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ショートレビュー「ヴィオレッタ・・・・・評価額1600円」
2014年05月05日 (月) | 編集 |
ママから、人生を取り戻す。

写真家だった母の、少女ヌードモデルと言う過去を持つ、エヴァ・イオネスコの自伝的監督デビュー作。
自分を特別な存在と信じ、それを証明するために娘を利用する母と、母の愛が欲しくて懸命に要求に応えようとする娘。
ここに描かれるのは、母娘のお互いへの歪んだ愛が引き起こす激しい葛藤と、一人の少女が自らの足で人生を歩き始めるまでの物語である。

監督の実母イリナ・イオネスコが、実の娘のヌードを含む写真集、「エヴァ」を発表し、センセーションを巻き起こしたのは1977年。
5歳の頃から母親のモデルを務めていたというエヴァは、この作品によって時代を代表するロリータヒロインとなった。
主人公の名前をヴィオレッタに変えている事からも分かるように、映画は全く事実通りという訳ではなく、ある程度人物関係や時系列を脚色している様だ。
母のアンナは芸術家を自称し、娘を実家のアパートに暮らす祖母に預けっぱなしにして、自分は別にアトリエを借りて住んでいるが、売れている訳でもなく、女三人の一家はその日の生活費にも事欠く有様。
ある日ヴィオレッタは、アンナにアトリエに招き入れられ、最近はじめたばかりの写真のモデルとなる様に言われるのである。

自分大好きのアンナは、美し過ぎる娘を使って、世間の注目を集めるような作品を撮りたい。
一方、まだまだ甘えたい盛りのヴィオレッタは、たまにしか会えない母親と、撮影の間一緒にいられる事がうれしくてたまらない。
しかし実際に写真が売れ始めると、アンナは更なる名声を獲得するために、徐々にその表現をエスカレートさせてゆくのだ。
やがて、ヴィオレッタは一躍セレブとなるものの、学校ではポルノモデルと苛められ、成長するにつれて普通の女の子として生きたい願うようになる。
だがそんな娘の考えは、ヴィオレッタの写真によって時代の寵児となったアンナにとって、受け入れられるものではないのだ。
幼くして人生を奪われながら、ヴィオレッタの母に対する視点は最後まで愛憎入り混じるのが何とも切ない。
パメラ・トラヴァースの少女時代の傷が「メリー・ポピンズ」を産んだ様に、エヴァ・イオネスコにとっても、これはいつか必ず作らなければならない作品だったのだろう。
写真集が発売されてから、本作が作られるまで34年。
映画と言う形で、客観的に自分の過去に向き合うには、それだけの歳月が必要だったという事か。

撮影当時10歳の美少女アナマリア・ヴァルトロメイが、母役のイザベル・ユーペルや怪優ドニ・ラヴァンら大ベテランと渡り合い、幼さと妖艶さを同時に感じさせる難役ヴィオレッタを見事に演じている。
この役はフランスで見つからず、イオネスコ一族の民族的なルーツであるルーマニアから応募してきた彼女に巡り合ったという。
もちろん、題材が題材故に、撮影は慎重に行われており、彼女が実際にヌードになるシーンはない。
それゆえ本国フランスは言うに及ばず、日本よりレイティングの厳しい殆どの国でも特に規制無く公開されたという。
ところが日本の映倫は、本作を「少女の性的描写を想起させる」と言う理由で、“審査適応区分外”つまり審査すら拒否したのである。
幸いにも再審査でR-15指定での公開が決まったものの、最初に審査した人間に映画を理解する能力がないのは明白だ。
これも児童ポルノ絡みの、事なかれ主義の過剰反応だろうが、それにしても“想起させる”って、一体いつから映倫は観客の脳内まで規制対象にする様になったのか。
本作は、少女が親によって作り上げられた虚像から逃れ、自分の人生を取り戻す物語であって、本来ならば主人公と同世代にこそ観てもらいたい映画である。
今の日本社会の許容度はR-15程度、と映倫が判断した事がなんとも情けないではないか。
まあ映画を観もせずに、予告だけでプンスカする人がいるのを知ると、それも然もありなんと思ってしまうが。
「私の映画と母の写真を一緒にしないで欲しい」
イオネスコ監督のこの言葉が、実に重く感じられる。

今回は、辛口の後味にあわせてカクテルの王様「ドライ・マティーニ」をチョイス。
ドライジン45ml、ヴェルモット15mlを軽くステアしてグラスに注ぎ、レモンピールを絞って香り付けし、最後にオリーブをピック刺して沈める。
定番のカクテルゆえに、酒の比率やプラスアルファの材料など、膨大なレシピが存在するが、歴史的には段々と辛口になって来ている様だ。
各種フルーツを絞って、ジン、ヴェルモットと2:2:1くらいでステアし、フルーツマティーニにしても美味しい。
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