FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係な物や当方が不適切と判断したTB・コメントも削除いたします。
■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「サード・パーソン・・・・・評価額1600円」
2014年06月30日 (月) | 編集 |
物語の語り部は誰だ?

世界の三つの街で、平行に展開する三つのストーリー
落ち目の作家のマイケルは、新作を執筆中のパリのホテルで、気まぐれな愛人アンナとのスリリングな密会を楽しむ。
一方、ニューヨークに暮らす元昼メロ女優のジュリアは、元夫でアーティストのリックと一人息子の親権争いをしている。
そしてローマでは、ファッション業界で産業スパイとして働くスコットが、ひょんな事から出会ったロマの女、モニカを助ける事に。

序盤では、それぞれのエピソードの間に関連性は無い様に見える。
なるほどポール・ハギスは、自身の出世作の「クラッシュ」のスタイルを、今一度踏襲しようとしているのかと思った。
あの映画では、一見すると無関係に思える複数の登場人物が、ストーリーが進むにつれて次第に絡み合い、やがて南国LAの雪というファンタジーに向かって収束してゆく、鮮やかな作劇が印象的だった。
しかしさすがはハギス先生、確かに「クラッシュ」と似た要素はあるものの、同じ事を二度はやらないのである。
三組の男女の物語を眺めていると、あれ?どうして?という瞬間がいくつも訪れる。
やがてその違和感ははっきりと姿を現し、観客を混乱に陥れるのである。
印象としては、ちょっと貫井徳郎の小説を思わせるスタイルだが、彼の作品が文章でしか成立しえない物が多いのに対して、ハギスは逆に映像でしか表現できない作品を作り上げた。

綿密な伏線が張り巡らされた、冒頭10分が圧巻。
グイグイと作品世界に惹きつけられるこの部分を、集中力を持って観たか否かで、核心までの距離が大きく異なってくるだろう。
筋立てのロジックだけでなく、三つのエピソードが相互にかみ合うような映像構成も非常に面白い。
キャラクターのアクションからアクションへ、視点から視点へ、絶妙な移動撮影と編集テクニックで流れる様にエピソードが切り替わり、画面の中にはさり気なく物語のヒントが散りばめられる。
コップの中のコイン、プール、シンクに沈められる時計などの水のモチーフ、白という色に込められた意味、そして子供を失った、もしくは失いかけている親という共通項。
さらには、聞こえるはずのない「watch me(僕を見て)」という囁き声の秘密。

タイトルの「サード・パーソン」が、全てのキーだ。
“三人称”であり、人間関係の“三人目”でもある。
これはある意味、「ウォルト・ディズニーの約束」と同じテーマを別の切り口で描いた作品であり、ポール・ハギスによるメタ的な物語論である、作家論と言えるだろう。
過去への贖罪と、創作者としての欲望が、境界を失ったまま物語として流れ出す。
「クラッシュ」が現実社会の中で人々が物理的に衝突し、葛藤が生まれ、最終的に(希望的な)虚構へと落とし込む構造を持っていたのに対して、こちらでは現実に抗おうと想像力によって生み出した虚構が、最後に本当の主人公を真実へと導き、収束してゆくのである。
超一流のストーリーテラーのテクニックが冴えわたる、見応えたっぷりの意欲作。
惜しむらくは、中盤に各エピソードの登場人物が、同じような行動を繰り返す時間帯があり、やや物語が停滞し、中ダレを感じさせる事で、この辺りはもう少しコンパクトに整理できた気がする。
おそらく観客にとっての“物語”の概念によって、好き嫌い分かれるだろうが、このオチを素直に受け入れられれば、必ずもう一度観たくなる作品だと思う。

虚構と現実がシームレスに繋がり、白昼夢の様なテイストを持つ本作には、カクテル「ドリーム」をチョイス。
ブランデー40mlとキュラソー20ml、それにペルノ1dashをシェイクしてグラスに注ぐ。
目に鮮やかなオレンジの色合の甘味なカクテルで、ペルノが香り付けとしていいアクセントになっている。
材料から分かる様に結構強いので、飲んでるといつの間にか夢うつつになってしまうかも知れないけど。

ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね




スポンサーサイト