FC2ブログ
酒を呑んで映画を観る時間が一番幸せ・・・と思うので、酒と映画をテーマに日記を書いていきます。 映画の評価額は幾らまでなら納得して出せるかで、レイトショー価格1200円から+-が基準で、1800円が満点です。ネット配信オンリーの作品は★5つが満点。
■ お知らせ
※基本的にネタバレありです。ご注意ください。
※当ブログはリンクフリーです。内容の無断転載はお断りいたします。
※ブログ環境の相性によっては、TB・コメントのお返事が出来ない事があります。ご了承ください
エロ・グロ・出会い系のTB及びコメントは、削除の上直ちにブログ管理会社に通報させていただきます。 また記事と無関係なTBもお断りいたします。 また、関係があってもアフェリエイト、アダルトへの誘導など不適切と判断したTBは削除いたします。

■TITLE INDEX
タイトルインディックスを作りました。こちらからご利用ください。
■ ツイッターアカウント
noraneko285でつぶやいてます。ブログで書いてない映画の話なども。
■ FILMARKSアカウント
noraneko285ツイッターでつぶやいた全作品をアーカイブしています。
ショートレビュー「太秦ライムライト・・・・・評価額1650円」
2014年07月17日 (木) | 編集 |
サイレントサムライは、死なず。

劇中で殺されること実に5万回。
日本一の斬られ役として知られる俳優・福本清三、71歳にして初の主演作!
タイトルが示唆する通り、物語のモチーフとなっているのは、チャールズ・チャップリン晩年の代表作「ライムライト」だ。
年老いた道化師が才能豊かなバレリーナの少女を見出し、彼女の活躍を見ながら一人静かに死んでゆく、あの切なく美しいラブストーリーである。
チャップリンの研究家としても著名な脚本の大野裕之は、舞台を100年前のロンドンから現代の東映京都撮影所に変更し、斬られ人生50年の老俳優と女優志望の少女の継承の物語へと換骨奪胎した。
決して器用な映画ではないが、愚直なまでにド直球な語り口が、本作にいい意味で昭和風味の朴訥な味わいを与え、忘れられない作品に仕上がっている。
※ラストに触れています。

本来ライムライトとは、電球が発明される前に軍用サーチライトや舞台照明として使われていた、化学反応によって光を作り出すカルシウムライトの事である。
その嘗てない強力な明るさは、ステージで躍動するダンサーや俳優たちを浮かび上がらせ、いつしか“名声”を意味する言葉となった。
だが実際に照明機器として使われた期間は短く、19世紀後半に電球が発明されると、急速に姿を消していったという。
チャップリンは、一時的にもてはやされながらも、やがて忘れられていったライムライトに、芸能に生きる者たちの人生を重ね合わせたのである。

そして21世紀のライムライトに例えられるのは、近年製作本数が激減している時代劇と、福本清三演じる斬られ役専門の老俳優・香美山だ。
時代劇のメッカとして長く隆盛を極めた太秦にも、時代の変化の風は否応なしに吹き荒れる。
勧善懲悪の昔ながらの時代劇は観客に飽きられ、斬る者と斬られる者の信頼関係によって成立していたプロフェッショナルな殺陣の技もCGに取って代わられる。
映像の現場に居場所を失った香美山は、映画村のショーで刀を振るうしかない。
しかし長年酷使してきた体は、もはや言うことを聞かず、自然と引退の二文字が頭を過った時に出会うのが、時代劇に憧れる女優志望の少女・さつきという訳だ。
「太秦には“エキストラ”は一人もいない。いるのは表現者だけだ」という台詞が印象的。
たとえ台詞の無い斬られ役だとしても、そこには自分にしかできない死に際の表現がある。
香美山は、さつきに稽古をつけ、自分が持つ技術と時代劇への想いを伝え、やがて彼女がスターダムへと駆け上がるのを見届けて、そっと身を引く。

深い皺の一本一本に生き様が滲み出る、福本清三の“顔”が良い。
思えば、この特異な俳優が初めて一般的な知名度を得たのは、ハリウッド映画の「ラストサムライ」の時だろう。
あの作品で彼が演じたのは、一言も言葉を発しない“サイレントサムライ”だったが、際立った存在感と、迫力満点の死に芝居は大いに注目を集めた。
クリント・イーストウッドにも通じる、何も言わなくても、そこにいるだけで鑑賞に堪えうる、生粋の表現者のかもし出すオーラ。
そんな老俳優と彼が体現する時代劇の歴史に、若い作り手たちが抱いているであろう最大限のリスペクトが、スクリーンから熱となって伝わってくる。

オリジナルの「ライムライト」で、チャップリン演じる道化師は、自ら育て上げた少女がステージで輝くのを見守りながら、ひっそりと人生の幕を下ろすが、本作が描くのは“映画”であるからここで更に一ひねり。
嘗て数々の時代劇を世に送り出した東映京都の重鎮、中島貞夫監督がなんと本人役を演じ、劇中劇「江戸桜風雲録」の大立ち回りがそのままクライマックスとなるのだ。
シネマスコープの桜吹雪の中で、キャラクターとしての香美山と演じる福本清三本人が重なり、初めて主役としてズバッと斬られる画はカッコ良すぎ!
このラストカットだけでも、映画館のスクリーンで観ておくべきと言い切れる作品である。

今回は京都伏見の地酒、玉乃光酒造の「酒魂 純米吟醸」をチョイス。
パック酒なども手がけている京都を代表する大手銘柄で、府内だけでなく全国区の手に入りやすい一本だろう。
純米吟醸は、吟醸香は弱めでやや辛口、全体にクセが無くて飲みやすいが旨みは芯の部分でしっかりと感じられる。
ぬる燗でも美味しいが、これからの季節は冷で楽しみたい。
ランキングバナー 
記事が気に入ったらクリックしてね




スポンサーサイト