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キャビン・・・・・評価額1650円
2013年03月05日 (火) | 編集 |
この世界の秘密を知りたいか?

「クローバーフィールド/HAKAISHA」の脚本家、ドリュー・ゴダードの監督デビュー作は、山奥のキャビン(山小屋)を訪れた5人の若者に降りかかる恐怖を描いた、超異色のホラー映画。
プロデュースと共同脚本には「アベンジャーズ」ジョス・ウェドンが名を連ね、若者たちの一人を演じるクリス・“神”・ヘムズワースも同作繋がりだ。
当初は2010年に公開予定だったものの、配給のMGMの財政破綻などの余波により、本国公開まで2年以上もお蔵入りした不運の作品。
まあ、その間に関係者が次々と有名になった事を見ると、むしろ幸運の作品でもあるのかもしれないが。
過去のどんな映画にも似ておらず、何とも形容のしがたい大怪作で、本当に日の目を見て良かったと思う。
ホラー映画ファンほど騙され、楽しめる事は確実だ。
※核心部分に触れています。

真面目な女子大生のディナ(クリステン・コノリー)は、友達のジュールス(アンナ・ハッチソン)とその彼氏のカート(クリス・ヘムズワース)、彼のアメフト仲間のホールデン(ジェシー・ウィリアムズ)、変人のマーティ(フラン・クランツ)の5人で、カートのいとこが買ったという山奥のキャビンにバカンスへ出かける。
その夜、早速飲んで踊って楽しい時間を過ごしていると、突然地下室への扉が開く。
5人が恐るおそる入ってみると、そこには古びた絵画や人形、時代を感じさせる様々な宝飾品などが雑然と置かれていた。
ディナは、一冊の日記帳を見つけるが、それはずっと昔にこのキャビンで、家族同士が殺し合った惨劇の記録だった。
日記には、ラテン語で復活の呪文が書かれているのだが、何も知らないディナはそれを読んでしまう・・・


冒頭、この手の映画には似つかわしくない、リチャード・ジェンキンスとブラッドリー・ウィットフォード演じる、二人のおっさんの会話で始まることに面食らう。
近代的な研究所のようなところに勤めている彼らは、どうやら全世界規模のプロジェクトの一つを動かしているらしい。
本作の物語のベースになっているのは、H・P・ラブクラフトらによって創造された所謂「クトゥルー神話」だ。
嘗て強大な力で地上を支配した太古の邪神は、今なお地中や海中深くに眠って復活の時を待っているというアレである。
古き神々を目覚めさせないために、人類はグローバルな秘密組織を作り、人知れず人間の血を生贄として捧げる事で、この世界を維持しているというのが本作の世界観なのだ。
つまり冒頭のおっさんたちは、組織のアメリカ支部の担当者たち。
毎年用意周到に“淫売”“愚者”“学者”“競技者”そして“処女”の役割を与えられた5人の若者たちを、やはりラブクラフトの影響の強い「死霊のはらわた」に出てきたのとそっくり(どちらかと言えばゲーム版だが)な山奥のキャビンに送り込み、怪物に殺させるのが任務だ。

現れる怪物の種類は地下室にある数多くのホラーアイテムの中から、生贄たち自らによって“偶然”選ばれ、本作においては「死霊のはらわた」と同じく、復活の呪文によって死の引き鉄がひかれ、ゾンビ一家が蘇るという訳である。
面白いのは世界中で行われている死の儀式は、それぞれのお国柄が出ているらしい事で、例えば日本支部から送られている映像には、あの“貞子”の様な幽霊が映し出されている。
「リング」「呪怨」に代表されるJホラーは、80年代以降パターン化したアメリカンホラーの世界に、大きなインパクトと共に全く新しい恐怖のイメージを齎したエポックだったので、これはハリウッドからJホラーへの嬉しいオマージュだろう。
もっとも、生贄といっても殺される方も必死で抵抗するから、いつも首尾よくいくとは限らない。
各国の支部が行う儀式で、どこか一つだけでも成功すれば良いが、もしも全て失敗し生贄が手順どおりに捧げられなければ、古き神々が復活し世界は滅びてしまう。
劇中では他国の儀式が次々と失敗に終わり、人類最後の砦がアメリカ支部という事になり、組織はあの手この手でゾンビ一家をサポートし恐怖を演出する事になるのだ。

ドリュー・ゴダードは、まるでクリスタル・レイクの様な湖が近くにある山奥のキャビンという、典型的な80年代ホラーの舞台装置に、これまた典型的なアメリカの若者グループを配し、“ホラー映画あるある”的にこのカテゴリを戯画化してみせる。
死すべきキャラクターは死なず、本来ヒーローとなるべきキャラクターはあっさりと死んだり、お約束の意図的なハズシによって、ホラーを知る観客ほど笑えるという寸法だ。
だがここまでなら、例えばウェス・クレイブン監督が自作を含む低予算ホラーをセルフパロディ化した「スクリーム」シリーズや、ジョン・ギャラガー監督の「ザ・フィースト」シリーズなどが既にやっている。
世界を救う秘密組織が、人知れずホラー祭りをやっているという「トルーマン・ショー」的な構造は目新しいが、冒頭からいきなりネタ晴らししているので、これも世界観の仕掛け以上の衝撃は無い。

実は、本作が本当の意味で特異性を発揮するのは、上映時間の2/3が過ぎて普通の作品であれば生き残る者が大体決まり、物語の収束点へと向かって動き出す辺りからである。
ここからはもう何を書いてもネタバレになってしまうので出来るだけ自粛するが、ある人物の意外な行動を切っ掛けにして、物語は予想もしない方向へと進みだし、ブレーキの壊れた機関車のように、ありとあらゆる“ホラーの常識”を破壊しながら暴走するのだ。
この種の映画の熱烈なファンほどに嬉しくなってしまう怒涛の展開と、クライマックスの唐突な“あの人”の登場。
思うに“あの人”は、もはや西部劇におけるジョン・ウェインの様に、ジャンル映画のアイコン化しているのだろう。
そして、とてもじゃないけど物語の入り口からは想像すら出来ない、豪快かつ壮大なラストカットのインパクト。
これは、ある意味でラブクラフト以来のアメリカン・ホラーの系譜に現れた大カタストロフィであり、長年の間マンネリの手垢に塗れたこのジャンルの創造的な解体だ。
おそらく相当に観客を選ぶ作品だろうが、「我こそはホラーファン」と自認する人は、真っ先に劇場に駆けつけるべき作品であることは間違いない。

今回は、過去にも何度か付け合せたボトラーズ・ブランド、コンパスボックス社の「ピートモンスター」の新パッケージをチョイス。
ラベルのモンスターは、怖いというよりはどこかユーモラスで、昔ジム・ヘンソンが作った「ストーリー・テラー」の「恐怖を知らなかった少年」というエピソードに出てきた沼の主に似ている。
中身の方はスモーキー&スパイシー、適度なピート感とフルーティーさもあり、名前とは裏腹に比較的マイルドで美味しいお酒だ。
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