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ショートレビュー「ワールド・ウォーZ・・・・・評価額1500円」
2013年08月16日 (金) | 編集 |
群体怪獣“ゾンビ”の大襲来。

史上最強の身体能力を持つ不死者の軍団が大暴れする、ウェルメイドなゾンビ映画
キャラクターやゾンビの設定を含めて、マックス・ブルックスの原作小説のストレートな映画化と言うよりは、スピンオフ的な作りになってる。
まあ原作は対ゾンビ戦争「ワールド・ウォーZ」が終結した後、ゾンビとの戦いを経験した世界中の様々な人たちから聞き取ったインタビューの纏めという、かなり特殊な構造の作品なので、そのままでは映画化は難しい。
ブラッド・ピット演じる国連調査官ジェリーを主人公にして、一本筋を通すという考えは十分アリだろう。

映画はフィラデルフィア、韓国の米軍基地、イスラエル、そして英国のWHO施設と、大きく四つのステージに分けられ、それぞれに見せ場が設定されており、平和な主人公の一家が、訳も分からないうちにゾンビパニックに巻き込まれる冒頭から、一気呵成に動きだす。
どうやらジェリーという男は、長年の紛争地調査官の経験から、行動し続けないと死ぬという信条を持っているらしく、ぶっちゃけその行動原理は恐ろしく雑なのだけど、たとえ一寸先は闇でも無鉄砲にも動き続ける彼のおかげで、とりあえず飽きる暇はない。

本作におけるゾンビの特徴は、感染後僅かに12秒でゾンビ化が完了するというスピードである。
とにかく増殖のスピードが凄まじく、過去の同ジャンルの作品と比べると集団としての脅威が顕著で、無数のゾンビの群がまるで一つの群体生物の様に、塊となって襲いかかってくるビジュアルは過去に観た事のない凄まじさだ。
特にイスラエルの都市を囲む壁にゾンビが折り重なる様に積み上がり、遂には津波が防波堤を押し潰すかの如く壁を超えて押し寄せ、あっという間に市内が阿鼻叫喚の地獄となるシークエンスは圧巻。
過去のゾンビ映画の様に、個々のゾンビに喰われそうになる恐怖よりは、例えばローランド・エメリッヒのディザスター映画の様に、津波や地割れと言ったカタストロフィのスケール感で魅せる作品に近い。

しかし、イスラエルの滅亡と続く航空機パニックのシークエンスというスペクタクルな映像の連続の後で、肝心のクライマックスではWHOの施設を舞台とした、オーソドックスなゾンビ映画へと先祖返りしてしまうのである。
別にこの部分の出来が悪いという訳ではないのだが、それまでのスケールと比べるとギャップが大きい。
聞くところによると、本作のクライマックスは本来ロシアに設定されており、実際に撮影も行われたらしい。
ところがそのシークエンスのゾンビ軍団との戦いが、余りにも血みどろの様相になってしまったが為に、レイティングへの影響を考慮し、全面カットしてゼロから撮り直したのだそうな。
当然予算も底を付き、完成した映画では明らかにそこだけカラーの違う作品となってしまった。
まあ、結果的に流血は最小限に抑えられ、従来のゾンビ映画よりも広い客層を獲得しているのは確かだろうが、できればモスクワのスプラッター決戦バージョンも、何らかの形で観られる様にして欲しいものだ。

今回は、ゾンビの故郷にしてブゥードゥーの島、ハイチ産のラム「バルバンクール 15年」をチョイス。
フランス人のバンバンクールが、コニャックの蒸留法を島に持ち込み、150年前に作り出した酒だ。
カクテルベースにも良いが、香り豊かでコクのある上質なラムは、シンプルにストレートかロックが良い。
そう言えばゾンビが酒飲むとどうなるんだろう。

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ショートレビュー「トゥ・ザ・ワンダー・・・・・評価額1600円」
2013年08月16日 (金) | 編集 |
愛は何処にあるのか?

“驚嘆”とか“素晴らしい”を意味する“Wonder”という単語は“奇蹟”という意味を含む。
「トゥ・ザ・ワンダー」とは即ち「奇蹟へ」である。
ばるほどテレンス・マリックは、前作の「ツリー・オブ・ライフ」で見せた、神の視点という路線を極めようとしている様だ。

一応、筋立てらしきものも無くはない。
パリに暮らすシングルマザーのマリーナは、アメリカ人のニールと運命的に恋に落ち、彼の国へと移り住むが、娘のタチアナが新しい環境に馴染めず、二人は共にパリへと去ってしまう。
だがタチアナが父親と暮らしはじめた事から、マリーナは再びアメリへと戻り、ニールと結婚するものの、二人の間にはすぐに秋風が立つ。
映画は、この二人の出会いと別離を軸に、神の所在を求めるカソリックの神父クインターナの信仰への葛藤を絡ませながら、ゆったりとしたテンポで展開してゆくのである。

マリックの映画話術におけるテクスト要素は前作よりも更に希薄化し、ストーリーはもはや大まかな流れ程度しか存在しない。
言葉と文法の代わりにあるのは、縦横無尽に動き回るカメラによって、流れる様に紡がれる映像詩だ。
テーマ的には、ラストのモノローグが全てと言って良いだろう。
マリックは私たちの周りに溢れる、男女の情愛に限らない大いなる“愛”の姿を、映像という視覚の言語によってによって浮かび上がらせようとしている。
エマニュエル・ルベツキによるカメラは相変わらず素晴らしく、オルガ・キュリレンコの見惚れるほどの美しさも相俟って、1ショット1ショットを静止させて、額に入れて眺めていたくなる程だ。
もしも写真を趣味とする人たちが観たら、どうすればこれ程に美しい瞬間を活写する事が出来るのかと嫉妬するだろう。
本作におけるカメラは空気であり、風であり、感情である、いわばマリックの小宇宙である映画の世界を満たす、エーテルと一体となった存在なのである。

唯一無二の作家性故に、普通の恋愛物と思って観に行くと痛い目に合うだろう。
何しろ主人公のベン・アフレックとオルガ・キュリレンコが、直接言葉を交わすシーンすらごく僅かしか無いのだ。
だが二人が同じ家の中にいて、互いを意識しながらも目を合わせず、すれ違いながら暮らしている事を、一つの情景として切り取った映像の何と雄弁な事か。
説明性を殆ど排した映画ゆえに、終映後耳に入って来たロビーの会話を聞くと、事実関係を勘違いしてるお客さん多数。
しかしそれでも特に問題無いのがこの映画の面白いところだ。
美しい詩は例え言葉の意味を一つ取り違えたとしても、全体としてはやはり美しいままなのである。

この映画をお酒でイメージするなら、軽やかで冷たい風を感じさせるロゼ。
今回はプロヴァンスからドメーヌ・タンピエの「バンドール・ロゼ」をチョイス。
美しい桜色に繊細な果実香、僅かに苦味を残したドライなフィニッシュは、ムシムシした夏を心から追い出すための清涼剤。
マリックの映像詩に味覚という更なる彩りを加えてくれるだろう。
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