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SHORT PEACE・・・・・評価額1550円
2013年08月08日 (木) | 編集 |
迷宮の“JAPAN”に遊ぶ。

五人の監督による、オムニバスアニメーション映画である。
幻想の世界への扉を開くのは、「アニマトリックス」の森本晃司監督によるオープニングアニメーション。
以下、大友克洋監督「火要鎮」、森田修平監督「九十九」、安藤裕章監督「GAMBO」、カトキハジメ監督「武器よさらば」の四作品によって構成されている。
タイトルは大友克洋の短編集と同一だが、これが直接の原作という訳ではなく、それぞれの作品は何らかの形で「日本」をモチーフにしている以外完全に独立した作品で、物語的にも手法的にも共通点は無い。
ちなみにタイトルは「SHORT PIECE(短編)」ではなく「SHORT PEACE(束の間の平和)」なのだな。
大友克洋の関わった劇場用オムニバスアニメーションは、過去に「迷宮物語」と「MEMORIES」があるがいずれも同じようなスタイルであった。
最初の「火要鎮」から「GAMBO」までが時代劇、最後の大友克洋の短編漫画を原作とした「武器よさらば」だけが未来を舞台とした物語となっている。

江戸時代の所謂“振袖火事”をモチーフとした「火要鎮」(こう書いて「ひのようじん」と読むとは、この映画で初めて知った)は、全体公開より先に文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞しており、既にあちこちで上映済み。
改めて観てもやはりそのビジュアルは圧巻である。
まるで絵巻物がそのまま動き出したような構成は、主人公男女の幼少期から青年期までを描く前半のパートは動きを抑え、物語は基本横スクロールで展開し、画のパースまでも絵巻物風の平行パースで描かれる。
そしてアクション編となる後半には、それまでの平面の頚木を振り切るように、カメラは一気にダイナミックに動き始めるのである。
正しく日本でしか生まれ得ない、独特のアニメーションと言えよう。

続く「九十九」は、嵐の山中雨宿りしたお堂で、古い器物に宿るとされる、九十九神と出会った男の話。
打ち捨てられた傘や着物が、男の技によって美しく蘇る寓話で、どこか「日本昔ばなし」にありそうなムードがある。
実際この話の話型は、狐狸妖怪に囚われた人間が、その優しさと才覚によって窮地を脱するという民話のものをそのまま踏襲しており、本編中でも一本の短編としてはもっとも堅実に構成されたエピソードといえるだろう。

対照的に「GAMBO」は相当な異色作である。
舞台となるのは十六世紀の東北で、古の日本で何故か白クマと赤鬼が大バトルするのだ。
突如として天空から舞い降り、村を襲う巨大な赤鬼は、攫った人間の女に自分の子を身ごもらせる。
そして白クマはどうやら神の使いらしいのだが、スサノオ神話や大魔神よろしく村に最後に残った幼い少女の願いを聞き入れ、赤鬼を倒すべく死闘を繰広げるのだ。
赤鬼が宇宙人である事を示唆する描写もあり、二頭の怪物の戦いは、まるでアニメ版「フランケンシュタイン対地底怪獣」あるいは「サンダ対ガイラ」の趣がある。

そして最終作となる「武器よさらば」は、唯一の原作もの。
大友克洋の同名短編を比較的忠実に映像化した作品で、これまでの三作と異なり、このエピソードだけが未来の日本を描くSFとなる。
廃墟と化した近未来の東京を舞台とした五人の人間vs自立型無人戦車の戦いは、戦争アクション映画としてなかなか良く出来ている。
神出鬼没でターミネーター並みに不死身の戦闘マシンとの戦いは、手に汗握らされ、ワンシチュエーションものの短編として上々の仕上がりだ。

これら四編、オープニングを加えれば五編の作品は、それぞれに個性的で作家性に富み、デジタル技術を駆使したビジュアルも、現代日本アニメーションの水準の高さを十二分に示すものだ。
しかし、これらを纏めて一本のフィーチャー作品として観ると、どこか物足りなく感じるのも事実なのである。
単純に、一編一編の尺の短さが原因ではあるまい。
もっと短い作品だって、“映画を観た”という満足感を与えてくれる作品はいくらでもある。
本作に感じるのはもっと根本的な、肝心のところを見せてくれない寸止め感だ。
特にそれは「火要鎮」と「GAMBO」に顕著であると思う。
「火要鎮」で言えば、静的な前半が終わり、遂に火事が始まって、「さあこれから主人公二人はどうなるのか!」という所で、エピソードは唐突に幕を閉じてしまうのだ。
純粋な短編なら、あえてオチを作らずここでスッパリ切るのもありだろうと思う。
だが、五作一纏めの一編となると、戸惑いの整理が出来ないまま、「はい次の話ね」と展開されてしまい、結果的にモヤモヤが穴として残ってしまうのである。
まるでコース料理を楽しんでいて、また食べ終わってないのに、強引に皿を下げられて次の料理が運ばれて来た様な感覚だ。
「GAMBO」の場合は、物語に一応のオチはついているものの、もっとも面白そうな世界観に全く触れられず終わってしまう事で、同様の穴を感じてしまう。
まあ、これはあくまでも全てのエピソードが繋がって、一本の映画として観た場合の印象である。
実際「火要鎮」を単体で観た時は、この様な物足りなさは感じなかった。
オムニバスという構造の難しさを感じさせる部分はあるが、それぞれのエピソードは良く出来ている。
どちらかと言えば、物語の面白さより個性的な“画力”で魅せる、ユニークな実験映画五本立てと思えば、十分楽しめる作品だと思う。

今回は日本のアニメ職人の手練れの技を楽しめる作品なので、酒の職人の逸品をチョイス。
石川県の車多酒造の「天狗舞 古古酒純米大吟醸」をチョイス。
純米吟醸ならではの芳醇な吟醸香、やわらかな旨味はもちろんだが、この酒のハイライトはやはり熟成が生み出す深いコク。
日本酒の職人の技を十二分に味わえる一本だ。
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