いだ部分が多く、オチにもやや消化不良な感が残る。
カットニスの内面の炎も、本作ではまだ本人の迷いと共に揺らいでおり、大きく燃え盛るまでには至ってていないし、作劇的にもハンガー・ゲームの中と外とのドラマ的な連携、例えばプレイヤーが大衆の人気を得ると有利になる設定が今ひとつ生かされていなかったりするのは少々勿体無い気がする。
まあこの辺りは、シリーズ物の宿命と言える欠点でもあり、おそらくはカットニスの存在が国家を脅かす大きな火花になるであろう、続編での更なる展開に期待したい。

今回は、主人公が弓の名手という事で、やはり弓のイメージの強いギリシャ神話の月の女神「アルテミス」の名を持つカクテルをチョイス。
ジャマイカラム35ml、スイートベルモット20ml、オルジェーシロップ10ml、アンゴスチュラ・ビター1dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
甘く柔らかい口当たりに、香草の香りとアンゴスチュラ・ビターの苦味がアクセントになっている大人っぽい味わいのカクテル。
そう言えば、ジェニファー・ローレンスは、「ウィンターズ・ボーン」でも貧しい家族を守って森で狩りをしていたっけ。
あの映画は本作のキャラクター造形にも相当影響を与えていそうだ。
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