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2014年01月30日 (木) | 編集 |
偽りの人生はどちらだ?
巨大暴力団のドンが不慮の事故死を遂げる。
跡目争いに乗じて組織を壊滅させるために、警察は作戦名“新世界”を発動。
密かに組織に送り込まれ、8年の歳月をかけてNO.4の地位にまで出世している潜入捜査官、イ・ジェソンに極秘の指令を伝える。
しかし、彼は同じ中国系韓国人で義兄弟の契りを交わした組織のNo.2、チョン・チョンを裏切っている事に複雑な葛藤を抱いている。
果たして、守るべきは任務への忠誠か、それとも友情なのか。
※核心部分にに触れています。
なるほど、「インファナル・アフェア」+「ゴッドファーザー」という売り文句に偽り無しだ。
潜入捜査物のサスペンスに、マフィア物の権力闘争が絶妙にミックス。
更に日本以上に血筋を重んじる韓国で、被差別階層である華僑を主人公とした事によって、独特の現代性と社会性が生まれ、効果的なスパイスとなった。
「悪魔を見た」の脚本家として知られるパク・フンジョンは、綿密に構成された物語を、これが監督第二作とは思えない円熟した演出でじっくりと見せる。
主人公を演じるイ・ジョンジェ、チョン・チョン役のファン・ジョンミン、彼らと敵対する武闘派幹部のパク・ソンウン。
野望と謀略、裏切りと友情が激しくぶつかり合う中、色気のある男たち、いや女もまた鮮烈に散ってゆく。
血で血を洗う抗争のシナリオを書くのは、チェ・ミンシク演じる警察のカン課長だ。
本作で、ヤクザよりも殺し屋よりも極悪非道なのは、実はこの人なのである。
目的遂行のためには手段を選ばず、部下を捨て駒として見殺しにする事すら厭わない。
新世界作戦の名目上の目的は暴力団の壊滅だが、仮に組織を潰したとしても直ぐに他の誰かが取って代わる。
それならばと、カン課長は偽情報によって組織の上層部を自ら殺し合わせ、その隙にジェソンを傀儡のトップに立てて、警察が闇社会を支配する構図を描いているのだ。
さすがは「悪魔を見た」でチェ・ミンシクを猟奇殺人犯に仕立て上げたパク・ジョンフン、彼の静かな恐ろしさを上手く生かしている。
自らの秘密を知り、命運を握るカン課長はジェソンにとっては決して逃れる事の出来ないくび木であり、疑似的な父親の様な存在だ。
映画は、前半をジェソンの正体がいつばれるか分からないという、潜入捜査物のお約束のスリルを軸に、カン課長と組織内の二大派閥の駆け引きを描く。
そして後半は、あまりにも多くの大切なものを失ったジェソンが、自分の人生を取り戻すための戦いが中心となる。
筋立ての面白さだけでなく、バイオレンスアクションとしての完成度も高い。
チョン・チョンの派閥とライバル派閥の大乱闘のシーンは、モブのあまりの数の多さもあって、まるで時代劇の合戦を見ているかの様だが、画面の隅々までしっかりと演出されている。
追い詰められたチョン・チョンと刺客たちの、狭いエレベーターの中での刺し合いは、見たことのない壮絶さだ。
そして、遂に決意を固めたジェソンが、自らの“新世界”を作り上げてゆく、終盤のシークエンスのもたらす映画的カタルシス。
明らかに「ゴッドファーザー」を意識した部分だが、それはアル・パチーノ同様に、ジェソンが内面に隠した本当の自分を認める瞬間でもある。
冒頭の殺人シーン、そしてラストが示唆する様に、ジェソンが本当に偽っていたのは一体どちらの自分だったのか。
物語的には綺麗に完結しているのだが、ビギニングも続編も無理なく作れそうではある。
思えば「インファナル・アフェア」も「ゴッドファーザー」も、第二作がオリジナルに勝るとも劣らない傑作だった。
イ・ジェソンの生涯を描く、韓国版「ゴッドファーザー・サガ」を期待したくなる、必見の娯楽映画である。
この種の映画に合うのは、やはり上質なウィスキーだ。
お隣の国という事でニッカ「余市」の10年ものをチョイス。
滑らかさよりも刺激が前に出るまだ若い酒だが、逆にこの時期にしか味わえない勢いもある。
この後20年、30年と楽しめるウィスキーの様に、映画も熟成を続けて欲しいものだが、果たして?
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巨大暴力団のドンが不慮の事故死を遂げる。
跡目争いに乗じて組織を壊滅させるために、警察は作戦名“新世界”を発動。
密かに組織に送り込まれ、8年の歳月をかけてNO.4の地位にまで出世している潜入捜査官、イ・ジェソンに極秘の指令を伝える。
しかし、彼は同じ中国系韓国人で義兄弟の契りを交わした組織のNo.2、チョン・チョンを裏切っている事に複雑な葛藤を抱いている。
果たして、守るべきは任務への忠誠か、それとも友情なのか。
※核心部分にに触れています。
なるほど、「インファナル・アフェア」+「ゴッドファーザー」という売り文句に偽り無しだ。
潜入捜査物のサスペンスに、マフィア物の権力闘争が絶妙にミックス。
更に日本以上に血筋を重んじる韓国で、被差別階層である華僑を主人公とした事によって、独特の現代性と社会性が生まれ、効果的なスパイスとなった。
「悪魔を見た」の脚本家として知られるパク・フンジョンは、綿密に構成された物語を、これが監督第二作とは思えない円熟した演出でじっくりと見せる。
主人公を演じるイ・ジョンジェ、チョン・チョン役のファン・ジョンミン、彼らと敵対する武闘派幹部のパク・ソンウン。
野望と謀略、裏切りと友情が激しくぶつかり合う中、色気のある男たち、いや女もまた鮮烈に散ってゆく。
血で血を洗う抗争のシナリオを書くのは、チェ・ミンシク演じる警察のカン課長だ。
本作で、ヤクザよりも殺し屋よりも極悪非道なのは、実はこの人なのである。
目的遂行のためには手段を選ばず、部下を捨て駒として見殺しにする事すら厭わない。
新世界作戦の名目上の目的は暴力団の壊滅だが、仮に組織を潰したとしても直ぐに他の誰かが取って代わる。
それならばと、カン課長は偽情報によって組織の上層部を自ら殺し合わせ、その隙にジェソンを傀儡のトップに立てて、警察が闇社会を支配する構図を描いているのだ。
さすがは「悪魔を見た」でチェ・ミンシクを猟奇殺人犯に仕立て上げたパク・ジョンフン、彼の静かな恐ろしさを上手く生かしている。
自らの秘密を知り、命運を握るカン課長はジェソンにとっては決して逃れる事の出来ないくび木であり、疑似的な父親の様な存在だ。
映画は、前半をジェソンの正体がいつばれるか分からないという、潜入捜査物のお約束のスリルを軸に、カン課長と組織内の二大派閥の駆け引きを描く。
そして後半は、あまりにも多くの大切なものを失ったジェソンが、自分の人生を取り戻すための戦いが中心となる。
筋立ての面白さだけでなく、バイオレンスアクションとしての完成度も高い。
チョン・チョンの派閥とライバル派閥の大乱闘のシーンは、モブのあまりの数の多さもあって、まるで時代劇の合戦を見ているかの様だが、画面の隅々までしっかりと演出されている。
追い詰められたチョン・チョンと刺客たちの、狭いエレベーターの中での刺し合いは、見たことのない壮絶さだ。
そして、遂に決意を固めたジェソンが、自らの“新世界”を作り上げてゆく、終盤のシークエンスのもたらす映画的カタルシス。
明らかに「ゴッドファーザー」を意識した部分だが、それはアル・パチーノ同様に、ジェソンが内面に隠した本当の自分を認める瞬間でもある。
冒頭の殺人シーン、そしてラストが示唆する様に、ジェソンが本当に偽っていたのは一体どちらの自分だったのか。
物語的には綺麗に完結しているのだが、ビギニングも続編も無理なく作れそうではある。
思えば「インファナル・アフェア」も「ゴッドファーザー」も、第二作がオリジナルに勝るとも劣らない傑作だった。
イ・ジェソンの生涯を描く、韓国版「ゴッドファーザー・サガ」を期待したくなる、必見の娯楽映画である。
この種の映画に合うのは、やはり上質なウィスキーだ。
お隣の国という事でニッカ「余市」の10年ものをチョイス。
滑らかさよりも刺激が前に出るまだ若い酒だが、逆にこの時期にしか味わえない勢いもある。
この後20年、30年と楽しめるウィスキーの様に、映画も熟成を続けて欲しいものだが、果たして?

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