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ショートレビュー「レイルウェイ 運命の旅路・・・・・評価額1600円」
2014年05月01日 (木) | 編集 |
殺したいほど、忘れられない。

丁寧に作られた良作である。
第二次世界大戦中、日本軍の捕虜となり、“死の鉄道”と揶揄された悪名高き泰緬鉄道建設工事に従事させられた英国人帰還兵が、戦後35年間に渡って抱え続けた消せない傷。
残酷な思い出の象徴として、心の中に残るある日本兵の消息を知った時、彼はどうするのか。
元英国軍人、エリック・ローマクスの手記を元にした実話ベースの物語だ。
名優コリン・ファースがエリックを演じ、彼の宿命の敵である日本人、永瀬隆役に真田広之、エリックの妻パトリシア役に二コール・キッドマンという豪華な布陣。
真田広之が素晴らしく、彼の英語劇でベストの好演と言って良い。

劇中、夫の中にある戦争の闇に気付いたパトリシアが、エリックの戦友に過去に彼の身に何が起こったのかを尋ねるシーンがある。
自らも過酷な戦争経験を持つ戦友は、彼女にこう答える。
「戦争で本当に悲惨な経験をした人は、その事を話せない」
人間の尊厳を剥奪され、獣以下に貶められた経験は、愛する人にほど決して明かす事は出来ないと。
密かにラジオを作った事から、捕虜収容所で残酷な拷問を繰り返し受け、心も体もボロボロになるまで責め抜かれたエリックは、今で言うPTSDにかかっていたのだろう。
戦後も故郷で穏やかな生活に戻る事が出来ず、アフリカなどの植民地で長年建築の仕事をし、還暦を迎える頃になっても、突然蘇る当時の幻覚に怯えている。
彼の心の中に住み着いているのが、拷問を担当した日本人通訳、永瀬隆だ。
戦争の記憶は、永瀬の姿と共に今も現実感を持って、エリックを苦しめ続けている。
彼にとって戦争は、永遠に終わらない悪夢なのだ。

そんな時、エリックは永瀬が今も生きていて、戦地を巡礼しながら観光客のガイドをしている事を知ってしまう。
永瀬が戦犯として処刑されたと思っていた彼は、驚き、葛藤する。
過去に向き合い、対決すべきなのか。
それとも心の傷に蓋をして、死ぬ時まで耐え続けるべきなのか。
自分の内面に巣食う永瀬の亡霊は、エリックにとって殺さねばならない戦争の象徴なのである。

再会したエリックと永瀬が、嘗ての捕虜収容所跡の戦争博物館で対決するシークエンスは緊迫感溢れる演技合戦。
「あの頃の私たちは・・・」と釈明する永瀬を、「“私たちは”じゃないだろ。“私は”だろ」とエリックが追い詰めるシーンは目が離せない迫力がある。
結局、エリックが戦後苦しみ続けたのと同様に、永瀬もまた戦争の記憶から逃れる事ができていない。
もちろん、最終的には和解という結末があるからこそ映画になるのだけど、そこにいたるまでの、殺したいほど憎んでいるという、むき出しの敵意があるからこそ、彼らの間の敵愾心が消えるのにも説得力が出る。
感情をオブラートに包んで、なあなあで許しあう美談として仕上げなかったのがよかった。
二人の帰還兵は、年老いたお互いの姿を合わせ鏡として、葛藤をぶつけ合う事で遂に憑き物を落とす事が出来たのである。
35年間敵同士だった二人が、ようやく心の平和を取り戻し、友情を結んだ事には素直に感動した。

ここからは映画の内容とは直接関係無いが、ツイッターでこの映画を褒めたら、知らない人からメールが来て「このような反日映画を褒めるとはケシカラン」と怒られた。
しかも、ご本人は明らかに映画を観ておらず、予告の印象だけでプンスカしている。
本作の主人公は確かに反日感情を抱いているが、それは政府やマスコミに踊らされて作り上げられたのではない、実体験に基づく生の感情だ。
エリックと永瀬がぶつかり合い、心の毒を溶かしてゆくプロセスを描く本作は、反日どころか反日感情から解放される物語なのである。
修正主義者は映画を観もせずに妄想を深めるより、本作をしっかり受け取って欧米の中に隠れている反日感情のポテンシャルを感じ取った方が良い。
反日は中韓だけの現象とか、馬鹿げた了見違いをしてるマスコミがあるのも嘆かわしい現実だが、全く井の中の蛙である。
欧米、いや東南アジアの国々もだが、彼らは過去と現代を冷静に分けて考えているだけで、行き過ぎた修正主義は絶対に許さない。
エリックと永瀬の様に、心からの和解を出来た人々は決して多くないのだ。

今回は、物語の発端となったシンガポールを代表する銘柄、「タイガービール」をチョイス。
1930年にハイネケンと地元企業が合弁してアジア・パシフィック・ブリューワーズが生まれ、1932年からタイガービールの生産が始まったので、80年以上の歴史あるブランドである。
熱い国ならではのスッキリ爽やか系のアメリカンスタイル。
シュワシュワとあわ立ちはきめ細かく、これからやってくる梅雨の季節には、日本でもこの種のライトなテイストが飲みたくなる。
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