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ショートレビュー「ソウルガールズ・・・・・評価額1550円」
2014年01月10日 (金) | 編集 |
歌声が紡ぐ、良き未来への夢。

1960年代末のオーストラリア。
虐げられた先住民族、アボリジニの女性たちによって結成されたボーカルグループ、“サファイアズ”を描く、実話ベースの音楽映画だ。
脚本家の一人であるトニー・ブリッグスが、自分の母親がサファイアズのメンバーだった事を知り、舞台化のために脚本を書き下ろした。
本作はその舞台ミュージカル“THESAPPHIRES”の映画化である。

物語の構造自体は、女性グループのサクセスストーリーを描く典型的なパターンを踏襲したもの。
才能豊かだが、社会的な差別や自身の抱える問題故に飛び立てないでいる女性たちの前に、彼女らの才能を見出す一人の指導者が現れる。
この指導者も困難を抱えている事がポイントで、指導者と女性たちがお互いに影響を与え合いながら、成長してゆくというのが骨子だ。
ペニー・マーシャル監督の「プリティ・リーグ」や李相実監督の「フラガール」、本作の邦題におもいっきり影響してそうな「ドリームガールズ」など、全てこの黄金のストーリーテンプレートに当てはまる。

では、構造的には“ありがちな話”である本作を、非凡な一本にしている独自性は何か。
それは先ず作品のモチーフでもある音楽性と、オーストラリアという知っている様で意外と知らない、独自の文化圏の歴史の融合である。
冒頭で少女たちによって歌い上げられる、どこか郷愁を誘われるアボリジニのゴスペル「Ngarra Burra Ferra」から始まって、 グラディス・ナイト&ザ・ピップスの「悲しいうわさ」、フォートップスの「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ」など、この時代を代表するソウルミュージックの名曲が盛りだくさん。
メインボーカルのジュリー役を演じるジェシカ・マーボイは、本職の歌手という事もあって、ステージシーンは実にパワフルで、思わず体が動き出してしまいそうなリズム感に満ちている。
そして、彼女たちが歌う曲の歌詞にも込められた未来への想い。

今でこそ人種融和の象徴とも言われる他民族国家だが、昔は社会科の授業でオーストラリアを学ぶ時“白豪主義”というキーワードがあった。
徹底的な白人優位社会を国是とし、有色人種は排斥され、先住民のアボリジニには市民権すら与えられなかったのである。
また1869年から100年間に渡って、混血の“白いアボリジニ”の子供が政府によって強制的に親元から隔離され、白人社会で白人として教育を受けさせる政策が行われた。
アボリジニとしてのアイデンティティを否定された子供たちは“盗まれた世代”とも言われ、本作でもサファイアズのメンバーの一人が幼少期に連れ去られ、アボリジニ社会で育った幼馴染たちと葛藤を抱える描写がある。
オーストラリア政府が、公式に過去の先住民政策に謝罪を表明したのはほんの6年前、なんと2008年になってからなのだ。

数万年前にオーストラリア大陸に上陸したアボリジニの人種はアフリカ系とは異なり、現在では南アジア系に近いという説が有力になっているが、本作でアボリジニは自分たちを“ブラック”と呼んでいる。
映画の舞台となる60年代後半は、海を隔てた米国では公民権運動が燃え上がり、一方ベトナムではナパームがジャングルを焼き尽くしていた時代。
あまり知られていないが、オーストラリアもベトナム戦争への派兵国だ
物語の後半は、サファイアズが慰問ツアーでベトナムを訪れる事になるのだが、アメリカの黒人たちの魂であるソウルミュージックを、やはり差別に苦しむアボリジニの女性たちが歌い、戦場の白人兵士たちを熱狂させるのである。
この筋立てからも、本作が60年代の末のオーストラリアとアメリカで起こっていた事をリンクさせて、一つの文脈上で語ろうとしているのは明らかだ。
これは、少しだけ昔の南半球を舞台に、失った自由と尊厳を取り戻すために、力の限り歌った女性たちの知られざる戦いの物語
熱き魂の叫びに、ドンと背中を押されるような、気持ちのよい元気をもらえる一本だ。
彼女らの周りにいる、ダメ人間だけどユーモラスな愛すべき男たちのキャラクターもよかった。

今回は、オーストラリアのビターでパワフルな女性たちの物語なので、ヴィクトリア州を代表するビールの銘柄「ヴィクトリア・ビター」をチョイス。
国全体でも3割ものシェアを持つ定番商品で、その名の通りホップの苦味が際立っている。
他には特にこれと言った特徴の無いビールだが、適度にコクもあって、味わいはスッキリしており良い意味で優等生。
ずっと飲み飽きないのはこういう一本なのかもしれない。
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