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ショートレビュー「ダラス・バイヤーズクラブ・・・・・評価額1700円」
2014年02月28日 (金) | 編集 |
不屈のカウボーイスピリット。

1980年代、当時猛威をふるっていたAIDSに罹患し、余命30日を宣告されながら、自ら未承認治療薬を取り寄せるクラブを立ち上げ、7年もの間懸命に生き続けたロン・ウッドルーフの闘いを描く実録ヒューマンドラマ。
このところ、まるで映画の神が憑依したかの如く、ノリにノッているマシュー・マコノヒーが、今回も熱いテキサス魂を胸に生き抜こうとするロンサムカウボーイを熱演。
病で痩せこけた姿は、ほんの一年前の「マジック・マイク」のマッチョマンが嘘の様な変わり様だ。

端的に言えば、酒と女に溺れたその日暮らしの無頼漢が、死の病に罹ったことで人生を生き直す物語である。
ロンがAIDSの感染を告げられた1985年は、一般にもこの病気の名前が知られてきた頃だが、当時は同性愛者の病気という認識が強く、感染者は激しい差別に晒された。
保守的なテキサスの地で、ロンがまず直面したのが世界の激変だ。
自らも同性愛者を嫌悪していたロンが、一転して友人知人から拒絶されて差別される立場に。
職場も追われ、トレーラーハウスも締め出されてモーテル暮らしを余儀なくされる。

しかしこの男、めげないのだ。
図書館でAIDSの事を調べ上げ、AZTという臨床試験中の薬がある事を知ると、病院職員を買収して薬を手に入れる。
ところが症状は良くなるどころか悪化し、薬の管理が厳格化されて手に入らなくなると、つてを頼ってメキシコへと渡り、とある医師に巡り合う。
彼の元で、AZTは効果の割に副作用が大きく、もっとマシな治療薬が世界にはたくさんある事を知ったロンは、法の目を掻い潜りアメリカで未承認の薬を会員が“個人的に”入手するバイヤーズクラブを組織する。

もっとも、患者による患者のためのクラブとは言っても、良くも悪くもロンは俗物である。
クラブを立ち上げるのも基本的には自分の治療と食い扶持を確保するためで、会費が払えなければ患者も門前払い。
どうもこの時代には、全米各地に同じ様な仕組みの組織があったらしく、彼らの間でも競争原理が働いていた様だ。
そしてこの辺りから映画は、治療の選択の自由を求めるロンら患者たちと、あくまでも国内に流通する医薬品を自分たちの管理下におこうとする政府機関のFDA(食品医薬品局)とのいたちごっことなってゆく。
FDAの説明会に現れたロンは言い放つ。
「国民が(お前らを無視して)選択肢を持つのが怖いんだろう」
医療の現実に必要なのは政府に統制された安全か、それとも自己責任の自由なのか。
もちろん薬害リスクもあるわけだが、そもそも政府が真実を隠していたとしたら、安全は誰が担保できるのか。
オバマケアを巡る葛藤が高まっている今、これは米国では非常にタイムリーな題材だと思う。

ポイントとなるのは、ある意味ロンたちの立場は、国民の健康に国がある程度の責任を持つべきというオバマ政権の立場とは対極にあるという事で、むしろ反オバマ的な南部の自主独立のメンタルの延長線上なのである。
まあ考え方は色々あるだろうが、ある程度の水準まで国が責任を持ち、それ以上の領域においては個人の自由を認めるというシンプルな仕組みが何故できないのか。
やはり国内製薬業界の保護とか、許認可の既得権とか、諸々の利権が存在するのが一番の理由なのだろう。
重要なのは、本作で描かれているロンの孤独な闘いの構図は、少し視点を変えれば何も薬の問題だけにとどまらないという事だ。
いつの時代も、国家権力と個人の幸福というのは、必ずしも合致するものではないのである。

マコノヒーも素晴らしいが、ロンのビジネスパートナーとなる性同一性障害のレイヨンを演じるジャレット・レトも妖艶な凄みで魅せる。
ゲイ嫌いだったロンが、ひょんな事から巡り合ったレイヨンと、最後には家族のような絆を結ぶまでのサブプロットが、本作の物語をグッと味わい深くしているのだ。
現在に通じるテーマを描いた社会派作品としても、逆境で闘った男の生き様を描いたヒューマンドラマとしても完成度は高く、静かな余韻が長く後をひく秀作である。

今回は不屈の魂を持つテキサス男の話なので、テキサス州シャイナーのSpoetzl Breweryが生産する地ビール「Shiner Bock」をチョイス。
1909年創業だから、一世紀以上カウボーイたちの喉を潤してきた老舗だ。
ビールの仕上がりはその土地の気候や風土に大きな影響を受けるものだが、Shiner Bockもまた暑いテキサスで飲むとムチャクチャ美味しく感じる。
残念ながら日本には正規輸入されてないので、テキサス方面に旅行する時は是非味わってもらいたい。
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