2014年09月12日 (金) | 編集 |
世界は命で満ちている。
やたらお腹の空く映画だった。
原作は、「海獣の子供」「カボチャの冒険」などで知られる五十嵐大介の同名漫画。
大自然に囲まれた東北の小さな村を舞台に、一人自給自足の生活を送るいち子の日常を描く春夏秋冬の四部作で、実際に東北に移り住んだ作者の体験をもとにしている。
一つの季節がほぼ一時間で語られ、それを2本ずつ纏めて公開するという企画性もユニーク。
今回公開されるのは先ず夏・秋の二編で、来年2月に残りの冬・春編が公開予定。
旬な俳優にカタカナタイトル、食をモチーフとしたストーリーなど、一見ロハス系オシャレ映画っぽいムードだが、本質的に異なる魅力がある不思議な作品だ。
ポイントはスローライフに憧れ田舎に渡った都会っ子ではなく、あくまでそこで生まれ育った土地っ子の話という事。
作業着姿もなかなか板についている橋本愛演じるいち子は、とにかく生きてゆくのに必要なあらゆる食べ物を自分で作ってしまう。
小さな農地を持っているから、米や野菜は当たり前。
野菜からは更にウスターソース、米からは醗酵米サワーそしてそれが沸きすぎると即ちどぶろくになるのだろう。
野に生えている栗や胡桃は動物たちと競争で採り、そこからもまた色々な美味しいものが魔法の様にどんどん出来てくる。
きっと人類文明が滅びたとしても、いち子はこの土地でなら生きていけるのではないか(笑
元々彼女は母の福子と二人暮らしだったらしいのだが、福子は7年前に突然村を去り、いち子は一度町に出た後に村に戻ったUターン組。
一体彼女らの過去に何が起こったのか、夏・秋編の二時間の間に四部作全体のテーマは何となく示唆され、後半に繋がる“ドラマの種”は撒かれるものの、特にダイナミックな展開は無く、基本ず〜っといち子が食物を育て、収穫し、料理して、食べるの繰り返し。
しかし彼女が何かを作り始めると、不思議とワクワクする。
これはおそらく連載漫画の構成をそのまま取り込んだのだろうが、彼女が何か料理を作るたびに、“1st Dish”とか“2nd Dish”とか字幕が出て、漫画の扉ページの様な役割を果たし、一体今度はどんな美味そうなものを作るんだろう?と期待してしまうのだ。
映画を観てると無性に胃袋を刺激されて、満腹のはずなのに胃の中のカエルが鳴く(笑
それもただ食べたくなるのでは無く、きちんと料理して食べたくなるのが面白い。
農業とまではいかなくても、家庭菜園などをやっていたりすると余計に刺激的だろう。
私も自宅兼事務所の屋上で、ささやかな野菜畑を作っているけど、“トマトは強くて弱い”という話などは「うん、そうそう」と頷き、あのウスターソースもどきはウチでも作って作れなくは無いなあ・・・などと観ながら考えていた。
なんと言うか、私たちは毎日生きてゆくために食べ、食べるために育てるのだという事を、まったりした時間の中で、自然に意識させてくれるのである。
この映画のムードは何か近い作品があった気がしたのだけど、そうだ「北の国から」だ。
年齢はだいぶ違うけど、主人公が一度都会に出てUターンしてきたという設定も同じだし、年季の入ったいち子の家はどことなく五郎さんの家に似ている。
いち子の暮らしはロハスはロハスでも、ファッションではなく経験に裏打ちされた(この作品の場合はたぶん原作者の)ものなのだろう。
残り半分でいち子とゆう太の微妙な関係や、ある日突然姿を消したという母・福子はどう絡むのだろうか。
厳しい東北の冬と、命芽吹く雪解けの春も楽しみだ。
あといち子が飼っているのか、それとも単に居ついているだけなのかわからないが、たまに出てくる猫が凄くカワイイのです( ;´Д`)
今回はロケ地となる岩手県を代表する地酒、株式会社南部美人の「南部美人 純米吟醸 ひやおろし」をチョイス。
ひと夏貯蔵された酒は新酒の荒々しさが消えてすっかりまろやかになり、まさに飲み頃。
吟醸香は芳醇、スッキリとした味わいは、山海の秋の幸との相性は抜群。
毎年この季節にしか買えない、米の豊かな味を十分に味わえる一本だ。
そういえば橋本愛と幼馴染のきっこ役の松岡茉優は、二人とも「桐嶋」&「あまちゃん」組だ。
じぇじぇじぇ!
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やたらお腹の空く映画だった。
原作は、「海獣の子供」「カボチャの冒険」などで知られる五十嵐大介の同名漫画。
大自然に囲まれた東北の小さな村を舞台に、一人自給自足の生活を送るいち子の日常を描く春夏秋冬の四部作で、実際に東北に移り住んだ作者の体験をもとにしている。
一つの季節がほぼ一時間で語られ、それを2本ずつ纏めて公開するという企画性もユニーク。
今回公開されるのは先ず夏・秋の二編で、来年2月に残りの冬・春編が公開予定。
旬な俳優にカタカナタイトル、食をモチーフとしたストーリーなど、一見ロハス系オシャレ映画っぽいムードだが、本質的に異なる魅力がある不思議な作品だ。
ポイントはスローライフに憧れ田舎に渡った都会っ子ではなく、あくまでそこで生まれ育った土地っ子の話という事。
作業着姿もなかなか板についている橋本愛演じるいち子は、とにかく生きてゆくのに必要なあらゆる食べ物を自分で作ってしまう。
小さな農地を持っているから、米や野菜は当たり前。
野菜からは更にウスターソース、米からは醗酵米サワーそしてそれが沸きすぎると即ちどぶろくになるのだろう。
野に生えている栗や胡桃は動物たちと競争で採り、そこからもまた色々な美味しいものが魔法の様にどんどん出来てくる。
きっと人類文明が滅びたとしても、いち子はこの土地でなら生きていけるのではないか(笑
元々彼女は母の福子と二人暮らしだったらしいのだが、福子は7年前に突然村を去り、いち子は一度町に出た後に村に戻ったUターン組。
一体彼女らの過去に何が起こったのか、夏・秋編の二時間の間に四部作全体のテーマは何となく示唆され、後半に繋がる“ドラマの種”は撒かれるものの、特にダイナミックな展開は無く、基本ず〜っといち子が食物を育て、収穫し、料理して、食べるの繰り返し。
しかし彼女が何かを作り始めると、不思議とワクワクする。
これはおそらく連載漫画の構成をそのまま取り込んだのだろうが、彼女が何か料理を作るたびに、“1st Dish”とか“2nd Dish”とか字幕が出て、漫画の扉ページの様な役割を果たし、一体今度はどんな美味そうなものを作るんだろう?と期待してしまうのだ。
映画を観てると無性に胃袋を刺激されて、満腹のはずなのに胃の中のカエルが鳴く(笑
それもただ食べたくなるのでは無く、きちんと料理して食べたくなるのが面白い。
農業とまではいかなくても、家庭菜園などをやっていたりすると余計に刺激的だろう。
私も自宅兼事務所の屋上で、ささやかな野菜畑を作っているけど、“トマトは強くて弱い”という話などは「うん、そうそう」と頷き、あのウスターソースもどきはウチでも作って作れなくは無いなあ・・・などと観ながら考えていた。
なんと言うか、私たちは毎日生きてゆくために食べ、食べるために育てるのだという事を、まったりした時間の中で、自然に意識させてくれるのである。
この映画のムードは何か近い作品があった気がしたのだけど、そうだ「北の国から」だ。
年齢はだいぶ違うけど、主人公が一度都会に出てUターンしてきたという設定も同じだし、年季の入ったいち子の家はどことなく五郎さんの家に似ている。
いち子の暮らしはロハスはロハスでも、ファッションではなく経験に裏打ちされた(この作品の場合はたぶん原作者の)ものなのだろう。
残り半分でいち子とゆう太の微妙な関係や、ある日突然姿を消したという母・福子はどう絡むのだろうか。
厳しい東北の冬と、命芽吹く雪解けの春も楽しみだ。
あといち子が飼っているのか、それとも単に居ついているだけなのかわからないが、たまに出てくる猫が凄くカワイイのです( ;´Д`)
今回はロケ地となる岩手県を代表する地酒、株式会社南部美人の「南部美人 純米吟醸 ひやおろし」をチョイス。
ひと夏貯蔵された酒は新酒の荒々しさが消えてすっかりまろやかになり、まさに飲み頃。
吟醸香は芳醇、スッキリとした味わいは、山海の秋の幸との相性は抜群。
毎年この季節にしか買えない、米の豊かな味を十分に味わえる一本だ。
そういえば橋本愛と幼馴染のきっこ役の松岡茉優は、二人とも「桐嶋」&「あまちゃん」組だ。
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