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2013年12月26日 (木) | 編集 |
60年後に、届いた想い。
実に見応えのある、堂々たる力作である。
百田尚樹の原作はだいぶ前に読んだが、なんと文庫本のベストセラー歴代1位を更新する大ヒット作となったらしい。
長大な原作の映像化がどうあるべきか、おそらく既読者は色々言いたい事も多いだろうが、私としては一本の映画として脚色のバランスも良く、山崎貴監督の作品としてはベストと言って良い仕上がりだと思う。
現代と過去を行き来する話なので、見せ場としてはそれほど多いわけではないが、白組の担当したVFXもさすがの出来栄えだ。
以前、鹿児島県の知覧特攻基地跡にある知覧特攻平和会館と、高倉健主演の映画「ホタル」でも知られる富屋食堂を復元した資料館に行ったことがある。
膨大な遺影や遺品の中でも、私は特に富屋食堂に展示されていた、隊員たちが家族や恋人宛てに書いた手紙や遺書に非常に強く心を揺り動かされた。
印刷ではない肉筆の文章からは、歴史という大きな括りの中で、特攻というもはや作戦とも言えぬ狂気の発想を受け入れ、彼らが自ら死を選んだ“理由”のほんの一部だが、十把一絡げのステロタイプではなく、感情を持った個人としてリアルに見えてくるのである。
彼ら一人ひとりには、それぞれの想い、それぞれの物語があったはず。
本作は、岡田准一演じる抜群の技量を持ちながら戦いを避け、海軍一の臆病者と呼ばれた男が、なぜ自ら特攻を志願したのか?という疑問を軸に、彼の足跡を追う孫の視点で、歴史に埋れた個人史に迫って行く。
70年前の日本は、遠いようで近く、近いようで遠い時代だ。
この時代の日本人を描くのに、感情移入しやすい21世紀の現代から過去を俯瞰し、ミステリータッチで謎に迫るという、原作の持つ物語のロジックの面白さを踏襲したのは良かった。
生きる事の意味を曖昧にしか捕らえられていない現代の若者が、生と死が隣り合わせの時代の血の繋がった家族を知る事で、意識が変化してゆく過程も丁寧に描写されている。
複数の生存者が「羅生門」的に異なる印象で語る祖父の人物像が、やがて一つの確固たる人格へと集約されてゆく展開も、伏線の張り方も巧みで十分な説得力だ。
しかし、物語のウィークポイントも原作そのままなのは少し残念。
現代から客観的に過去を描くという二重構造のため、あくまでも本作の主人公は三浦春馬演じる孫の方である。
ところが彼は基本的に聞き手というポジションのために、主人公としての葛藤が弱い。
なにしろ特攻への志願という、物語上もっとも重大な決断を下すのは、彼ではないのだ。
小説であればそれほど気にならないポイントだが、映画としては葛藤のピークに何らかの仕掛け、現代と過去の感情が溶け合う瞬間が欲しかった気がする。
いや、一応その様な描写があることはあるのだが、葛藤を共有するにはあそこではちょっと遅すぎで、それ故に終盤やや冗長な印象が残ってしまう。
もっとも、逆に言えば大きく気になるのはそこだけだ。
何よりも、この映画は2013年も終わろうとしている今だからこそ観る価値がある。
劇中で、元特攻隊員のある人物がこんな事を言う。
「わしらの世代は、あと10年もすれば殆どいなくなる」
この映画の舞台は、戦後60周年を翌年に控えた2004年に設定されている。
間もなくやってくる2014年は、映画で予告された10年後、戦後70周年の前年だ。
つまりこの映画は、今年が舞台ではもう成立しない。
大林宣彦監督は「この空の花-長岡花火物語」の中で、「まだ戦争には間に合う」と説いたが、その時は急速に去ろうとしているのだ。
リアルを知る証言者たちが、歴史の彼方に去ろうとしている時代、彼らの声に耳を傾ける事ができるのは今しかないのである。
今回は特攻基地のあった知覧の地酒である知覧醸造の芋焼酎「ほたる」をチョイス。
元々水に恵まれた知覧は蛍の多い街で、この酒は知覧の人々が戦没者への想いを街の象徴である蛍に重ね合わせた物。
芋焼酎の中では独特の風味はマイルドで、飲みやすく優しい味わいの酒だ。
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実に見応えのある、堂々たる力作である。
百田尚樹の原作はだいぶ前に読んだが、なんと文庫本のベストセラー歴代1位を更新する大ヒット作となったらしい。
長大な原作の映像化がどうあるべきか、おそらく既読者は色々言いたい事も多いだろうが、私としては一本の映画として脚色のバランスも良く、山崎貴監督の作品としてはベストと言って良い仕上がりだと思う。
現代と過去を行き来する話なので、見せ場としてはそれほど多いわけではないが、白組の担当したVFXもさすがの出来栄えだ。
以前、鹿児島県の知覧特攻基地跡にある知覧特攻平和会館と、高倉健主演の映画「ホタル」でも知られる富屋食堂を復元した資料館に行ったことがある。
膨大な遺影や遺品の中でも、私は特に富屋食堂に展示されていた、隊員たちが家族や恋人宛てに書いた手紙や遺書に非常に強く心を揺り動かされた。
印刷ではない肉筆の文章からは、歴史という大きな括りの中で、特攻というもはや作戦とも言えぬ狂気の発想を受け入れ、彼らが自ら死を選んだ“理由”のほんの一部だが、十把一絡げのステロタイプではなく、感情を持った個人としてリアルに見えてくるのである。
彼ら一人ひとりには、それぞれの想い、それぞれの物語があったはず。
本作は、岡田准一演じる抜群の技量を持ちながら戦いを避け、海軍一の臆病者と呼ばれた男が、なぜ自ら特攻を志願したのか?という疑問を軸に、彼の足跡を追う孫の視点で、歴史に埋れた個人史に迫って行く。
70年前の日本は、遠いようで近く、近いようで遠い時代だ。
この時代の日本人を描くのに、感情移入しやすい21世紀の現代から過去を俯瞰し、ミステリータッチで謎に迫るという、原作の持つ物語のロジックの面白さを踏襲したのは良かった。
生きる事の意味を曖昧にしか捕らえられていない現代の若者が、生と死が隣り合わせの時代の血の繋がった家族を知る事で、意識が変化してゆく過程も丁寧に描写されている。
複数の生存者が「羅生門」的に異なる印象で語る祖父の人物像が、やがて一つの確固たる人格へと集約されてゆく展開も、伏線の張り方も巧みで十分な説得力だ。
しかし、物語のウィークポイントも原作そのままなのは少し残念。
現代から客観的に過去を描くという二重構造のため、あくまでも本作の主人公は三浦春馬演じる孫の方である。
ところが彼は基本的に聞き手というポジションのために、主人公としての葛藤が弱い。
なにしろ特攻への志願という、物語上もっとも重大な決断を下すのは、彼ではないのだ。
小説であればそれほど気にならないポイントだが、映画としては葛藤のピークに何らかの仕掛け、現代と過去の感情が溶け合う瞬間が欲しかった気がする。
いや、一応その様な描写があることはあるのだが、葛藤を共有するにはあそこではちょっと遅すぎで、それ故に終盤やや冗長な印象が残ってしまう。
もっとも、逆に言えば大きく気になるのはそこだけだ。
何よりも、この映画は2013年も終わろうとしている今だからこそ観る価値がある。
劇中で、元特攻隊員のある人物がこんな事を言う。
「わしらの世代は、あと10年もすれば殆どいなくなる」
この映画の舞台は、戦後60周年を翌年に控えた2004年に設定されている。
間もなくやってくる2014年は、映画で予告された10年後、戦後70周年の前年だ。
つまりこの映画は、今年が舞台ではもう成立しない。
大林宣彦監督は「この空の花-長岡花火物語」の中で、「まだ戦争には間に合う」と説いたが、その時は急速に去ろうとしているのだ。
リアルを知る証言者たちが、歴史の彼方に去ろうとしている時代、彼らの声に耳を傾ける事ができるのは今しかないのである。
今回は特攻基地のあった知覧の地酒である知覧醸造の芋焼酎「ほたる」をチョイス。
元々水に恵まれた知覧は蛍の多い街で、この酒は知覧の人々が戦没者への想いを街の象徴である蛍に重ね合わせた物。
芋焼酎の中では独特の風味はマイルドで、飲みやすく優しい味わいの酒だ。

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![]() 深みのある重厚な味わいに心地よい余韻の、蔵主の思いがこもった芋焼酎 ちらんほたる25度720... |
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