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るろうに剣心 京都大火編・・・・・評価額1750円/伝説の最期編・・・・・評価額1650円
2014年09月20日 (土) | 編集 |
世界よ、これが日本のアクションだ!

和月伸宏原作のコミックを基に 、2012年に公開された「るろうに剣心」の続編にして、完結編となる二部作。
前作は日本映画にスウォードアクションの新たなる地平を切り開き、伝統的な時代劇の創造的破壊を試みたが、その流れは更に加速。
良い意味で漫画チックでエキセントリックなキャラクターたちが、明治初頭の東京と京都で暗躍し、見たことも無いスピードで壮絶な死闘を繰り広げるのである。
浪人、狂人、悪人、警官、そして忍者までもが入り乱れる熱血バトルアクション
こんなの面白くない訳がない。
大友啓史監督とタイトルロールの佐藤健をはじめ、主要スタッフ・キャストは続投。
新キャラクターも大挙登場するが、圧巻はミイラ男みたいなルックスで文字通りに燃える剣を振るう藤原竜也演じる志々雄真実だ。

東京の神谷道場で、平和な生活を送っている緋村剣心(佐藤健)に、内務卿大久保利通からの呼び出しがかかる。
嘗てもう一人の人斬りとして、維新勢力の裏仕事を請け負ってきた志々雄真実(藤原竜也)が、京都を拠点に明治政府の転覆を図っているという。
送り込んだ警官隊はことごとく返り討ちにされ、志々雄は増長するばかり。
そこで彼を止めるために、剣心に京都に行って欲しいというのだ。
自分たちの尻拭いを剣心にさせようとする政府に、薫(武井咲)や左之助(青木崇高 )は反発するが、剣心は申し出を受け入れて、京都へと旅立つ。
着々と勢力を広げる志々雄は、幕末の志士たちの計画を真似て京都に火を放ち、その後東京へと進撃する計画を密かに進め、その実行部隊となる十本刀の猛者たちに召集をかける。
一方、旅の途中で志々雄の放った刺客・瀬田宗次郎(神木隆之介)と対決した剣心は、逆刃刀を折られてしまうのだが・・・・


面白い!
前作からさらにパワーアップして、血湧き肉躍る大活劇となった。
「京都大火編」と「伝説の最期編」に分かれているが、実質一本の長い作品である。
しかし、特に「京都大火編」が素晴らしい。
多くの三部作もので、第二部が一番評価が高いのには訳がある。
キャラクターが次々に登場し、いわゆる役者が揃った状況となり、それぞれの抱える葛藤が極限に追い込まれてゆくと同時に、観客の期待もまたどんどんと高まってゆくのだから、劇的になりやすいのである。
本シリーズにも、そのジンクスは当てはまった様だ。

前作であれだけの物を見せられた訳だから、当然こちらのハードルも上がっている。
生半可な物じゃ驚かないぞ、と身構えていたら、いきなりオープ二ングで度肝を抜かれた
鉱山の廃墟とおぼしき場所で、捕らえられた警官たちが無数の僧侶の読経の中、地獄の業火に焼かれてゆく。
そして炎の揺らめきの中から現れる、全身包帯で巻かれた異形の男。
日本映画史に残るスーパーヴィラン、志々雄真実のワクワクする登場シーンである。

このインパクト十分な開幕から、東京での剣心たちの平和な日常のコントラスト。
そして内務卿・大久保利通の暗殺を受けて、剣心が京都行きを決意するまでの第一幕は淀みなく進み、いよいよ剣心が旅路に足を踏み入れると、怒涛のアクションの釣瓶打ちが始まる。
ほとんど10分に一回くらいは、何らかの見せ場がある作りは正に危機また危機の連続活劇だ。
東海道の寒村での大乱戦の後は、志々雄との邂逅と宗次郎との前哨戦。
そして京都では折られた逆刃刀の代わりを探すエピソードに、十本刀の一人との対決を経て、京都大火を狙う志々雄の軍勢vs剣心と仲間たちの大バトルへとなだれ込み、息つく暇も無いほど。
そこに更に、幕末の悲劇を体験した、哀しき忍者たちまでもが巻き込まれてゆくのだからたまらない。

大風呂敷を広げるとはこの事で、アクション映画としてエキサイティングなだけでなく、様々なバックグラウンドを持つキャラクターたちの、複雑に入り組んだ思惑と葛藤が交錯し人間ドラマを盛り上げるのである。
主要登場人物全てが活躍の機会を与えられ、剣心と薫が絶体絶命の危機に陥り、キーパーソンとなるであろう謎の男(しかも「竜馬伝」との繋がりを強く意識させる福山雅治!)の登場という物凄く良い所で終わる「京都大火編」は、クライマックスへの橋渡しとして文句無しで、三部作の最良の第二部である。

だが、完結編となる「伝説の最期編」を観ると、さすがに広げ過ぎた様な気もする。
とりあえず個々の登場人物の葛藤に一応のけりをつけるのに精一杯で、物語はダイジェスト感が出て希薄化。
「京都大火編」で大活躍した幾人かの登場人物はもはや能動的な役割を与えられず、事態の傍観者となるしかない。
本来中ボスの役割を果たすはずの十本刀が、前作と合わせても精々二本刀程度で、そもそも誰が十本刀なのかも分らないという体たらくなのも勿体無い。
これなら無理に十本にしなくても良かったのに。
志々雄の計画もディテールが描かれない分、結構アバウトに見えてしまい、いっそのこと「伝説の最期編」を更に二つに分けて、四時間くらいかけてじっくり描いた方がベターだったのではないか。

もっとも、この映画がつまらないかといえば、そんな事は無い。
第二部に比べて作劇は明らかに弱いが、三部作のクライマックスたる完結編はその分剣で物語る
本作の主要登場人物は、皆が幕末の戦いの中で希望と絶望を経験し、自分の中で大切な何かを失ってしまった者たちだ。
心に大きな穴を抱えた漢たちにとって、戦いこそが葛藤の吐露であり、一太刀、一太刀ごとに魂をスクリーンに刻みつける。
そして緋村剣心にとっては、「不殺(ころさず)の誓い」の真の意味を掴み、自らの生を肯定し、新しい時代に歩みだす覚悟を決めるプロセスでもある。
この作品において、アクションはドラマツルギーの中核をなす映像言語なのである。

福山雅治演じるオビ=ワン・ケノービ、もとい比古清十郎師匠と剣心の、奥義獲得のための良い意味で漫画的トレーニングシークエンスから、最強の称号を欲する忍者・四乃森蒼紫との決闘、そして志々雄の鋼鉄船を舞台とした宗次郎とのリターンマッチを含めた最期の死闘は、言わばスウォードアクションのフルコースで、お腹いっぱい見応え十分だ。
日本の時代劇は、圧倒的に強い主人公が、複数の敵を倒してゆくのが一般的。
しかしこの映画においては、完全にヴィランである志々雄様無双である。
志々雄vs剣心、斉藤一、左之助、蒼紫の一対四のいつ果てるとも知れない対決は、この映画が仲間たちとの友情、共闘を定番とするジャンプ漫画を元にしているのだと思い起こさせられた。

「るろうに剣心」三部作は、本気の人たちに、ちゃんとお金と時間を与えると、これだけの物ができるという証明になったのではないだろうか。
一作目ではこなれて無い感が強かった若い俳優達も、ここへ来て役をしっかりと自分の物にしていたし、物語のオチも観客がこうあって欲しいという素直なものなのも良かった。
それにしても、近世と近代の狭間であるこの時代のごった煮的な世界観は面白い。
本作のアクションのスタイル自体は他の時代でも使えるだろう。
だが、従来の時代劇ではあまり描かれなかった明治初頭という時代背景が、大きく時代劇の型を壊したこのシリーズに説得力を与えた一因になっているのは間違いない。
昨年の「許されざる者」もそうだが、明治を舞台としたネオ時代劇、案外と邦画の大きな鉱脈になるのではないだろうか。

今回は、伝統のビールで激闘の熱を冷まそう。
本作の時代設定から9年後の明治20年に創業した日本麦酒醸造會社をルーツに持つ、「エビスビール」をチョイス。
ドイツ人の技術指導によって作られたドルトムンダースタイルは今も健在。
150年近くにわたって、日本人の喉を潤し続けてきた伝統の味わいだ。
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