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2012 unforgettable movies
2012年12月30日 (日) | 編集 |
昨年から続くアラブの革命に、ロンドンオリンピック、領土問題からきな臭さを増す東アジア情勢、そして日本を含む世界各国の政治の季節。
色々な事が起こった2012年も、もうすぐ歴史になる。
日本社会の内向きの気分を反映するかの様に、映画興行では邦高洋低が続き、世界中でヒットしているのに、日本だけでコケるという映画が続出、市場のガラパゴス化が加速した。
一方で、昨年の3.11と今に続く原発事故の衝撃は、直接的に間接的に日本映画に影響を与え、9.11がハリウッドを変えた様に、確実に変異をもたらしている。
今年は、日本人はどう未来に生きるべきかを、深く考察した優れた作品が目立った年だったと思う。
それでは、2012年に出会った「忘れられない映画たち」を鑑賞順に。

「ヒミズ」は、3.11後の非日常の中で、日常の幸せを求めて必死に足掻く若い魂を、泥沼の中の希望と共に描く鮮烈な青春映画。しかし、その僅か9ヶ月後に公開された「希望の国」の、タイトルとは裏腹な絶望は、この一年半の日本人の気分をそのまま反映している。園子温は、あえて物語の普遍性を捨て、“今”に向かって訴えるのである。

「J・エドガー」は、クリント・イーストウッドによる、20世紀の怪物、フーバー初代FBI長官の一代記。もっとも、歴史上の人物の評伝というより、一人の特異な男をモチーフにした倒錯的ラブストーリーとして観るべきだろう。権力と虚飾に塗れた人生で、唯一残った真実は“愛”という辺りにイーストウッドの優しさが見える。

「ポエトリー アグネスの詩」は、老齢に至るまで世界の本質とは向き合わずに生きて来た老女が、自らの病、孫の起こしたレイプ事件という過酷な現実を前に、一編の詩を紡ぎ出すまでの物語。巨匠イ・チャンドンは、日本以上のスピードで急速な少子高齢化が進む韓国の今を、一人の女性の心の葛藤と実に詩的、いや映画的にリンクさせた。

「ヒューゴの不思議な冒険」は、マーティン・スコセッシからの映画史への招待状。1920年代のパリ、モンパルナス駅を舞台とした少年と少女のリリカルな物語は、やがて忘れられた“映画の父”を再発見する。過剰なほど飛び出し感が強調されたスコセッシ初の3D表現は、100年以上前に始めて映画を観た人々の驚きの追体験なのである。

「戦火の馬」は、一頭の馬“ジョーイ”を巡る寓話的な歴史劇。第一次世界大戦の戦場に送られたジョーイは、数奇な運命に導かれる様に、敵味方様々な人々と一期一会の縁を結び、不条理な運命に翻弄される人間たちは、もの言わぬ馬の優しい目に希望を託す。ドイツ軍とイギリス軍の兵士が、鉄条網に絡まったジョーイを協力して解放するシーンこそ、本作の核心だ。

「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」は、公民権運動が盛り上る1960年代、超保守的なミシシッピ州を舞台に、女性たちの小さな、しかし勇気ある一歩をユーモラスに描いたヒューマンドラマ。反差別というシリアスなテーマを扱いながら、事の発端がトイレだったり、う●こパイがキーアイテムだったり、何気に下ネタ満載なのがとっつきやすさに繋がっている。

「アーティスト」は、サイレントからトーキーへの変革期のハリウッドを舞台にしたチャーミングなフランス映画。声という新たな武器を得てスターダムを駆け上がる若き女優と、逆に時代に取り残され没落する嘗ての大スター。二人の運命が交錯するメロドラマから、一気にミュージカル映画の誕生へと持ってゆく鮮やかなセンスに脱帽。

「別離」は、イランから届いた人間の心を巡る極上の心理ミステリ。アスガー・ファルファディ監督は、前作「彼女が消えた浜辺」のスタイルを更に洗練させ、小さな秘密から始まる二組の夫婦の“おとなのケンカ”から、人間心理の深層をえぐり出す。綿密に組まれたロジカルな脚本に、イスラムの信仰というスパイスも絶妙に効き、全く目が離せない。

「裏切りのサーカス」は、ジョン・ル・カレの傑作スパイ小説を、作者自らのプロデュースで映画化した作品。スウェーデン出身のトーマス・アルフレッドソン監督は、冷戦時代を舞台としたミステリアスな物語を手堅く仕上げた。裏切りと謀略が渦巻く諜報の世界、最後に浮かび上がるのは、歴史の裏側に生きる男たちの、切ない愛の物語だ。

「私が、生きる肌」は、スペインの異才ペドロ・アルモドバル監督が放った大怪作。妻と娘を失ったマッドサイエンティストの復讐は、想像もできない奇抜な物語へと展開する。狂気が支配する異色の復讐劇は、同時に怪奇ミステリーの趣もあり、倒錯的ラブストーリーでもあり、観客は予定調和が全く存在しないアルモドバルの世界に、驚嘆しながらも溺れるしかない。

「この空の花 -長岡花火物語」は、元祖映像の魔術師・大林宣彦から、全ての日本人に向けた遺言的集大成。毎年夏に長岡空襲を追悼する花火は、時間も空間も現実と虚構の壁も軽々と超え、壮大なシネマティック・ワンダーランドを形作る。響き渡るのは、幕末の故事から第二次世界大戦の記憶、そして東日本大震災を経て未来へと繋がる過去からの“声”だ。

「桐島、部活やめるってよ」は、吉田大八監督による先鋭的な青春群像劇。画面に登場しない“桐島”の存在は、やがて学園ヒエラルキーの全ての層を巻き込んで、日常に潜む漠然とした不穏を炙り出してゆく。それぞれの葛藤が頂点に達した、夕暮れの屋上での実に映画的なクライマックスは、青春の熱が一瞬で沸騰したかのようなカタルシスを感じさせる。

「おおかみこどもの雨と雪」は、私的“ムービー・オブ・ザ・イヤー”。日本アニメーション100年の歴史を受け継ぎ、その可能性を新たな次元へと飛躍させた歴史的金字塔だ。本作ではリアルとファンタジーが完璧にバランスし、アニメーション的デザインとリアリティの再解釈が試みられている。描かれるのはこの美しい列島の、本質的な命の循環の物語だ。面白いのは、日本では同日公開となったディズニー/ピクサーの「メリダとおそろしの森」とモチーフに幾つか共通点が見られる事。“子育て”は今年のアニメ界で隠れブームなのかも。

「ダークナイト ライジング」は、クリストファー・ノーランが描き上げた、21世紀の壮大な暗黒神話。最終作となるこの作品は、もはや破綻ギリギリに物語が詰め込まれ、圧倒的な情報量はもうお腹いっぱい。前作の「ダークナイト」から後退した部分もあるのだが、映画を完結させた上で、同時に伝説の永続性を示すことで、物語を神話的領域に昇華させたノーランの仕事はやはり賞賛されるべきだ。

「思秋期」は、自分では制御できない怒りの感情に苦しめられる、飲んだくれの男やもめと、内面に悲しい秘密を抱えた女の魂の絆を描く燻し銀の人間ドラマ。どんなに辛くても、傷ついても、誰か一人でも心のよりどころがいてくれれば、人生は美しい。パディ・コンシダイン監督は、この長編デビュー作で自らの非凡な才能を証明した。名優ピーター・ミュランと、オリビア・コールマンの名演が光る。

「アベンジャーズ」は、全てのアメコミファンが待ち望んだスーパーヒーロー大集合映画。この手の有名キャラ共演作品は過去にも例があるが、往々にしてこちら立てればあちら立たずになりがちだ。これほど沢山のヒーローが同じ話の中にいても、ちゃんとチームとして機能しているのは大したもの。「ダークナイト ライジング」がワールドシリーズなら、こちらは正に夏の夜の夢、映画界のオールスターゲームと言えるだろう。

「最強のふたり」は、もしも今年観た映画のなかで、一番人に勧めやすい作品を選ぶとしたら、文句なしのNo.1。王道の中の王道の“良い話”だ。あらゆる点で対照的な二人の主人公の繰り広げる対立と葛藤、友情の物語は、笑って泣いて、最後に感じるのは人間に対する希望。最高に爽やかな後味を持つお手本の様な秀作だ。

「アシュラ」は、70年代のカルトコミックのまさかの映画化。戦乱と飢餓の時代に、名もなく言葉も知らず、人喰いとなった少年の目を通して、人として生きるとはどういう事かを、仏教的な死生観をバックボーンに描いた大力作だ。人は他の命を奪わずには生きられないのに、なぜ人を喰ってはいけないのか。アシュラが極限の状況で本能と理性の壮絶なせめぎ合いを見せるクライマックスは、映画史に残る名シーンだ。

「アルゴ」は、1979年のイラン革命下で実際に起こった、奇想天外な脱出作戦を描くサスペンス。監督・主演のベン・アフレックは、史実とフィクションを絶妙に組み合わせ、手に汗握る娯楽映画として成立させている。だが、可能な限り政治性を排除しようとしている事が、逆に歴史のアイロニーを際立たせる。困難な状況に陥っている人を助けるのは正しい。では、その困難を招いたのは一体誰なのだろうか。

「任侠ヘルパー」は、ヤクザと老人という一見水と油の様なモチーフを、貧困ビジネスという切り口で見事にまとめ上げた、社会派エンターテイメントにして平成の正統派任侠映画だ。草彅剛演じる翼彦一は、超高齢化社会を迎えた日本の、新たな“寅さん”になり得る可能性を秘めた、ユニークなキャラクターだと思う。

「007 スカイフォール」は、シリーズ史上初のアカデミー賞監督、サム・メンデスによる「007 ビギニング」三部作の最終章。ジェームズ・ボンドのアイデンティティを巡る旅は、母離れできなかったもう一人のボンドとの対決と、母殺しによって集結する。ダニエル・クレイグが悪役を演じた、メンデスの「ロード・トゥ・パーディション」とも、対になるような構造なのが面白い。

「ホビット 思いがけない冒険」は、歴史的な「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の前日譚となる新三部作。9年ぶりに中つ国に帰還したピーター・ジャクソン監督は、原作の不利を感じさせない見事な作品を作り上げた。本来三本まとめて評価すべき作品だろうが、何度も観たくなり、観る度に新たな面白さが発見出来るシリーズの味わいは健在。やはりこれ一本でも忘れられない。

「レ・ミゼラブル」は、誰もが知る傑作ミュージカルの完全映画化。19世紀フランスを舞台にした“惨めな人々”の魂の歌声は、時空を超えて混沌の現代日本に恐ろしくリアルに響き渡る。極めて演劇的でありながら、同時に映画でしか表現し得ない独特の演出、出演者たちの圧巻の熱演(熱唱)は、舞台以上に観客を虜にする魅力に満ちている。人々が未来へと歌い上げるラストは、一年の締めくくりに相応しい大団円だ。

「はちみつ色のユン」は、バンデシネのアーティスト、ユンの自伝的物語。韓国人孤児だった彼はベルギーに養子に出され、ヨーロッパ人として育った。現在のソウルを訪ねたユンのパートを実写ドキュメンタリーとして、彼の成長期がアニメーションとして描かれる異色作。アイデンティティを巡る葛藤は、母なる存在の愛へと帰着する。


以上が、今年の「忘れられない映画たち」となった。
観た時は凄く良かったけど、今振り返るとそれほど印象に残っておらず、外した作品もあるし、逆に時間が経つほどに、自分の中で重みを増した作品もある。
それらをひっくるめて、あくまでも現時点で、忘れられない作品である。
アメリカ映画では、9.11の心の傷を描く「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」や、ジョージ・クルーニーが冴えないおっさんを好演した「ファミリー・ツリー」、異色のアウトロームービー「ドライヴ」なども良かった。
日本ではアニメが大豊作で、上記した作品以外でも 「ももへの手紙」「虹色ほたる〜永遠の夏休み〜」など個性的な秀作が生まれ、必ずしも成功していない物も含め、挑戦的な作品が多かった様に思う。
また日韓で北朝鮮をモチーフにした作品も目立ち、「ムサン日記〜白い犬」「外事警察 その男に騙されるな」「かぞくのくに」といった作品が印象に残る。
さて、来年はどんな作品と出会えるだろう。

それでは皆さん、良いお年を。
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