2014年09月24日 (水) | 編集 |
ロクデナシ軍団、銀河を救う。
いやあ、これはヒットする訳だ。
本国での評判通り、ムチャクチャ楽しい映画だった。
全世界で6億3000万ドル超を稼ぎ出し、現時点での本年度最大のヒット作となった、マーベルコミック原作のコミカルなスペースオペラ。
自分の事しか考えない、一癖も二癖もある愛すべきアンチヒーローたちが、銀河の運命を握る秘宝を巡って大暴れ。
彼らはいつしかジャンプ漫画的熱血の絆によって結ばれ、本物のヒーロー「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」となってゆく。
監督・脚本はトロマ出身で、おバカ侵略SF「スリザー」や、なんちゃってヒーロー映画「スーパー!」で注目されたジェームズ・ガン。
オタク作家ならではの、カメオの数々やマニア泣かせの遊び心も楽しい。
※核心部分に触れています。
1988年、ピーター・クィル(クリス・ブラッド)はママが死んだ日にエイリアン・アブダクションされ、宇宙でトレジャーハンターのメンバーとして育てられる。
ある日、クィルは“オーブ”と呼ばれるお宝を盗み出すのだが、それは惑星を滅亡させるほどのパワーを持つ伝説の秘宝だった。
悪党たちとの争奪戦の末、逮捕されて刑務所に送られたクィルだったが、銀河のあちこちで破壊の限りを尽くすロナン(リー・ペイス)が、オーブの力で宇宙の秩序を守るザンダー星の破壊を狙っている事を知ると、刑務所の囚人同志で手を組んで脱獄を図る。
クィルとチームを組むことになったのは、ロナンに送り込まれた暗殺者だったガモーラ(ゾーイ・サルダナ)、遺伝子改造された凶悪アライグマのロケット(ブラッドレイ・クーパー)、彼の相棒で植物型ヒューマノイドのグルート(ヴィン・ディーゼル)、そしてロナンに家族を殺された復讐鬼ドラックス(デビッド・バウティスタ)の5人。
何とか刑務所からの脱獄には成功したものの、オーブを狙うロナンの軍団に追われた彼らは、いつの間にか銀河の未来を左右する存在になってゆく・・・
まさか宇宙SFで「ウガ・チャカ」を聞くとは(笑
少年時代にアブダクションされた主人公が大切にしているのが、SONYのウォークマン(しかも1st!)とママに貰ったカセットテープ。
そこには青春時代にママが大好きだったおススメ曲が沢山詰め込まれているのだが、彼女が死んでクィルがアブダクションされたのが1988年なので、必然的に70年代ヒットソングのオンパレード。
レッドボーンの「カム・アンド・ゲット・ユア・ラブ」、デヴィッド・ボウイの「月世界の白昼夢」、ランナウェイズの「チェリー・ボム」がSF映画のBGMなんて思いっきりミスマッチなのだけど、それが逆に新鮮に感じるのだから面白い。
ちなみに本作で使われた歌曲だけを集めたアルバム、「Guardians of the Galaxy: Awesome Mix Vol. 1」は、ビルボードチャートで堂々の1位を獲得したそうだ。
プロップのカセットがデザインされたジャケも楽しくて、思わず私も衝動買いしたが、続編ではもちろん「Guardians of the Galaxy: Awesome Mix Vol. 2」が出るんだろうな(笑
元々緩めの作品が多いマーベル系作品だが、これはその中でも思いっきりおバカ方向に振り切れている。
何しろ主人公たちは全員小悪党のダメ人間(と宇宙人)、バカバカしい脱力系ギャグの応酬に、狙ってハズした70’sサウンド。
音楽が象徴する様に、映像のテイストもどこか70年代風のレトロテイストなのだけど、王道の「スター・ウォーズ」というよりは、むしろ「スペース・パイレーツ」とか「宇宙の七人」とか「銀河伝説クルール」とかのB級映画を思いっきりゴージャスにアップグレードした感じなのは、いかにもジェームズ・ガン。
映画だけでなく、ディテールにはアシモフの「ファウンデーション」シリーズや、E.E.スミスの「レンズマン」「宇宙のスカイラーク」シリーズ的な世界観も見え隠れする。
本作のビジュアルで非常に特徴的なのは、ド派手なカラーリングの宇宙船の数々だ。
日本のアニメではカラフルな宇宙船は結構あるが、ハリウッドは昔から白やシルバーの単色が主流だから物珍しく感じたのだが、ふと先日観た「ホドロフスキーのDUNE」でクリス・フォスがデザインした極彩色の宇宙船群にデジャヴ。
そう、嘗て「レンズマン」や「ファウンデーション」シリーズの表紙を描き、ホドロフスキーによって幻の映画「DUNE」のために集められた魂の戦士たちの一人、フォスが本作にコンセプトデザインを提供しているのである。
フォスの起用は監督たっての希望だったらしく、特徴的なオレンジとブルーの補色は本作のビジュアルのキーカラーとなっている。
キャスティングも趣味性全快だ。
アライグマのロケットの声が今をときめくブラッドレイ・クーパーだったり、ゾーイ・ザルダナが「アバター」の青いヒロインと対になる様な緑のヒロインだったりするのもネタっぽいが、私的な注目は終始「I am Groot.」としか言わないグルートの声を演じるヴィン・ディーゼル。
このキャラクターは、ディーゼルの隠れた代表作である、「アイアン・ジャイアント」の哀しき鉄巨人に被る。
そして、両方の映画を観た人はピンと来たと思うが、共に友達を守るために自己犠牲の精神を見せるこの二つのキャラクターの最期は、明らかに符合するように作られているのである。
グルートのオチの画は、その昔大流行したフラワーロックのパロディなのだけど、同時にブラッド・バードの名作に対するジェームズ・ガンからのアンサーにしてオマージュなのだと思う。
可愛らしく踊るちっちゃなグルードに、思わず15年前の感動が蘇って、ちょっと涙が出た。
他にも、ハワード・ザ・ダックの声がセス・グリーンだったり、ガンにとっては師匠格に当たるトロマのボス、ロイド・カウフマンや、「スリザー」で組んだ後に、テレビの「キャッスル ミステリー作家は事件がお好き」でブレイクしたネイサン・フィリオンを囚人役で出したり、マニアックなカメオ出演はクレジットが読みきれないほど。
もちろん、本作はオタクな趣味性だけでこれほどのヒット作となった訳ではない。
嘗てのB級SF映画やSF小説の数々をパロディに、脱力系のキャラとギャグで宇宙を彩りながらも、最終的には冒険、友情、努力に愛が前面に出る普遍的なエンタメの王道に落とし込んでいる。
主人公たちは、一人ひとりではとてもヒーロー映画の主役は張れそうもない半端者だが、冒険を通じて仲間との絆を育み、遂に宇宙最強のチームとして一体となるのである。
クライマックスの大バトルはそれまでの緩いムードを吹き飛ばす、危機また危機のパワフルな正統派スペースオペラ。
それでも、散々伏線を張っていた、ある80年代ネタを大トリに持ってきたのには、全く恐れ入った(笑
笑とスリル満載の素晴らしき122分。
大人やマニアは懐かしの映画・音楽・時事ネタや、全編に散りばめられた凝ったディテールにクスクスと笑い、そんなものは知らない子供たちにとっては明るくて派手なスぺオペとして楽しめる。
クリストファー・ノーラン一派のおかげで、ゼロ年代に入ってどんどんハード&ダークになり、良くも悪くもファミリー観客をすっかり忘れ去ってしまった、レジェンダリー系のDCコミック映画へのアンチテーゼとしても、これはアリだろう。
監督曰く、「『アベンジャーズ』はマーベルユニバースのビートルズ。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はローリングストーンズ」なのだそうな。
なるほど、どうやらスター・ロードがミック・ジャガーの歳になるまで楽しませてくれそうだ(笑
今回は、冒険の海に出たくなる錨マークの「アンカースチーム」をチョイス。
港町サンフランシスコを代表する老舗地ビールは、ゴールドラッシュ時代の開拓民の喉を潤した、スチームビールの復刻版。
常温発酵ラガーの深いコクと華やぐ香りは、本作の楽しさをブーストアップしてくれるだろう。
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いやあ、これはヒットする訳だ。
本国での評判通り、ムチャクチャ楽しい映画だった。
全世界で6億3000万ドル超を稼ぎ出し、現時点での本年度最大のヒット作となった、マーベルコミック原作のコミカルなスペースオペラ。
自分の事しか考えない、一癖も二癖もある愛すべきアンチヒーローたちが、銀河の運命を握る秘宝を巡って大暴れ。
彼らはいつしかジャンプ漫画的熱血の絆によって結ばれ、本物のヒーロー「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」となってゆく。
監督・脚本はトロマ出身で、おバカ侵略SF「スリザー」や、なんちゃってヒーロー映画「スーパー!」で注目されたジェームズ・ガン。
オタク作家ならではの、カメオの数々やマニア泣かせの遊び心も楽しい。
※核心部分に触れています。
1988年、ピーター・クィル(クリス・ブラッド)はママが死んだ日にエイリアン・アブダクションされ、宇宙でトレジャーハンターのメンバーとして育てられる。
ある日、クィルは“オーブ”と呼ばれるお宝を盗み出すのだが、それは惑星を滅亡させるほどのパワーを持つ伝説の秘宝だった。
悪党たちとの争奪戦の末、逮捕されて刑務所に送られたクィルだったが、銀河のあちこちで破壊の限りを尽くすロナン(リー・ペイス)が、オーブの力で宇宙の秩序を守るザンダー星の破壊を狙っている事を知ると、刑務所の囚人同志で手を組んで脱獄を図る。
クィルとチームを組むことになったのは、ロナンに送り込まれた暗殺者だったガモーラ(ゾーイ・サルダナ)、遺伝子改造された凶悪アライグマのロケット(ブラッドレイ・クーパー)、彼の相棒で植物型ヒューマノイドのグルート(ヴィン・ディーゼル)、そしてロナンに家族を殺された復讐鬼ドラックス(デビッド・バウティスタ)の5人。
何とか刑務所からの脱獄には成功したものの、オーブを狙うロナンの軍団に追われた彼らは、いつの間にか銀河の未来を左右する存在になってゆく・・・
まさか宇宙SFで「ウガ・チャカ」を聞くとは(笑
少年時代にアブダクションされた主人公が大切にしているのが、SONYのウォークマン(しかも1st!)とママに貰ったカセットテープ。
そこには青春時代にママが大好きだったおススメ曲が沢山詰め込まれているのだが、彼女が死んでクィルがアブダクションされたのが1988年なので、必然的に70年代ヒットソングのオンパレード。
レッドボーンの「カム・アンド・ゲット・ユア・ラブ」、デヴィッド・ボウイの「月世界の白昼夢」、ランナウェイズの「チェリー・ボム」がSF映画のBGMなんて思いっきりミスマッチなのだけど、それが逆に新鮮に感じるのだから面白い。
ちなみに本作で使われた歌曲だけを集めたアルバム、「Guardians of the Galaxy: Awesome Mix Vol. 1」は、ビルボードチャートで堂々の1位を獲得したそうだ。
プロップのカセットがデザインされたジャケも楽しくて、思わず私も衝動買いしたが、続編ではもちろん「Guardians of the Galaxy: Awesome Mix Vol. 2」が出るんだろうな(笑
元々緩めの作品が多いマーベル系作品だが、これはその中でも思いっきりおバカ方向に振り切れている。
何しろ主人公たちは全員小悪党のダメ人間(と宇宙人)、バカバカしい脱力系ギャグの応酬に、狙ってハズした70’sサウンド。
音楽が象徴する様に、映像のテイストもどこか70年代風のレトロテイストなのだけど、王道の「スター・ウォーズ」というよりは、むしろ「スペース・パイレーツ」とか「宇宙の七人」とか「銀河伝説クルール」とかのB級映画を思いっきりゴージャスにアップグレードした感じなのは、いかにもジェームズ・ガン。
映画だけでなく、ディテールにはアシモフの「ファウンデーション」シリーズや、E.E.スミスの「レンズマン」「宇宙のスカイラーク」シリーズ的な世界観も見え隠れする。
本作のビジュアルで非常に特徴的なのは、ド派手なカラーリングの宇宙船の数々だ。
日本のアニメではカラフルな宇宙船は結構あるが、ハリウッドは昔から白やシルバーの単色が主流だから物珍しく感じたのだが、ふと先日観た「ホドロフスキーのDUNE」でクリス・フォスがデザインした極彩色の宇宙船群にデジャヴ。
そう、嘗て「レンズマン」や「ファウンデーション」シリーズの表紙を描き、ホドロフスキーによって幻の映画「DUNE」のために集められた魂の戦士たちの一人、フォスが本作にコンセプトデザインを提供しているのである。
フォスの起用は監督たっての希望だったらしく、特徴的なオレンジとブルーの補色は本作のビジュアルのキーカラーとなっている。
キャスティングも趣味性全快だ。
アライグマのロケットの声が今をときめくブラッドレイ・クーパーだったり、ゾーイ・ザルダナが「アバター」の青いヒロインと対になる様な緑のヒロインだったりするのもネタっぽいが、私的な注目は終始「I am Groot.」としか言わないグルートの声を演じるヴィン・ディーゼル。
このキャラクターは、ディーゼルの隠れた代表作である、「アイアン・ジャイアント」の哀しき鉄巨人に被る。
そして、両方の映画を観た人はピンと来たと思うが、共に友達を守るために自己犠牲の精神を見せるこの二つのキャラクターの最期は、明らかに符合するように作られているのである。
グルートのオチの画は、その昔大流行したフラワーロックのパロディなのだけど、同時にブラッド・バードの名作に対するジェームズ・ガンからのアンサーにしてオマージュなのだと思う。
可愛らしく踊るちっちゃなグルードに、思わず15年前の感動が蘇って、ちょっと涙が出た。
他にも、ハワード・ザ・ダックの声がセス・グリーンだったり、ガンにとっては師匠格に当たるトロマのボス、ロイド・カウフマンや、「スリザー」で組んだ後に、テレビの「キャッスル ミステリー作家は事件がお好き」でブレイクしたネイサン・フィリオンを囚人役で出したり、マニアックなカメオ出演はクレジットが読みきれないほど。
もちろん、本作はオタクな趣味性だけでこれほどのヒット作となった訳ではない。
嘗てのB級SF映画やSF小説の数々をパロディに、脱力系のキャラとギャグで宇宙を彩りながらも、最終的には冒険、友情、努力に愛が前面に出る普遍的なエンタメの王道に落とし込んでいる。
主人公たちは、一人ひとりではとてもヒーロー映画の主役は張れそうもない半端者だが、冒険を通じて仲間との絆を育み、遂に宇宙最強のチームとして一体となるのである。
クライマックスの大バトルはそれまでの緩いムードを吹き飛ばす、危機また危機のパワフルな正統派スペースオペラ。
それでも、散々伏線を張っていた、ある80年代ネタを大トリに持ってきたのには、全く恐れ入った(笑
笑とスリル満載の素晴らしき122分。
大人やマニアは懐かしの映画・音楽・時事ネタや、全編に散りばめられた凝ったディテールにクスクスと笑い、そんなものは知らない子供たちにとっては明るくて派手なスぺオペとして楽しめる。
クリストファー・ノーラン一派のおかげで、ゼロ年代に入ってどんどんハード&ダークになり、良くも悪くもファミリー観客をすっかり忘れ去ってしまった、レジェンダリー系のDCコミック映画へのアンチテーゼとしても、これはアリだろう。
監督曰く、「『アベンジャーズ』はマーベルユニバースのビートルズ。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』はローリングストーンズ」なのだそうな。
なるほど、どうやらスター・ロードがミック・ジャガーの歳になるまで楽しませてくれそうだ(笑
今回は、冒険の海に出たくなる錨マークの「アンカースチーム」をチョイス。
港町サンフランシスコを代表する老舗地ビールは、ゴールドラッシュ時代の開拓民の喉を潤した、スチームビールの復刻版。
常温発酵ラガーの深いコクと華やぐ香りは、本作の楽しさをブーストアップしてくれるだろう。

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