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シュガー・ラッシュ・・・・・評価額1650円
2013年03月28日 (木) | 編集 |
誰だって、ヒーローになれる。

大人も子供も大好きな、ゲームの世界を舞台とした痛快なCGアニメーション。
ヒーローになりたいと願う悪役キャラクターのラルフと、不良プログラムとしていじめられている少女ヴァネロペ。
孤独な二人が出会った事で、ゲーム界の存亡をかけた大騒動が巻き起こる。
ウォルト・ディズニー・スタジオ52本目の長編アニメーション作品は、子供はもちろん大人も大いに楽しめる快作だ。
監督は「ザ・シンプソンズ」などテレビアニメで知られるリッチ・ムーアーで、これが初の劇場用長編作品となる。

古典アーケードゲーム“フィックス・イット・フェリックス”の悪役キャラ、ラルフ(ジョン・C・ライリー/山寺宏一)は長年の悪役稼業に嫌気がさし、ヒーローになるために自分のゲームから飛び出してしまう。
ラルフは、戦闘ゲームの“ヒーローズ・デューティ”でヒーローの証であるメダルを奪取することに成功するが、ロケットの暴走でお菓子の国のレースゲーム、“シュガー・ラッシュ”に迷い込み、そこで不良プログラムの少女ヴァネロペ(サラ・シルバーマン/諸星すみれ)と出会う。
お互いの孤独な境遇を知り、次第に親しくなってゆく二人は、力を合わせてレースに出場しようとする。
だが、お菓子の国を支配するキャンディ大王(アラン・デュディック/多田野曜平)は、なぜか執拗にヴァネロペがレースに出る事を妨害する。
実は、“シュガー・ラッシュ”には大王しか知らない重大な秘密が隠されていた・・・


カラフルなお菓子の世界はいかにも子供が好きそうで、2.5頭身キャラクターたちも可愛いく造形されている。
子供たちがこの映画に魅了されるのは間違いないが、実は彼らを劇場に連れてくる“大きなお友だち”の方がずっと深く楽しめるだろう。
なぜならここには、過去40年間のゲームと映画の歴史があるからだ。
キャラクターたちの織りなす物語と、美しい3D画面で繰り広げられるアクションを観ているだけでも十分面白いが、散りばめられた“ゲームの記憶”が30代以上の観客にはプラスアルファの笑いを提供してくれる。
クッパ大王やザンギエフといった日本製ゲームのメジャーキャラクターとディズニーとのコラボはもちろん嬉しいが、“Tapper”のバーや懐かしの“Pong!”のパドルとボールなんていう今の子供たちには絶対わからない小ネタ、短い歴史の中で急激に進化したゲームの世代間スペック格差までギャグにしてしまう軽妙なセンスに脱帽。
“Q-bert”のフキダシなんて懐かし過ぎて大笑いした。
また、ゲームの中という世界観はディズニーの古典SF「トロン」を、人間が見ていない時間、キャラクターたちが実は・・・という設定はピクサーの長編第一作「トイ・ストーリー」を、業界キャラクター大集合というコンセプトは「ロジャー・ラビット」を思わせ、ディズニー・ピクサーの歴史をも内包しているのである。

ディズニー・スタジオ作品としては、伝統のプリンセス物「塔の上のラプンツェル」、人気キャラクターの新作「くまのプーさん」に続く作品だが、内容的にはむしろピクサー色が非常に強いのが特徴だ。
主人公のラルフは、長年悪役としてゲームの中でビルを壊し続けてきたが、他のキャラクターたちからは乱暴者と疎外され、孤独を募らせている。
悪役キャラのグループセラピー(笑)に参加したものの、他の悪役たちの様に、この役割をポジティブには受け止められない。
とうとう彼は、自分のゲームを飛び出して、他のゲームに紛れ込んでヒーローになろうとするのだ。
そして迷い込んだ“シュガー・ラッシュ”で出会ったヴァネロペもまた、不良プログラムとして蔑まれ、孤立している似た者同士。
二人が反発し合いながらも友情を育み、大きなチャレンジを成し遂げて、それぞれの“居場所”を見つけるのはもはや王道中の王道だ。
彼らの挑戦に、ゲームの世界を救うためにラルフを探すフェリックスと、ラルフによって“ヒーローズ・デューティ”から“シュガー・ラッシュ”に持ち込まれたあるモノを追う女傑カルホーン軍曹、そして重大な秘密を持つキャンディ大王の思惑が絡み合い、物語を単純な話型に陥らせないのはさすが。
孤独と可能性への渇望を抱えたキャラクターが、行動する事によって未来を切り開こうと葛藤し、そこへ重層的な伏線が巧みに張られた凝ったプロットは正にピクサー流。
冒頭のロゴをシンデレラ城からルクソールJr.に付け替えたとしても、全く違和感が無い。

面白いのは、本作の最後の最後に登場するボスキャラ的な悪役の正体で、これだけは今までのどのディズニー・ピクサー作品とも大きく異なる。
簡単に言えば、物凄く振り切った悪役なのだ。
大人の観客を意識するピクサーはもちろん、悪役を罰する事に倫理的な理由付を求めるディズニー作品でも、あまり単純な絶対悪に陥らない様に腐心しており、そのために悪役の末路にある種の悲哀を感じさせる作品が多い。
ところがこの作品では、伏線は張られているものの、悪役としてのネタばらしが良い意味で唐突。
しかも「Turbo-tastic!」と叫びながらひたすら他人の人生(?)を妨害しまくるという、ムスカ大佐級の超自己中キャラで、尚且つプログラムという無機質な存在ゆえに、全く同情心を抱かせずに痛快に滅んでゆく。
この位スッキリした悪役は久しぶりに見た気がする(笑

「シュガー・ラッシュ」は、その甘味な装いとは裏腹に、大人の鑑賞に十分耐える、いやむしろ大人の方が楽しめる作品である。
唯一残念なのは、子供向けのイメージでの展開故か字幕版が提供されない事だ。
本作の宣伝戦略には日米の文化の差がクッキリ出ている。
原題は「Wreck-It Ralph(ラルフ、ぶっ壊せ)」であり、劇中で彼がいるゲーム「Fix-It Felix(フェリックス、治して)」の対になっており、キービジュアルもラルフを中心にデジタルなゲーム感を強調したもの。
対して日本では、「シュガー・ラッシュ」のタイトルと共にカラフルな世界観が中心で、キャラも可愛らしさを強調した絵柄となっている。
子供向けに振った日本での方向性は、マーケットの嗜好を考えれば間違っていない。
だが、おそらく劇場サイドの要請なのだと思うが、吹き替えオンリーとなってしまったのは、ディズニーの大きなお友だちとしては残念だ。
もちろん日本語版の仕上がりは素晴らしい物だが、別の演出家によって別人が声を当てた時点で、作品の重要な要素がごっそり入れ替わってしまっており、オリジナルとは別物なのである。
やはり原語版で観たかったのが正直なところだ。

同時上映の短編は、本年度アカデミー短編アニメーション賞に輝いた「紙ひこうき」でこちらも必見の傑作。
既にネットでオフィシャルに公開されてるので鑑賞済みだが、スクリーンで観ると更に素晴らしいのである。
偶然の出会いから始まるラブストーリーは、セルアニメ調のモノクロ3Dの世界で展開する、完全に大人のためのファンタジー
ヒロインのキャラクターデザインが素晴らしく、正にディズニー流の萌えキャラだ。

今回はカラフルな世界観に合わせて、カクテルの「パラダイス」をチョイス。
ドライ・ジン30ml、アプリコット・ブランデー15ml、オレンジ・ジュース15mlをシェイクしてグラスに注ぐ。
オレンジの甘味と適度な酸味が、アプリコットの優しい香りと共に楽園を演出し、ドライ・ジンがスッキリとまとめ上げる。
美しいイエローが印象的な、華やかなカクテルだ。
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