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ホビット 思いがけない冒険・・・・・評価額1650円
2012年12月14日 (金) | 編集 |
中つ国へ、再び。

「ホビット 思いがけない冒険」から始まる新たな三部作は、ハイファンタジー映画の最高峰、「ロード・オブ・ザ・リング(LOTR)」三部作の前日譚にあたる作品だ。
冥王サウロンとの戦いから遡る事60年(原作では約80年)、フロドに力の指輪を託したビルボ・バギンズの若き日の冒険が描かれ、彼が指輪を手に入れた顛末も明らかとなる。
J・R・R・トールキンの古典児童小説の監督には、当初ギレルモ・デル・トロが就任したが、相次ぐトラブルによるスケジュールの遅れなどから降板し、最終的には「LOTR」と同じピーター・ジャクソンがメガホンを取ることになり、デル・トロは制作コンサルタント及び脚本チームの一人としてクレジットに残る。
主人公のビルボ・バギンズをマーティン・フリーマンが演じ、ガンダルフ役のイアン・マッケラン、ガラドリエル役のケイト・ブランシェット、そして原作には登場しないフロド役のイライジャ・ウッドも嬉しいゲスト出演を果たし、懐かしい面々が中つ国の雄大な風景に再び集う。
本来1秒間24コマで表現される映画を、倍の48コマのフレームレートで撮影・上映し、情報量を大幅に高めた新技術、HFR 3Dが用意されるのも話題だ。

中つ国のホビット庄に住むビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)の元へ、ある日灰色の魔法使いガンダルフ(イアン・マッケラン)とトーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)率いる13人のドワーフがやって来る。
彼らは、嘗て隆盛を誇りながらも、ドラゴンのスマウグに奪われたドワーフの王国エレボールを奪還する旅に出発するところで、ビルボを“忍びの者”として雇いたいと言うのだ。
突然の事に驚き、一度は申し出を断るビルボだったが、冒険への渇望はいやし難く、彼らの遠征に同行する事になる。
裂け谷のエルロンド(ヒューゴ・ウィーヴィング)の助力で、エレボールに通じる地図の謎を解いた一行は、霧ふり山脈を超える途中、ゴブリンの迷宮に囚われてしまい、隙をみて逃げ出したビルボの前に、ゴラム(アンデイ・サーキス)という奇妙な生き物が姿を現す。
一方、森の生き物たちに精通する茶色の魔法使いラダガスト(シルヴェスター・マッコイ)は、遠い昔に滅びたはずの邪悪な力が、密かに復活しつつある事をガンダルフに知らせるのだが・・・


「ホビット」は、始めから困難な運命を課せられた作品だ。
J・R・R・トールキン原作、ピーター・ジャクソン監督による「LOTR」三部作は、2001年から2003年にかけて公開され、全世界での興収30億ドル、最終作の「王の帰還」に至っては、史上初のファンタジー映画によるアカデミー賞を作品賞以下11部門制覇し、興行的にも内容的にも空前の成功を収めた作品である。
そのビギニングにあたる「ホビット」三部作は、確実に前作と比較される宿命、しかし誰がどう撮ろうとも、偉大すぎるベンチマークである「LOTR」を決して超えることは出来ない事は、作品の幹であるストーリー、原作の段階から明らかなのだ。

元々古英語の研究者だったトールキンが、中つ国を舞台に本作の原作となる「ホビットの冒険」を出版したのは1937年。
この作品が好評で、同じ世界観で内容を大幅に拡充した続編、「指輪物語(LOTR)」が世に出るのは1954年の事だ。
「ホビットの冒険」は「指輪」の前編であるのと同時に新人作家トールキンの習作であり、よく出来た児童小説ではあるものの、比べてしまえばストーリー、キャラクター、テーマなど凡ゆる点でより洗練された「指輪」に及ばない。
話のスケール一つとってみても、世界を救う光と闇の壮大かつ神話的戦いを描いた「指輪」に対して、こちらは端的に言えばドワーフの一王国をドラゴンから取り戻して再興させる話であり、大幅にスケールダウンした感は否めないのである。
主人公の葛藤にしても、世界の運命を一人で背負ったフロドに対して、ビルボの抱える問題はずっと軽い。

だが、原作のスケールが小さいといっても、映画として「LOTR」より劣っても良いという訳にはいかない。
ならば、盛り上がるファンの期待にどう答え、映画としてのクオリティを担保するのか?
この第一部を観る限り、ピーター・ジャクソンは、嘗て自らが作り上げた成功の方程式、即ち「LOTR」を本作にも当て嵌めるという手法をとった。
ホビット庄の牧歌的風景に始まり、旅の仲間の結成、裂け谷への訪問、霧ふり山脈の地下迷宮での戦いと、本作の構成は基本的に「LOTR 」の第一部「旅の仲間」を踏襲しているのだ。
しかし、当然ながらこのやり方には無理がある。
なぜなら、邦訳文庫版で全九巻の大長編である「指輪物語」に対して「ホビットの冒険」は上下二巻に過ぎない。
圧倒的な情報量の差があるにも関わらず、映画版は「LOTR」と同じく三部作で、第一部となる本作だけでも「旅の仲間」の劇場版に殆ど匹敵する170分もあるのだ!

小説の文章から「LOTR」と同じ感覚で映像に置き換えるとすると、当然ながら足りなくなってしまう。
そこで脚本チームは、前回膨大なエピソードを取捨選択したのと逆に、原作を忠実に描いた上で更に膨らませる事でボリュームのバランスをとっている。
例えば映画のオープニングを「旅の仲間」の冒頭と同じ日時に設定し、過去を振り返る形式とする事で原作には登場しないフロドを出演させて、旧作と同じ世界観を持つ事を強調し、物語に入りやすくする工夫。
原作では名前が出てくる程度のラダガストを、重要なキャラクターとして物語に組み込んだり、この時代には既に死んでいるはずのオークの王、アゾグの設定を変更し、トーリン・オーケンシールドの宿命の仇と位置付けたり、全編に渡って大小の脚色が施されている。
そうしてドラマ性を補完した結果、活劇としての見せ場も必然的に多くなり、「LOTR」にも遜色無いスペクタクルな大作として成立させているのだ。

前半のややスローテンポもトールキンの物語を知る読者にはむしろ“らしく”感じられ、後半の怒涛の展開は正にアクションのつるべ打ちでお腹いっぱい。
この10年の技術的進化を反映させたビジュアルは、全体に「LOTR」よりもコミカルな味付けが特徴で、さすがの仕上がりと言って良い。
トロルとのユーモラスな戦いや、ビルボとゴラムのなぞなぞの掛け合いなど、原作通りの部分は限りなく忠実に、岩の巨人のどつき合いから、ゴブリンの迷宮での追いかけっこ、クライマックスで崖の上の戦いなど、映画ならではのパワフルな見せ場では縦横無尽に動き回るカメラ+3Dでデジタル映像の威力を堪能できるだろう。
ビルボの成長物語としても一応のオチがつき、170分の長尺も終わってみたら意外と早かったなと思えるのだから大したものだ。

「ホビット 思いがけない冒険」からは、正直なところ11年前に「旅の仲間」と出会った時ほどの衝撃と感動は感じられない。
だがあの映画は、直前に起こった9.11がもたらした未来への不安と戦争への予感が内容と偶然にもマッチし、作り手の意図を超えて時代に呼ばれた奇跡の作品であったと思う。
ピーター・ジャクソンに同じ奇跡を再び求めるのはさすがに酷というものだろう。
少なくとも、一年後の第二部を早く観たいと思わされるほどには面白かったし、娯楽大作として十分に楽しめる作品だと思う。
本作は三段構成で言えばまだ“序”の部分、「ドラゴンクエストの原点」を満喫出来るであろう、次作「スマウグの荒らし場」を楽しみに待ちたい。

ところで、売り物のHFRはかなり好みが別れるだろう。
フレームレートは映像の印象を決定づける重要な要素で、我々の脳は長年のすり込みで秒間24コマが作り出す映像こそを“映画的”と認識しているのである。
だから一気に情報量が倍になるHFRの映像は、極めてクリアで臨場感たっぷりではあるものの、逆に明る過ぎ、見え過ぎで、「テレビの様に安っぽい」と感じてしまう人は多いのではないか。
実際、私も感覚が馴染むまでにだいぶ時間を必要とした。
これからの技術として可能性を秘めているのは確かだが、画作りの考え方から再考する必要がある様に思う。
とりあえず、今まで通りの“映画っぽい画”を求める人は一先ずは通常上映で鑑賞する方が無難かもしれない。

今回は、ファンタジーの世界に似合う酒「ミード」をチョイス。
ミードとは蜂蜜を発酵させて作る所謂蜂蜜酒の事で、「指輪物語」にも登場するほか、トールキンに大きな影響を与えた北欧神話でもお馴染み。
人間が最初に口にしたアルコールは、木のウロなどに溜まった蜂蜜が雨水などと混じり合い、自然発酵して出来た物だと考えられており、それ故にミードは世界最古の酒とも言われ、ヨーロッパでは昔から親しまれている。
使用する蜂蜜の種類によっても味が異なり、寒い季節には温めてナイトキャップにするのもオススメだ。
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