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ショートレビュー「チョコレートドーナツ・・・・・評価額1650円」
2014年04月14日 (月) | 編集 |
ほんとうの家、ほんとうの家族とは。

1970年代のアメリカ。
ひょんな事から家族となった、ゲイのカップルとダウン症の少年。
しかし彼らの幸せな時は、世間の偏見と不寛容によってあっけなく終わりを迎える。
共同脚本家のジョージ・アーサー・ブルームが、昔住んでいたアパートの住人たちをモデルに書きかげた脚本は、20年間忘れ去られていたという。
彼の息子で本作の音楽監修を担当しているPJブルームが、トラヴィス・ファイン監督に持ち込んでようやく実現した難産の作品だが、世界各国の映画祭で、数多くの“観客賞”に輝いたというのも納得だ。
これは優しくて、厳しい、人々を苦悶させながらも惹き付けてやまない、まことに愛すべき作品なのである。

1960年代に吹き荒れた公民権運動の嵐の結果、人種的マイノリティは少なくとも法的には平等な権利を獲得した。
しかしこの運動で、誰もが自由になった訳ではない。
公民権運動は抑圧されたマイノリティを社会的に覚醒させる役割を果たしたが、宗教的・倫理的タブーとされた同性愛者にとってはまだまだ生き難い時代が長く続く。
例えば保守的な南部バイブルベルト辺りでは、ゲイであることを明かすことはダイレクトに命の問題で、カミングアウトする事自体が、現代では考えられないくらいに大変な決断だったのである。

そんな時代に、主人公のルディは歌手になることを夢見て、ゲイバーのショーで生計を立てている。
見た目のキャラも分かりやすいオカマの彼は、ある日店にやって来たポールと瞬く間に恋に落ちるのだが、こちらはゲイである事を隠しているお堅い法律家というコントラスト。
自由奔放なルディと真面目なポールというカップルが、薬物依存の母親にネグレクトされた隣家の子供で、ダウン症というハンデを持つマルコを育てる事になる。
社会から阻害された者同士、無償の愛という血よりも濃い絆によって結びつけられた不思議な“家族”のつかの間の平和。
だが、ルディとポールがゲイである事が周囲に知られると、マルコは強制的に彼らと引き離され、あろうことか自分を捨てた親の元へと戻される。
今でこそ様々な方法で子供を持つ同性愛のカップルは珍しくないが、70年代ではそうはいかない。
“普通”“異常”という、本来曖昧な境界を明快な二元論に断じてしまう言葉の恐ろしさ。
裁判官や検事に象徴される“社会”は同性愛者の里親という自らが理解できない“異常"な存在よりも、薬物中毒で子供を虐待する実の親という分かりやすい“普通”を選択するのである。

ルディを演じるアラン・カミングが素晴らしい。
彼自身もバイセクシャルを公言しているが、エキセントリックでありながら、深い葛藤と情愛を感じさせるキャラクターを見事に演じ切っている。
マルコを奪われたルディが、ボブ・ディランの「I Shall Be Released」を切々と歌い上げるシーンは、心を切り裂かれる様な魂の歌声で背筋がゾクゾク。
さすがはトニー賞受賞のミュージカル俳優である。

邦題の「チョコレートドーナツ」は、劇中のマルコの好物から。
これだと何となく柔らかな感動作の様に思えるが、物語の意外な結末には観客全てが優しく打ちのめされるだろう。
原題の「Any Day Now」は「いつ何時でも」とでも訳せるだろうか。
この世に、正義なんてものは最初から存在しないのかも知れない。
それでも諦めずに人々が戦い続けた結果、21世紀の社会は同性愛者にもだいぶ寛容になったのは紛れもない事実だろう。
しかし、この映画の裁判官の様な事を言う人は今でも決して珍しくない。
偏見と不寛容によって起こる不作為の罪は、いつ何時でも起こりえるのである。
例えそれが声無き弱者を追い詰める事だとしても。

今回は、チョコレートドーナツの様な甘味なカクテル「カルーアミルク」をチョイス。
カルーアとミルクをお好みの分量でステアし、氷を入れたタンブラーに注ぐ。
コーヒーリキュールの濃厚さとミルクのマイルドさが融合し、絶妙に美味しい。
コールドでも良いが、個人的にはミルクを温めてホットにするのが更に好みだ。
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