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オール・ユー・ニード・イズ・キル・・・・・評価額1650円
2014年06月26日 (木) | 編集 |
勇者さまが、できるまで。

地球が、突如として未知のエイリアンの侵略を受けた近未来。
戦闘中に戦死したはずの主人公は、目覚めるとその前日に時間が巻き戻っている事に気付く。
そして延々と繰り返される、同じ一日の覚醒と死。
なぜ彼は、時空の無限ループに陥ったのか?
やがて絶望的な戦いの中で、強大なエイリアンの秘密を解き明かした主人公は、自分が人類を救う事の出来るただ一人の存在であることを知る。
日本のSF小説「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を、ダグ・リーマン監督、トム・クルーズ主演で映画化した娯楽大作。
原作は所謂ラノベだそうだが、スピード感のある物語、ゲーム感覚を取り入れたパワフルなアクション、テーマ性も適度にあり、老若男女を問わずおススメできる。
※完全ネタバレ注意。

謎の侵略者、“ギタイ”の攻撃を受けた近未来の地球。
圧倒的な戦力差によって、欧州の大半は失われ、敵の勢力はドーバー海峡へと迫っていた。
人類は英国を死守するため、起死回生の反撃を決意。
広報士官のウイリアム・ケイジ(トム・クルーズ)も、ひょんな事から前線へと送り込まれるが、何もできないうちに敵に殺されてしまう。
ところが次の瞬間、ケイジの意識はその前日に戻っていた。
既に一度経験した一日を過ごした彼は、再び戦場へと送られて同じように戦死し、また24時間前に目覚める。
奇妙な現象に巻き込まれている事に気付いたケイジだが、何度かループを繰り返した時、自らも同じ一日を何度も生きているという歴戦の兵士、リタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)と出会う。
彼女と共に戦う間に、ケイジの戦闘能力は徐々に高まり、やがて二人はギタイを倒すために、ある作戦を立てるのだが・・・・


トム・クルーズ+SFという組み合わせは、もはやエンタメ映画の勝利の方程式と言っても良いのではないか。
スピルバーグと組んだ「マイノリティ・リポート」に「宇宙戦争」、幕の内弁当的なSF要素全部入りの「オブリビオン」と一本もハズレが無く、もちろん今回もセンス・オブ・ワンダーに溢れた快作だ。
主人公のウイリアム・ケイジのキャラクターが良い。
元広告屋の彼は、軍隊に入っても広報任務一筋で実戦経験はゼロ。
ところが、第二次世界大戦の連合軍よろしく、ドーバー海峡からノルマンディーへ、人類の反転攻勢を従軍取材する事を命じられると、ビビりまくって拒否。
挙句の果てには、将軍を脅してまで任務から逃れようとして逆に逆鱗に触れ、脱走兵として前線で戦う羽目になってしまう。
SFアクションの主役が、徹底的に自分の保身しか考えないヘタレなキャラクターというのはなかなか珍しいが、それ故に物語の軸は明確だ。
これはダメ男のケイジが、時間の無限ループという試練の中で、自分自身を成長させ、大切な人を守るという兵士の本懐を遂げる物語である。

原作は未読だが、主人公が訳も分からないうちに時間のループに巻き込まれ、特殊な任務にあたるという設定は、ちょっとダンカン・ジョーンズ監督の「ミッション:8ミニッツ」を思わせる。
あの映画では、奇妙なコックピットの中で目覚めた主人公が、爆破テロの犠牲になった人々の、死ぬ直前の8分間の意識を再現したバーチャル世界に入り、真犯人の正体を探り、爆弾の在処を探す。
最初は何もできないうちに爆発で死んでしまうが、ループを繰り返している内に任務に慣れて、次第に核心に迫ってゆくのも、本作のケイジが何度も戦闘を経験するうちに、戦闘のエキスパートになってゆく流れとよく似ている。
もっとも、世界観の構造自体は全く違うので、物語が進むにつれて段々と既視感は感じなくなるのだけど。

そもそも、なぜケイジは無限ループに陥ったのか。
リタと仲間のマッドサイエンティストの解説によると、ギタイの本体は巨大な脳みそだけの様な一個の生命体で、人類と戦っているメタリックなタコ状の個体は全てドローンに過ぎない。
本体を殺されればおしまいなので、ラスボスは人目につかない安全な場所に潜みながら、ドローンをコントロールしているのだ。
だがドローンの中に、ごくまれに指揮官の役割を担う中ボス的な個体が存在しており、これが破壊されると困るので、ギタイはその事実を無かった事にすべく、時間を巻き戻すのだという。
ケイジやリタの場合、戦闘中に中ボスの体液を浴びてしまったがために、自分自身も死ぬと時間ループする能力を持ったという訳だ。
だが、その力は血中に含まれるドローンの体液によるものなので、怪我をして大量に輸血されると能力は消えてしまう。
したがって、ループして生き返ろうと思ったら、スパッと死ななければならない。
実際リタは輸血によって能力を失ったので、時間ループしながらギタイ本体に迫る事が可能なのはケイジだけなのである。

ギタイの本体を攻撃するためには、まずは無数のドローンが待ち構えるノルマンディーの戦場を突破し、ラスボスが潜む場所へと移動しなければならない。
リタと協力しながら、殺されるたびにリセットしてループ、攻め方を変えて生存時間を延ばして、やっぱり殺されたらまたリセット、という展開は完全にゲームである。
更に、輸血されるともう生き返れない、即ち“ライフ”の考え方までゲーム的なのは面白い。
自分(とリタ)だけが事態を俯瞰する情報を持つという孤独感も、主観と客観の狭間で一人戦いを繰り広げるゲーマー的なのではないだろうか。
もっとも、さすがにゲームライクなアクションだけでは話が進まないので、戦友モードと恋愛モードが微妙に混じり合う、リタに対する感情が絡み、さらには何度も生死を共にした部隊の仲間に対する責任と誇りが、主人公を人間的にも成長させる。
そして、繰り返しの面白さを十分に見せたところでループ終了。
ここまで来ると、もはやケイジにヘタレだったころの面影はなく、最強の戦闘力を持つ勇者さまの完成である。
そして、誰もが知る“ある名所”に潜むラスボスを倒すために、クライマックスはガチンコのバトルアクションへとなだれ込むのだ。
人類側の戦力が、V-22オスプレイを四発にしたような輸送機と、全身武装を組み込んだパワードスーツくらいで、荒唐無稽な超兵器の類が出てこなかったのも上手いさじ加減。
この程度なら10年もすれば米軍あたりは普通に装備していそうで、現在から直接続く近未来というリアリティに繋がっている。

時間SFとしての本作は、あくまでも繰り返しの無限ループの面白さを描いた作品であって、所謂タイムトラベルものとは若干ずれるので、パラドックスはそれほど重要ではない。
まあよく考えると、リタが自分のループが切れた事を知っているのはおかしいとか、軍がギタイの正体について探ろうとしないのは無理があるとか、いろいろ突っ込みどころはあるが、スピーディーで先を読ませない展開ゆえに、少なくとも見ている間はあまり気にならない。
やや強引ながら、爽快なオチまで全くダレる部分は無く、113分は疾風怒濤。
構成要素一つ一つは使い古されたネタながら、ゲームカルチャーをメタ的に俯瞰し、上手くSF設定として物語に組み込んだセンスは鮮やかで、全体としては見事に未見性のある娯楽大作として昇華されている。
はたして、トム+SF=無敗の方程式はどこまで続くのだろう。

今回は本作の舞台となる激戦の地、フランスのノルマンディー地方の名産品、カルヴァドスの「ブラーX.O.」をチョイス。
林檎を発酵させて作るシードルを更に蒸留し、洋梨を混ぜ込んで作られる酒は各地にあるが、カルヴァドスを名乗れるのはノルマンディー地方で作られる物だけである。
消化促進効果があり、熟成の浅い若い酒は食前に、ヴィンテージが進むにしたがって食中、食後酒として飲まれる事が多いという。
ムシムシした梅雨の季節には、トニック・ウォーターで割ると爽やかで美味しい。

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