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ショートレビュー「アイアンマン3・・・・・評価額1600円」
2013年05月14日 (火) | 編集 |
鋼鉄の、繭を破る。

マーベル・ユニヴァースのヒーローたちの中でも、屈指の人気を誇る「アイアンマン」シリーズ第三弾。
思えば、アイアンマンというのはユニークなキャラクターだ。
スーパーマンにしろスパイダーマンにしろ、図らずも超人的なパワーを持ったヒーローたちは、その圧倒的な力故に、自らの成すべき事は何か、正義とは何かについて葛藤する。
ところがアイアンマンの中の人、トニー・スタークはメカヲタクの大富豪で、誰に頼まれた訳でもなく、勝手にパワードスーツを作ってヒーローを名乗っている。
ぶっちゃけ、彼にとってのアイアンマンとは、成金が乗り回すフェラーリの延長線上にある贅沢なオモチャであり、ヴィランにしても商売上の敵とか私怨の結果として戦う相手が多い様に思う。

ところが、今回はトニー・スタークに変化が見られるのである。
「アベンジャーズ」の戦いによって、絶体絶命の危機と、愛する者を失う恐怖を味わった事が、スタークにとって大きなトラウマとなってしまっているのだ。
戦いが怖くてPTSDを患ったヒーローなんて初めて見たが、心に傷を抱えた彼が何をしているかというと、例によってアイアンマンスーツの改良(笑
何時、何処にいてもスーツが装着できるように遠隔操作でパーツごとに飛んでくる様にしたり、中の人がいなくても自立機能でスーツをコントロールできたり、人間としての弱さを、スーツを強化することで乗り越えようとしているのである。
しかし、どんなに武器としてのスーツを強化したとしても、心に潜む恐怖を退けることはできない。
今回のヴィラン、まさかの名優ベン・キングスレーがノリノリで演じるマンダリンは、まんまビン・ラディンだ。
2011年に殺害されるまで、見えない恐怖の象徴としてアメリカを支配したビン・ラディンのモドキがヴィランで、さらにそれが本物の悪によって作られた虚像であるという設定は、何ともこのシリーズらしい皮肉っぽさ。
大統領が石油利権の人だったり、本作はさりげなくだが、対テロ戦争のセルフパロディとしての構造を持っているのである。

さて、愛するペッパーを奪われ、最大の危機に陥ったアイアンマンは、スーツのバリエーションを大集合させて総力戦を繰り広げるも、今回の真のヴィランは金属のスーツを無力化してしまう能力の持ち主。
力の象徴たるスーツはあくまでも牽制にしかならず、遂にスタークは生身の人間として敵の前に立たねばならなくなる。
過去二作と比べても、今回はアイアンマンとして活躍するシーンが少なく、結果的にトニー・スタークという中の人がフィーチャーされているのが特徴だ。
そう、本作は鋼鉄の繭によって、本当は弱く、虚栄心の固まりである自らを守ってきたオトナコドモの大富豪が、愛する人を守るために、遂に繭を破って本物の男になる成長物語なのである。
まあ「アベンジャーズ2」を含めてシリーズはまだまだ続きそうなので、スタークは再びアイアンマンスーツを纏うのだろうが、一皮剥けた彼にとってスーツの持つ意味は確実に変わるということだろう。

今回は、アイアン繋がりでアイアンストーン・ヴィンヤーズの「アイアンストーン シャルドネ 2009」をチョイス。
やわらかい風味で、適度な酸味とトロピカルなフルーツ香を楽しめる、リーズナブルなカリフォルニアの白。
トニー・スタークには宇宙人や怪人との戦いに疲れたら、ヲタクなスーツよりも酒に溺れていただきたい(笑
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ショートレビュー「死霊のはらわた・・・・・評価額1600円」
2013年05月14日 (火) | 編集 |
善良な者は、罰せられねばならない。

サム・ライミの長編デビュー作にして、ホラー映画史のマスターピース、「死霊のはらわた」の32年ぶりのリメイクである。
オリジナルのユニークさは、超低予算の中で“ホラー”を追求した結果、過剰なまでのグチャグチャ、ドロドロにプラスして主演のブルース・キャンベルの涙ぐましいオーバーアクトもあって、結果的に恐怖を突き抜けて笑いを生んでしまった事だろう。
もっとも、ライミ自身はひたすら怖い映画を作ったつもりだったらしく、少なくとも第一作をホラーコメディとする評には不満を述べている。
嘗て、恐怖と笑は元々裏一体であり、匙加減次第でどちらにも転じると言ったのは楳図かずお先生だったが、若きライミは図らずも二つの間の壁を粉砕してしまった訳だ。

「死霊のはらわた」から強い影響を受けた作品といえば、つい最近「キャビン」が公開されたばかりである。
ライミ版の持つ恐怖と笑いのミックス要素を、恐怖映画の“パッケージ”に取り込んでパロディ化するというのは非常に秀逸なアプローチだったが、正統派のリメイクとしては同じ手は使えない。
そこで、ウルグアイ出身の俊英フェデ・アルバレス監督は、オリジナルの最大の特徴だったお笑い要素を完全に封印するという策に出た。
32年前のオリジナルは、製作費僅か37万ドル、16ミリスタンダードの自主映画である。
対してリメイク版はハリウッド映画としては比較的低予算なものの、オリジナルの50倍近い1700万ドルをかけてシネマスコープの大画面で作られている。
アルバレスは、超ビンボー故の勢いから生まれた面白さは最初から捨て去り、当時のライミが目指したであろう、シリアスな恐怖演出で勝負に出た。

シンプルな基本プロットは変わらないものの、ディテールをブラッシュアップ。
若者たちがどう考えてもバカンス向けで無い、山奥の薄汚いコテージを訪れる理由付や、そこで起こった過去の事件など、物語の背景も綿密に描きこまれ、より洗練された劇映画として生まれ変わらせている。
ラフ&派手な特殊メイクがやりすぎ感を生んでいたライミ版に対して、こちらはスプラッター描写もより生々しく、肉体の痛みを感じさせるもの。
次に何が起こるかわかっていても、観客の身を捩じらせて苦悶させるのだからたいしたものだ。
もちろん、本作のプロデューサーでもあるライミへのリスペクトも抜かりは無く、地下室に閉じ込められた死霊が鎖で縛られた扉の隙間から恨めしく覗き込む描写や、動き出す森の植物、そして80年代当時の8ミリ少年たちの間で大流行した、なんちゃってステディカムこと“シェイキイカム”が森の中を疾走するショットも再現されている。
そして、徐々に物語がライミ版から離れるクライマックスには、アルバレスのホラー・ワンダーランドの幕が上がる。
ここにはオリジナル以外にも、70年代のオカルトブームからJホラーに至るまでの豊富な映画的記憶があるが、それらは皆作品世界の中にしっかりと取り込まれ、昇華されている。
端的に言って、フェデ・アルバレスはザック・スナイダーが見事な長編デビューを飾った「ドーン・オブ・ザ・デッド」以来の、リメイクホラーの秀作を作り上げたと言って良いだろう。
ちなみに、オリジナルファンへのクールなプレゼントが最後の最後にあるので、エンドクレジットで決して席を立たないように!

真剣に怖がった後には、悪魔の名を持つカクテル、「ディアブロ」を飲み干してしまおう。
ホワイト・ポートワイン40ml、ドライ・ベルモット20ml、レモンジュース1dashをシェイクしてブラスに注ぐ。
名前とは反対にすっきり爽やかな気持ちの良いカクテルだ。
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