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007 スカイフォール・・・・・評価額1700円
2012年12月04日 (火) | 編集 |
ジェームズ・ボンドとは何者なのか。

今年は「007」シリーズが誕生してから50周年。
ダニエル・クレイグ主演作としては三作目に当たる「スカイフォール」は、現時点でのボンド映画の集大成として作られた作品である。
シリーズ史上初のアカデミー賞監督サム・メンデスは、物語の前半をショーン・コネリー時代へのオマージュたっぷりに、後半はまるでクリストファー・ノーランの「バットマン」三部作を換骨奪胎したかの如く、ダークかつハードにボンドの内面に迫ってゆく。
これは、非情の世界に生きるスパイ、ジェームズ・ボンドの“業”を描く言わば「ボンド・アイデンティティ」だ。
物語の軸となるのは、ジュディ・ディンチ演じるM、そしてもう一人のボンドとも言うべき謎の男シルヴァを、名優ハビエル・バルデムが外連味たっぷりに演じる。
オールタイム007映画の中でも、確実にベスト3圏内には食込んでくる秀作だ。

各国のテロ組織に潜入しているNATO各国の工作員のリストが、トルコのイスタンブールで奪われる。
追跡した007(ダニエル・クレイグ)は、敵ともみ合っているうちに味方によって誤射され、川に転落して行方不明となってしまう。
MI6は007を死亡したと判断するが、数ヵ月後にロンドンのMI6本部が爆破され、ネット上では奪われたリストに載っていた工作員の身元が暴露される。
犯人はMI6のトップであるM(ジュディ・ディンチ)と何らかの関わりがあり、彼女に深い恨みを抱く姿なき存在。
最大の危機に陥ったMの前に、死んだはずの007が姿を現すが・・・・


オープニングの二つの“瞳”が本作の方向性を示唆する。
おなじみMGMのライオンの瞳、そして美しいタイトルシークエンスのラストで暗闇に吸い込まれるジェームズ・ボンドの瞳。
目は心の窓というが、今回ボンドが向かうのは、自らの内面への旅なのである。
NATOの工作員リストを巡るアヴァンタイトルの怒涛の追跡劇の末、ボンドは味方に誤射され行方不明となるが、その実敵との格闘中に自分ごと狙撃する様に命令を出したMへの不信感を募らせ、人里離れたビーチで酒と女に溺れる日々を過ごしている。
一方のイギリスでは、Mが作戦失敗の責任を追及され窮地に立たされる。
冷戦時代の遺物であるMI6の様なスパイ組織は、本当に今の時代に必要なのか、そもそもダブルオーエージェントの様な殺しのライセンスを持つ男たちに、居場所があるのだろうか。
リストを手に入れた謎の敵に、MI6本部が爆破されるに至って、遂にボンドは現場復帰を決断するが、仕事へのモチベーションは鈍った体と感覚同様に下降線。
新シリーズになって初登場するQは若きギーグとして描写され、ボンドに対して「あなたの一年分の仕事を、僕は紅茶を飲みながらパソコンであっというまにできる」と言い放つのである。
もう現場で汗水たらして走り回るスパイは、時代遅れの骨董品と言わんばかりだ。

ダニエル・クレイグに代替わりして、よく言えばフレッシュに、悪く言えば青臭くなったジェームズ・ボンド。
嘗ての様なモテ男のダンディズムやユーモアは希薄となり、よりシリアスでハードな作風となったが、それ故にオールドファンの中には「こんなのボンドじゃない」という人も多かった。
サム・メンデス監督は、物語の前半をあえてクラッシック・シリーズにオマージュを捧げ、スケール感たっぷりにボンドの冒険を描きながら、世代交代とスパイの業という本作のテーマを明らかにしてゆく。
謎の敵の影を追いながら、イスタンブール、ロンドン、そして魔都上海へと世界を股にかける展開には、過去作品を思わせるアクションシークエンスが散りばめられ、音楽の使い方までいかにもという凝り様で、オールドファンも納得の仕上がりだろう。
そして、事件の黒幕である元MI6の凄腕スパイ、シルヴァが姿を現してからの後半、物語はガラリとタッチを変え、前半に提示されたテーマの答えを紡ぎ出してゆくのである。

シルヴァは、嘗てボンド同様Mに仕え、スパイの世界の非情の掟によって切り捨てられた存在であり、要するにもう一人のボンドだ。
極めて閉鎖的な社会であるスパイ組織は、ある種の擬似家族の様なもので、天涯孤独のジェームズ・ボンドにとって、自分を見出してエージェントとして育て上げたMは言わば母である。
それはボンドの大先輩であるシルヴァにとっても同じことで、それ故に彼は自らを見捨てたMを許すことが出来ず、あらゆる手段を尽くしても復讐を願うのだ。
そう、今回の敵は世界征服など興味がないし、巨万の富を手中に収めようとする訳でもない。
共にMという母なる存在によってマザコン的に呪縛され、自らの中に疼くスパイの業に対して異なる答えを出した二人のボンドの戦いなのである。
その為に、ボンドの生誕の地であるスコットランドの、その名も“スカイフォール”が舞台となる物語の後半は、世界から隔絶された極めてパーソナルな方向へと舵を切る。
秘められたボンドの過去までが明らかとなる展開は、明らかにクリストファー・ノーランを意識した作りであり、彼の「バットマン」三部作同様に、ダークヒーローの心の闇の源が明らかになるのだ。
それと同時に、これは若きボンドが自らの原点の地でMという母性からの巣立ちを迎え、孤独なスパイとして生きる覚悟を決める物語であり、「カジノ・ロワイヤル」から続く「ジェームズ・ボンド・ザ・ビギニング」の終章と言える。

まあ、モチーフが“母殺し”という内向きなものなので、アクションは派手なものの、後半ややスケールが小さくなってしまった感は否めないが、これは話の構造上致し方あるまい。
長い歴史を持つシリーズの世界観とキャラクターを使い、世界の裏側で蠢いてきたスパイたちの物語を、シェイクスピアもかくやという、大いなる家族の悲劇として昇華したメンデスと脚本チームの仕事を賞賛すべきだろう。
若きボンドの物語としては完全にやり切った感も強いので、いっそここでまた仕切り直しても良いくらいだが、「カジノ・ロワイヤル」以降三作を経過しても、シリーズがマンネリズムに陥る危険性は全く感じられないのも事実。
ダニエル・クレイグ主演で少なくとも後二本は作られる予定の次回作で、また驚かせてくれるハズである。
もちろん、人間ドラマとして優れているだけでなく、冒頭のイスタンブールでの追撃戦から、オールドファン感涙もののアストンマーチンDB5の粋な活躍、クライマックスのスカイフォールでの地の利を活かした攻防戦までアクション映画としても見応えは十分。
レイフ・ファインズとナオミ・ハリスの演じたキャラクターの使い方も、「なるほどこう来たか!」という次に繋がるワクワクを感じさせてくれるもので、特に後者は最後まで読めなかった。
続き物であった前二作とは違って、完全に独立した作品であり、これ単体でも十分楽しめるが、できれば前二作にプラスして、シリーズ第三作の「ゴールドフィンガー」は観ておくべきだろう。

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クレイグ版のジェームズ・ボンドも、スパイとしてはちょうどこの位大人に育った?
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