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スター・トレック イン・トゥ・ダークネス・・・・・評価額1700円
2013年08月22日 (木) | 編集 |
真打、登場。

J.J.エイブラムス監督による、リブート版「スタートレック」第二弾。
前作の大成功を受けて、新シリーズとしての真価が問われる今回、エイブラムスは人類の運命を握る素晴らしく強力な敵を登場させる事で、本作がジーン・ロッテンベリーのスピリットを真に継承する作品であることを証明した。
宇宙艦隊の施設を狙ってテロ攻撃を行う謎の男、ジョン・ハリソンを巡って、エンタープライズ号とお馴染みのクルーたちが再び冒険の旅に出る。
冷酷にして最強の悪役を演じるベネディクト・カンバーバッチが、圧倒的な存在感でカークらの前に立ちはだかり、若き艦長は自らに託された使命の重さに葛藤するのだ。
前作以上に旧シリーズとの繋がりが濃い作品なので、出来れば劇場版の第二作と第三作を鑑賞しておく事をオススメしておこう。
※核心のネタバレに触れています。

エンタープライズ号の艦長に抜擢されたのもつかの間、カーク(クリス・パイン)は探査任務で規定を無視した上に、部下と艦危険に晒したとして降格処分を受けてしまう。
艦長は再びパイク(ブルース・グリーンウッド)となり、カークは副官に選任される。
しかし、ロンドンで宇宙艦隊の秘密施設、セクション31が狙われる爆発テロが起こり、更に艦隊の幹部会議も襲撃され、パイクが死亡。
犯人とされた元艦隊士官ジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、惑星連邦と敵対するクリンゴン帝国の惑星クロノスへ逃亡。
艦隊が動けば戦争となってしまうために、マーカス提督(ピーター・ウェラー)はエンタープライズを再びカークに委ね、ハリソン暗殺の為に密かに単艦でクロノスへと送り込む。
任務遂行のためにセクション31が開発した72発の新型宇宙魚雷が積み込まれるが、素姓のわからない武器を艦に載せることをスコット機関主任(サイモン・ペグ)が拒否し、カークはやむなく彼を解任する。
クロノスに飛んだカーク達に、宇宙魚雷の存在を知ったハリソンはあっさり投降するも、宇宙艦隊内部の恐るべき陰謀と、自らの正体をカークに明かす・・・


前作を超える、素晴らしい仕上がりである。
本作におけるエイブラムスの仕事は、シリーズ物の娯楽映画作りのお手本となり得るのではないか。
冒頭のいかにも「宇宙大作戦」的な未知の惑星での冒険エピソードから、地球に戻ったカークが降格され、パインにリーダたるものの在り方について説教される事で、本作のバックボーンが、嘗てのテレビシリーズに描かれた5年間の大冒険を率いるべく、“キャプテン”カークに課された成長物語なのが明確になる。
そしてハリソンによる連続テロ攻撃によって父親の様な存在だったパインを殺され、復讐心に駆られたカークが、エンタープライズでハリソン暗殺に向かうと、もはや全編危機また危機のつるべ打ちで、これぞ「スター・トレック」というスペクタクルなシチュエーションの連続である。

しかし当初、本作の敵役であるハリソンは、宇宙艦隊の元士官と説明される。
つまりは身内同士の内紛劇である訳で、なんだか壮大な世界観の割にはちっちゃな話だなと思っていると、映画は中盤で驚きの展開を用意する。
ジョン・ハリソンは偽名で、本当の名前はなんと“カーン”だと言うのだ!
そう、本作でベネディクト・カンバーバッチが外連味たっぷりに演じているのは、全てのトレッキーの脳裏に深く刻まれたシリーズ屈指の名悪役、カーン・ノニエン・シンの若き日の姿なのである。

テレビシリーズの第22話「宇宙の帝王」、そしてニコラス・メイヤー監督による劇場版第二作「スター・トレック2 カーンの逆襲」でリカルド・モンバルタンが演じ、エンタープライズと死闘を繰り広げたカーンは、元々20世紀の地球で人工的に遺伝子操作されて作り出された優生人間だ。
旧シリーズでは、人類との戦争に敗れて仲間と共に宇宙船で地球を脱出し、300年後に宇宙空間を漂流しているところを、カーク率いるエンタープライズに救助される。
前作で、旧シリーズのパラレル・ワールドとなった今シリーズでは、一足先に宇宙艦隊によって救出されていたという訳だ。
だが、クリンゴン帝国などの異星人との戦争に勝つために、カーンの人工冬眠を解き、仲間を人質にとって利用するだけ利用した惑星連邦と宇宙艦隊への憎しみが、彼をテロ攻撃へと走らせる。
優生人間の存在そのものを隠蔽したいマーカス提督は、裏事情を知らない血気盛んなカークに秘密裏にカーンを抹殺させようとするのだ。
しかもエンタープライズに載せられた宇宙魚雷には、実はカーンの72人の仲間が冷凍状態で詰め込まれており、もしも計画通りにカークがカーンを攻撃すれば、必然的に皆殺しで証拠も残らないという非人道ぶりである。

だが、マーカスの思惑に反してカークがカーンを捕らえてしまい、地球で裁判にかけると言い出し、更に魚雷の秘密を知ってしまった事で、今度はエンタープライズも体制の敵となってしまうのだ。
この皮肉な物語構造に影響を与えているのは、おそらくオサマ・ビン・ラディンとアルカイダの存在であろう。
旧ソ連のアフガニスタン侵攻に対抗するために、アメリカは莫大な金をつぎ込んでビン・ラディとその組織を育てあげ、利用した。
ところが彼がアメリカへ反旗を翻すと、一転して自らが育て上げた“怪物”を必死で探し出し、暗殺に奔走する羽目となる。
本作のロンドン攻撃とクライマックスの高層ビル街への墜落シーンが、9.11と映像的に符合する様に作られているのは明らかだ。
カークとカーン、それぞれの中にある断固とした大義の衝突が今回の対立構図であり、彼らは一見対照的に見えて実は極めてよく似ている。
二人は、いや我々人類と優生人間は、合わせ鏡の関係なのである。

そして、本筋であるカークの艦長としての成長の証も、「カーンの逆襲」を観ているとより感慨深い。
カーンを追って、クリンゴンの星系へと向かう作戦自体が、「スター・トレック」の世界で、宇宙艦隊アカデミーの候補生たちがその資質を試されるシミュレーション・テスト、“コバヤシマル・シナリオ”の類似系であり、このテストがシリーズ史上最初に言及されたのが「カーンの逆襲」だった。
カークは絶対に勝つことが出来ない“コバヤシマル・シナリオ”に唯一勝った男なのだが、それはインチキをしてプログラムを事前に書き換えていたからなのは、前作に描かれた通り。
今回カークは絶対インチキの出来ない、リアルなテストに挑まねばならないのである。

また機関故障し、地球へと真っ逆さまに落ちて行くエンタープライズを救うために、カークは放射能で汚染された機関部へと単身飛び込み、エンジンを復活させるのだが、このシークエンスは「カーンの逆襲」で、スポックが自らの死を賭して艦を救った行動の、立場を入れ替えたリメイクとなっている。
本作よりもずっと未来の話である「カーンの逆襲」の時点で、カークは既に提督となり、エンタープライズの艦長はスポックだった。
直情型のカークと論理派のスポックが、奇しくも艦長として艦とクルーを救うため、全く同じ行動をとることで、エイブラムスは本シリーズにおけるリーダーシップのあり方を簡潔に表現してみせたのである。

もちろん、旧シリーズを知らなくとも、少なくとも前作さえ観てさえいれば、十分に楽しめる作品だろうし、本作を観てから旧シリーズにトライするのも良いだろう。
その際に、本作ではカーンの存在以外にも、父マーカス提督への反発からエンタープライズに乗り組む事になるキャロル・マーカスの名前や、スールーが“艦長の椅子”の座り心地を覚えるシーンなどを記憶して置くと、旧シリーズをより楽しむ事が出来るだろう。

それにしてもエイブラムスは、ジーン・ロッテンベリーが育て上げたテレビシリーズ、そして劇場版の長い歴史を受け継いだ上で、全く新しいシリーズへと生まれ変わらせるという離れ業を見事に成し遂げたと思う。
これは勿論、タイムパラドックスを用いたパラレルワールドにしてしまうという、前作の脚本のアイディアが秀逸だった訳だが、結果的にエイブラムスは次回作へのフリーハンドを残しつつも、“ビギニング二部作”として綺麗に時の輪を閉じてみせた。
次を誰が撮るにしても、いかようにも展開可能な見事なオチの付け方である。
例えばクリストファー・ノーランの「バットマン」シリーズの様に、力技で自らの作家映画にしてしまうのではなく、シリーズ物のカラーを最大限生かしながら、思いもよらない切り口で新鮮に蘇らせるエイブラムスの器用さはハリウッドでも貴重だろう。
彼自身はこれでもう一つのビッグタイトル、「スター・ウォーズ」 へと移る訳だが、改めてリブート職人としての手腕を証明した事で、ますます期待が高まった。

今回は前作同様、宇宙艦隊の本拠地があるサンフランシスコから、歴史ある港町らしい名を持つ「アンカー・スチーム」をチョイス。
アメリカンビールと言えばメジャー銘柄の影響で薄味という印象が強いが、こちらは高温醗酵のスチームビールならではの、華やかな香りと深いコク、適度な苦味をもつ本格派。
それでいて飲みやすく、どんな料理にも合う西海岸を代表する地ビールの銘柄である。
23世紀にもたぶん存続している?
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